労務管理その他の労働に関する一般常識

雇用対策法

【目的】 (法1条1項)

(法1条)

①雇用対策法は が、少子高齢化による人口構造の変化等の経済社会情勢の変化に対応して、雇用に関し、その政策全般にわたり、必要な施策を総合的に講ずることにより、労働市場の機能が適切に発揮され、労働力の需給が質量両面にわたり均衡することを促進して、労働者がその有する能力を有効に発揮することができるようにし、これを通じて、労働者の職業の安定経済的社会的地位の向上とを図るとともに、経済及び社会の発展並びに完全雇用の達成に資することを目的とする。

 

② この法律の運用に当たっては、労働者の職業選択の自由及び事業主の雇用の管理についての自主性を尊重しなければならず、また、職業能力の開発及び向上を図り、職業を通じて自立しようとする労働者の意欲を高め、かつ、労働者の職業を安定させるための事業主の努力を助長するように努めなければならない。

【基本的理念】 (法3条)

(法3条)基本的理念
労働者は、その職業生活の設計が適切に行われ、並びにその設計に即した能力の開発及び向上並びに転職に当たつての円滑な再就職の促進その他の措置が効果的に実施されることにより、職業生活の全期間を通じて、その職業の安定が図られるように配慮されるものとする。
【国の責務】
基本的理念にしたがって、所定の事項(女性の就業促進、青少年の雇用促進、障害者の自立、外国人の就業促進)について、
必要な施策を総合的に講じなければならない。
【事業主の責務】
①事業規模の縮小等に伴い離職を余儀なくされる労働者について、再就職の援助を行うことにより、その職業の安定を図るように努めなければならない
②青少年の有する能力を正当に評価するための募集及び採用の方法の改善等を講ずることにより、その雇用機会の確保等が図られるように努めなければならない
③雇用する外国人がその有する能力を有効に発揮できるよう、職業に適用することを容易にするための措置の実施等に努めるとともに、外国人が解雇(自己の責めに帰すべき理由を除く)等により離職する場合に再就職を希望するときは、求人の開拓等、再就職の援助に関して必要な措置を講ずるように努めなければならない

【募集及び採用における年齢にかかわりない均等な機会の確保】 (法10条)

(法10条) 

 事業主は、労働者の募集及び採用について、その年齢にかかわりなく均等な機会を与えなければならない。
ただし、一定の場合には年齢制限を設けることができる。

【再就職援助計画】 (法24条1項)

(法24条1項)

事業主は、経済的事情による事業規模の縮小等であって、一の事業所において、1か月の期間内に常用雇用する労働者30人以上離職する場合は、最初の離職者の生ずる日の1か月前までに

再就職援助計画を作成しなければならない。

●事業主は、再就職援助計画の作成・変更に当たり、過半数労働組合(過半数労働組合がない場合は、過半数労働者の代表)の意見を聴かなければならない。
●事業主は、再就職援助計画を作成・変更した時は、遅滞なく、所轄公共職業安定所長に提出し、その認定を受けなければならない。
この認定の申請をした事業主は、『大量の雇用変動届』をしたものとみなす。

【大量の雇用変動の届出等】 (法27条1項)

(法27条) 

 事業主は、その事業所における雇用量の変動(事業規模の縮小その他の理由により一定期間内に相当数の離職者が発生することをいう。)であって、厚生労働省令で定める場合に該当するもの(「大量雇用変動」という。)については、少なくとも1か月前大量離職届により、所轄公共職業安定所長に届け出なければならない。

●大量雇用変動とは⇒事業規模の縮小等により、1か月以内の期間に常用雇用する労働者が30人以上離職すること
(自己都合、自己の責めに帰すべき理由によらない場合に限る。)
●大量雇用変動に係る離職の全部が同一の日に生じない時
⇒最後の離職が生じる日

【外国人雇用状況の届出等】 (法28条1項)

(法28条1項)

事業主は、新たに外国人を雇い入れたとき又はその雇用する外国人が離職した時

は下記の区分に応じて所定の事項を厚生労働大臣に届けなければならない。

【届け出期間】
①雇用保険の被保険者⇒
(雇入れ)雇入れの事実のあった日の属する月の翌月10日まで
(離職)資格喪失の事実のあった日の翌日から起算して10日以内
②①以外⇒雇入れ日又は離職日の属する月の翌月末日まで

職業安定法

【目的】 (法1条)

(法1条)目的

 この法律は、雇用対策法と相まって、公共に奉仕する公共職業安定所その他の職業安定機関が関係行政庁又は関係団体の協力を得て職業紹介事業等を行うこと、職業安定機関以外の者の行う職業紹介事業等が労働力の需要供給の適正かつ円滑な調整に果たすへき役割にかんがみその適正な運営を確保すること等により、各人にその有する能力に適合する職業に就く機会を与え、及び産業に必要な労働力を充足し、もつて職業の安定を図るとともに、経済及び社会の発展に寄与することを目的とする。

【職業選択の自由】 (法2条)

(法2条)職業選択の自由

 何人も、公共の福祉に反しない限り、職業を自由に選択することができる。


(法3条)均等待遇

 何人も、人種、国籍、信条、性別、社会的身分、門地、従前の職業、労働組合の組合員であること等を理由として、職業紹介、職業指導等について、差別的取扱を受けることがない。但し、労働組合法の規定によつて、雇用主と労働組合との間に締結された労働協約に別段の定のある場合は、この限りではない。

【定義】

「職業紹介」:求人及び求職の申込みを受け、求人者と求職者との間における雇用関係の成立をあっせんすることをいう。
 

「無料の職業紹介」:職業紹介に関し、いかなる名義でも、その手数料又は報酬を受けないで行う職業紹介をいう。

 

「有料の職業紹介」:無料の職業紹介以外の職業紹介をいう。

 

「職業指導」:職業に就こうとする者に対し、実習、講習、指示、助言、情報の提供その他の方法により、その者の能力に適合する職業の選択を容易にさせ、及びその職業に対する適応性を増大させるために行う指導をいう。

 

「労働者の募集」:労働者を雇用しようとする者が、自ら又は他人に委託して、労働者となろうとする者に対し、その被用者となることを勧誘することをいう。

 

「労働者供給」:供給契約に基づいて労働者を他人の指揮命令を受けて労働に従事させることをいい、労働者派遣法に該当するものを含まないものとする。

 

「職業紹介事業者」:厚生労働大臣の許可を受けて、又は厚生労働大臣に届出をして職業紹介事業を行う者をいう。
 
「労働者供給事業者」:労働者供給事業を行う労働組合等(労働組合法による労働組合その他これに準ずるものであって厚生労働省令で定めるものをいう。
 
「個人情報」:個人に関する情報であって、特定の個人を識別することができるものをいう。

【労働条件の明示】 (法5条3)

(法5条3)

①公共職業安定所等(注①)は、それぞれ、職業紹介、労働者の募集又は労働者供給に当たり、求職者、募集に応じて労働者になろうとする者又は供給される労働者に対し、その者が従事すべき業務の内容及び賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない

 ②求人者は求人の申込みに当たり公共職業安定所又は職業紹介事業者に対し、労働者供給を受けようとする者はあらかじめ労働者供給事業者に対し、それぞれ、求職者又は供給される労働者が従事すべき業務の内容及び賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。

【個人情報の取り扱い】 (法5条4)

(法5条の4)  

公共職業安定所等は、求職者等の個人情報を収集し、保管し、又は使用するに当たり、その業務の目的の達成に必要な範囲内で求職者等の個人情報を収集し、並びに当該収集の目的の範囲内でこれを保管し、及び使用しなければならない。
ただし、本人の同意がある場合その他正当な事由がある場合は、この限りでない。

【求人・求職の申し込み】 (法5条5、6)

公共職業安定所及び職業紹介事業者は、求人の申込み及び求職の申し込みに関して

(原則)すべて受理しなければならない。

(例外)申し込み内容が法令に違反するときは、受理しないことができる。

【労働争議に対する不介入】 (法20条1項)

【学生生徒等の職業紹介】 (法26条1)

【有料職業紹介事業及び無料職業紹介事業】 (法30条1、33条1)

種類 要件 有効期間
有料職業紹介事業

職業紹介を行おうとする者は、

厚生労働大臣の許可を受けなければならない。

3年(更新:5年
無料職業紹介事業者 5年(更新:5年)
●有料職業紹介事業の許可の際は⇒あらかじめ、労働政策審議会の意見を聴かなければならない。

【特定の団体が行う無料職業紹介事業】 (法33条2)

【委託募集】 (法4条、36条)

【労働者供給事業の禁止】 (法44条、45条)

(原則)何人も、労働者供給事業を行い、又はその労働者供給事業を行う門簿から供給される労働者を自らの指揮命令の下に労働させてはならない。

(例外)労働組合等が、厚生労働大臣の許可(有効期間:5年)を受けた場合は、無料の労働者供給事業を行うことができる。

労働者派遣法

【目的】 (法1条)

【用語の定義】 (法2条)

【派遣業務禁止】

【派遣業務禁止】

①港湾運送業務

②建設業務

③警備業務

④医療関係業務

(病院等、助産所、介護老人保健施設等において行われるもの限定)

【一般労働者派遣事業及び特定労働者派遣事業】

【労働者派遣事業の適正な運営の確保に関する措置】

【派遣労働者であることの明示等】 (法32条)

【雇用制限の禁止】 (法33)

【労働者派遣の期間】 (法35条2)

【派遣元責任者及び派遣先責任者の選任】 (法36条)

●派遣元事業主は、自己の雇用する労働者の中から専属の派遣元(派遣先)責任者を選任しなければならない。(注①)

派遣労働者数 100人以下 100人超え200人以下 200人超え
責任者の選任数(注②) 1人以上 2人以上

100人を超える100人ごとに

1人を2人に加えた数以上

●(注①)派遣労働者数+派遣先が雇用する労働者数が5人を超えない時⇒派遣先責任者は不要
●(注②)製造業務に係る労働者派遣⇒「製造業務専門派遣元(派遣先)責任者」の規定あり。

【派遣元管理台帳・派遣先管理台帳】 (法37条)

●派遣先事業主は、派遣元管理台帳を作成し、派遣労働者ごとに所定の事項を記載しなければならない。

保存期間:3年

【労働者派遣契約】 (法26条2)

【派遣可能期間】 (法40条2)

【派遣労働者の雇用に関する措置】 (法40条3)

【公表等】 (法49条2)

高年齢者雇用安定法

【目的】 (法1条)

【定年を定める場合の措置】 (法8条)

【高年齢者雇用確保措置】 (法9条)

【再就職援助措置】 (法15条)

●事業主は、高年齢者等が解雇等により離職する場合

⇒高年齢者等が再就職を希望する時は、再就職援助措置を講ずるように努めなければならない

対象者

45歳以上65歳未満の常用労働者
再就職援助措置 求人の開拓その他高年齢者等の再就職の援助に関し必要な措置

【多数離職の届出】 (法16条)

【募集及び採用についての理由の提示等】 (法18条2)

【中高年齢失業者等求職手帳の発給】 (法20条)

【シルバー人材センター】 (法41条)

障害者雇用促進法

【目的】 (法1条)

【身体障害者又は知的障害者の雇用に関する事業主の責務】 (法37条)

【一般事業主の雇用義務】 (法43条)

【子会社に雇用される労働者に関する特例】 (法44条1)

【一般事業主の身体障害者又は知的障害者の雇入れに関する計画】 (法46条1)

【納付金関係】 (法49条)

男女雇用機会均等法

【目的】 (法1条)

【性別を理由とする差別の禁止】 (法5条6条)

【性別以外の事由を要件とする措置】 (法7条)

【女性労働者に係る措置に関する特例】 (法8条)

【婚姻、妊娠、出産等を理由とする不利益取り扱いの禁止】 (法9条)

【職場における性的な言動に起因する問題に関する雇用管理上の措置】 (法11条)

【妊娠中及び出産後の健康管理に関する措置】 (法12条、13条)

【紛争の解決》 (法15条)

【公表など】 (法29条)

(29条1項)

①厚生労働大臣は、男女雇用機会均等法の施行に関し、必要があると認めるときは、事業主に対して、報告を求め又は助言、指導もしくは勧告をすることができる。

②厚生労働大臣は、法令に違反している事業主に対して、勧告をした場合において、その勧告を受けた者がこれに従わなかったときは

⇒公表することができる。

●報告をせず、又は虚偽の報告をした者⇒20万円以下の過料に処せられる。

育児・介護休業法

【目的】 (法1条)

【定義】 (法2条)

【育児休業の申出】 (法5条)

【労使協定による育児休業申出の拒否】 (法6条)

【介護休業の申出】 (法11条)

【労使協定による介護休業申出の拒否】 (法12条)

【子の看護休暇】 (法16条2)

【介護休業】

【所定外労働の制限等】 (法16条8)

【時間外労働・深夜労働の制限】 (法17条)

【所定労働時間の短縮措置等】 

【労働者の配置に関する配慮】 (法26条)

【再雇用特例措置等】 (法27条)

【不利益取扱いの禁止】 (法10条)

【紛争の解決】 (法52条2)

【公表等】 (法56条)

パートタイム労働法

【目的】 (法1条)

【事業主の責務】 (法3条)

【労働条件に関する文書の交付等】 (法6)

【就業規則の作成の手続】 (法7条)

【通常の労働者と同視すべき短時間労働者に対する差別的取扱いの禁止】 (法8条)

【事業主が講ずべき賃金、教育訓練及び福利厚生施設の関する措置】

【通常の労働者への転換】 (法12条)

【待遇の決定に当たって考慮した事項の説明】 (法13条)

【指針】 (法14条)

【短時間雇用管理者】 (法15条1)

【紛争の解決】 (法19条)

次世代育成支援対策推進法

【目的】 (法1条)

【基本理念】 (法3条)

【責務】 (法4条〰6条)

【一般事業主行動計画の策定】 (法12条)

【一般事業主行動計画の公表】 (法12条3)

【一般事業主行動計画の周知】 (法12条2)

【勧告】 (法12条6)

●一般事業主であって、常時雇用する労働者の数が300人を超える者が

①一般事業主行動計画の届出をしないとき

②一般事業主行動計画の公表をしないとき

③一般事業主行動を労働者に周知させるための措置を講じないとき

⇒厚生労働大臣は、相当の期間を定めて勧告することができる

【基準に適合する一般事業主認定】 (法13条)

最低賃金法

【目的】 (法1条)

【最低賃金額】 (法3条)

【地域別最低賃金の原則】 (法10)

【地域別最低賃金の決定及び改正等】 (法10条)

【特定最低賃金】 (法15条)

賃金の支払の確保等に関する法律

【目的】

(法1条)この法律は、景気の変動産業構造の変化その他の事情により企業経営が安定を欠くに至った場合及び労働者が事業を退職する場合における賃金の支払等の適正化を図るため、貯蓄金の保全措置及び事業活動に著しい支障を生じたことにより賃金の支払を受けることが困難となった労働者に対する保護措置その他賃金の支払の確保に関する措置を講じ、もって労働者の生活の安定に資することを目的とする。

【保全措置】

(法3条)事業主(国及び地方公共団体を除く。以下同じ。)は、労働者の貯蓄金をその委託

を受けて管理する場合において、貯蓄金の管理が労働者の預金の受入れであるときは、

毎年3月31日における受入預金額について、同日後1年間を通ずる貯蓄金の

保全措置を講じなければならない(義務)

退

職手当

(法5条) 事業主は、労働契約又は労働協約、就業規則その他これらに準ずるものにおいて労働者に退職手当を支払うことを明らかにしたときは、当該退職手当の支払に充てるべき額として貯蓄金の保全措置に準ずる措置を講ずるように努めなければならない(努力義務)

【未払賃金の立替払】(法7条)

法7条) 政府は、1年以上の期間に渡り、労働者災害補償保険の適用事業に該当する事業の事業主が破産手続開始の決定等を受け、従事する労働者に一定の期間内に退職した者に係る未払賃金があるときは、労働者の請求に基づき、未払賃金の内一定の範囲内のものを当該事業主に代わって弁済するものとする。
【立替払される額】
(原則)未払賃金総額の100分の80に相当する額
⇒未払賃金総額:年齢に応じて上限あり
30歳未満…110万円
30歳以上45歳未満…220万円
45歳以上…370万円

中小企業退職金共済法

【目的】

(法1条) この法律は、中小企業の従業員について、中小企業者の相互扶助の精神に基づき、その拠出による退職金共済制度を確立し、もってこれらの従業員の福祉の増進中小企業の振興に寄与すること等を目的とする。
 

【退職金共済契約の締結】 (法3条)

(法3条)

中小企業者でなければ、退職金共済契約を締結することはできない。

中小企業者は、下記に掲げる者を除き、全ての従業員について、退職金共済契約を締結しなければならない。 (包括契約)

【除外される者】
①期間を定めて雇用される者
②季節的業務に雇用される者
③試みの使用期間中の者
④現に退職金共済契約の被共催者である者

【退職金制度の概要】 (法4条)

【退職金共済契約】

被共済者ごとに、掛金月額を定め、独立行政法人勤労者退職金共済機構との間において締結。

⇒掛金月額:5,000円(短時間労働被共済者は2,000円)以上30,000円以下

 

【退職金の支給】

(原則)一時金として支給

(例外)退職日に60歳以上、かつ、退職金の額が一定額以上である場合

⇒被共済者の請求に基づいて、退職金の全部又は一部を分割払

・80万円以上の場合:5年間

・150万円以上の場合:10年間

の支払いにより支給することができる。

 

【退職金の不支給】

掛金給付月数が12か月に満たない時は、退職金は支給されない。

【労働組合法】 

【目的】 (法1条)

(法1条)目的 この法律は、労働者が使用者との交渉において対等の立場に立つことを促進することにより労働者の地位を向上させること、労働者がその労働条件について交渉するために自ら代表者を選出することその他の団体行動を行うために自主的に労働組合を組織し、団結することを擁護すること並びに使用者と労働者との関係を規制する労働協約を締結するための団体交渉をすること及びその手続を助成することを目的とする。
【労働組合法の労働組合に該当しないケース】
①監督的地位にある労働者その他の使用者の利益を代表する者の参加を許すもの
②使用者から経理上の援助を受けるもの
福利事業のみを目的とするもの
④主として政治活動又は社会運動を目的とする物

【不当労働行為】 (法7条)

使用者は、下記の行為(不当労働行為)をしてはならない。

①不利益取扱い

労働者が下記を理由に解雇その他不利益な取り扱いをすること。 
①労働者が労働組合の組合員であること

②労働組合に加入し、若しくはこれを結成しようとしたこと

③労働組合の正当な行為

黄犬契約  労働者が、労働組合に加入しないこと、又は脱退することを雇用条件とすること
③団体交渉拒否

 労働者の代表者と団体交渉をすることを正当な理由なく拒むこと

④支配介入 労働者が労働組合を結成し、又は運営することを支配し、介入すること
⑤経費援助 労働組合の運営のための経費に関して経理上の援助をすること

【労働協約】 (法14条〰16条)

(法14条)労働組合使用者又はその団体との間の労働条件その他に関する労働協約は、書面に作成し、両当事者が署名し、又は記名押印することによってその効力を生ずる。
【労働協約の有効期間(任意)】
●定めるとき⇒3年を超える有効期間を定めることはできない。
3年を超える期間を定めた場合⇒3年の定めをしたものとみなす。
●定めをしないとき⇒少なくとも90日前に予告することにより、解約をすることができる。
【労働協約の規範的効力】
●一般的拘束力
一の工場事業場において同種の4分の3以上が一の労働協約の適用を受けるとき
⇒他の同種の労働者に関しても、その労働協約が適用
●地域的拘束力
一の地域において同種の労働者の大部分が一の労働協約の適用を受けるに至ったとき
⇒労働委員会の決議により厚生労働大臣又は都道府県知事が決定したときは、その地域の他の同種の労働者及び使用者にも、その労働協約が適用される。
 
【その他】
●労働協約に定める労働条件その他の労働者の待遇に関する基準に違反する労働契約の部分は無効。無効とされた部分は、基準の定めによる。

【労働委員会】 (法19条)

(法19条)労働委員会は、使用者を代表する者労働者を代表する者及び公益を代表する者各同数をもつて組織する。
②労働委員会は、中央労働委員会及び都道府県労働委員会とする。
【労働委員会の権限】
①労働組合の資格審査
②労働組合の法人化に係る証明
③労働協約の地域的拡張適用に係り決議
④不当労働行為事件の審査及び救済命令等
⑤労働争議のあっせん、調停、仲裁

労働関係調整法

【目的】 (法1条)

(第1条)

  この法律は、労働組合法と相まって、労働関係の公正な調整を図り、労働争議を予防し、又は解決して、産業の平和を維持し、もつて経済の興隆に寄与することを目的とする。

【定義】
●労働争議:労働関係の当事者間において、労働関係に関する主張が一致しないで、そのため争議行為が発生している状態又は発生するおそれがある状態
●争議行為:同盟罷業、怠業、作業所閉鎖その他労働関係の当事者が、その主張を貫徹することを目的として行う行為及びこれに対抗する行為で、業務の正常な運営を阻害するもの
 
【通知】
(原則)争議行為が発生した時は、当事者は直ちにその旨を労働委員会又は都道府県知事に届け出なければならない。
(例外) 下記の公益事業に関しては、争議行為をするには、
⇒争議行為をしようとする日の少なくとも10日前まで、労働委員会及び厚生労働大臣又は都道府県知事にその旨を通知しなければならない。
①運輸事業
②郵便、信書便又は電気通信の事業
③水道、電気又はガスの供給の事業
④医療又は公衆衛生の事業
●公益事業に関する事件について内閣総理大臣が緊急調整の決定をした旨の公表があったときは、
公表の日から50日間は争議行為を行うことはできない。

【労働争議の調整】

個別労働関係紛争解決促進法

【目的】 (法1条)

【自主的解決】 (法2条)

【あっせん等】 (法4条)

労働契約法

【目的】 (法1条)

(法1条)目的 

 労働契約法は、労働者及び使用者自主的な交渉の下で、労働契約が合意により成立し、又は変更されるという合意の原則その他労働契約に関する基本的事項を定めることにより、合理的な労働条件の決定又は変更が円滑に行われるようにすることを通じて、労働者の保護を図りつつ、個別の労働関係の安定に資することを目的とする。

【定義】
労働者:使用者に使用されて労働し賃金を支払われる者
使用者:使用する労働者に対して賃金を支払う者

【労働契約の原則】 (法3条)

(法3条)

●労働契約⇒

①労働者及び使用者が対等の立場における合意に基づいて締結し、又は変更すべきもの。
②労働者及び使用者が、就業の実態に応じて、均衡を考慮しつつ締結し、又は変更すべきもの。
③労働者及び使用者が仕事と生活の調和にも配慮しつつ締結し、又は変更すべきもの。

 

● 労働者及び使用者⇒

労働契約を遵守するとともに、信義に従い誠実に、権利を行使し、及び義務を履行しなければならない。
●労働契約に基づく権利の行使に当たっては、それを濫用することがあってはならない。

【労働契約の内容の理解の促進】 (法4条2)

(法4条2)

 労働者及び使用者は、労働契約の内容(期間の定めのある労働契約に関する事項を含む。)について、できる限り書面により確認するものとする。

【労働者の安全への配慮】 (法5条)

(法5条)  
 使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。

【労働契約の成立、労働契約の内容の変更】 (法6条、8条)

(労働契約の成立)
(法6条) (労働契約の成立)

労働契約は、労働者が使用者に使用されて労働し、使用者がこれに対して賃金を支払うことについて、労働者及び使用者が合意することによって成立する。 
(法8条) (労働契約の内容の変更) 

労働者及び使用者は、その合意により、労働契約の内容である労働条件を変更することができる。

【労働契約の内容と就業規則の関係】 (法7条)

(法7条)  労働者及び使用者が労働契約を締結する場合において、使用者が合理的な労働条件が定められている就業規則を労働者に周知させていた場合には、労働契約の内容は、その就業規則で定める労働条件によるものとする。
●労働契約において、労働者及び使用者が就業規則の内容と異なる労働条件を合意していた部分については⇒原則、個別の労働契約が優先。

【就業規則による労働契約の内容の変更】 (法9条、10条)

(法9条)

 使用者は、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することはできない。ただし、次条の場合は、この限りでない。

(法10条)

 使用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合において、変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ、就業規則の変更が、

●労働者の受ける不利益の程度

●労働条件の変更の必要性

●変更後の就業規則の内容の相当性

●労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情

に照らして合理的なものであるときは、労働契約の内容である労働条件は、当該変更後の就業規則に定めるところによるものとする。

【就業規則違反の労働契約】 (法12条)

(法12条) 

就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については、無効とする。この場合において、無効となった部分は、就業規則で定める基準による。

【労働契約の継続及び終了】 (法14条〰16条)

出向

使用者が労働者に出向を命ずることができる場合において、当該出向の命令が、その必要性、対象労働者の選定に係る事情その他の事情に照らして、その権利を濫用したものと認められる場合には、当該命令は、無効とする。

懲戒

使用者が労働者を懲戒することができる場合において、当該懲戒が、当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、当該懲戒は、無効とする。

解雇

解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。