健康保険法

【出産手当金】 (法102条)

【問題】被保険者(任意継続被保険者を除く。)が出産したときは、出産の日(出産の日が出産の予定日後であるときは、出産の予定日)以前42日(多胎妊娠の場合においては、98日)から出産の日後56日までの間において労務に服さなかった期間、出産手当金として、一日につき標準報酬日額の3分の2に相当する金額が支給される。
(平成24年 問7A)
【解答】○
【解説】(法102条)
■設問のとおり正しい。


【問題】出産手当金の額は、1日につき、標準報酬日額と標準賞与日額とを合算した額の3分の2に相当する金額である。
(平成15年 問7D)
【解答】×
【解説】(法102条)
■出産手当金⇒1日につき、標準報酬日額の3分の2に相当する金額。 


【問題】継続して1年以上の被保険者期間がある者が、平成19年2月1日に資格喪失して任意継続被保険者となり、平成19年6月1日に出産(多胎妊娠による出産ではない)したときは、出産手当金が支給される。
(平成19年 問5B)
【解答】×
【解説】(法102条、法106条、法附則10条)
■任意継続被保険者が出産した場合⇒出産手当金は支給されない。
■1年以上被保険者であった者が被保険者の資格を喪失した日後6か月以内に出産したとき出産育児一時金を最後の保険者から受けることが可能
(法改正により、平成19年4月1日から出産手当金は不支給で、出産育児一時金のみに)


【問題】被保険者が事業主から介護休業手当の支払いを受けながら介護休業を取得している期間中に出産した場合、出産手当金が支給されるが、その支給額については介護休業手当との調整が行われる。
(平成19年 問5E)
【解答】○
【解説】(法102条、法108条、平成11年3月31日保険発第46号・庁保険発第9号)
■傷病手当金及び出産手当金の支給要件に該当すると認められる者について、その者が介護休業期間中であっても傷病手当金又は出産手当金が支給される。
■ただし、傷病手当金又は出産手当金が支給される場合⇒同一期間内に事業主から介護休業手当等で報酬と認められるものが支給されているときは、傷病手当金又は出産手当金の支給額について支給調整が行われる。 


【問題】被保険者が出産予定日の42日前から出産休暇をとったところ、予定日より5日遅れて出産した場合、出産日以前の出産手当金の支給日数は47日となり、また、5日の超過日数が出産日後の56日から差し引かれることはない。
(平成18年 問4C)
【解答】○
【解説】(法102条)
■出産の日が出産の予定日より後の場合⇒出産の予定日から出産の日までの期間について出産手当金が支給される。

■平成18年改正により、被保険者から任意継続被保険者は除かれた。(法99条1項)


【問題】妊娠4カ月を過ぎてから、業務上の事故により流産した場合、健康保険から出産育児一時金が支給される。
(平成17年 問5A)
【解答】○
【解説】(法102条、昭和3年3月16日保発第11号)
■出産の給付を行う場合の「出産」とは⇒妊娠85日(4月)以上の分娩。
■妊娠85日以上の分娩であれば、生産、死産、流産(人工流産を含む)、早産を問わずに支給対象。
■出産の原因が業務上の事故に関連していて、その業務災害について労災保険法の療養補償を受けた場合でも出産に関する給付は健康保険から支給される


【出産手当金と傷病手当金との調整】 (法103条)

【問題】傷病手当金の受給中に出産手当金が支払われるときは、傷病手当金の支給が優先され、その期間中は出産手当金の支給は停止される。
(平成24年 問3A)
【解答】×
【解説】(法103条1項)
出産手当金の支給が優先される。
■その期間中は傷病手当金の支給は停止。


【問題】傷病手当金の受給中に出産手当金が支払われるときは、出産手当金の支給の方が優先され、その期間中は傷病手当金の支給が停止される。もし出産手当金を支給すべきときに傷病手当金が支給された場合は、出産手当金の内払いとみなされる。
(平成13年 問6C)
【解答】○
【解説】(法103条)
■設問のとおり出産手当金が優先される。


【問題】被保険者が出産手当金を受給している期間中に、けがをして傷病手当金を受給するような状態になり、傷病手当金が支給された場合、その傷病手当金は保険者に納入告知書に基づき現金で返還しなければならない。
(平成19年 問5A)
【解答】×
【解説】(法103条2項)
■出産手当金が支給される場合⇒その期間について傷病手当金は支給されない。
■出産手当金を支給すべき場合において傷病手当金が支払われたとき⇒その支払われた傷病手当金は、出産手当金の内払として処理。

 


【傷病手当金と出産手当金の継続給付】 (法104条)

【問題】被保険者の資格喪失後に傷病手当金を受けるには、資格を喪失した日の前日まで継続して6ヶ月以上被保険者の資格を有していたことが必要である。
(平成14年 問7C)
【解答】×
【解説】(法104条)
■資格喪失後の傷病手当金を受けるためには、被保険者の資格を喪失した日(任意継続被保険者の資格を喪失した者にあっては、その資格を取得した日)の前日まで引き続き1年以上被保険者(任意継続被保険者又は共済組合の組合員である被保険者を除く。)であることが要件のので誤り。


【問題】一般の被保険者の資格を喪失した日の前日まで引き続き1年以上被保険者であった者が特例退職被保険者となり、かつ、一般の被保険者資格を喪失した際に傷病手当金を受けている場合は、当該傷病手当金の継続給付を受けることができる。
(平成20年 問4D)
【解答】×
【解説】(法附則3条5項)
■傷病手当金の継続給付の要件を満たした場合⇒特例退職被保険者には、傷病手当金は支給されない
■傷病手当金の継続給付の要件を満たした任意継続被保険者の場合⇒傷病手当金の継続給付を受けることは可能。


【問題】継続して1年以上被保険者(任意継続被保険者、特例退職被保険者及び共済組合の組合員である被保険者を除く。)であった者であって、被保険者の資格を喪失した際に傷病手当金の支給を受けている者は、被保険者として受けることができるはずであった期間、継続して同一の保険者から傷病手当金を受けることができる。ただし、資格喪失後に任意継続被保険者になった場合は、その傷病手当金を受けることはできない。
(平成23年 問2C)
【解答】×
【解説】(法104条)
■傷病手当金の支給を受けていた被保険者が、資格喪失後に任意継続被保険者となった場合

⇒要件を満たしていれば、傷病手当金の継続給付を受けることが可能。
■資格喪失後の傷病手当金の継続給付の要件を満たしている者であっても特例退職被保険者の場合⇒傷病手当金の継続給付を受けることはできない。


【問題】資格喪失時に療養の給付を受けていた者が、資格喪失後に初めて労務不能の状態になったときは、傷病手当金が支給されない。
(平成14年 問7D)
【解答】○
【解説】(法104条)
■資格喪失後の傷病手当金を受給要件⇒

資格喪失の際に現に傷病手当金を受給中

受給権はあるが、事業主から報酬を受けているために支給を停止されている状態
■設問のように「資格喪失後に初めて労務不能になった場合」は、資格喪失後の傷病手当金は支給されない。


【問題】一定の要件を満たした者が、被保険者の資格を喪失した際に傷病手当金の支給を受けている場合、被保険者として受けることができるはずであった期間、継続して同一の保険者から傷病手当金を受給することができるが、退職日まで有給扱いで全額賃金が支給されていても、資格喪失後の傷病手当金は受給することができる。
(平成24年 問1A)
【解答】○
【解説】(法104条)
■設問のとおり正しい。


【問題】被保険者の資格を喪失した日の前日まで引き続き1年以上被保険者であった者であって、その資格を喪失した日の前日において報酬を受けることができたために傷病手当金の支給が停止されていたものの、その資格を喪失した日において報酬を受けることができなくなったものは、傷病手当金の継続給付を受けることができる。
(平成15年 問8A)
【解答】○
【解説】(法104条、昭和27年6月12日保文発第3367号)

■設問のとおり正しい。


【問題】被保険者の資格を喪失した日の前日まで引き続き1年以上被保険者であった者が、療養のため労務に服していなかったが、在職中は報酬を受けていたため傷病手当金の支給を停止されていた場合、退職して報酬の支払いがなくなったときは、傷病手当金の支給を受けることができる。
(平成21年 問8D)
【解答】○
【解説】(法104条、昭和27年6月12日保文発3367号)
■報酬の全部又は一部を受けることができる者に対して、これを受けることができる期間は、傷病手当金又は出産手当金を支給されない。

■ただし、その者が資格を喪失し事業主より報酬を受けなくなれば、その日より傷病手当金は支給される。 


【資格喪失後の死亡に関する給付】 (法105条)

【問題】被保険者の資格を喪失した後の傷病手当金の継続給付を受けていた者がその給付を受けなくなった日後3月以内に死亡したときは、埋葬料が支給される。
(平成15年 問8B)
【解答】○
【解説】(法105条1項)
■資格喪失後の給付

・資格喪失後の傷病手当金又は出産手当金を受けている者が死亡したとき

・資格喪失後の傷病手当金又は出産手当金を受けなくなった日後3月以内に死亡したとき

・その他の被保険者であった者が被保険者の資格を喪失した日後3月以内に死亡したとき

⇒埋葬料等が支給される。


【問題】被保険者の資格を喪失した後に出産手当金の継続給付を受けていた者がその給付を受けなくなった日後6か月以内に死亡したとき、被保険者であった者により生計を維持していた者であって、埋葬を行うものは、その被保険者の最後の保険者から埋葬料として5万円が支給される。
(平成22年 問3B)
【解答】×
【解説】(法105条1項)
 ■資格喪失後の給付

・傷病手当金又は出産手当金の継続給付を受ける者が死亡したとき

・傷病手当金又は出産手当金の継続給付を受けていた者がその給付を受けなくなった日後3月以内に死亡したとき

・その他の被保険者であった者が被保険者の資格を喪失した日後3月以内に死亡したとき

⇒被保険者であった者により生計を維持していた者であって、埋葬を行うものは、その被保険者の最後の保険者から埋葬料の支給を受けることが可能。


【問題】被保険者の資格を喪失した後も傷病手当金の継続支給を受けていた者が、その給付を受けなくなった日後3カ月以内に死亡した場合には、埋葬料が支給される。
(平成17年 問6B)
【解答】○
【解説】(法105条1項)
■設問のとおり正しい。
■資格喪失後の給付
・資格喪失後の傷病手当金又は出産手当金を受けている者が死亡したとき
・資格喪失後の傷病手当金又は出産手当金を受けなくなった日後3月以内に死亡したとき
・その他の被保険者であった者が被保険者の資格を喪失した日後3月以内に死亡したとき
⇒埋葬料等が支給される。


【問題】被保険者であった者が被保険者の資格を喪失した日後6カ月以内に死亡したときは、被保険者であった者により生計を維持していた者であって、埋葬を行うものは、その被保険者の最後の保険者から埋葬料の支給を受けることができる。
(平成24年 問1A)
【解答】×
【解説】(法105条)
■「6カ月以内」⇒「3カ月以内」にすれば正しい。


【資格喪失後の出産育児一時金の給付】 (法106条)

【問題】被保険者の資格を喪失した日の前日まで引き続き1年以上被保険者であった者の被扶養者である配偶者が被保険者の資格を喪失した日後6月以内に出産したときは、家族出産育児一時金として、被保険者に対し、35万円が支給される。
(平成15年 問8C)
【解答】×
【解説】(法106条)
■上記の要件に該当しても、家族出産育児一時金は支給されない。
■家族埋葬料についても同様。


【問題】被保険者資格が喪失日(任意継続被保険者の資格を取得した者にあっては、その資格を取得した日)の前日までの間引き続き1年以上であった者が、被保険者の資格喪失後6カ月以内に出産したときは、被保険者として受けることができるはずであった期間、継続して同一の保険者から出産手当金を受けることができる。

(平成24年 問9E)

【解答】×

【解説】(法106条)

■設問の場合、出産育児一時金は支給されるが、出産手当金は支給されない。

 


【問題】被保険者の資格を喪失した日の前日まで1年以上被保険者であった者が、資格喪失後6ヶ月以内に分べんしたときは、出産育児一時金及び出産手当金を受けることができる。
(平成13年 問6B)
【解答】×
【解説】(法106条)
■「1年以上被保険者」⇒「引き続き1年以上被保険者」にすれば正しい。


【問題】1年以上被保険者であった者が資格喪失後6月以内に出産し、夫の被扶養者となっている場合、出産育児一時金を受給するか、家族出産育児一時金を受給するかは、請求者が選択することができる。
(平成18年 問4A)
【解答】○
【解説】(法106条、法114条、)
 ■資格喪失後6か月以内に分娩した者が健康保険の被扶養者になっている場合

⇒①被保険者本人としての出産育児一時金を受給する

⇒②被扶養者としての家族出産育児一時金を受給する

上記①②は、請求者の選択にまかされている。


【問題】被保険者の資格を喪失した日の前日までに引き続き1年以上被保険者であった者が被保険者の資格を喪失した後8か月以内に出産したときは、被保険者として受けることができるはずであった出産育児一時金の支給を最後の保険者から受けることができる。
(平成21年 問3C)
【解答】×
【解説】(法106条)
■1年以上被保険者であった者が被保険者の資格を喪失した日後6月以内に出産した場合

⇒被保険者として受けることができるはずであった出産育児一時金の支給を最後の保険者から受けることが可能。


【船員保険の被保険者となった場合】 (法107条)

【問題】被保険者の資格を喪失した後の出産手当金の継続給付を受けていた者が船員保険の被保険者となったときは、その給付が行われなくなる。
(平成15年 問8D)
【解答】○
【解説】(法107条)

■設問のとおり正しい。
■資格喪失後船員保険の被保険者になった者⇒船員保険より同様の給付を受けることができるため。


【問題】被保険者の資格喪失後に出産手当金の支給を受けていた者が船員保険の被保険者になったときは、出産手当金の支給は行われなくなる。
(平成21年 問8E)
【解答】○
【解説】(法107条)

■設問のとおり正しい。
■傷病手当金又は出産手当金の継続給付、資格喪失後の死亡に関する給付、資格喪失後の出産育児一時金の給付⇒被保険者であった者が船員保険の被保険者となったときは行われない。


【傷病手当金との支給調整】 (法108条、109条)

【問題】適用事業所に使用される常勤職員であって傷病手当金の支給を受けることができる者が、老齢基礎年金と老齢厚生年金の支給を受けることができるときは、老齢基礎年金と老齢厚生年金の合算額を360で除して得た額が、傷病手当金の日額より少ないときは、その差額が傷病手当金として支給される。
(平成17年 問6C)
【解答】×
【解説】(法108条4項)
■老齢基礎年金と老齢厚生年金が調整されるのは、資格喪失後の傷病手当金の継続給付を受ける者に限られているので誤り。


【問題】任意継続被保険者又は資格喪失後傷病手当金を受けている者が、老齢厚生年金等を受けることができるときは、傷病手当金は支給されない。ただし、老齢厚生年金等の額が傷病手当金の額を下回る場合は、差額が支給される。
(平成13年 問9C)
【解答】○
【解説】(法108条4項)
■支給されている老齢退職年金給付の額を360で除して得た額(1円未満は切り捨て)と傷病手当金の日額を比較して、傷病手当金の日額が老齢退職年金給付の日額より多い場合

⇒その差額を傷病手当金として支給。


【問題】出産手当金について、出産した場合において報酬の全部又は一部を受けることができる者に対しては、これを受けることができる期間は、出産手当金を支給しない。ただし、その受けることができる報酬の額が、出産手当金の額より少ないときは、その差額を支給する。
(平成23年 問3C)
【解答】○
【解説】(法108条1項)
■設問のとおり正しい。

■傷病手当金も同様の考え方。


【問題】報酬との調整規定により減額された傷病手当金を受給している期間中に、同一傷病に関して障害厚生年金が支給されるようになったときは、「減額しない本来の傷病手当金の額」と「障害厚生年金と障害基礎年金との日額の合計額」との差額が支給される。
(平成18年 問4D)
【解答】×
【解説】(法108条1項・2項)
■報酬との調整規定により減額された傷病手当金を受給している期間中に、同一傷病に関して障害厚生年金が支給される場合

「傷病手当金の日額と障害厚生年金及び障害基礎年金の日額」

「傷病手当金の日額と報酬額」のそれぞれの差額を計算し、それぞれの差額のうちいずれか少ない方の額が傷病手当金として支給される。


【問題】育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律に規定する介護休業期間中について、介護休業手当など、報酬と認められる諸手当を受給しながら介護休業を取得しているときに病気をした場合は、傷病手当金は支給されない。
(平成17年 問6D)
【解答】×
【解説】(法108条1項、平成11年3月31日保険発第46号・庁保険発第9号)
■傷病手当金及び出産手当金の支給要件に該当すると認められる者⇒その者が介護休業期間中であっても傷病手当金又は出産手当金が支給されるので誤り。

 


【問題】傷病手当金の支給を受けるべき者が、同一の傷病により障害厚生年金の支給を受けることができるときは、傷病手当金が優先して支給される。ただし、その障害厚生年金の額(当該障害厚生年金と同一の支給事由により障害基礎年金の支給を受けることができるときは、当該障害厚生年金額と当該障害基礎年金額との合算額)を360で除して得た額が、傷病手当金の額より多いときは、その差額を支給する。
(平成23年 問9B)
【解答】×
【解説】(法108条2項、則89条1項)
■「傷病手当金が優先して支給される」の箇所が誤り。

■(原則)傷病手当金の支給事由となっている疾病や負傷に関して障害厚生年金等が受給できる場合⇒傷病手当金は支給されない。

(例外)障害厚生年金の額(当該障害厚生年金と同一の支給事由に基づき障害基礎年金の支給を受けることができるときは、当該障害厚生年金の額と当該障害基礎年金の額との合算額)を360で除して得た額(その額に1円未満の端数があるときは、その端数を切り捨てた額)が傷病手当金の額より少ない場合⇒差額が支給される。


【問題】被保険者資格を喪失後に傷病手当金の継続給付を受給している者が、老齢又は退職を支給事由とする年金である給付であって政令で定めるもの(以下「老齢退職年金給付」という。)の支給を受けることができるとき、老齢退職年金給付は支給されない。
(平成23年 問2D)
【解答】×
【解説】(法108条4項)
■老齢退職年金給付は支給されない。」⇒「傷病手当金は支給されない。」にすれば正しい。

■資格喪失後の傷病手当金の継続給付と老齢退職年金給付との調整

⇒傷病手当金・・・不支給

⇒老齢退職年金・・・支給

■傷病手当金>老齢退職年金/360の場合

⇒差額が支給