労働者災害補償保険法
《目次》【年金の内払い】【支給制限】【費用徴収】
【問題】年金たる保険給付を減額して改定すべき事由が生じたにもかかわらず、その事由が生じた月の翌月以後の分として減額しない額の年金たる保険給付が支払われたときは、その支払われた年金たる保険給付の当該減額すべきであった部分は、その後に支払うべき年金たる保険給付の内払とみなすことができる。
(平成24年 問4A)
【解答】○
【解説】(法12条1項)
■設問のとおり正しい。
【問題】同一の傷病に関し、休業補償給付又は休業給付を受けている労働者が障害補償給付若しくは障害給付又は傷病補償年金若しくは傷病年金を受ける権利を有することとなり、かつ、休業補償給付又は休業給付は行われないこととなった場合において、その後も休業補償給付又は休業給付が支払われたときは、その支払われた休業補償給付又は休業給付は、当該障害補償給付若しくは障害給付又は傷病補償年金若しくは傷病年金の内払とみなされる。
(平成19年 問3E)
【解答】○
【解説】(法12条3項)
■同一の傷病に関し、休業補償給付又は休業給付を受けている労働者⇒
・障害補償給付若しくは
・傷病補償年金又は
・障害給付若しくは
・傷病年金を受ける権利を有することとなり、
かつ、
・休業補償給付又は休業給付を行わないこととなった場合
その後も休業補償給付又は休業給付が支払われたときは⇒その支払われた休業補償給付又は休業給付は、当該障害補償給付若しくは傷病補償年金又は障害給付若しくは傷病年金の内払とみなす。
【問題】年金たる保険給付を受ける権利を有する者が死亡したが、死亡した月の翌月以後の分として当該年金たる保険給付の過誤払が行われた場合において、当該過誤払による返還金に係る債権に係る債務の弁済をすべき者に支払うべき保険給付があるときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該保険給付の支払金の金額を当該過誤払による返還金に係る債権の金額に充当することができる。
(平成15年 問5B)
【解答】○
【解説】法12条の2、則10条の2、昭和55年12月5日基発673号
■年金たる保険給付の受給権者が死亡したためその受給権が消滅したにもかかわらず、その死亡の日の属する月の翌月以後の分として当該年金たる保険給付が誤って支払われた場合(過誤払い)
⇒当該過誤払による返還金に係る債務の弁済をなすべき者に支払うべき一定の保険給付があるときは、当該保険給付の支払金の金額を当該過誤払による返還金債権の金額に充当することができる。
【問題】労働者がその過失により負傷、疾病、障害若しくは死亡若しくはこれらの原因となった事故を生じさせ、又は負傷、疾病若しくは障害の程度を増進させ、若しくはその回復を妨げた場合においても、その過失が重大なものでない限り、その保険給付の支給制限は行われない。
(平成20年 問5B)
【解答】○
【解説】(法12条の2の2第2項)
■設問では、「過失」のため支給制限なし。
■「重大な過失」のときに⇒保険給付の支給制限。
【問題】「故意」とは、自己の行為により一定の結果が生ずることを認識し、かつ、その結果の発生を認容していることをいう。したがって、例えば、重油を船から送油パイプを通じてタンクローリー車に送り込む陸揚げ作業中、同僚労働者がタンクの重油内に転落したのを見て、直ちに救出するためタンク内に降りようとしたところ、足を滑らしてタンクの重油内に転落し、死亡したという場合には、たしかに業務と密接な関連があるとはいえ、そうした危険の発生について認識があり、かつ、それを認容したうえでの救出行為によるものとみることができるので、その死亡は、「故意」によるものといわざるを得ない。
(平成13年 問5A)
【解答】×
【解説】(法12条の2第1項)
■故意とは⇒結果の発生を意図した場合だけでなく、自らの行為によって結果の発生を認識し、認容している場合も含まれる。
■労働者が結果の発生を意図した故意により事故を生じさせた場合⇒絶対的給付制限の対象。
■ただし、被災労働者が結果の発生を認容していても業務との因果関係が認められる事故⇒「故意」による事故とは扱わず、業務災害として認定。
■設問は「故意」ではなく、保険給付の対象となる。
【問題】無免許運転が危険であることを知りながら資格を詐称して貨物自動車を運転し、急スピードのまま急カーブを切ろうとして転覆し、負傷したのは、労災保険法第12条の2の2第2項に規定する「故意の犯罪行為又は重大な過失」による負傷ではあるが、「故意」による負傷には該当しない。
(平成13年 問5B)
【解答】○
【解説】(法12条の2)
■設問については、その発生を意図した「故意」によるものではなく、「故意の犯罪行為又は重大な過失」により生じたものに該当。
したがって、絶対的給付制限の対象ではなく、全部又は一部の給付制限に。
■「故意の犯罪行為」⇒事故の発生を意図した故意はないが、その原因となる犯罪行為が故意であるものをいう。
【問題】ある設計技師が地上建造物についての設計関連業務に従事していたところ、工事の施工に難渋する状態が続き、当人は、その精神的負担から、うつ状態に陥り自殺を図って重傷を負ったと認められる場合、これを「故意」による負傷とはいえない。
(平成13年 問5D)
【解答】○
【解説】(法12条の2第1項)
■設問の自殺未遂による負傷は、著しい精神負担を受けたことにより発した「うつ病」が原因⇒「故意」による負傷ではない。
■したがって、業務災害として保険給付の対象。
【問題】業務上の心理的負荷に起因する精神障害によって正常な認識、行為選択の能力が著しく阻害され、あるいは自殺を思い止まる精神的な抑制力が著しく阻害されている状態において自殺が行われたと認められる場合には「故意」による死亡には該当しない。
(平成13年 問5E)
【解答】○
【解説】(法12条の2第1項)
■業務による心理的負荷によって精神障害が発病したと認められる者が自殺を図った場合⇒精神障害によって正常の認識、行為選択能力が著しく阻害され、又は自殺行為を思いとどまる精神的な抑制力が著しく阻害されている状態で自殺が行われたものと推定し、原則として業務起因性と認定。
【問題】同一の事由により厚生年金保険法の規定による遺族厚生年金又は国民年金法の規定による遺族基礎年金若しくは寡婦年金と併給される場合における遺族補償年金又は遺族年金の額は、政令所定の率を乗じて減額調整された額(政令所定の額を下回るときは、当該政令所定の額)となる。
(平成14年 問4E)
【解答】○
【解説】(法別表第1、令2条)
■遺族(補償)年金と遺族厚生年金・遺族基礎年金・寡婦年金(遺族厚生年金等)が併給される場合⇒遺族厚生年金等はそのまま支給。
■遺族(補償)年金⇒一定の率を乗じることによって減額調整されて支給。
【問題】偽りその他不正の手段により労災保険の保険給付を受けた者がある場合において、その保険給付が事業主の虚偽の報告又は証明をしたために行われたものであるときは、保険給付を受けた者ではなく事業主が、その保険給付に要した費用に相当する金額の全部を政府に返還しなければならない。
(平成22年 問1C)
【解答】×
【解説】(法12条の3第2項)
■偽りその他不正の手段により保険給付を受けた者がある場合
⇒事業主が虚偽の報告又は証明をしたためその保険給付が行なわれたものであるとき
⇒政府は、その事業主に対し、保険給付を受けた者と連帯して保険給付に要した費用に相当する金額の全部又は一部の徴収金の納付を命ずることができるとされている。
【問題】偽りその他不正な手段により保険給付を受けた者があるときは、政府は、その保険給付に要した費用に相当する金額の全部又は一部をその者から徴収することができる。
(平成19年 問7B)
【解答】○
【解説】(法12条の3第1項)
■設問のとおり正しい。
【問題】労働者が偽りその他不正な手段により保険給付を受けたときは、これに係る事業主の報告又は証明の真偽にかかわらず、政府は、その事業主に対し、保険給付を受けた者と連帯して、保険給付に要した費用に相当する金額の全部又は一部を返還すべきことを命ずることができる。
(平成19年 問7C)
【解答】×
【解説】(法12条の3第2項)>>
■偽りその他不正の手段により保険給付を受けた者があるとき⇒事業主が虚偽の報告又は証明をしたためにその保険給付が行なわれたとき⇒政府はその事業主に対し、保険給付を受けた者と連帯して徴収金を納付すべきことを命ずることができる。
設問の『これに係る事業主の報告又は証明の真偽にかかわらず』の箇所が誤り。
【問題】偽りその他不正の手段により保険給付を受けた者については、その保険給付に相当する金額の全部又は一部を政府によって徴収されるほか、労災保険法上の罰則が適用される。
(平成15年 問5A)
【解答】×
【解説】法12条の3第1項、法51条、法53条、法54条
■偽りその他不正の手段により保険給付を受けた者があるとき⇒政府は、その保険給付に要した費用に相当する金額の全部又は一部をその者から徴収することができるとされている。
ただし、労災保険法に罰則規定ない。
【問題】事業主が虚偽の報告又は証明をしたため不正に保険給付を受けた者があるときは、政府は、その事業主と受給者に対し、遅滞なく、その保険給付に要した費用に相当する金額の全部を連帯して返納させなければならない。
(平成16年 問2C)
【解答】×
【解説】(法12条の3第2項)
偽りその他不正の手段により保険給付を受けた者がある場合で、事業主が虚偽の報告又は証明をしたためその保険給付が行なわれたものであるとき⇒
政府は、その事業主に対し、保険給付を受けた者と連帯して保険給付に要した費用に相当する金額の全部又は一部の徴収金の納付を命ずることができる。