労働安全衛生法 選択式対策

 

労働安全衛生法は、選択式を意識した学習が必要です。

労働基準法の選択式で難問が出題された場合に、労働安全衛生法でカバーする必要があります。

基本となる条文やキーワードをしっかり押さえることが必要です。

 

■目的(法1条)

この法律は、労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)と相まって、労働災害の防止のための危害防止基準の確立、責任体制の明確化及び自主的活動の促進の措置を講ずる等その防止に関する総合的計画的な対策を推進することにより職場における労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境の形成を促進することを目的とする。

H10年、H24年、R元年

 

■定義(法2条)

この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

一 労働災害 労働者の就業に係る建設物、設備、原材料、ガス、蒸気、粉じん等により、又は作業行動その他業務に起因して、労働者が負傷し、疾病にかかり、又は死亡することをいう。

二 労働者 労働基準法第9条に規定する労働者(同居の親族のみを使用する事業又は事務所に使用される者及び家事使用人を除く。)をいう。

三 事業者 事業を行う者で、労働者を使用するものをいう。

三の二 化学物質 元素及び化合物をいう。

四 作業環境測定 作業環境の実態をは握するため空気環境その他の作業環境について行うデザイン、サンプリング及び分析(解析を含む。)をいう。

 

■事業者等の責務(法3条)

事業者は、単にこの法律で定める労働災害の防止のための最低基準を守るだけでなく、快適な職場環境の実現と労働条件の改善を通じて職場における労働者の安全と健康を確保するようにしなければならない。

また、事業者は、国が実施する労働災害の防止に関する施策に協力するようにしなければならない。

 

機械、器具その他の設備を設計し、製造し、若しくは輸入する者、原材料を製造し、若しくは輸入する者又は建設物を建設し、若しくは設計する者は、これらの物の設計、製造、輸入又は建設に際して、これらの物が使用されることによる労働災害の発生の防止に資するように努めなければならない

 

建設工事の注文者等仕事を他人に請け負わせる者は、施工方法、工期等について、安全で衛生的な作業の遂行をそこなうおそれのある条件を附さないように配慮しなければならない

 

■労働者の責務(法4条)

労働者は、労働災害を防止するため必要な事項を守るほか、事業者その他の関係者が実施する労働災害の防止に関する措置に協力するように努めなければならない

 

■ジョイントベンチャー(法5条)

二以上の建設業に属する事業の事業者が、一の場所において行われる当該事業の仕事を共同連帯して請け負った場合においては、厚生労働省令で定めるところにより、そのうちの一人を代表者として定め、これを都道府県労働局長に届け出なければならない。

②前項の規定による届出がないときは、都道府県労働局長が代表者を指名する。

③前二項の代表者の変更は、都道府県労働局長に届け出なければ、その効力を生じない。

④第一項に規定する場合においては、当該事業を同項又は第二項の代表者のみの事業と、当該代表者のみを当該事業の事業者と、当該事業の仕事に従事する労働者を当該代表者のみが使用する労働者とそれぞれみなして、この法律を適用する。

 

■ジョイントベンチャー(則1条)

法第5条第1項の規定による届出をしようとする者は、当該届出に係る仕事の開始の日の14日前までに、様式第一号による届書を、当該仕事が行われる場所を管轄する都道府県労働局長に提出しなければならない。

 

■労働災害防止計画

法6条(労働災害防止計画の策定)

厚生労働大臣は、労働政策審議会の意見をきいて、労働災害の防止のための主要な対策に関する事項その他労働災害の防止に関し重要な事項を定めた計画(以下「労働災害防止計画」という。)を策定しなければならない

 

法7条(変更)

厚生労働大臣は、労働災害の発生状況、労働災害の防止に関する対策の効果等を考慮して必要があると認めるときは、労働政策審議会の意見をきいて、労働災害防止計画を変更しなければならない。

 

法8条(公表)

厚生労働大臣は、労働災害防止計画を策定したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。これを変更したときも、同様とする。

 

法9条(勧告等)

厚生労働大臣は、労働災害防止計画の的確かつ円滑な実施のため必要があると認めるときは、事業者、事業者の団体その他の関係者に対し、労働災害の防止に関する事項について必要な勧告又は要請をすることができる。

 

■総括安全衛生管理者(法10条)

事業者は、政令で定める規模の事業場ごとに、厚生労働省令で定めるところにより、

総括安全衛生管理者を選任し、その者に安全管理者、衛生管理者又は第二十五条の二第二項の規定により技術的事項を管理する者の指揮をさせるとともに、次の業務を統括管理させなければならない。

一 労働者の危険又は健康障害を防止するための措置に関すること。

二 労働者の安全又は衛生のための教育の実施に関すること。

三 健康診断の実施その他健康の保持増進のための措置に関すること。

四 労働災害の原因の調査及び再発防止対策に関すること。

五 前各号に掲げるもののほか、労働災害を防止するため必要な業務で、厚生労働省令で定めるもの

 

②総括安全衛生管理者は、当該事業場においてその事業の実施を統括管理する者をもつて充てなければならない。

 

③都道府県労働局長は、労働災害を防止するため必要があると認めるときは、総括安全衛生管理者の業務の執行について事業者に勧告することができる。

H12H28

 

■安全管理者・衛生管理者

安全管理者(法11条) 

事業者は、政令で定める業種及び規模の事業場ごとに、厚生労働省令で定める資格を有する者のうちから、厚生労働省令で定めるところにより、安全管理者を選任し、その者に総括安全衛生管理者の統括管理する業務のうち安全に係る技術的事項を管理させなければならない。

労働基準監督署長は、労働災害を防止するため必要があると認めるときは、事業者に対し、安全管理者の増員又は解任を命ずることができる。

 

衛生管理者(法12条)

事業者は、政令で定める規模の事業場ごとに、都道府県労働局長の免許を受けた者その他厚生労働省令で定める資格を有する者のうちから、厚生労働省令で定めるところにより、当該事業場の業務の区分に応じて、衛生管理者を選任し、その者に総括安全衛生管理者の統括管理する業務のうち衛生に係る技術的事項を管理させなければならない。

②前条第二項の規定は、衛生管理者について準用する。

 

■産業医(法13条)

事業者は、政令で定める規模の事業場ごとに、厚生労働省令で定めるところにより、

医師のうちから産業医を選任し、その者に労働者の健康管理その他の厚生労働省令で定める事項(以下「労働者の健康管理等」という。)を行わせなければならない。

②産業医は、労働者の健康管理等を行うのに必要な医学に関する知識について厚生労働省令で定める要件を備えた者でなければならない。

③産業医は、労働者の健康管理等を行うのに必要な医学に関する知識に基づいて、誠実にその職務を行わなければならない。

④産業医を選任した事業者は、産業医に対し、厚生労働省令で定めるところにより、労働者の労働時間に関する情報その他の産業医が労働者の健康管理等を適切に行うために必要な情報として厚生労働省令で定めるものを提供しなければならない。

⑤産業医は、労働者の健康を確保するため必要があると認めるときは、事業者に対し、労働者の健康管理等について必要な勧告をすることができる。この場合において、事業者は、当該勧告を尊重しなければならない。

⑥事業者は、前項の勧告を受けたときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該勧告の内容その他の厚生労働省令で定める事項を衛生委員会又は安全衛生委員会に報告しなければならない。

 

■作業主任者(法14条)

事業者は、高圧室内作業その他の労働災害を防止するための管理を必要とする作業で、政令で定めるものについては、都道府県労働局長の免許を受けた者又は都道府県労働局長の登録を受けた者が行う技能講習を修了した者のうちから、厚生労働省令で定めるところにより、当該作業の区分に応じて、作業主任者を選任し、その者に当該作業に従事する労働者の指揮その他の厚生労働省令で定める事項を行わせなければならない。

 

■安全衛生推進者・衛生推進者(法12条の2)

事業者は、安全管理者及び衛生管理者の選任義務のない10人以上50人未満の小規模な事業場ごとに、安全衛生推進者(その他の業種の事業場では、衛生推進者)を選任し、その者に総括安全衛生管理者の統括管理する業務(衛生推進者の場合は、衛生に係る業務に限る。)を担当させなければならない。

 

■安全衛生推進者等の選任(則12条の3)

法第12条の2の規定による安全衛生推進者又は衛生推進者(以下「安全衛生推進者等」という。)の選任は、都道府県労働局長の登録を受けた者が行う講習を修了した者その他の業務(衛生推進者にあっては、衛生に係る業務に限る。)を担当するため必要な能力を有すると認められる者のうちから、次に定めるところにより行わなければならない。

一 安全衛生推進者等を選任すべき事由が発生した日から14日以内に選任すること。

二 その事業場に専属の者を選任すること。

ただし、労働安全コンサルタント労働衛生コンサルタントその他厚生労働大臣が定める者のうちから選任するときは、この限りでない。

  

■安全委員会(法17条)

事業者は、政令で定める業種及び規模の事業場ごとに、次の事項を調査審議させ、事業者に対し意見を述べさせるため、安全委員会を設けなければならない。

一 労働者の危険を防止するための基本となるべき対策に関すること。

二 労働災害の原因及び再発防止対策で、安全に係るものに関すること。

三 前二号に掲げるもののほか、労働者の危険の防止に関する重要事項

 

②安全委員会の委員は、次の者をもって構成する。

 総括安全衛生管理者又は総括安全衛生管理者以外の者で当該事業場においてその事業の実施を統括管理するもの若しくはこれに準ずる者のうちから事業者が指名した者

二 安全管理者のうちから事業者が指名した者

三 当該事業場の労働者で、安全に関し経験を有するもののうちから事業者が指名した者

 

③安全委員会の議長は、第一号の委員がなるものとする。

 

④事業者は、第一号の委員以外の委員の半数については、当該事業場に労働者の過半数で組織する労働組合があるときにおいてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときにおいては労働者の過半数を代表する者の推薦に基づき指名しなければならない。

 

⑤前二項の規定は、当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合との間における労働協約に別段の定めがあるときは、その限度において適用しない。

 

ポイント(衛生委員会と共通)

毎月1回以上開催するようにしなければならない。

②委員会の意見等重要な議事の記録を3年間保存

③委員会開催の都度、遅滞なく、議事の概要を労働者に周知

 

■衛生委員会(法18条)

事業者は、常時50人以上の事業場ごとに、次の事項を調査審議させ、事業者に対し意見を述べさせるため、衛生委員会を設けなければならない。

一 労働者の健康障害を防止するための基本となるべき対策に関すること。

二 労働者の健康の保持増進を図るための基本となるべき対策に関すること。

三 労働災害の原因及び再発防止対策で、衛生に係るものに関すること。

四 前三号に掲げるもののほか、労働者の健康障害の防止及び健康の保持増進に関する重要事項

 

②衛生委員会の委員は、次の者をもって構成する。ただし、第一号の者である委員は、一人とする。

一 総括安全衛生管理者又は総括安全衛生管理者以外の者で当該事業場においてその事業の実施を統括管理するもの若しくはこれに準ずる者のうちから事業者が指名した者

二 衛生管理者のうちから事業者が指名した者

三 産業医のうちから事業者が指名した者

四 当該事業場の労働者で、衛生に関し経験を有するもののうちから事業者が指名した者

 

③事業者は、当該事業場の労働者で、作業環境測定を実施している作業環境測定士であるものを衛生委員会の委員として指名することができる。

 

■統括安全衛生責任者(法15条)

事業者で、一の場所において行う事業の仕事の一部を請負人に請け負わせているもの(元方事業者)のうち、建設業その他政令で定める業種に属する事業(以下「特定事業」という。)を行う者(以下「特定元方事業者」という。)は、その労働者及びその請負人(元方事業者の当該事業の仕事が数次の請負契約によって行われるときは、当該請負人の請負契約の後次のすべての請負契約の当事者である請負人を含む。)の労働者が当該場所において作業を行うときは、これらの労働者の作業が同一の場所において行われることによって生ずる労働災害を防止するため、統括安全衛生責任者を選任し、その者に元方安全衛生管理者の指揮をさせるとともに、第30条第1項各号の事項を統括管理させなければならない。ただし、これらの労働者の数が政令で定める数未満であるときは、この限りでない。

 

②統括安全衛生責任者は、当該場所においてその事業の実施を統括管理する者をもつて充てなければならない。

(以下略)

 

■特定元方事業者等の講ずべき措置(法30条)

特定元方事業者は、その労働者及び関係請負人の労働者の作業が同一の場所において行われることによって生ずる労働災害を防止するため、次の事項に関する必要な措置を講じなければならない。

一 協議組織の設置及び運営を行うこと。

二 作業間の連絡及び調整を行うこと。

三 作業場所を巡視すること。

四 関係請負人が行う労働者の安全又は衛生のための教育に対する指導及び援助を行うこと。

五 仕事の工程に関する計画及び作業場所における機械、設備等の配置に関する計画を作成、関係請負人が講ずべき措置についての指導を行うこと。

六 その他労働災害を防止するため必要な事項

 

■元方安全衛生管理者(法15条の2)

統括安全衛生責任者を選任した事業者で、建設業その他政令で定める業種に属する事業を行うものは、厚生労働省令で定める資格を有する者のうちから、厚生労働省令で定めるところにより、元方安全衛生管理者を選任し、その者に第30条第1項各号の事項のうち技術的事項を管理させなければならない。

 

■資格要件

大学の理科系卒業等+3年以上建設工事の安全衛生の実務経験

②高校の理科系統等+5年以上建設工事の安全衛生の実務経験

③その他

 

■元方安全衛生管理者(法15条の2)

統括安全衛生責任者を選任した事業者で、建設業を行うものは、厚生労働省令で定める資格を有する者のうちから、厚生労働省令で定めるところにより、元方安全衛生管理者を選任し、その者に統括安全衛生責任者が統括管理する事項のうち技術的事項を管理させなければならない。

 

■資格要件

大学の理科系卒業等+3年以上建設工事の安全衛生の実務経験

②高校の理科系統卒業+5年以上建設工事の安全衛生の実務経験

10年以上の建設工事の施行における安全衛生の実務経験

  

■安全衛生責任者(法16条)

統括安全衛生責任者を選任すべき事業者以外の請負人(=下請負人)で、当該仕事を自ら行うものは、安全衛生責任者を選任し、その者に統括安全衛生責任者との連絡その他の厚生労働省令で定める事項を行わせなければならない。

 

2 前項の規定により安全衛生責任者を選任した請負人は、同項の事業者に対し、遅滞なく、その旨を通報しなければならない。

 

■安全衛生責任者の職務…則19

法第16条第1項の厚生労働省令で定める事項は、次のとおりとする。

統括安全衛生責任者との連絡

②統括安全衛生責任者から連絡を受けた事項の関係者への連絡

③前号の統括安全衛生責任者からの連絡に係る事項のうち当該請負人に係るものの実施についての管理

④当該請負人がその労働者の作業の実施に関し計画を作成する場合における当該計画と特定元方事業者が作成する計画との整合性の確保を図るための統括安全衛生責任者との調整

⑤当該請負人の労働者の行う作業及び当該労働者以外の者の行う作業によって生ずる労働災害に係る危険の有無の確認

⑥当該請負人がその仕事の一部を他の請負人に請け負わせている場合における当該他の請負人の安全衛生責任者との作業間の連絡及び調整

 

■店社安全衛生管理者(法15条の3)

建設業に属する事業の元方事業者は、その労働者及び関係請負人の労働者が一の場所において作業を行うときは、当該場所において行われる仕事に係る請負契約を締結している事業場ごとに、これらの労働者の作業が同一の場所で行われることによって生ずる労働災害を防止するため、厚生労働省令で定める資格を有する者のうちから、店社安全衛生管理者を選任し、その者に、当該事業場で締結している当該請負契約に係る仕事を行う場所における第三十条第一項各号の事項を担当する者に対する指導その他厚生労働省令で定る事項を行わせなければならない。

 

■選任規模(現場単位)

ずい道等の建設、橋梁の建設、圧気工法による作業…

常時20人~30

②主要構造部が鉄骨造又は鉄骨鉄筋コンクリート造である建築物の建設…

常時20人~50

 

■資格要件

大学卒業等+3年以上建設工事の安全衛生の実務経験

②高校卒業等+5年以上建設工事の安全衛生の実務経験

8年以上の建設工事の安全衛生の実務経験

④その他

 

■安全面の措置(法20条・21条)

(法20条)

事業者は、次の危険を防止するため必要な措置を講じなければならない。

一 機械、器具その他の設備(以下「機械等」という。)による危険

二 爆発性の物、発火性の物、引火性の物等による危険

三 電気、熱その他のエネルギーによる危険

 

(法21条)

事業者は、掘削、採石、荷役、伐木等の業務における作業方法から生ずる危険を防止するため必要な措置を講じなければならない。

②事業者は、労働者が墜落するおそれのある場所、土砂等が崩壊するおそれのある場所等に係る危険を防止するため必要な措置を講じなければならない。

 

■事業者の講ずべき措置(法22条)

事業者は、次の健康障害を防止するため必要な措置を講じなければならない。

一 原材料、ガス、蒸気、粉じん、酸素欠乏空気、病原体等による健康障害

二 放射線、高温、低温、超音波、騒音、振動、異常気圧等による健康障害

三 計器監視、精密工作等の作業による健康障害

四 排気、排液又は残さい物による健康障害

 

■環境面の措置(法23条)

事業者は、労働者を就業させる建設物その他の作業場について、通路、床面、階段等の保全並びに換気、採光、照明、保温、防湿、休養、避難及び清潔に必要な措置その他労働者の健康、風紀及び生命の保持のため必要な措置を講じなければならない。

H9年 選択式

 

■作業行動から生ずる労働災害防止措置(法24条)

事業者は、労働者の作業行動から生ずる労働災害を防止するため必要な措置を講じなければならない。

 

■緊急退避措置(法25条)

事業者は、労働災害発生の急迫した危険があるときは、直ちに作業を中止し、労働者を作業場から退避させる等必要な措置を講じなければならない。

 

■救護措置(法25条の2)

建設業その他政令で定める業種に属する事業の仕事で、政令で定めるものを行う事業者は、爆発、火災等が生じたことに伴い労働者の救護に関する措置がとられる場合における労働災害の発生を防止するため、次の措置を講じなければならない。

一 労働者の救護に関し必要な機械等の備付け及び管理を行うこと。

二 労働者の救護に関し必要な事項についての訓練を行うこと。

三 前二号に掲げるもののほか、爆発、火災等に備えて、労働者の救護に関し必要な事項を行うこと。

H9年 選択式:救護

 

■危険性又は有害性等の調査等の実施(法28条の2)

事業者は、厚生労働省令で定めるところにより、建設物、設備、原材料、ガス、蒸気、粉じん等による、又は作業行動その他業務に起因する危険性又は有害性等(通知対象物による危険性又は有害性等を除く。)を調査し、その結果に基づいて、この法律又はこれに基づく命令の規定による措置を講ずるほか、労働者の危険又は健康障害を防止するため必要な措置を講ずるように努めなければならない。

ただし、当該調査のうち、化学物質、化学物質を含有する製剤その他の物で労働者の危険又は健康障害を生ずるおそれのあるものに係るもの以外のものについては、製造業その他厚生労働省令で定める業種に属する事業者に限る。

 

②厚生労働大臣は、前条第一項及び第三項に定めるもののほか、前項の措置に関して、その適切かつ有効な実施を図るため必要な指針を公表するものとする。

 

③厚生労働大臣は、前項の指針に従い、事業者又はその団体に対し、必要な指導、援助等を行うことができる。

  

■元方事業者の講ずべき措置(法29条)

元方事業者は、関係請負人及び関係請負人の労働者が、当該仕事に関し、この法律又はこれに基づく命令の規定に違反しないよう必要な指導を行なわなければならない。

 

②元方事業者は、関係請負人又は関係請負人の労働者が、当該仕事に関し、この法律又はこれに基づく命令の規定に違反していると認めるときは、是正のため必要な指示を行なわなければならない。

 

③前項の指示を受けた関係請負人又はその労働者は、当該指示に従わなければならない。

 

■建設業の元方事業者の講ずべき措置(法29条の2)

建設業に属する事業の元方事業者は、土砂等が崩壊するおそれのある場所、機械等が転倒するおそれのある場所その他の厚生労働省令で定める場所において関係請負人の労働者が当該事業の仕事の作業を行うときは、当該関係請負人が講ずべき当該場所に係る危険を防止するための措置が適正に講ぜられるように、技術上の指導その他の必要な措置を講じなければならない。 

 

■特定元方事業者等の講ずべき措置(法30条)

特定元方事業者及び製造業元方事業者は、その労働者及び関係請負人の労働者の作業が同一の場所において行われることによって生ずる労働災害を防止するため、次の事項に関する必要な措置を講じなければならない。

一 協議組織の設置及び運営を行うこと。

二 作業間の連絡及び調整を行うこと。

三 作業場所を巡視すること。

四 関係請負人が行う労働者の安全又は衛生のための教育に対する指導及び援助を行うこと。

五 仕事を行う場所が仕事ごとに異なることを常態とする業種で、厚生労働省令で定めるものに属する事業を行う特定元方事業者にあっては、仕事の工程に関する計画及び作業場所における機械、設備等の配置に関する計画を作成するとともに、当該機械、設備等を使用する作業に関し関係請負人がこの法律又はこれに基づく命令の規定に基づき講ずべき措置についての指導を行うこと。

六 前各号に掲げるもののほか、当該労働災害を防止するため必要な事項

 

■注文者の講ずべき措置(法31条)

特定事業(建設業又は造船業)の仕事を自ら行う注文者は、建設物、設備又は原材料(以下「建設物等」という。)を、当該仕事を行う場所においてその請負人(当該仕事が数次の請負契約によって行われるときは、当該請負人の請負契約の後次のすべての請負契約の当事者である請負人を含む。)の労働者に使用させるときは、当該建設物等について、当該労働者の労働災害を防止するため必要な措置を講じなければならない。

 

②前項の規定は、当該事業の仕事が数次の請負契約によって行なわれることにより同一の建設物等について同項の措置を講ずべき注文者が二以上あることとなるときは、後次の請負契約の当事者である注文者については、適用しない。

 

化学物質、化学物質を含有する製剤その他の物を製造し、又は取り扱う設備で政令で定めるものの改造その他の厚生労働省令で定める作業に係る仕事の注文者は、当該物について、当該仕事に係る請負人の労働者の労働災害を防止するため必要な措置を講じなければならない。

 

■文書の交付等(附則662条の4)

注文者(その仕事を他の者から請け負わないで注文している者に限る。)は、次の事項を記載した文書(その作成に代えて電磁的記録の作成がされている場合における当該電磁的記録を含む。次項において同じ。)を作成し、これをその請負人に交付しなければならない。

一 法第三十一条の二に規定する物の危険性及び有害性

二 当該仕事の作業において注意すべき安全又は衛生に関する事項

三 当該仕事の作業について講じた安全又は衛生を確保するための措置

四 当該物の流出その他の事故が発生した場合において講ずべき応急の措置

  

機械等貸与者等の講ずべき措置等(法33条)

機械等で、政令で定めるものを他の事業者に貸与する者で、厚生労働省令で定めるもの(以下「機械等貸与者」という。)は、当該機械等の貸与を受けた事業者の事業場における当該機械等による労働災害を防止するため必要な措置を講じなければならない。

 

②機械等貸与者から機械等の貸与を受けた者は、当該機械等を操作する者がその使用する労働者でないときは、当該機械等の操作による労働災害を防止するため必要な措置を講じなければならない。

 

措置に関しては、機械等の事前点検、貸与を受ける者への説明書面の交付等の措置がある。

 

■建築物貸与者の講ずべき措置(法34条)

建築物で、政令で定めるものを他の事業者に貸与する者(以下「建築物貸与者」という。)は、当該建築物の貸与を受けた事業者の事業に係る当該建築物による労働災害を防止するため必要な措置を講じなければならない。

ただし、当該建築物の全部を一の事業者に貸与するときは、この限りでない。

(講じる必要はない。)

 

措置に関しては、安全な避難用出入口の保持、排気装置の点検、補修等の措置がある。

 

■重量表示(法35条)

一の貨物で、重量が1トン以上のものを発送しようとする者は、見やすく、かつ、容易に消滅しない方法で、当該貨物にその重量を表示しなければならない。

ただし、包装されていない貨物で、その重量が一見して明らかであるものを発送しようとするときは、この限りでない。

 H7年 記述式 1トン以上

■製造の許可(法37条)

特に危険な作業を必要とする機械等として別表第一に掲げるもので、政令で定めるもの(以下「特定機械等」という。)を製造しようとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、あらかじめ、都道府県労働局長の許可を受けなければならない。

 

②都道府県労働局長は、前項の許可の申請があつた場合には、その申請を審査し、申請に係る特定機械等の構造等が厚生労働大臣の定める基準に適合していると認めるときでなければ、同項の許可をしてはならない。

 

■特定機械等の種類(労働安全衛生法の別表1

① ボイラー(小型ボイラー等を除く。)

② 第一種圧力容器(小型圧力容器等を除く。)

③ つり上げ荷重が3トン以上のクレーン

(スタツカー式クレーンにあっては、1トン以上)

④ つり上げ荷重が3トン以上の移動式クレーン

⑤ つり上げ荷重が2トン以上のデリツク

⑥ 積載荷重が1トン以上のエレベーター

⑦ ガイドレールの高さが18メートルトル以上の建設用リフト(積載荷重が0.25トン未満のものを除く。)

⑧ ゴンドラ

 

■製造時等検査(法38条)

特定機械等を製造し、若しくは輸入した者、特定機械等で厚生労働省令で定める期間設置されなかつたものを設置しようとする者又は特定機械等で使用を廃止したものを再び設置し、若しくは使用しようとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、当該特定機械等及びこれに係る厚生労働省令で定める事項について、当該特定機械等が、特別特定機械等(特定機械等のうち厚生労働省令で定めるものをいう。以下同じ。)以外のものであるときは都道府県労働局長の、特別特定機械等であるときは厚生労働大臣の登録を受けた者(以下「登録製造時等検査機関」という。)の検査を受けなければならない。

ただし、輸入された特定機械等及びこれに係る厚生労働省令で定める事項(次項において「輸入時等検査対象機械等」という。)について当該特定機械等を外国において製造した者が次項の規定による検査を受けた場合は、この限りでない。

 

②前項に定めるもののほか、次に掲げる場合には、外国において特定機械等を製造した者は、厚生労働省令で定めるところにより、輸入時等検査対象機械等について、自ら、当該特定機械等が、特別特定機械等以外のものであるときは都道府県労働局長の、特別特定機械等であるときは登録製造時等検査機関の検査を受けることができる。

一 当該特定機械等を本邦に輸出しようとするとき。

二 当該特定機械等を輸入した者が当該特定機械等を外国において製造した者以外の者(以下この号において単に「他の者」という。)である場合において、当該製造した者が当該他の者について前項の検査が行われることを希望しないとき。

 

③特定機械等(移動式のものを除く。)を設置した者、特定機械等の厚生労働省令で定める部分に変更を加えた者又は特定機械等で使用を休止したものを再び使用しようとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、当該特定機械等及びこれに係る厚生労働省令で定める事項について、労働基準監督署長の検査を受けなければならない。

 

■検査証の交付等(法39条)

都道府県労働局長又は登録製造時等検査機関は、製造時等検査に合格した移動式の特定機械等について、厚生労働省令で定めるところにより、検査証を交付する。

 

労働基準監督署長は、設置に係る検査(落成検査)に合格した特定機械等について、厚生労働省令で定めるところにより、検査証を交付する。

 

労働基準監督署長は、特定機械等の部分の変更又は再使用に係るものに合格した特定機械等について、厚生労働省令で定めるところにより、当該特定機械等の検査証に、裏書を行う。

 

■使用等の制限(法40条)

検査証を受けていない特定機械等は、使用してはならない。

 

②検査証を受けた特定機械等は、検査証とともにするのでなければ、譲渡し、又は貸与してはならない。

 

■検査証の有効期間等(法41条)

検査証の有効期間は、特定機械等の種類に応じて、厚生労働省令で定める期間とする。

 

②検査証の有効期間の更新を受けようとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、当該特定機械等及びこれに係る厚生労働省令で定める事項について、厚生労働大臣の登録を受けた者(以下「登録性能検査機関」という。)が行う性能検査を受けなければならない。

 

検査証の有効期限

クレーン、移動式クレーン、デリック…2年

②建設用リフト…設置から廃止まで

③上記②以外…1年

 

■譲渡等の制限等(法42条)

特定機械等以外の機械等で、別表第二に掲げるものその他危険若しくは有害な作業を必要とするもの、危険な場所において使用するもの又は危険若しくは健康障害を防止するため使用するもののうち、政令で定めるものは、厚生労働大臣が定める規格又は安全装置を具備しなければ、譲渡し、貸与し、又は設置してはならない。

 

■別表第二(譲渡等の制限の対象となる機械等)

ゴム、ゴム化合物又は合成樹脂を練るロール機及びその急停止装置

第2種圧力容器(第一種圧力容器以外の圧力容器であって政令で定めるものをいう。次表において同じ。)

小型ボイラー

小型圧力容器(第一種圧力容器のうち政令で定めるものをいう。)

⑤プレス機械又はシャーの安全装置

⑥防爆構造電気機械器具

⑦クレーン又は移動式クレーンの過負荷防止装置

防じんマスク

⑨防毒マスク

⑩つり上げ荷重が0.5トン以上3未満のクレーン・移動式クレーン

⑪つり上げ荷重が2トン未満のデリック

⑫積載荷重が1トン未満のエレベーター

⑬ガイドレールの高さが18メートル未満の建設用リフト

木材加工用丸のこ盤及びその反発予防装置又は歯の接触予防装置

⑮動力により駆動されるプレス機械

⑯交流アーク溶接機用自動電撃防止装置

⑰絶縁用保護具

⑱絶縁用防具

⑲保護帽

⑳電動ファン付き呼吸用保護具 そのほか50種類

 

■局所防護装置(法43条)

動力により駆動される機械等で、作動部分上の突起物又は動力伝導部分若しくは調速部分に厚生労働省令で定める防護のための措置が施されていないものは、譲渡し、貸与し、又は譲渡若しくは貸与の目的で展示してはならない。

 

■機械等に係る命令制度(法43条の2)

厚生労働大臣又は都道府県労働局長は、第42条の機械等を製造し、又は輸入した者が、当該機械等で、次の各号のいずれかに該当するものを譲渡し、又は貸与した場合には、その者に対し、当該機械等の回収又は改善を図ること、当該機械等を使用している者へ厚生労働省令で定める事項を通知することその他当該機械等が使用されることによる労働災害を防止するため必要な措置を講ずることを命ずることができる。

 

個別検定に合格した機械等以外の機械等で、個別検定に合格した旨の表示が付され、又はこれと紛らわしい表示が付された機械等

②型式検定に合格した型式の機械等で、規格又は安全装置を具備していないもの

③形式検定に合格した機械等以外の機械等で、形式検定に合格した旨の表示が付され、又はこれと紛らわしい表示が付された機械等

④形式検定の対象外の機械等で、規格又は安全装置を具備していないもの

 

■個別検定(法44条)

譲渡等の制限の対象となる機械等のうち、一定の機械等で政令で定めるものを製造し、又は輸入した者は、厚生労働大臣の登録を受けた者(以下「登録個別検定機関」という。)が個々に行う当該機械等についての検定を受けなければならない。

②項略

③登録個別検定機関は、個別検定を受けようとする者から申請があった場合には、当該申請に係る機械等が厚生労働省令で定める基準に適合していると認めるときでなければ、当該機械等を個別検定に合格させてはならない。

④個別検定を受けた者は、当該個別検定に合格した機械等に、厚生労働省令で定めるところにより、当該個別検定に合格した旨の表示を付さなければならない。

 

以下略

 

■型式検定(法44条の2)

譲渡等の制限の対象となる機械等のうち、一定の機械等で政令で定めるものを製造し、又は輸入した者は、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働大臣の登録を受けた者(以下「登録型式検定機関」という。)が行う当該機械等の型式についての検定を受けなければならない。

②項略

③登録型式検定機関は、型式検定を受けようとする者から申請があった場合には、当該申請に係る型式の機械等の構造並びに当該機械等を製造し、及び検査する設備等が厚生労働省令で定める基準に適合していると認めるときでなければ、当該型式を型式検定に合格させてはならない。

④登録型式検定機関は、型式検定に合格した型式について、型式検定合格証を申請者に交付する。

以下略

 

 

■定期自主検査(法45条)

事業者は、ボイラーその他の機械等で、政令で定めるものについて、厚生労働省令で定めるところにより、定期に自主検査を行ない、及びその結果を記録しておかなければならない。

 

②事業者は、前項の機械等で政令で定めるものについて同項の規定による自主検査のうち厚生労働省令で定める自主検査(以下「特定自主検査」という。)を行うときは、その使用する労働者で厚生労働省令で定める資格を有するもの又は検査業者に実施させなければならない。

(以下略)

 

 

■製造等の禁止(法55条)

黄りんマツチベンジジン、ベンジジンを含有する製剤その他の労働者に重度の健康障害を生ずる物で、政令で定めるものは、製造し、輸入し、譲渡し、提供し、又は使用してはならない。

ただし、試験研究のため製造し、輸入し、又は使用する場合で、政令で定める要件に該当するときは、この限りでない。

 

■製造の許可(法56条)

ジクロルベンジジン、ジクロルベンジジンを含有する製剤その他の労働者に重度の健康障害を生ずるおそれのある物で、政令で定めるものを製造しようとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、あらかじめ、厚生労働大臣の許可を受けなければならない。

 

②厚生労働大臣は、前項の許可の申請があった場合には、その申請を審査し、製造設備作業方法等が厚生労働大臣の定める基準に適合していると認めるときでなければ、同項の許可をしてはならない。

 

③第一項の許可を受けた者(以下「製造者」という。)は、その製造設備を、前項の基準に適合するように維持しなければならない。

 

(以下略)

 

■表示等の義務(法57条)

爆発性の物、発火性の物、引火性の物その他の労働者に危険を生ずるおそれのある物若しくはベンゼン、ベンゼンを含有する製剤その他の労働者に健康障害を生ずるおそれのある物で政令で定めるもの又は前条第一項の物(製造許可物質)を容器に入れ、又は包装して、譲渡し、又は提供する者は、厚生労働省令で定めるところにより、その容器又は包装(容器に入れ、かつ、包装して、譲渡し、又は提供するときにあっては、その容器)に次に掲げるものを表示しなければならない。

ただし、その容器又は包装のうち、主として一般消費者の生活の用に供するためのものについては、この限りでない。

一 次に掲げる事項

イ 名称

ロ 人体に及ぼす作用

ハ 貯蔵又は取扱い上の注意

ニ イからハまでに掲げるもののほか、厚生労働省令で定める事項

二 当該物を取り扱う労働者に注意を喚起するための標章で厚生労働大臣が定めるもの

 

通知対象物

爆発性の物、発火性の物、引火性の物その他の労働者に危険を生ずるおそれのある物

②ベンゼン、ベンゼンを含有する製剤その他の労働者に健康障害を生ずるおそれのある物

製造許可物質

 

■文書の交付等(法57条の2)

労働者に危険若しくは健康障害を生ずるおそれのある物で政令で定めるもの又は第56条第1項の物(製造許可物質)(以下「通知対象物」という。)を譲渡し、又は提供する者は、文書の交付その他厚生労働省令で定める方法により通知対象物に関する次の事項(前条第二項に規定する者にあっては、同項に規定する事項を除く。)を、譲渡し、又は提供する相手方に通知しなければならない。

ただし、主として一般消費者の生活の用に供される製品として通知対象物を譲渡し、又は提供する場合については、この限りでない。

 

一 名称

二 成分及びその含有量

三 物理的及び化学的性質

四 人体に及ぼす作用

五 貯蔵又は取扱い上の注意

六 流出その他の事故が発生した場合において講ずべき応急の措置

七 前各号に掲げるもののほか、厚生労働省令で定める事項

 

■表示対象物及び通知対象物について事業主が行う調査等(法57条の3)

事業者は、厚生労働省令で定めるところにより、表示対象物及び通知対象物による危険性又は有害性等を調査(リスクアセスメント)しなければならない。

 

②事業者は、前項の調査の結果に基づいて、この法律又はこれに基づく命令の規定による措置を講ずるほか、労働者の危険又は健康障害を防止するため必要な措置を講ずるように努めなければならない。

 

③厚生労働大臣は、1項及び2項の措置に関して、その適切かつ有効な実施を図るため必要な指針を公表するものとする。

 

④厚生労働大臣は、前項の指針に従い、事業者又はその団体に対し、必要な指導、援助等を行うことができる。

 

■新規化学物質の有害性の調査(法57条の4)

化学物質による労働者の健康障害を防止するため、新規化学物質を製造し、又は輸入しようとする事業者は、あらかじめ、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働大臣の定める基準に従って有害性の調査(当該新規化学物質が労働者の健康に与える影響についての調査をいう。)を行い、当該新規化学物質の名称、有害性の調査の結果その他の事項を厚生労働大臣に届け出なければならない。

 

ただし、次の各号のいずれかに該当するときその他政令で定める場合は、この限りでない。

 当該新規化学物質に関し、当該新規化学物質について予定されている製造又は取扱いの方法等からみて労働者が当該新規化学物質にさらされるおそれがない旨の厚生労働大臣の確認を受けたとき。

 当該新規化学物質に関し、既に得られている知見等に基づき厚生労働省令で定める有害性がない旨の厚生労働大臣の確認を受けたとき。

 当該新規化学物質を試験研究のため製造し、又は輸入しようとするとき。

四 当該新規化学物質が主として一般消費者の生活の用に供される製品(当該新規化学物質を含有する製品を含む。)として輸入される場合で、厚生労働省令で定めるとき。

五 一の事業場における1年間の製造量又は輸入量が100キログラム以下である旨の厚生労働大臣の確認を受けた場合に、当該化学物質を製造し、又は輸入しようとするとき。

 

② 有害性の調査を行った事業者は、その結果に基づいて、当該新規化学物質による労働者の健康障害を防止するため必要な措置を速やかに講じなければならない。

 

③ 厚生労働大臣は、第一項の規定による届出があった場合(同項第二号の規定による確認をした場合を含む。)には、厚生労働省令で定めるところにより、当該新規化学物質の名称を公表するものとする。

(厚生労働大臣は、調査の結果等の届出の受理等をした後1年以内に、かつ、3か月以内ごとに1回、定期に、官報に掲載することにより、新規化学物質の名称の公表を行う。)

 

④ 厚生労働大臣は、第一項の規定による届出があった場合には、有害性の調査の結果について学識経験者の意見を聴き、当該届出に係る化学物質による労働者の健康障害を防止するため必要があると認めるときは、届出をした事業者に対し、施設又は設備の設置又は整備、保護具の備付けその他の措置を講ずべきことを勧告することができる。

 

■雇入れ時等の教育(法59条)

事業者は、労働者を雇い入れたときは、当該労働者に対し、その従事する業務に関する安全又は衛生のための教育を行なわなければならない。

 

②前項の規定は、労働者の作業内容を変更したときについて準用する。

 

③事業者は、危険又は有害な業務で、厚生労働省令で定めるものに労働者をつかせるときは、当該業務に関する安全又は衛生のための特別の教育を行なわなければならない。

 

■雇入れ時等の教育(施行規則35条)

事業者は、労働者を雇い入れ、又は労働者の作業内容を変更したときは、当該労働者に対し、遅滞なく、次の事項のうち当該労働者が従事する業務に関する安全又は衛生のため必要な事項について、教育を行なわなければならない。

ただし、屋内産業的業務かつ非工業的業種の事業場の労働者については、第一号から第四号までの事項についての教育を省略することができる。

 

一機械等、原材料等の危険性又は有害性及びこれらの取扱い方法に関すること。

二安全装置、有害物抑制装置又は保護具の性能及びこれらの取扱い方法に関すること。

作業手順に関すること。

四作業開始時の点検に関すること。

 

五当該業務に関して発生するおそれのある疾病の原因及び予防に関すること。

整理、整頓及び清潔の保持に関すること。

七事故時等における応急措置及び退避に関すること。

八前各号に掲げるもののほか、当該業務に関する安全又は衛生のために必要な事項

 

②事業者は、前項各号に掲げる事項の全部又は一部に関し十分な知識及び技能を有していると認められる労働者については、当該事項についての教育を省略することができる。

 

■職長等教育(法60条)

事業者は、その事業場の業種が政令で定めるものに該当するときは、新たに職務につくこととなった職長その他の作業中の労働者を直接指導又は監督する者(作業主任者を除く。)に対し、次の事項について、厚生労働省令で定めるところにより、安全又は衛生のための教育を行なわなければならない。

一 作業方法の決定及び労働者の配置に関すること。

二 労働者に対する指導又は監督の方法に関すること。

三 前二号に掲げるもののほか、労働災害を防止するため必要な事項で、厚生労働省令で定めるもの

 

■政令で定めるもの

建設業

②一定の製造業

③電気業

④ガス業

⑤自動車整備業

⑥機械修理業

 

■就業制限(法61条)

事業者は、クレーンの運転その他の業務で、政令で定めるものについては、都道府県労働局長の免許を受けた者又は都道府県労働局長の登録を受けた者(登録教習機関)が行う当該業務に係る技能講習を修了した者その他厚生労働省令で定める資格を有する者でなければ、当該業務に就かせてはならない。

 

②前項の規定により当該業務につくことができる者以外の者は、当該業務を行なってはならない。

 

③第一項の規定により当該業務につくことができる者は、当該業務に従事するときは、これに係る免許証その他その資格を証する書面を携帯していなければならない。

 

■免許が必要な業務

発破作業

・ボイラー(小型ボイラーを除く)の取扱い

・ボイラー(小型ボイラーを除く)又は第1種圧力容器の溶接

・つり上げ荷重が5t以上の移動式クレーン・デリックの運転

・つり上げ荷重が1t以上の移動式クレーンの運転 他

発破…平成8年 記述式出題

 

■技能講習終了が必要な業務

・最大荷重が1トン以上のフォークリフトの運転

・作業床の高さが10メートル以上の高所作業者の運転

・機体重量が3トン以上の車両系建設機械の運転

・最大積載量が1トン以上の不整地運搬車の運転

・つり上げ荷重1トン以上のクレーン等の玉掛 他

 

■中高年齢者等についての配慮(法62条)

事業者は、中高年齢者その他労働災害の防止上その就業に当たって特に配慮を必要とする者については、これらの者の心身の条件に応じて適正な配置を行なうように努めなければならない。

  

■作業環境測定(法65条)

事業者は、有害な業務を行う屋内作業場その他の作業場で、政令で定めるものについて、必要な作業環境測定を行い、及びその結果を記録しておかなければならない。

②前項の規定による作業環境測定は、厚生労働大臣の定める作業環境測定基準に従って行わなければならない。

③厚生労働大臣は、第一項の規定による作業環境測定の適切かつ有効な実施を図るため必要な作業環境測定指針を公表するものとする。

④厚生労働大臣は、前項の作業環境測定指針を公表した場合において必要があると認めるときは、事業者若しくは作業環境測定機関又はこれらの団体に対し、当該作業環境測定指針に関し必要な指導等を行うことができる。

都道府県労働局長は、作業環境の改善により労働者の健康を保持する必要があると認めるときは、労働衛生指導医の意見に基づき、厚生労働省令で定めるところにより、事業者に対し、作業環境測定の実施その他必要な事項を指示することができる。

 

■作業環境測定の結果の評価等(法65条の2)

事業者は、前条第一項又は第五項の規定による作業環境測定の結果の評価に基づいて、

労働者の健康を保持するため必要があると認められるときは、施設又は設備の設置又は整備、健康診断の実施その他の適切な措置を講じなければならない。

②事業者は、前項の評価を行うに当たっては、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働大臣の定める作業環境評価基準に従って行わなければならない。

③事業者は、前項の規定による作業環境測定の結果の評価を行ったときは、その結果を記録しておかなければならない。(原則、3年間

 

 

■結果の記録

・通常…3年間

・放射性物質の濃度等…5年間

・粉じんの濃度…7年間

・特定化学物質のうちベリリウム及びその化合物等の濃度…30年間

・石綿の濃度…40年間

 

■作業の管理(法65条の3)

事業者は、労働者の健康に配慮して、労働者の従事する作業を適切に管理するように努めなければならない。

H16年…従事する作業、管理

H29年…健康

 

■作業時間の制限(法65条の4)

事業者は、潜水業務その他の健康障害を生ずるおそれのある業務で、厚生労働省令で定めるもの(高圧室内業務)に従事させる労働者については、厚生労働省令で定める作業時間についての基準に違反して、当該業務に従事させてはならない。

H23年…潜水業務

 

■平成16年 選択式

いわゆる過労自殺に関する最高裁判所のある判決によれば、「労働者が労働日に長時間にわたり業務に従事する状況が継続するなどして、疲労や心理的負荷等が過度に蓄積すると、労働者の心身の健康を損なう危険のあることは、周知のところである。労働基準法は、労働時間に関する制限を定め、労働安全衛生法65条の3は、作業の内容等を特に限定することなく、同法所定の事業者は労働者の健康に配慮して労働者【 D 】を適切に【 E 】するように努めるべき旨を定めているが、それは、右のような危険が発生するのを防止することをも目的とするものと解される。」と述べられている。

D:の従事する作業  E:管理

 

D:関連する選択肢候補

11)に対する人事権

13)の就業環境     

14)の従事する作業

15)の労働時間     

 

E:関連する選択肢候補

1)管理      

3)行使      

5)整備      

7)短縮      

 

■健康診断(法66条)

事業者は、労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による健康診断を行わなければならない。

②事業者は、有害な業務で、政令で定めるものに従事する労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による特別の項目についての健康診断を行なわなければならない。有害な業務で、政令で定めるものに従事させたことのある労働者で、現に使用しているものについても、同様とする。

③事業者は、有害な業務で、政令で定めるものに従事する労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、歯科医師による健康診断を行なわなければならない。

都道府県労働局長は、労働者の健康を保持するため必要があると認めるときは、労働衛生指導医の意見に基づき、事業者に対し、臨時の健康診断の実施その他必要な事項を指示することができる。

⑤労働者は、前各項の規定により事業者が行なう健康診断を受けなければならない。ただし、事業者の指定した医師又は歯科医師が行なう健康診断を受けることを希望しない場合において、他の医師又は歯科医師の行なうこれらの規定による健康診断に相当する健康診断を受け、その結果を証明する書面を事業者に提出したときは、この限りでない。

 

 

■雇入時の健康診断(則43条)

事業者は、常時使用する労働者を雇い入れるときは、当該労働者に対し、次の項目について医師による健康診断を行わなければならない。

ただし、医師による健康診断を受けた後、3月を経過しない者を雇い入れる場合において、その者が当該健康診断の結果を証明する書面を提出したときは、当該健康診断の項目に相当する項目については、この限りでない。

一 既往歴及び業務歴の調査

二 自覚症状及び他覚症状の有無の検査

三 身長、体重、腹囲、視力及び聴力(1,000ヘルツ及び4,000ヘルツの音に係る聴力をいう。)の検査

四 胸部エックス線検査

五 血圧の測定

六 血色素量及び赤血球数の検査(「貧血検査」)

七 血清グルタミックオキサロアセチックトランスアミナーゼ(GOT)、血清グルタミックピルビックトランスアミナーゼ(GPT)及びガンマ―グルタミルトランスペプチダーゼ(γ―GTP)の検査(「肝機能検査

八 低比重リポ蛋たん白コレステロール(LDLコレステロール)、高比重リポ蛋たん白コレステロール(HDLコレステロール)及び血清トリグリセライドの量の検査(「血中脂質検査」)

九 血糖検査

十 尿中の糖及び蛋たん白の有無の検査(次条第一項第十号において「尿検査」という。)

十一 心電図検査

 

■定期健康診断(則44条)

事業者は、常時使用する労働者(特定業務従事者の健康診断の対象者を除く。)に対し、1年以内ごとに1回、定期に、次の項目について医師による健康診断を行わなければならない。

 既往歴及び業務歴の調査

② 自覚症状及び他覚症状の有無の検査

③ 身長、体重、腹囲、視力及び聴力の検査

④ 胸部エックス線検査及び喀痰かくたん検査

⑤ 血圧の測定

⑥ 貧血検査

⑦ 肝機能検査

⑧ 血中脂質検査

⑨ 血糖検査

⑩ 尿検査

⑪ 心電図検査

 

2 第1項第③号、第④号、第⑥号から第⑨号まで及び第⑪号に掲げる項目については、厚生労働大臣が定める基準に基づき、医師が必要でないと認めるときは、省略することができる。

3 第1項の健康診断は、前条、第45条の2又は法第66条第2項前段の健康診断を受けた者(前条ただし書に規定する書面を提出した者を含む。)については、当該健康診断の実施の日から1年間に限り、その者が受けた当該健康診断の項目に相当する項目を省略して行うことができる。

4 第1項第3号に掲げる項目(聴力の検査に限る。)は、45歳未満の者(35歳及び40歳の者を除く。)については、同項の規定にかかわらず、医師が適当と認める聴力(1,000ヘルツ又は4,000ヘルツの音に係る聴力を除く。)の検査をもって代えることができる。

 

医師による省略

(1)省略不可⇒、②、⑤、⑩

(2)40歳未満の者35歳の者を除く)

③の内の腹囲、⑥、⑦、⑧、⑨、⑪

 

■短時間労働者の健康診断(平成31 基発0130

次の及び②のいずれの要件も満たす短時間労働者(パートタイム労働者等)は、常時使用する労働者に該当し、事業場の業種や規模にかかわらず、一般健康診断の対象となる。

 

期間の定めのない労働契約により使用される者又は期間の定めのある労働契約により使用される者については、1年以上使用されることが予定されている者(注1であること。

 

②週の労働時間が当該事業場において同種の業務に従事する通常の労働者の週所定労働時間の4分の3以上であること。(注2)

 

注1:特定業務従事者の場合は、6か月以上

注2:おおむね2分の1以上である者は、一般健康診断を行うことが望ましい。

  

■特定業務従事者の健康診断(則45条) 

事業者は、特定業務に常時従事する労働者に対し、当該業務への配置替えの際及び6月以内ごとに1回、定期に、医師による健康診断を行わなければならない。この場合において、一定の項目(注1)については、1年以内ごとに1回、定期に、行えば足りるものとする。

 

特定業務

多量の高熱物体を取り扱う業務及び著しく暑熱な場所における業務

②多量の低温物体を取り扱う業務及び著しく寒冷な場所における業務

③ラジウム放射線、エックス線その他の有害放射線にさらされる業務

④土石、獣毛等のじんあい又は粉末を著しく飛散する場所における業務

⑤異常気圧下における業務

⑥さく岩機、鋲びよう打機等の使用によって、身体に著しい振動を与える業務

⑦重量物の取扱い等重激な業務

⑧ボイラー製造等強烈な騒音を発する場所における業務

坑内における業務

深夜業を含む業務

⑪水銀、砒ひ素、黄りん、弗ふつ化水素酸、塩酸、硝酸、硫酸、青酸、か性アルカリ、

石炭酸その他これらに準ずる有害物を取り扱う業務

⑫鉛、水銀、クロム、砒ひ素、黄りん、弗ふつ化水素、塩素、塩酸、硝酸、亜硫酸、硫酸、一酸化炭素、二硫化炭素、青酸、ベンゼン、アニリンその他これらに準ずる有害物のガス、蒸気又は粉じんを発散する場所における業務

⑬病原体によって汚染のおそれが著しい業務

⑭その他厚生労働大臣が定める業務

 

(注1)一定の項目⇒1年以内ごとに1回、定期

胸部エックス線検査及び喀痰検査

 

■海外派遣労働者の健康診断(規則45条の2)

事業者は、労働者を本邦外の地域に6月以上派遣しようとするときは、あらかじめ、当該労働者に対し、定期健康診断に掲げる項目及び厚生労働大臣が定める項目のうち医師が必要であると認める項目について、医師による健康診断を行わなければならない。

 

②事業者は、本邦外の地域に6月以上派遣した労働者を本邦の地域内における業務に就かせるとき(一時的に就かせるときを除く。)は、当該労働者に対し、一定の項目及び厚生労働大臣が定める項目のうち医師が必要であると認める項目について、医師による健康診断を行わなければならない。

 

③第1項の健康診断は、雇入れ時の健康診断、定期健康診断、特定業務従事者の健康診断、特殊健康診断を受けた者については、当該健康診断の実施の日から6月間に限り、その者が受けた当該健康診断の項目に相当する項目を省略して行うことができる。

 

給食従業員の検便(法66条1項)

事業者は、労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による健康診断(法66条の10に規定する検査を除く。)を行わなければならない。

 

■心理的な負担の程度を把握するための検査等(法66条の10

事業者は、労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師、保健師その他の厚生労働省令で定める者による心理的な負担の程度を把握するための検査を行わなければならない。

 

■給食従業員の検便(則47条)

事業者は、事業に附属する食堂又は炊事場における給食の業務に従事する労働者に対し、その雇入れの際又は当該業務への配置替えの際検便による健康診断行なわなければならない。

 

■特殊健康診断(法66条2項)

事業者は、有害な業務で、政令で定めるものに常時従事する労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による特別の項目についての健康診断を行なわなければならない。有害な業務で、政令で定めるものに従事させたことのある労働者で、現に使用しているものについても、同様とする。

 

■有害な業務

高圧室内業務

潜水業務

・放射線業務

・塩化ビニル等特定化学物質

・石綿等を取り扱う業務

・四アルキル鉛 等

 

■特殊健康診断の時期

雇い入れの際

配置換えの際

・定期(6か月以内ごとに1回

 

■歯科医師による診断(法66条3項)

事業者は、有害な業務で、政令で定めるものに従事する労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、歯科医師による健康診断を行なわなければならない。

 

■健康診断を行うべき有害な業務(令22条3項)

66条第3項の政令で定める有害な業務は、塩酸硝酸硫酸、亜硫酸、弗ふつ化水素、黄りんその他歯又はその支持組織に有害な物のガス、蒸気又は粉じんを発散する場所における業務とする。

 

■歯科医師による健康診断(則48条)

事業者は、令第22条第3項の業務に常時従事する労働者に対し、その雇入れの際、当該業務への配置替えの際及び当該業務についた後6月以内ごとに一回、定期に、歯科医師による健康診断を行なわなければならない。