労働者災害補償保険法

《目次》【遺族補償年金の額】【遺族補償年金の 受給権の消滅】

【遺族補償年金の額】 (法16条の3)

【問題】遺族補償給付を受ける権利を有する同順位者が2人以上ある場合の遺族補償給付の額は、遺族補償年金にあっては労災保険法別表第1に規定する額を、遺族補償一時金にあっては同法別表第2に規定する額を、それぞれ同順位者の人数で除して得た額となる。

(平成22年 問1E)

【解答】○
【解説】 (法16条の3第2項、法16条の8第2項)
■設問のとおり正しい。

■遺族補償年金を受ける権利を有する者が2人以上あるとき
⇒遺族補償年金の額は別表第一に規定する額をその人数で除して得た額
⇒遺族補償一時金の額は別表第二に規定する額をその人数で除して得た額


【問題】遺族補償給付又は遺族給付を受ける権利を有する者が2人以上あるときは、遺族補償給付又は遺族給付の額は、労災保険法別表第1に規定する額をその人数で除して得た額となる。
(平成15年 問7A)
【解答】×
【解説】(法16条、法16条の3第2項、法16条の8)

■「労災保険法別表第1に規定する額」⇒「労災保険法別表第1及び労災保険法別表第2に規定する額」にすれば正しい。

■遺族(補償)給付には、遺族(補償)年金又は遺族(補償)一時金
・遺族(補償)年金を受ける権利を有する者が2人以上あるとき⇒労災保険法別表第1に規定する額をその人数で除して得た額。
・遺族(補償)一時金を受ける権利を有する者が2人以上あるとき⇒労災保険法別表第2に規定する額をその人数で除して得た額。


【遺族補償年金の受給権の消滅】 (法16条4)

【問題】遺族補償年金又は遺族年金を受ける権利は、その権利を有する遺族が、(1)死亡したとき、(2)婚姻(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある場合を含む。)をしたとき、(3)6親等内の直系血族又は3親等内の直系姻族の養子(届出をしていないが、事実上養子縁組関係と同様の事情にある者を含む。)となったとき、(4)離縁によって死亡労働者との親族関係が終了したとき、(5)子、孫又は兄弟姉妹については年齢要件が消滅したとき(厚生労働省令で定める障害の状態にある場合を除く。)、(6)厚生労働省令で定める障害の状態がなくなったとき(年齢要件を満たす場合を除く。)は、消滅する。
(平成19年 問6D)
【解答】×
【解説】(法16条の4第1項、則22条の4)

■「6親等内の直系血族又は3親等内の直系姻族の養子(届出をしていないが、事実上養子縁組関係と同様の事情にある者を含む。)となったとき」⇒「直系血族又は直系姻族以外の者の養子(事実上養子縁組関係と同様の事情にある者を含む)となったとき」にすれば正しい。

■遺族(補償)年金を受ける権利は、その権利を有する遺族が次のいずれかに該当したときは消滅。
①死亡したとき
②婚姻(事実婚を含む)をしたとき。
③直系血族又は直系姻族以外の者の養子(事実上養子縁組関係と同様の事情にある者を含む)となったとき。
④離縁によって、死亡した労働者との親族関係が終了したとき。
⑤子、孫又は兄弟姉妹については、18歳に達した日以後の最初の3月31日が終了したとき(労働者の死亡の時から引き続き厚生労働省令で定める障害の状態にあるときを除く)。
⑥厚生労働省令で定める障害の状態にある夫、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹については、その事情がなくなったとき(年齢要件を満たしているときを除く)。


【問題】遺族補償年金を受ける権利は、その権利を有する遺族が、直系血族又は直系姻族である者の養子となったときは、消滅する。
(平成23年 問3A)
【解答】×
【解説】(法16条の4第1項3号)

■「直系血族又は直系姻族である者の養子」⇒「直系血族又は直系姻族以外である者の養子」にすれば正しい。
■遺族補償年金を受ける権利⇒その権利を有する遺族が、直系血族又は直系姻族以外の者の養子(届出をしていないが、事実上養子縁組関係と同様の事情にある者を含む。)となったときに消滅。


【問題】遺族補償年金を受ける権利は、その権利を有する遺族が、婚姻の届出はしていないものの事実上婚姻関係と同様の事情にある場合に至ったときは、消滅する。
(平成23年 問3B)
【解答】○
【解説】(法16条の4第1項2号)
■遺族補償年金を受ける権利⇒その権利を有する遺族が、婚姻(届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある場合を含む。)をしたときに消滅。


【問題】遺族補償年金を受ける権利は、その権利を有する、労災保険法第16条の2第1項第4号の厚生労働省令で定める障害の状態にあった祖父母が、その障害の状態がなくなったときは、労働者の死亡の当時60歳以上であった場合であっても、消滅する。
(平成23年 問3D)
【解答】×
【解説】(法16条の4第1項6号)

■障害状態にある祖父母について、労働者の死亡の当時60歳以上であった場合は、その障害の状態がなくなっても、遺族補償年金を受ける権利は消滅しないため誤り。
■遺族補償年金を受ける権利は、その権利を有する法16条の2第1項第4号の厚生労働省令で定める障害の状態にある夫、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹については⇒その事情がなくなったとき(夫、父母又は祖父母については、労働者の死亡の当時60歳以上であったとき、子又は孫については18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあるとき、兄弟姉妹については、18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあるか又は労働者の死亡の当時60歳以上であったときを除く。)に消滅。


【問題】遺族補償年金を受ける権利は、その権利を有する兄弟姉妹が労災保険法第16条の2第1項第4号の厚生労働省令で定める障害の状態にあるときであっても、18歳に達した日以後の最初の3月31日が終了したときは、消滅する。
(平成23年 問3C)
【解答】×
【解説】(法16条の4第1項5号)
■「労災保険法第16条の2第1項第4号の厚生労働省令で定める障害の状態にあるとき」⇒18歳に達した日以後の最初の3月31日が終了したときであっても、遺族補償年金を受ける権利は消滅しない。


【問題】遺族補償年金を受ける権利は、その権利を有する、労災保険法第16条の2第1項第4号の厚生労働省令で定める障害の状態にあった孫が、その障害の状態がなくなったときは、18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあるときであっても、消滅する。
(平成23年 問3E)
【解答】×
【解説】(法16条の4第1項6号)
■遺族補償年金を受ける権利は、厚生労働省令で定める障害の状態にある夫、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹については、その事情がなくなったときに消滅する。
■ただし、下記の場合は除く。つまり、遺族補償年金を受ける権利は消滅しない。
・夫、父母又は祖父母については、労働者の死亡の当時60歳以上であったとき
・子又は孫については18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあるとき
・兄弟姉妹については、18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあるか又は労働者の死亡の当時60歳以上であったとき
■法16条の2第1項第4号の厚生労働省令で定める障害の状態⇒身体に別表第一の障害等級の第五級以上に該当する障害がある状態又は負傷若しくは疾病が治らないで、身体の機能若しくは精神に、労働が高度の制限を受けるか、若しくは労働に高度の制限を加えることを必要とする程度以上の障害がある状態。


【遺族補償年金の支給停止】 (法16条の5)

【問題】遺族補償年金を受ける権利を有する者の所在が1年以上明らかでない場合には、当該遺族補償年金は、同順位者があるときは同順位者の、同順位者がないときは次順位者の申請によって、その所在が明らかでない間、その支給を停止される。
(平成18年 問5B)
【解答】○
【解説】(法16条の5第1項)
■設問のとおり正しい。
■遺族補償年金の支給を停止された所在不明の遺族⇒いつでも、その支給の停止の解除を申請することが可能。


【問題】遺族補償年金又は遺族年金を受ける権利を有する者の所在が1年以上明らかでない場合には、当該年金は、同順位者があるときは同順位者の、同順位者がないときは次順位者の申請によって、その所在が明らかでない間、支給が停止される。
(平成17年 問6B)
【解答】○
【解説】(法16条の5第1項、法22条の4第3項)

■設問のとおり正しい。


【問題】遺族補償年金を受ける権利を有する者の所在が6か月以上明らかでない場合には、当該遺族補償年金を受けることができる遺族であれば、その順位にかかわらず、当該遺族のいずれかの申請により、その所在が明らかでない間、その支給が停止される。
(平成13年 問4B)
【解答】×
【解説】(法16条の5第1項)

■2箇所誤り。

■「6カ月以上」⇒「1年以上」にすれば正しい。
■「その順位にかかわらず」ではなく、「同順位者がないときは、その間、次順位者を先順位者として」遺族補償年金が支給される。


【遺族補償年金前払一時金】 (法附則60条)

【問題】遺族補償年金を受ける権利を有する遺族は、その申請により、生計の維持が困難であると認められるときに限り、給付基礎日額の千日分に相当する額を限度として厚生労働省令で定める額の遺族補償前払一時金の支給を受けることができる。この場合には、遺族補償年金は、各月に支給されるべき額の合計額が当該遺族補償前払一時金の額に達するまでの間、支給を停止される。
(平成18年 問5D)
【解答】×
【解説】(法附則60条1項・2項・3項)

■遺族補償年金前払一時金は、「遺族生計の維持が困難であると認められるときに限り」と限定して支給されるものではないため誤り。

■「申請」ではなく⇒「請求」

■「遺族補償前払一時金」ではなく⇒「遺族補償年金前払一時金」

■遺族補償年金を受ける権利を有する遺族の請求に基づき、遺族補償年金前払一時金が支給。
■遺族補償年金前払一時金の額⇒給付基礎日額の1,000日分に相当する額を限度として厚生労働省令で定める額(200日分、400日分、600日分、800日分又は1,000日分に相当する額)
■遺族補償年金前払一時金が支給される場合⇒当該労働者の死亡に係る遺族補償年金は、各月に支給されるべき額の合計額が厚生労働省令で定める算定方法に従い当該遺族補償年金前払一時金の額に達するまでの間、その支給を停止。


【遺族補償一時金】 (法16条の6~16条の6)

【問題】遺族補償年金又は遺族年金を受ける権利を有する者の権利が消滅した場合において、他に当該遺族補償年金又は遺族年金を受けることができる遺族がなく、かつ、当該労働者の死亡に関し支給された遺族補償年金又は遺族年金の合計額が、当該権利が消滅した日において労働者の死亡の当時遺族補償年金又は遺族年金を受けることができる遺族がない場合に該当することとなるものとしたときに支給されることとなる遺族補償一時金又は遺族一時金の額に厚生労働大臣が定める率を乗じて得た額に満たないときは、その差額に相当する額の遺族補償一時金又は遺族一時金が支給される。
(平成15年 問7C)
【解答】×
【解説】(法16条の6第2項、法22条の4第3項)

■「労働者の死亡の当時遺族補償年金を受けることができる遺族がないときに支給される遺族(補償)一時金の額に厚生労働大臣が定める率を乗じる」ではなく⇒「権利が消滅した日の属する年度の7月以前に支給された遺族補償年金の額に厚生労働大臣が定める率」にすれば正しい。
■労働者が死亡したときに遺族補償年金又は遺族年金を受ける遺族がいたが、その後すべて失権・失格した場合
⇒遺族補償一時間又は遺族一時金の額からすでに支給された遺族(保障)年金の額の合計額との差額が支給。
遺族(補償)年金の受給権が消滅した場合において、年金受給権が消滅した日の属する年度(4月から7月の場合はその前年度)の7月以前に支給された遺族(補償)年金の額に厚生労働大臣が定める率を乗じた額が、労働者の死亡の当時遺族補償年金を受けることができる遺族がないときに支給される遺族(補償)一時金の額に満たない場合は、その差額が支給されることになる。
■遺族(補償)年金の受給権が消滅した場合の遺族(補償)一時金
「給付基礎日額の1000日分 - 支給済の遺族(補償)年金に厚生労働大臣が定める率を乗じた額」


【問題】遺族補償一時金又は遺族一時金を受けるべき遺族の順位は、次の(1)、(2)、(3)の順序により、(2)及び(3)に掲げる者のうちにあっては、それぞれ(2)及び(3)に掲げる順序による。
(1)配偶者(事実上婚姻関係と同様な事情にあった者を含む。)
(2)労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していた子、父母、孫及び祖父母
(3)(2)に該当しない子、父母、孫及び祖父母並びに兄弟姉妹
(平成17年 問6D)
【解答】○
【解説】(法16条の7第1項、法22条の4第3項)
■設問のとおり正しい。 


【問題】遺族補償一時金又は遺族一時金の支給を受けることができる遺族は、労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していなかった配偶者、子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹であり、遺族補償一時金又は遺族一時金の支給を受けるべき遺族の順位も、この順序による。
(平成19年 問6E)
【解答】×
【解説】(法16条の7第1項、法22条の4)
■遺族(補償)一時金を受けることができる遺族の範囲は下記のとおり。
①配偶者
②労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していた子、父母、孫及び祖父母
③労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していない子、父母、孫及び祖父母並びに
④兄弟姉妹
労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していた者も含まれるので誤り。


【問題】遺族補償一時金を受けるべき遺族の順位は,次の1、2、3の順序により、2及び3に掲げる者のうちにあっては、それぞれ2及び3に掲げる順序による。
1.配偶者
2.労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していた子、父母、孫及び祖父母
3.2に該当しない子、父母、孫及び祖父母並びに兄弟姉妹
(平成13年 問4D)
【解答】○
【解説】(法16条の7)
■遺族補償年金を受けることのできる遺族⇒年齢要件や障害要件がある。
遺族補償一時金⇒そのような要件はなく、また、生計維持関係がない遺族であっても受給することが可能。


【遺族補償給付の受給資格の欠格】 (法16条の9)

【問題】労働者の死亡前に、当該労働者の死亡によって遺族補償年金を受けることができる先順位の遺族となるべき者を故意に死亡させた者のみ、遺族補償年金を受けることができる遺族とされない。
(平成23年 問4E)
【解答】×
【解説】法16条の9
■遺族補償給付の受給資格の欠格に関しての問題。
①労働者を故意に死亡させた者は、遺族補償給付を受けることができる遺族としない。
②労働者の死亡前に、当該労働者の死亡によって遺族補償年金を受けることができる先順位又は同順位の遺族となるべき者を故意に死亡させた者は、遺族補償年金を受けることができる遺族としない。
③遺族補償年金を受けることができる遺族を故意に死亡させた者は、遺族補償一時金を受けることができる遺族としない。労働者の死亡前に、当該労働者の死亡によって遺族補償年金を受けることができる遺族となるべき者を故意に死亡させた者も、同様とする。
④遺族補償年金を受けることができる遺族が、遺族補償年金を受けることができる先順位又は同順位の他の遺族を故意に死亡させたときは、その者は、遺族補償年金を受けることができる遺族でなくなる。この場合において、その者が遺族補償年金を受ける権利を有する者であるときは、その権利は、消滅する。
■「先順位の遺族となるべき者を故意に死亡させた者のみ」の箇所が誤り。


【問題】労働者又は労働者の遺族(遺族となるべき者を含む。)を故意又は重大な過失により死亡させた遺族は、遺族補償給付若しくは遺族給付又は葬祭料若しくは葬祭給付を受けることができない。
(平成17年 問4E)
【解答】×
【解説】(法16条の9、法22条の4第3項)>>
労働者又は労働者の遺族(遺族となるべき者を含む。)を故意に死亡させた者は、遺族(補償)給付を受けることができる遺族としないとされている。
なお、「重大な過失より死亡させた者」は含まれず、葬祭料又は葬祭給付についてはこの規定の対象になっていない。


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