労働基準法

《目次》【1カ月単位の変形労働時間制】【フレックスタイム制】

【1年単位の変形労働時間制】【1週間単位の非定形的変形労働時間制】

【1カ月単位の変形労働時間制】 (法32条の2)

【問題】労働基準法第32条の2に規定するいわゆる1か月単位の変形労働時間制については、当該変形期間を平均し1週間当たりの労働時間が4時間の範囲内である限り、使用者は、当該変形期間の途中において、業務の都合によって任意に労働時間を変更することができる。

(平成18年 問4A)

【解答】×
【解説】(法32条の2、昭和63年1月1日基発1号・ 婦発1号)
■1箇月単位の変形労働時間制⇒労使協定又は就業規則その他これに準ずるものにより、変形期間における各日、各週の労働時間を具体的に定めることが必要。
■変形期間の途中で、使用者が業務の都合によって任意に労働時間を変更することはできない。


【問題】1か月単位の変形労働時間制を採用した場合、変形期間を平均し1週間当たりの労働時間が週法定労働時間以内となるようにするために行う、変形期間における所定労働時間の総枠の計算は、次の式によって行う。

その事業場の週法定労働時間×変形期間の暦日数÷7

(平成19年 問5D)

【解答】○

【解説】(法32条の2、昭和63年1月1日基発1号、平成6年3月31日基発181号)

■1箇月単位の変形労働時間制を採用する場合⇒変形期間を平均し1週間の労働時間が法定労働時間を超えない定めをすることが条件。


【問題】1か月単位の変形労働時間制を採用した場合、変形期間を平均し1週間当たりの労働時間が週法定労働時間以内となるようにするために行う、変形期間における所定労働時間の総枠の計算は、次の式によって行う。
(その事業場の週法定労働時間×変形期間の労働日数)÷7

(平成13年 問6A)

【解答】×

【解説】(法32条の2、昭和63年1月1日基発1号)
■計算式中の「変形期間の労働日数」⇒「変形期間の歴日数」にすれば正しい。
例えば、1週間の法定労働時間が40時間の事業で、
・30日を単位とする場合⇒171.4時間
・31日を単位とする場合⇒177.1時間
が労働時間の総枠。


【問題】勤務ダイヤによるいわゆる1か月単位の変形労働時間制を就業規則によって採用する場合に、業務の実態から月ごとに勤務割を作成する必要があるときには、就業規則において各直勤務の始業終業時刻、各直勤務の組合せの考え方、勤務割表の作成手続及びその周知方法等を定めておき、それにしたがって各日ごとの勤務割は、変形期間の開始前までに具体的に特定すればよいこととされている。

(平成18年 問4B)

【解答】○

【解説】(法32条の2、昭和63年3月14日基発150号)
■業務の実態から月ごとに勤務割を作成する必要がある場合⇒就業規則において各直勤務の始業及び終業時刻、各直勤務の組合せの考え方、勤務割表の作成手続及びその周知方法等を定めておく必要がある。
■各日ごとの勤務割は、変形期間の開始前までに具体的に特定することで足りる。 


【問題】労働基準法第32条の2に定めるいわゆる1か月単位の変形労働時間制を採用する場合には、労使協定による定め又は就業規則その他これに準ずるものにより、変形期間における各日、各週の労働時間を具体的に定めることを要し、変形期間を平均して週40時間の範囲内であっても、使用者が業務の都合によって任意に労働時間を変更するような制度はこれに該当しない。

(平成22年 問5A)
【解答】○
【解説】(法32条の2、昭和63年1月1日基発1号)
■1箇月単位の変形労働時間制を採用する場合⇒使用者が業務の都合によって任意に労働時間を変更するような制度はこれに該当しない。


【問題】労働基準法第32条の2等の規定によるいわゆる変形労働時間制により労働させる場合においても、同法第36条第1項ただし書の規定により、該当の有害業務については、1日について10時間を超えて労働させてはならないと解されている。

(平成16年 問4B)

【解答】×

【解説】(法36条1項但書、平成11年3月31日基発168号)
■労働時間延長を1日2時間までに制限する規定は、必ずしも「1日についての法定労働時間である8時間を超える部分が対象になる」という意味ではない。
■変形労働時間制を採用している場合の特定日についての所定労働時間が10時間である場合、12時間まで労働させることが可能。


【問題】労働基準法第32条の2第1項の規定に基づき、1か月単位の変形労働時間制を採用している事業場において、就業規則で休日振替を規定している場合、ある週における1日の休日を同じ変形期間中の他の週に振り替えたとき、振替えによって労働日が増えた週は週の労働時間が40時間を超えることとなったとしても、当該事業場は1か月単位の変形労働時間制を採用しているところから1か月内の合計の労働時間数に変わりはないので、時間外労働の問題は生じない。

(平成17年 問3D)

【解答】×

【解説】(法32条の2第1項、法35条、法37条)
■1か月単位の変形労働時間制を採用し、休日振替を行い、あらかじめ「週40時間を超える定め」を行っていない週に週40時間を超えて労働させることになった場合には、時間外労働となり、割増賃金を支払う必要がある。


【フレックスタイム制】 (法32条の3)

【問題】フレックスタイム制を採用する場合には、始業及び終業の時刻を労働者の決定にゆだねることとし、かつ、労使協定により、清算期間、清算期間における総労働時間、標準となる1日の労働時間、フレキシブルタイム(労働者がその選択により労働することができる時間帯)及びコアタイム(労働者が労働しなければならない時間帯)を定めなければならない。

(平成13年 問6B)

【解答】×

【解説】(法32条の3、則12条の3)
■フレキシブルタイム及びコアタイム⇒定めることが義務づけられているわけではない。
フレキシブルタイム及びコアタイムを定める場合⇒その時間帯の開始及び終了の時刻を決めておく必要がある。


【問題】フレックスタイム制においては、始業及び終業の時刻を、対象となる労働者の決定にゆだねているところから、フレックスタイム制を採用する事業場においては、使用者は、対象労働者については、各労働者の各日の労働時間の把握を行う必要はない。

(平成17年 問2E)

【解答】×

【解説】(法32条の3、昭和63年3月14日基発150号)
■フレックスタイム制を採用している事業場であっても、使用者は各労働者の各日の労働時間を把握しておく必要がある。


【問題】派遣中の労働者の派遣就業に関し、派遣先の事業主が、当該派遣労働者をフレックスタイム制の下で労働させる場合には、当該派遣労働者の派遣元の使用者が労働基準法に定める所要の手続を行う必要がある。

(平成15年 問5E)

【解答】○

【解説】(法32条の3、昭和63年1月1日基発1号)
■派遣労働者をフレックスタイム制で労働させるためには⇒
・派遣元事業場の使用者が就業規則等に「始業及び終業の時刻を派遣労働者の決定にゆだねる」こと
・派遣元事業場において労使協定を締結
・所定の事項について協定することが必要
・合わせて、派遣元と派遣先の労働者派遣契約において当該派遣労働者をフレックスタイム制により労働させることを定めておく。


【問題】労働基準法第32条の3に規定するいわゆるフレックスタイム制を採用するに当たっては、使用者は、原則として、当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定により一定の事項を定めて実施する必要があるが、必ずしもその事業場の労働者の過半数がフレックスタイム制の適用を受ける場合でなくともこの制度を採用することができる。

(平成14年 問4B)

【解答】○

【解説】(法32条の3)
■フレックスタイム制の適用をうける労働者の範囲⇒労使間で任意に決定可能。


【問題】労働基準法施行規則において、使用者は、労働者に、いわゆる一か月単位の変形労働時間制、フレックスタイム制、一年単位の変形労働時間制又は一週間単位の非定型的変形労働時間制により労働させる場合には、育児を行う者その他特別の配慮を要する者については、これらの者が育児等に必要な時間を確保できるような配慮をしなければならない旨規定されている。

(平成15年 問6E)

【解答】×

【解説】(則12条の6)
■フレックスタイム制で労働させる場合⇒育児等に必要な時間を確保するように配慮を要する対象になっていないので誤り。


【1年単位の変形労働時間制】 (法32条の4)

【問題】労働基準法第32条の4に定めるいわゆる1年単位の変形労働時間制においては、1日10時間、1週52時間という労働時間の上限が定められているため、この範囲において労働する限り、どのような場合においても対象期間における各労働日ごとの労働時間をあらかじめ特定しておく必要はない。

(平成22年 問5B)

【解答】×

【解説】(法32条の4)
■1年単位の変形労働時間制を採用する場合には、下記の事項について労使協定を定め行政官庁に届出る必要がある。
①対象となる労働者の範囲
②対象期間(1月を超え1年以内の期間)及び起算日
③特定期間(対象期間中の特に業務が繁忙な期間)
④労働日及び労働日ごとの労働時間
⑤労使協定の有効期間

■当然、対象期間における各労働日ごとの労働時間をあらかじめ特定しておく必要。
■「労働日及び労働日ごとの労働時間」の特定の仕方⇒対象期間を1箇月以上の期間ごとに区分することとした場合
⇒当該区分による各期間のうち当該対象期間の初日の属する期間(最初の期間)における労働日及び当該労働日ごとの労働時間並びに当該最初の期間を除く各期間における労働日数及び総労働時間を定めることが必要。


【問題】労働基準法第32条の4に規定するいわゆる1年単位の変形労働時間制を採用する事業場において、その対象となる労働者が対象期間中に退職した場合、当該労働者について、当該労働させた期間を平均し1週間当たり40時間を超えて労働させた場合においては、その超えた時間(同法第33条又は第36条第1項の規定により延長し、又は休日に労働させた時間を除く。)の労働については、同法第37条の規定の例により割増賃金を支払わなければならないが、これを支払わない場合には、同法第24条違反となる。

(平成17年 問2D)

【解答】○

【解説】(法32条の4の2、平成11年1月29日基発45号)
■1年単位の変形労働時間制の対象期間の途中で退職した労働者の時間外労働については、通常通り割増賃金が発生。


【問題】労働基準法第32条の4第1項に規定するいわゆる1年単位の変形労働時間制を採用する場合において、労使協定により、対象期間を1か月以上の期間ごとに区分することとしたときは、使用者は、当該区分による各期間のうち最初の期間における労働日と当該労働日ごとの労働時間を特定し、当該最初の期間以外の期間における労働日数と総労働時間を定め、当該最初の期間以外の各期間の初日の少なくとも30日前までに、個々の対象労働者の同意を得て、当該労働日数を超えない範囲内において当該各期間における労働日及び当該総労働時間を超えない範囲内において当該各期間における労働日ごとの労働時間を定めなければならない。

(平成18年 問4D)

【解答】×

【解説】(法32条の4第2項)
■「個々の対象労働者の同意」を得ることまでは必要とされていないためのため誤り。

 


【1週間単位の非定形的変形労働時間制】 (法32条の5)

【問題】労働基準法第32条の5に定めるいわゆる1週間単位の非定型的変形労働時間制については、日ごとの業務の繁閑を予測することが困難な事業に認められる制度であるため、1日の労働時間の上限は定められていない。

(平成22年 問5C)

【解答】×

【解説】(法32条の5、昭和63年1月1日基発1号)
1週間単位の非定型的変形労働時間制の1日の所定労働時間の上限⇒10時間。


【問題】労働基準法第38条第1項に定める事業場を異にする場合の労働時間の通算については、同一事業主に属する異なった事業場において労働する場合にのみ適用されるものであり、事業主を異にする複数の事業場において労働する場合には適用されない。

(平成22年 問5D)
【解答】×

【解説】(法38条1項、昭和23年5月14日基発769号)
■労働時間は、事業場を異にする場合⇒労働時間に関する規定の適用については通算
■「事業場を異にする場合」とは、事業主を異にする場合も含まれている。


【災害等による臨時の必要がある場合の時間外労働等】 (法33条)

【問題】労働基準法第33条第1項に定める災害等による臨時の必要がある場合の時間外労働、休日労働については、行政官庁の許可を受けて、その必要の限度において行わせることができる。ただし、事態急迫のために行政官庁の許可を受ける暇がない場合においては、事後に遅滞なく届け出なければならないとされている。

(平成22年 問4D)

【解答】○

【解説】(法33条1項)
■設問は、法33条の非常災害時・公務の場合の時間外労働等についての定義そのもので正しい


【問題】使用者は、物品の販売の事業のうち常時10人未満の労働者を使用するものについては、労働基準法第32条の規定にかかわらず、1週間について44時間、1日について8時間まで労働させることができる。

(平成18年 問3E)
【解答】○

【解説】(法40条1項、則25条の2第1項)
■①商業 ②映画、演劇業 ③保健衛生 ④接客娯楽業に掲げる事業
■常時10人未満の労働者を使用
⇒法定労働時間の規定にかかわらず、1週間について44時間、1日について8時間まで労働させることができます。


【問題】使用者は、労働基準法別表第1第13号の保健衛生の事業のうち常時10人未満の労働者を使用するものについては、1週間について44時間、1日について8時間まで労働させることができる。また、この特例の下に、1か月単位の変形労働時間制、フレックスタイム制及び1年単位の変形労働時間制を採用することができる。

(平成17年 問7C) 

【解答】×

【解説】(法32条の4第1項、法40条、則25条の2)
労働時間の特例と変形労働時間制の問題です。
保健衛生の事業のうち常時10人未満の労働者を使用するものについては、労働時間の特例により1日8時間、1週44時間が法定労働時間とすることができます。
1カ月単位の変形労働時間制、フレックスタイム制については、労働時間の特例により週44時間以内での制度が可能ですが、1年単位の変形労働時間制及び1週間単位の非定型変形労働時間制を採用する場合には、週40時間以内にしなければなりません。
つまり、労働時間の特例が使用できないということです。


【問題】労働基準法施行規則第23条の規定に基づき宿直の勤務で断続的な業務について許可を受けようとする場合には、宿直勤務1回についての宿直手当の最低額は、当該事業場において宿直の勤務に就くことの予定されている同種の労働者に対して支払われている賃金(労働基準法第37条の割増賃金の基礎となる賃金に限る。)の1人1日平均額の2分の1を下回らないものでなければ所轄労働基準監督署長の許可を受けることはできない。

(平成17年 問2A)

【解答)×

【解説】(法41条3号、則23条、昭和63年3月14日基発150号)
所轄労働基準監督署長の許可を得るには、宿直手当の1回の額⇒「1人1日の平均額の3分の1」を下回らないものである必要があります。

 


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