労働基準法

【年次有給休暇の計画的付与】 (法39条6項)

【問題】使用者は、労働基準法第32条の3の規定によりその労働者に係る始業及び終業の時刻をその労働者の決定にゆだねる、いわゆるフレックスタイム制の適用を受ける労働者についても、同法第39条第6項に定める年次有給休暇の計画的付与の対象とすることができる。

平成25年 問2A)
【解答】○
【解説】
■フレックスタイム制の適用を受ける労働者⇒年次有給休暇の計画的付与の対象となる労働者に含まれる。


【問題】労働基準法第39条第6項に定める年次有給休暇の計画的付与は、当該事業場の労使協定に基づいて年次有給休暇を計画的に付与しようとするものであり、個々の労働者ごとに付与時期を異なるものとすることなく、事業場全体で一斉に付与しなければならない。

(平成22年 問6C)
【解答】×

【解説】(法39条6項、昭和63年1月1日基発1号)
■年次有給休暇の計画的付与の方式⇒
・事業場全体の休業による一斉付与方式
・班別の交替制付与方式
・年次有給休暇付与計画表による個人別付与方式
等がある。


【問題】労働基準法第39条第6項の規定に基づくいわゆる労使協定による有給休暇を与える時季に関する定めは、免罰的効力を有するに過ぎないので、同条第4項の規定に基づく個々の労働者のいわゆる時季指定権の行使を制約するには、さらに就業規則上の根拠を必要とする。

(平成17年 問4D)

【解答】×

【解説】(法39条6項、昭和63年3月14日基発150号)
■労使協定により、年次有給休暇の計画的付与を行った場合は⇒労使ともにこの定めに拘束される。
つまり、労働者の時季指定権及び使用者の時季変更権は行使できなくなる。


【問題】いわゆる年次有給休暇の計画的付与の対象となる年次有給休暇の日数については、前年度から繰り越された有給休暇日数は含まれないところから、前年度から年次有給休暇日数が3日繰り越され、当年度に新たに12日分の権利が発生した労働者については、当年度に新たに発生した12日分の権利のうち5日を超える部分である7日に限り計画的付与の対象とすることができる。

(平成17年 問4E)

【解答】×

【解説】(法39条6項、昭和63年3月14日基発150号)
年次有給休暇の計画的付与の対象となる「5日を超える日数」⇒前年度からの繰り越し分の日数も含まれる。
■設問の場合は、前年度繰り越し分3日分と当年度分の12日分の計15日分の権利のうち5日を越える部分である10日分が計画的付与の対象に。


【問題】労働基準法第39条第6項に定める年次有給休暇の計画的付与は、当該事業場の労使協定に基づいて年次有給休暇を計画的に付与しようとするものであり、個々の労働者ごとに付与時期を異なるものとすることなく、事業場全体で一斉に付与しなければならない。

(平成22年 問6D)
【解答】×

【解説】(法39条6項、昭和63年1月1日基発1号)
■年次有給休暇の計画的付与は、事業場全体の休業による一斉付与に限定されていないので誤り。


【問題】労働基準法第39条第6項の規定に基づき、労使協定により年次有給休暇の計画的付与の定めがなされた場合には、使用者は、年次有給休暇の日数のうち5日を超える部分については、労働者の時季指定にかかわらず、当該労使協定の定めに従って年次有給休暇を付与することができる。(一部改正)

(平成20年 問5D)
【解答】○
【解説】(法39条6項、昭和63年3月14日基発150号)
■使用者は、労使協定により有給休暇を与える時季に関する定めをしたときは⇒有給休暇の日数のうち5日を超える部分については、その定めにより有給休暇を与えることができる。
計画的付与の場合⇒労働者の時季指定権及び使用者の時季変更権はともに行使できない。


【問題】いわゆる計画年休制度を採用している事業場で、労働基準法第39条第5項の規定に基づく労使協定によって年次有給休暇を与える時季に関する定めをした場合において、当該労使協定によって計画的付与の対象となっている労働者について計画年休期間中に労働させる必要が生じたときには、使用者は、相当程度の時間的余裕をもって行えば、当該労働者について、時季変更権を行使することができる。

(平成15年 問5C)

【解答】×

【解説】(法39条6項、昭和63年3月14日基発150号)
■年次有給休暇の計画的付与を採用した場合⇒労働者の時季指定権、使用者の時季変更権はともに行使できない。


【年次有給休暇の期間又は時間の賃金】 (法39条7項)

【問題】労働基準法第39条の規定による年次有給休暇の期間又は時間については、平均賃金、所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金又は健康保険法第99条第1項に定める標準報酬日額に相当する金額のいずれかを、年次有給休暇を取得した労働者の指定するところに従い支払わなければならない。

平成25年 問2B)
【解答】×
【解説】 
■「労働者の指定するところに従い」⇒「就業規則その他これに準ずるもので定めるところにより」にすれば正しい。
■(原則)使用者は、就業規則その他これに準ずるもので定めるところにより、
・平均賃金若しくは
・所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金又は
・これらの額を基準として厚生労働省令で定めるところにより算定した額の賃金を支払わなければならない。
■(例外)
当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、
⇒その期間又はその時間について、健康保険法第99条第1項に定める標準報酬日額に相当する金額又は当該金額を基準として厚生労働省令で定めるところにより算定した金額を支払う旨を定めたときは、これによらなければならない。


【問題】労働基準法第39条第7項の規定による所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金は、出来高払制その他の請負制によって定められた賃金にあっては、その賃金算定期間(当該期間に出来高払制その他の請負制によって計算された賃金がない場合においては、当該期間前において出来高払制その他の請負制によって計算された賃金が支払われた最後の賃金算定期間)において出来高払制その他の請負制によって計算された賃金の総額を当該賃金算定期間における総労働時間数で除した金額に、当該賃金算定期間における1日平均所定労働時間数を乗じて算定される。

(平成18年 問6E)

【解答】○

【解説】(法39条7項、則25条6号)
■年次有給休暇の際に支払うべき賃金として、出来高払制その他の請負制の場合⇒賃金算定期間の1時間当たりの賃金額に、1日の平均所定労働時間数を乗じて算定されることになっているので正解。


【問題】1日の所定労働時間4時間、1週の所定労働日数3日の勤務形態で採用されたパートタイム労働者が、その雇入れの日から起算して6か月間継続勤務し全労働日の8割以上出勤した場合において、当該6か月間勤務した日の翌日に、週3日勤務のままで1日の所定労働時間数が6時間に変更となった。その場合において、就業規則により年次有給休暇の期間については所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金を支払うこととしている場合においては、年次有給休暇の賃金について、1日当たり4時間分の賃金を支払えば足りる。

(平成17年 問4B)

【解答】×
【解説】(法39条7項、平成11年3月31日基発168号)
■年次有給休暇の賃金⇒年次有給休暇取得日におけるその者の所定労働時間に応じた賃金を支払う必要がある。
■設問では、年次有給休暇の賃金について、1日あたり6時間分の賃金を支払う必要がある。


【問題】年次有給休暇の期間について、就業規則により所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金を支払うこととしている場合において、いわゆる変形労働時間制を採用していることにより各日の所定労働時間が異なるときは、時給制の労働者に対しては、変形期間における1日当たりの平均所定労働時間に応じて算定される賃金を支払わなければならない。

(平成16年 問6B)

【解説】×

【解答】(法39条7項、昭和63年3月14日基発150号)
■年次有給休暇の際に支払うべき賃金⇒「所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金」
■変形労働時間制を採用している事業所で、時給制で勤務する労働者が年次有給休暇を取得した場合⇒時給の金額に「その日の所定労働時間数」を乗じた金額になる。
■設問のように、「平均所定労働時間」に応じて算定される賃金ではない。


【不利益取り扱いの禁止】 (法附則136条)

【問題】使用者は、労働基準法附則第136条の規定により、年次有給休暇を取得した労働者に対して、賃金の減額その他不利益な取扱いをしないようにしなければならないとされているが、不利益な取扱いの理由について行政官庁の認定を受けた場合は、この規定は適用されない。

(平成20年 問5E)

【解答】×

【解説】(法附則136条)
■前半の論点は正しい。

■後半の「不利益な取扱いの理由について行政官庁の認定を受けた場合にこの規定を排除できる」規定はないので誤り。


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