労働者災害補償保険法

《目次》【通勤災害の定義等】

【通勤の定義等】 (法7条)

【問題】通勤災害とは、通勤に通常伴う危険が具体化して生じた負傷、疾病、障害又は死亡をいう。

(平成13年 問1B)

【解答】○

【解説】(法7条1項2号)
■「通勤による」⇒通勤と相当因果関係のあること、つまり、通勤に通常伴う危険が具体化したことをいう。

①具体的には、通勤の途中において、
・自動車にひかれた場合
・電車が急停車したため転倒して受傷した場合
・駅の階段から転落した場合
・歩行中にビルの建設現場から落下してきた物体により負傷した場合
・転倒したタンクローリーから流れ出す有害物質により急性中毒にかかった場合等
⇒一般に通勤中に発生した災害は通勤によるものと認定。

②ただし
・自殺の場合
・その他被災者の故意によって生じた災害
・通勤の途中で怨恨をもってけんかをしかけて負傷した場合
⇒通勤をしていることが原因となって災害が発生したものではないので、通勤災害とは認められない。


【問題】寝過ごしにより就業場所に遅刻した場合は、通勤災害に該当することはない。

(平成24年 問1A)

【解答】×

【解説】(法7条2項)

■寝過ごしによる遅刻⇒就業との関連性が認められる通勤災害


【問題】運動部の練習に参加する目的で、午後の遅番の出勤者であるにもかかわらず。朝から住居を出る等、所定の就業開始時刻とかけ離れた時刻に会社に行く場合も、通勤に該当する。

(平成24年 問1B)

【解答】×

【解説】(法7条2項)

■設問の場合は、就業との関連性はない⇒通勤に該当しない。


【問題】日々雇用される労働者が公共職業安定所等でその日の職業紹介を受けるために住居から公共職業安定所等まで行く行為は、通勤に該当しない。

(平成24年 問1C)

【解答】〇

【解説】(法7条2項、H20.4.1基発0401042号)

■実際には、就業できるかどうか不明の段階なので就業のための出勤行為とはいえないため通勤災害に該当しない。


【問題】昼休みに自宅まで時間的に十分な余裕をもって往復できる労働者が、午前中の業務を終了して帰り、午後の業務に就くために出勤する往復行為は、通勤に該当しない。

(平成24年 問1D)

【解答】×

【解説】(法7条2項)

■通勤は、1日に往復行為等複数あっても就業との関連性があれば通勤に該当。


【問題】通勤が同時に業務の性質を有する場合においても、住居と就業の場所との間の往復等の移動を合理的な経路及び方法により行うものである限り、その往復行為による災害は、通勤災害として扱われる。

(平成14年 問1C)
【解答】×
【解説】(法7条2項)
通勤が同時に業務の性質を有する場合⇒その往復行為による災害業務災害


【問題】業務の終了後、事業場施設内で、サークル活動をした後に帰宅する場合は、社会通念上就業と帰宅との直接的関連を失わせると認められるほど長時間となるような場合を除いても、通勤に該当することはない。

【解答】 ×

【解説】 (法7条2項)

■業務終了後、事業場施設内でサークル活動等をした後に帰宅する場合⇒就業と帰宅との直接的関連を失わせるほど長時間である場合を除き、就業との関連性を認める場合もある。


【問題】通勤とは、労働者が就業に関し、住居と就業の場所との間の往復等の移動を合理的な経路及び方法により往復すること(業務の性質を有するものを除く。)をいう。(一部改正)

(平成13年 問1A)

【解答】○

【解説】(法7条2項)
■法改正により通勤の範囲が次のように拡大された。
1.住居と就業の場所との間の往復
2.厚生労働省令で定める就業の場所から他の就業の場所への移動(二重就職者の事業場間の移動)
3.住居と就業の場所との往復に先行し、又は後続する住居間の移動(単身赴任者の赴任先、帰省先住居間の移動)


【問題】労働者が、就業に関し、住居と就業の場所との間を合理的な経路及び方法により往復すること(業務の性質を有するものを除く。)は、 通勤に該当する。

(平成18年 問1A)

【解答】○

【解説】(法7条2項1号)
■労働者災害補償保険法における通勤とは、労働者が、就業に関し、次に掲げる移動を、合理的な経路及び方法により行うことをいい、業務の性質を有するものを除くものとする定義されている。
①住居と就業の場所との間の往復
②厚生労働省令で定める就業の場所から他の就業の場所への移動
③上記①に掲げる往復に先行し、又は後続する住居間の移動(厚生労働省令で定める要件に該当するものに限る。)


【問題】労働者が、直接に住居と出張先との間の往復を合理的な経路及び方法により行うことは、通勤に準ずるものと解され、これによる負傷、疾病、障害又は死亡は、通勤災害とみなされる。

(平成14年 問2E)
【解答】×
【解説】(法7条2項)
■住居と出張先との間の合理的な経路及び方法によることは⇒業務災害


【問題】労働者が、就業に関し、厚生労働省令で定める就業の場所への他の就業の場所から合理的な経路及び方法により移動すること(業務の性質を有するものを除く。)は、通勤に該当する。

(平成18年 問1B)

【解答】×

【解説】(法7条2項2号)
■複数事業所で勤務する労働者の事例。
「他の就業の場所」から「生労働省令で定める就業の場所」への移動に関して、最初の就業場所が「厚生労働省令で定める就業の場所」である必要があるため、誤り。

「厚生労働省令で定める就業の場所」とは
1.適用事業所
2.暫定任意適用事業所
3.特別加入者に係る就業の場所等


【問題】労働者が、就業に関し、住居と就業の場所との間の往復に先行し、又は後続する住居間の移動であって厚生労働省令で定める要件に該当するものを、合理的な経路及び方法により行うこと(業務の性質を有するものを除く。)は、通勤に該当する。

(平成18年 問1C)

【解答】○

【解説】(法7条2項3号)
■住居と就業の場所との間の往復に先行し、又は後続する住居間の移動(厚生労働省令で定める要件に該当するものに限る。)についても通勤災害保護制度における通勤に含める。

■「厚生労働省令で定める要件」⇒転任に伴い、当該転任の直前の住居と就業の場所との間を日々往復することが当該往復の距離等を考慮して困難となったため住居を移転した労働者であって、配偶者が、要介護状態にある労働者又は配偶者の父母又は同居の親族を介護する必要がある等のやむを得ない事情により、当該転任の直前の住居に居住している配偶者、子、父母、親族と別居することとなったものとされている。