国民年金法

《目次》

【支給の繰り上げ】 (法附則9条の2)

【問題】昭和16年4月2日以後に生まれた者が繰上げ支給を受ける場合、繰上げを請求した日の属する月から65歳に到達する月の前月までの年数に応じて、6%きざみで年金額が減額される。
(平成13年 問9C)
【解答】×
【解説】(法附則9条の2第3項・4項、令12条の2)
昭和16年4月2日以降に生まれた者が老齢基礎年金の繰上げ支給を受ける場合は、年金額に減額率を乗じて得た額が支給されることになる。
なお、減額率は、1000分の5に当該年金の支給の繰上げを請求した日の属する月から65歳に達する日の属する月の前月までの月数を乗じて計算される。
ようするに、老齢基礎年金の繰上げ請求をした場合は、請求月から65歳到達月の前月までの月数に応じてり0.5%きざみで年金額が減額されることになる。
よって、「年数に応じて6%きざみで年金額が減額される」とした問題文は誤りである。
なお、昭和16年4月1日以前に生まれた者については、請求したときの年齢に応じて、次のように減額率が設定されている。
請求時の年齢 減額率
60歳 42%
61歳 35%
62歳 28%
63歳 20%
64歳 11%


【問題】老齢基礎年金の繰上げ支給の受給者は、付加年金は受給できるが、寡婦年金の支給は受けられない。
(平成13年 問4C)
【解答】○
【解説】(法附則9条の2第5項・6項)
付加年金の受給権者が、老齢基礎年金の繰上げの請求又は繰下げの申出をした場合には、同様に繰上げ又は繰下げが行われ、老齢基礎年金と一緒に支給されることになる。
なお、この場合、付加年金の支給額は、老齢基礎年金の繰上げ又は繰下げと同様に減額又は増額されることになる。
しかし、寡婦年金の受給権は、その受給権者が、繰上げ支給の老齢基礎年金の受給権を取得したときは消滅することになる。
よって、老齢基礎年金の繰上げ支給の受給者は寡婦年金の支給を受けることはできない。

【問題】繰上げ請求した老齢基礎年金の受給権は、請求を行った日に発生し、年金の支払は受給権の発生した日の属する月の翌月から開始される。
(平成14年 問6C)
【解答】○
【解説】(法18条1項、法附則9条の2第3項)
老齢基礎年金の繰上げの請求があったときは、その請求があった日に老齢基礎年金の受給権が発生する。
なお、実際に支給されるのは、受給権が発生した日の属する月の翌月からとなる。

【問題】老齢基礎年金の繰上げ支給を受けると、付加年金も政令で定めた額を減じて繰上げ支給されるが、寡婦年金の受給権は消滅する。
(平成16年 問1C)
【解答】○
【解説】(法附則9条の2第5項・6項)
■繰上げ支給の老齢基礎年金の受給権を取得した場合⇒寡婦年金の受給権は消滅。
■老齢基礎年金の繰上げの請求を行った場合⇒付加年金についても同様に繰上げが行われ、請求日の属する月の翌月から老齢基礎年金と同率で減額されて支給。
■老齢基礎年金の繰上げ請求をした場合
1.寡婦年金の受給権は消滅する。
2.付加年金を受けることができる場合は、老齢基礎年金と同様の率で減額され支給される。
3.事後重症及び基準障害による障害基礎年金、寡婦年金の規定は適用されない。
4.任意加入被保険者になることができない。

【問題】繰上げ支給の老齢基礎年金の受給権者は、国民年金に任意加入することはできない。
(平成17年 問8E)
【解答】○
【解説】(法附則5条、法附則9条の2の3)
老齢基礎年金の繰上げ受給をしている者は、任意加入被保険者になることができない。

【問題】繰上げ支給を受けると、国民年金法第36条第2項ただし書き(その他障害の程度と併せて障害の程度が2級以上に該当したことによる支給停止解除)に係る請求ができなくなる。
(平成23年 問8C)
【解答】○
【解説】(法附則9条の2の3)
■設問のとおり正しい。
■老齢基礎年金の繰上げ支給を受けた者⇒障害基礎年金及び寡婦年金の支給要件の規定上では、65歳に達している者とみなされるために、障害基礎年金、寡婦年金は支給されない。

【問題】60歳以上65歳未満の任意加入被保険者は、任意加入期間中であっても厚生労働大臣に老齢基礎年金の繰上げ支給の請求をすることができる。(一部改正)
(平成18年 問8C)
【解答】×
【解説】(法附則9条の2第1項)
任意加入被保険者については、任意加入期間中は老齢基礎年金の繰上げ支給の請求をすることができないことになっている。
よって、「任意加入期間中であっても厚生労働大臣に老齢基礎年金の繰上げ支給の請求をすることができる」とした問題文は誤りである。

【問題】繰上げ支給を受けると、寡婦年金は支給停止される。
(平成23年 問8D)
【解答】×
【解説】(法附則9条の2)
■繰上げ支給の老齢基礎年金を受給したとき⇒寡婦年金の受給権は消滅。

【問題】繰上げ支給の受給権は、繰上げ請求のあった日の翌日に発生し、受給権発生日の属する月の翌月から支給される。
(平成23年 問8B)
【解答】×
【解説】(法附則9条の2)
■繰上げ支給の老齢基礎年金の受給権⇒繰上げの請求があった日に発生。
■支給開始日⇒は支給すべき事由の生じた日の属する月の翌月。

【問題】老齢基礎年金の支給繰上げの請求をする者が、老齢厚生年金の支給繰上げの請求をすることができる場合は、同時に老齢厚生年金の支給繰上げの請求を行わなければならない。

(平成19年 問1E)
【解答】○
【解説】(法附則9条の2第2項)
老齢基礎年金の繰上げ請求をする者が老齢厚生年金の繰上げ請求を行うことができる場合は、同時に繰上げの請求を行わなければならない。
よって、問題文は正解となる。

【問題】国民年金の任意加入被保険者については、生年月日にかかわらず老齢基礎年金の支給繰上げ請求をすることはできず、また繰上げ支給の老齢基礎年金の受給権者は、任意加入被保険者になることができない。
(平成19年 問8A)
【解答】○
【解説】(法附則9条の2第1項、法附則11条1項(平成6年11月9日法律第95号)、法附則23条1項(平成16年6月11日法律第104号))
国民年金の任意加入被保険者については老齢基礎年金の繰上げの請求を行うことができない。
また、老齢基礎年金の繰上げ支給を受けた場合は、65歳に到達したものとして取扱われるため、任意加入被保険者になることはできない。
よって、問題文は正解となる。

【問題】繰上げ支給の老齢基礎年金の受給権者は、20歳前の障害に基づく事後重症による障害基礎年金の裁定請求をすることはできない。
(平成17年 問4C)
【解答】○
【解説】(法附則9条の2の3)
■設問のとおり正しい。
■繰上げ支給の老齢基礎年金の受給権者⇒65歳に達したものとみなされ、障害基礎年金は支給されない。

【問題】繰上げ支給による老齢基礎年金は、昭和16年4月1日以前に生まれた受給権者が第2号被保険者になったときは、その間支給が停止される。
(平成17年 問4A)
【解答】○
【解説】(法附則9条の2第3項、法附則7条2項(平成6年11月9日法律第95号))
従前は、老齢基礎年金の繰上げ支給を受けた者が、国民年金第2号被保険者となった場合には、その間、繰上げ支給の老齢基礎年金を全額支給停止することとされていたが、平成6年の法改正により、60歳から64歳までの間の老齢厚生年金が報酬比例部分のみの給付とされ、当該報酬比例部分のみの給付と老齢基礎年金とは併せて受給できるようになった。
しかし、この措置は老齢厚生年金の支給開始年齢の引き上げと合わせて講じることとされており、昭和16年4月1日以前に生まれた者については、従前の取扱いと同様に、老齢基礎年金の繰上げ支給を受けている者が、国民年金の第2号被保険者となったときには、老齢基礎年金は支給停止されることになっている。

【問題】昭和16年4月1日以前に生まれた第2号被保険者は、老齢基礎年金の支給の繰上げの請求をすることはできない。
(平成17年 問4D)
【解答】○
【解説】(法附則7条1項(平成6年11月9日法律第95号))
昭和16年4月1日以前に生まれた第2号被保険者は、老齢基礎年金の繰上げ支給の請求をすることができない。(繰上げ支給の老齢基礎年金の受給権者が第2号被保険者になった場合は、支給停止となる。)
しかし、昭和16年4月2日後に生まれた者については、繰上げ支給の請求ができるので注意すること。
なお、理由については本問「A」の解説を参照のこと。

【問題】繰上げ支給の老齢基礎年金の額は、本来の老齢基礎年金の額に減額率を乗じて得た額を当該老齢基礎年金の額から減額した額となるが、減額率は1000分の5(昭和16年4月1日以前に生まれた者を除く。)に当該年金の支給の繰上げを請求した日の属する月から65歳に達する日の属する月の前月までの月数を乗じて得た率である。(一部修正)
(平成21年 問8D)
【解答】○
【解説】(法附則9条の2、令12条の2第1項)
老齢基礎年金の支給の繰上げを受けた場合には、政令で定める額を老齢基礎年金の額から減額することとされている。政令では、本来の老齢基礎年金の額に減額率(1000分の5に支給の繰上げを請求した日の属する月から65歳に達する日の属する月の前月までの月数を乗じて得た率)を乗じて得た額を減額することになっている。なお、昭和16年4月1日以前に生まれた者については、従来の減額率が適用される。
よって、問題文は正解となる

【支給の繰り下げ】 (法28条)

【問題】特別支給の老齢厚生年金の支給を受けていた者は、老齢基礎年金の繰下げ請求をすることはできない。
(平成17年 問4B)
【解答】×
【解説】(法28条1項)
■所定の要件があれば、老齢基礎年金の支給繰下げを申し出ることは可能。
■所定の要件とは⇒その者が65歳に達したときに、他の年金給付(付加年金を除く)若しくは被用者年金各法による年金たる給付(老齢又は退職を支給事由とするものを除く)の受給権者であったとき、又は65歳に達した日から66歳に達した日までの間において他の年金給付(付加年金を除く)若しくは被用者年金各法による年金たる給付(老齢又は退職を支給事由とするものを除く)の受給権者となったとき。

【問題】65歳に達した日以後、老齢基礎年金の受給権を取得した場合、その取得の日から起算して1年を経過する日前に、当該老齢基礎年金を請求していなければ、その老齢基礎年金の支給繰下げの申出をすることができる。
(平成17年 問4E)
【解答】○
【解説】(法28条1項、法附則18条5項(昭和60年5月1日法律第34号))
■設問のとおり正しい。

【問題】65歳に達した日に老齢基礎年金の受給権を取得した者(昭和16年4月2日以後に生まれた者に限る。)の当該年金額は、68歳に達した日に支給繰り下げの申出をしたときは、25.2%増額され、70歳に達した日に支給繰り下げの申出をしたときは、42.0%増額される。
(平成23年 問1B)
【解答】○
【解説】(法28条、令4条の5)
繰下げによる老齢基礎年金の加算額については、本来の年金額に増額率(0.007に老齢基礎年金の受給権を取得した日の属する月から繰下げ支給の申出をした日の属する月の前月までの月数(当該月数が60を超えるときは60)を乗じて得た率)を乗じて得た額とされており、請求時の年齢が68歳の者の場合の増額率は0.252、70歳の者の場合の増額率は0.420とされている。
なお、昭和16年4月1日以前に生まれた者については、従来の増額率が適用されることになっている。
よって、問題文は正解となる。

(参考)
繰下げ支給の増額率
請求時の年齢 66歳 67歳 68歳 69歳 70歳
昭和16年4月2日以後生まれの者 0.084 0.168 0.252 0.336 0.420
昭和16年4月1日以前生まれの者 0.120 0.260 0.430 0.640 0.880
※昭和16年4月2日以後生まれの者の増額率は「0.007に繰下げた月数」を乗じて算出

【問題】特別支給の老齢厚生年金の支給を受けていた者は、老齢基礎年金の支給繰下げの申出をすることができない。
(平成14年 問3D)
【解答】×
【解説】(法28条1項)
老齢基礎年金の受給権を有する者であって66歳に達する前に当該老齢基礎年金を請求していなかったものは、社会保険庁長官に当該老齢基礎年金の支給繰下げの申出をすることができる。
ただし、その者が65歳に達したときに、他の年金給付(付加年金を除く)若しくは被用者年金各法による年金たる給付(老齢又は退職を支給事由とするものを除く)の受給権者であったとき、又は65歳に達した日から66歳に達した日までの間において他の年金給付(付加年金を除く)若しくは被用者年金各法による年金たる給付(老齢又は退職を支給事由とするものを除く)の受給権者となったときは、老齢基礎年金の繰下げの申出をすることができないとされている。
よって、特別支給の老齢厚生年金を受給していた者でも、老齢基礎年金の繰下げの申出をすることができない場合に該当していない限り、繰下げの申出をすることができるので問題文は誤りである。

【問題】障害基礎年金の受給権者(65歳に達したときに受給権を有していた場合又は65歳に達した日から66歳に達した日までの間に受給権を有した場合に限る)は、老齢基礎年金の支給繰下げの申出をすることができない。(一部改正)
(平成14年 問3E)
【解答】○
【解説】(法28条1項)
老齢基礎年金の繰下げの申出をすることができないのは、65歳に達したときに他の年金給付(付加年金を除く)若しくは被用者年金各法による年金たる給付(老齢又は退職を支給事由とするものを除く)の受給権者であったとき、又は65歳に達した日から66歳に達した日までの間において他の年金給付(付加年金を除く)若しくは被用者年金各法による年金たる給付(老齢又は退職を支給事由とするものを除く)の受給権者となったときである。
なお、66歳に達した日後に他の年金給付(付加年金を除く)若しくは被用者年金各法による年金たる給付(老齢又は退職を支給事由とするものを除く)の受給権者となった者が、受給権者となった日以後に老齢基礎年金の繰下げの申出をしたときは、原則として、受給権者となった日において、老齢基礎年金の繰下げの申出があったものとみなされることになっている。(法28条2項)

【問題】老齢基礎年金の受給権を有する者が、65歳に達したときに、共済組合の退職共済年金の受給権者であるときは、老齢基礎年金の支給繰下げの申出はできない。
(平成14年 問1A)
【解答】×
【解説】(法28条1項)
老齢基礎年金の受給権を有する者であって66歳に達する前に当該老齢基礎年金を請求していなかったものは、社会保険庁長官に当該老齢基礎年金の支給繰下げの申出をすることができる。
ただし、その者が65歳に達したときに、他の年金給付(付加年金を除く。)若しくは被用者年金各法による年金たる給付(老齢又は退職を支給事由とするものを除く。)の受給権者であったとき、又は65歳に達した日から66歳に達した日までの間において他の年金給付(付加年金を除く。)若しくは被用者年金各法による年金たる給付(老齢又は退職を支給事由とするものを除く。)の受給権者となったときは、老齢基礎年金の支給繰下げの申出をすることができないとされている。
よって、老齢又は退職を支給事由とする被用者年金各法による年金たる給付の受給権者であっても老齢基礎年金の繰下げ支給の申出をすることが可能であるため、「65歳に達したときに、共済組合の退職共済年金の受給権者であるときは、老齢基礎年金の支給繰下げの申出はできない」とした問題文は誤りとなる。

【問題】66歳に達した日後に他の年金給付の受給権者となった者が、他の年金給付を支給すべき事由が生じた日以後は、老齢基礎年金の繰下げ支給の申出をすることはできない。
(平成21年 問6A)
【解答】×
【解説】(法28条2項)
老齢基礎年金の受給権が発生してから1年経過後に、老齢・退職以外の他の保険事故が発生し、その後に繰下げを申し出た場合は、老齢・退職以外の他の保険事故が発生したところまでの繰下げを認めることとしている。老齢・退職以外の他の保険事故が発生した時点を申出とみなすことにより、老齢基礎年金の受給権が発生してから、他の保険事故が発生した時点までの月数に応じて繰下加算を行うこととされている。
よって、「老齢基礎年金の繰下げ支給の申出をすることはできない」とした問題文は誤りとなる。
なお、支給繰下げの申出を行った者に対する老齢基礎年金の支給は、当該申出のあった月の翌月分からとされており、他の保険事故が発生した時点を申出時点とみなした場合、このときまで遡及して年金の支給が行われてしまうこととなるため、実際の支給開始に関しては、他の保険事故が発生した時点を申出時点とみなすことはしない。(その結果、本来の申出があった月の翌月から支給が開始されることになる。)

【問題】特別支給の老齢厚生年金の支給を受けていた者は、老齢基礎年金の繰下げ支給を請求することはできない。
(平成15年 問8B)
【解答】×
【解説】(法28条1項)
老齢基礎年金の受給権を有する者であって66歳に達する前に当該老齢基礎年金を請求していなかったものは、社会保険庁長官に当該老齢基礎年金の支給繰下げの申出をすることができる。
ただし、その者が65歳に達したときに、他の年金給付(付加年金を除く)若しくは被用者年金各法による年金たる給付(老齢又は退職を支給事由とするものを除く)の受給権者であったとき、又は65歳に達した日から66歳に達した日までの間において他の年金給付(付加年金を除く)若しくは被用者年金各法による年金たる給付(老齢又は退職を支給事由とするものを除く)の受給権者となったときは、老齢基礎年金の繰下げの申出をすることができないとされている。
よって、特別支給の老齢厚生年金を受給していた者でも、老齢基礎年金の繰下げの申出をすることができない場合に該当していない限り、繰下げの申出をすることができるので問題文は誤りである。

【問題】繰上げ支給及び繰下げ支給は、いずれも国民年金法の附則において当分の間の措置として規定されている。
(平成23年 問8A)
【解答】×
【解説】(法28条、法附則9条の2)
■老齢基礎年金の支給の繰下げ⇒国民年金法(法28条)に規定。
■老齢基礎年金の支給の繰上げ⇒法附則(9条の2)に規定。

【問題】66歳に達した日後に他の年金給付の受給権者となった者が、他の年金給付を支給すべき事由が生じた日以後は、老齢基礎年金の繰下げ支給の申出をすることはできない。
(平成21年 問6A)
【解答】×
【解説】(法28条2項)
老齢基礎年金の受給権が発生してから1年経過後に、老齢・退職以外の他の保険事故が発生し、その後に繰下げを申し出た場合は、老齢・退職以外の他の保険事故が発生したところまでの繰下げを認めることとしている。老齢・退職以外の他の保険事故が発生した時点を申出とみなすことにより、老齢基礎年金の受給権が発生してから、他の保険事故が発生した時点までの月数に応じて繰下加算を行うこととされている。
よって、「老齢基礎年金の繰下げ支給の申出をすることはできない」とした問題文は誤りとなる。
なお、支給繰下げの申出を行った者に対する老齢基礎年金の支給は、当該申出のあった月の翌月分からとされており、他の保険事故が発生した時点を申出時点とみなした場合、このときまで遡及して年金の支給が行われてしまうこととなるため、実際の支給開始に関しては、他の保険事故が発生した時点を申出時点とみなすことはしない。(その結果、本来の申出があった月の翌月から支給が開始されることになる。)

【問題】障害基礎年金の支給を受けていたが支給停止となり65歳に達して失権した者並びに遺族厚生年金の受給権者は、老齢基礎年金の支給繰下げの申出をすることはできない。
(平成14年 問7C)
【解答】×
【解説】(法28条1項)
老齢基礎年金の繰下げの申出をすることができないのは、65歳に達したときに他の年金給付(付加年金を除く)若しくは被用者年金各法による年金たる給付(老齢又は退職を支給事由とするものを除く)の受給権者であったとき、又は65歳に達した日から66歳に達した日までの間において他の年金給付(付加年金を除く)若しくは被用者年金各法による年金たる給付(老齢又は退職を支給事由とするものを除く)の受給権者となったときである。
よって、障害基礎年金の支給を受けていたが65歳に達して失権した者は、65歳に達したときに他の年金給付の受給権者という要件に該当せず、老齢基礎年金の繰下げの申出をすることができるので、問題文は誤りとなる。
なお、遺族厚生年金の受給権者については、被用者年金各法による年金たる給付の受給権者という要件に該当するため老齢基礎年金の繰下げの申出をすることができない。

【問題】振替加算の加算される老齢基礎年金の支給の繰下げの申出をしたとき振替加算も繰下げ支給され、振替加算額に政令で定める増額率を乗じて得た額が加算される。
(平成15年 問4B)
【解答】×
【解説】(法附則14条1項(昭和60年5月1日法律第34号))
老齢基礎年金の繰下げの申出を行ったときは、同時に振替加算も繰下げて支給されることになっている。
なお、繰下げの申出を行った場合、老齢基礎年金には、政令で定める率を乗じて得た額が加算されることになっているが、振替加算に対しては支給繰下げの加算は行われない。
よって、「振替加算額に政令で定める増額率を乗じて得た額が加算される」とした問題文は誤りとなる。