【併給調整】 (法38条)

【問題】障害厚生年金は、老齢基礎年金及び付加年金並びに当該障害厚生年金と同一の支給事由に基づいて支給される障害基礎年金と併給できるが、遺族基礎年金とは併給できない。
(平成23年 問4A)
【解答】×
【解説】(法38条1項)
■障害厚生年金は、老齢基礎年金及び付加年金、遺族基礎年金とは併給できない。

【問題】受給権者が65歳に達しているときの共済組合等の年金給付については、原則として退職共済年金と老齢厚生年金、遺族厚生年金と遺族共済年金、同一の支給事由に基づく障害厚生年金と障害共済年金は、それぞれ併給できる。
(平成18年 問8A)
【解答】×
【解説】(法38条、法54条の2、法64条の2、法69条、法附則17条)

■同一の支給事由に基づく「障害厚生年金」と「障害共済年金」の併給は出来ない。どちらか一方の選択受給
「退職共済年金」と「老齢厚生年金」とは併給可能
■「遺族厚生年金」と「遺族共済年金」はそれぞれの支給要件が短期要件か長期要件であるかによって、調整方法が異なる。

【問題】老齢厚生年金は、老齢基礎年金及び付加年金並びに障害基礎年金と併給できるが、遺族基礎年金とは併給できない。なお、受給権者は、65歳に達しているものとする。
(平成24年 問3A)
【解答】○
【解説】(法38条1項)
■設問のとおりただしい。
■老齢厚生年金と遺族基礎年金は併給できない。

【問題】遺族厚生年金は、老齢基礎年金及び付加年金又は障害基礎年金と併給できる。なお、受給権者は、65歳に達しているものとする。
(平成24年 問3C)
【解答】○
【解説】(法38条1項)
■設問のとおり正しい。
■遺族厚生年金は、その受給権者が65歳に達している徳は、老齢基礎年金及び付加年金又は障害基礎年金と併給できる。

【問題】遺族厚生年金(基本となる年金額の3分の2に相当する額)と老齢厚生年金(基本となる年金額の2分の1に相当する額)を同時に受給する場合には、基礎年金については老齢基礎年金を選択することができるが、障害基礎年金を選択することはできない。なお、受給権者は、65歳に達しているものとする。
(平成24年 問3E)
【解答】×
【解説】(法38条1項)
■障害基礎年金を選択することは可能なため誤り。

【問題】受給権者が65歳に達しているときの旧法との調整に関しては、旧厚生年金保険法の遺族年金と新国民年金法の老齢基礎年金又は障害基礎年金、新厚生年金保険法の老齢厚生年金と旧国民年金法の障害年金は、それぞれ併給できる。
(平成18年 問8E)
【解答】×
【解説】(法38条、法附則17条、法附則56条6項(昭和60年5月1日法律第34号))
■「旧厚生年金保険法の遺族年金と新国民年金法の障害基礎年金」の組合せで併給することができないため誤り。

【問題】受給権者が65歳に達しているときの遺族厚生年金と旧法との関係については、原則として、新厚生年金保険法の遺族厚生年金(経過的寡婦加算を除く。)と旧国民年金法の老齢年金又は障害年金、新厚生年金保険法の遺族厚生年金と旧厚生年金保険法の老齢年金の2分の1相当額は、それぞれ併給できる。
(平成18年 問8C)
【解答】×
【解説】(法38条、法附則17条、法附則56条6項、法附則73条1項)
■遺族厚生年金と旧国民年金法の老齢年金の組み合わせでは、経過的寡婦加算も併給される。
■設問の新厚生年金保険法の遺族厚生年金「(経過的寡婦加算を除く)」の箇所が誤り。
■受給権者が65歳に達しているときの遺族厚生年金と旧法による年金給付の併給が可能な場合。
1.遺族厚生年金と旧国民年金法の老齢年金
2.遺族厚生年金(経過的寡婦加算を除く)と旧国民年金法の障害年金
3.遺族厚生年金と旧厚生年金保険法の老齢年金の2分の1相当額
■「老齢基礎年金と旧厚生年金保険法の遺族年金」、「老齢厚生年金と旧国民年金法の障害年金」の組合せでも併給が可能。

【受給権者からの申し出による支給停止】 (法38条の2)

【問題】年金たる保険給付(厚生年金保険法の他の規定又はその他の法令の規定よりその全額につき支給を停止されている年金たる保険給付を除く。)は、その受給権者の申出により、その全額又は一部の支給を停止するものとし、すでに厚生年金保険法の他の規定又はその他の法令の規定によりその額の一部につき支給を停止されているときは、停止されていない部分の全額又は一部の支給を停止する。
(平成19年 問7A)
【解答】×
【解説】(法38条の2第1項)
■2箇所誤り。
■前半の「その受給権者の申出により、その全額又は一部の支給を停止」⇒「その受給権者の申出により、その全額の支給を停止」にすれば正しい。
■後半の「停止されていない部分の全額又は一部の支給を停止」⇒「停止されていない部分の全額の支給を停止」にすれば正しい。

【問題】厚生年金保険法第38条の2に規定される受給権者の申出による年金たる保険給付の支給停止は、申出を行った日の属する月の翌月分から支給停止される。また、支給停止の申出を撤回しときは、その旨の申出を行った日の属する月の翌月分から支給が開始される。
(平成20年 問7B)
【解答】○
【解説】(法38条の2)

■設問のとおり正しい。

【年金の支払い調整、充当】 (法39条、39条の2)

【問題】障害厚生年金の受給権者が死亡したにもかかわらず、当該障害厚生年金の給付に過誤払いが生じた場合、返還金請求権に係る債務を弁済すべき者に支払うべき老齢厚生年金の支払金の金額を当該過誤払いによる返還金債権の金額に充当することができる。
(平成23年 問2E)
【解答】×
【解説】(法39条の2、則89条の2)
年金たる保険給付の支払金の金額の過誤払による返還金債権への充当は、次の場合に行うことができる。
(1)年金たる保険給付の受給権者の死亡を支給事由とする遺族厚生年金の受給権者が、当該年金たる保険給付の受給権者の死亡に伴う当該年金たる保険給付の支払金の金額の過誤払による返還金債権に係る債務の弁済をすべき者であるとき。
(2)遺族厚生年金の受給権者が同一支給事由に基づく他の遺族厚生年金の受給権者の死亡に伴う当該遺族厚生年金の支払金の金額の過誤払による返還金債権に係る債務の弁済をすべき者であるとき。
よって、返還金請求権に係る債務を弁済すべき者に支払うべき老齢厚生年金の支払金の金額を過誤払いによる返還金債権の金額に充当することは認められず、問題文は誤りとなる。

【損害賠償請求権】 (法40条)

【問題】政府は、事故が第三者の行為によって生じた場合において、保険給付をしたときは、受給権者が第三者に対して有する損害賠償の請求権を取得する。また、この場合において、受給権者が既に当該第三者から同一の事由について損害賠償を受けていたときは、政府は保険給付をしないことができる。
(平成22年 問7A)
【解答】×
【解説】(法40条2項)
「その給付の価額の限度で」という記述が抜けている問題文は誤りとなる。
政府は、事故が第三者の行為によって生じた場合において、保険給付をしたときは、その給付の価額の限度で、受給権者が第三者に対して有する損害賠償の請求権を取得する。この場合において、受給権者が、当該第三者から同一の事由について損害賠償を受けたときは、政府は、その価額の限度で、保険給付をしないことができるとされている。

【問題】保険給付を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押さえることはできないので、老齢厚生年金及び脱退一時金を受ける権利は国税滞納処分(その例による処分を含む。)によって差し押さえることができない。(平成24年 問2B)
【解答】×
【解説】(法41条1項)
■老齢厚生年金及び脱退一時金を受ける権利は、国税滞納処分によって差し押さえることができる。

【問題】保険事故が第三者の行為によって生じ、受給権者が先に第三者から損害賠償を受けたとき、保険給付との調整の対象になるのは、生活保障部分であり、医療費、葬祭料は含まれない。
(平成19年 問9D)
【解答】○
【解説】(法40条2項、昭和36年6月14日保険発第56号)
厚生年金保険の被保険者が、第三者の行為により疾病にかかり負傷し又は死亡したことによって、被保険者又はその遺族がその傷病又は死亡について損害賠償をうけた場合は、第三者からうけた損害賠償額の価額の限度において保険給付を行なわないこととなっているが、調整の対象となるのは第三者からうけた損害賠償額の全額でなく、損害賠償額から慰謝料、葬祭料、医療費などを除いた生活保障部分とされている。


【受給権の保護・公課の禁止】 (法41条)

【問題】障害手当金として保険給付を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押さえることはできず、かつ当該給付として支給を受けた金銭を標準として租税その他の公課を課すこともできない。
(平成18年 問4C)
【解答】○
【解説】(法41条)
保険給付を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押えることができないが、年金たる保険給付を受ける権利を別に法律で定めるところにより担保に供すること及び老齢厚生年金、特例老齢年金、脱退手当金及び脱退一時金を受ける権利を国税滞納処分(その例による処分を含む。)により差し押えることは、例外的に可能である。
また、租税その他の公課は、保険給付として支給を受けた金銭を標準として、課することができないが、老齢厚生年金、特例老齢年金、脱退手当金及び脱退一時金については、課税することができるとされている。
よって、障害手当金については受給権の保護及び公課の禁止についての例外に該当せず、原則どおり禁止となっており、問題文は正解である。

【老齢厚生年金の受給権者】 (法42条)

【問題】65歳以上の者であって、厚生年金保険の被保険者期間が1年未満の者は、国民年金法に規定する保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が25年以上あるときであっても、老齢厚生年金を請求することはできない。
(平成20年 問8C)
【解答】×
【解説】(法33条、法42条)
「老齢厚生年金を請求することはできない」の箇所が誤り。
厚生年金保険の被保険者期間が1年未満の者であっても、65歳以上であり、国民年金法に規定する保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が25年以上あるときは、老齢厚生年金の請求をすることができる。

【問題】大正15年4月1日以前生まれの者及び昭和61年4月1日に60歳未満であっても旧厚生年金保険法の老齢年金、通算老齢年金、特例老齢年金の受給権のある者には、老齢厚生年金を支給しない。
(平成18年 問3E)
【解答】○
【解説】(法附則63条1項(昭和60年5月1日法律第34号)
設問のとおり正しい。
昭和61年4月1日に60歳以上の者(大正15年4月1日以前に生まれた者)又は60歳未満で昭和61年4月1日前に既に旧厚生年金保険法又は旧共済年金各法による老齢年金又は退職年金等の受給権が生じていた者には、旧厚生年金保険法による老齢年金及び通算老齢年金が支給されることとされた。
なお、国民年金についても老齢基礎年金が支給されず、旧国民年金法の規定が適用されることになっている。