【労働基準法違反の労働契約】 (法13条)

【問題】労働基準法は、同法の定める基準に達しない労働条件を定める労働契約について、その部分を無効とするだけでなく、無効となった部分を同法所定の基準で補充することも定めている。

平成25年 問6A)

【解答】○

【解説】法13条

■無効となった部分➠労働基準法で定める基準による。

■労働基準法の定める基準に達しない労働条件を定める労働契約について➠その部分を無効とするだけでは、無効となった部分を同法所定の基準で補充


【問題】労働基準法で定める基準に違反する労働条件を定める労働契約の部分は、労働基準法で定める基準より労働者に有利なものも含めて、無効となる。

(平成21年 問2A)

【解答】×

【解説】(法13条)
■労働基準法で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、すべてが無効になるわけではなく、その部分についてのみ無効となります。
■すべてが無効になると労働者に不利益が生じることになり、あくまで基準に達しない部分のみ無効。


【契約期間】 (法14条1項)

【問題】労働契約は、期間の定めのないものを除き、一定の事業の完了に必要な期間を定めるもののほかは、3年(労働基準法第14条第1項の各号のいずれかに該当する労働契約にあっては、5年)を超える期間について締結してはならず、また、期間を定める労働契約の更新によって継続雇用期間が10年を超えることがあってはならない。

(平成23年 問2A)

【解答】×

【解説】(法14条1項)
■労働契約⇒期間の定めのないものを除き、一定の事業の完了に必要な期間を定めるもののほかは、3年(労基法14条1項の各号のいずれかに該当する労働契約にあっては、5年)を超える期間について締結してはならない。
■「期間を定める労働契約の更新によって継続雇用期間が10年を超えることがあってはならない」という規定はそもそもないので後半が誤り。

【学習POINT】
■設問のように世の中にない規定を問題として作成することがあります。

過去問を学習する上で特に気をつけることは、このような問題は繰り返し読まないことです。


【問題】労働基準法第14条第1項第1号の高度の専門的知識等を有する労働者であっても、当該高度の専門的知識等を必要とする業務に就かない場合には、労働契約の期間は3年が上限である。

(平成16年 2B)

【解答】○

【解説】(法14条1項)
■高度の専門的知識等を有していても実際にその業務に従事していなければ、労働契約の期間は3年が上限。

実態に応じて判断する問題。


【問題】労働基準法第14条第1項では、労働契約は、期間の定めのないものを除き一定の事業の完了に必要な期間を定めるもののほかは、3年(弁護士、社会保険労務士等に係る労働契約で同項第1号に該当するもの、又は同項第2号に該当するものについては5年)を超える期間について締結してはならないこととされている。この労働基準法第14条第1項に規定する期間を超える期間を定めた労働契約を締結した場合は、同条違反となり、当該労働契約の期間は、同項第1号又は第2号に該当するものについては5年、その他のものについては3年となる。

(平成16年 問2A)

【解答】○

【解説】(法13条、法14条1項、法120条)
■労働契約には、大きく分けて2つ。
「期間の定めのない契約」と「期間の定めのある契約」
次に、 「期間の定めのある契約」の上限⇒原則3年。

(例外)
①一定の事業の完了に必要な期間を定めるもの⇒終了するまで
②認定職業訓練のため長期の訓練期間を要するもの⇒終了するまで

「専門的知識等を有しこれを必要とする業務」
「満60歳以上」
上記2つの労働契約⇒上限5年
■上限を超えた場合(法14条違反)は、30万円以下の罰金


【有期労働契約】 (法14条2項・3項)

【問題】労働基準法第14条第2項の規定に基づく「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準(平成15年厚生労働省告示357号)」によると、期間が2カ月の労働契約(あらかじめ当該契約を更新しない旨明示されているものを除く。)を3回更新し、4回目に更新しないこととしようとする使用者は、少なくとも当該契約の期間の満了する日の30日前までに、その予告をしなければならない。

(平成24年 問2A)

【解答】〇

【解説】(法14条2項、平成15年10月22日厚生労働省告示357号)

■雇止めの予告が必要な有期労働契約⇒

①当該契約を3回以上更新している場合。

②雇入れの日から起算して1年を超えて継続勤務している場合。

上記のいずれかに該当すれば予告が必要。


【問題】期間の定めのある労働契約の締結時及び当該労働契約の期間の満了時において労働者と使用者との間に紛争が生ずることを未然に防止するため、「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」(以下「有期労働契約基準」という。)において、使用者は、期間の定めのある労働契約の締結に際し、労働者に対して、当該契約の期間の満了後における当該契約に係る更新の有無を明示しなければならず、また、当該契約を更新する場合がある旨明示したときは、更新する場合又はしない場合の判断の基準を明示しなければならないとされている。

(平成16年 問2C)

【解答】○

【解説】
有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準(平成20年1月23日厚労告12号)の通りで正しい。


【問題】労働基準法第14条第2項の規定に基づく「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」によれば、期間の定めのある労働契約(当該契約を3回以上更新し、又は雇入れの日から起算して1年を超えて継続勤務している者に係るものに限り、あらかじめ当該契約を更新しない旨明示されているものを除く。)が更新されなかった場合において、労働者が更新しなかった理由について証明書を請求したときは、使用者は、遅滞なくこれを交付しなければならない。

(平成18年 問7C)

【解答】○

【解説】(法14条2項、有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準(平成20年1月23日厚労告12号))
■「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」からの出題。

■使用者は、有期労働契約(当該契約を3回以上更新し、又は雇入れの日から起算して1年を超えて継続勤務している者に係るものに限り、あらかじめ当該契約を更新しない旨明示されているものを除く。)を更新しないこととしようとする場合
⇒少なくとも当該契約の期間の満了する日の30日前までに、その予告をしなければならない。

■労働者が更新しないこととする理由について証明書を請求したとき⇒遅滞なくこれを交付しなければならない。

■合わせて、有期労働契約が更新されなかった場合⇒使用者は、更新しなかった理由について労働者が証明書を請求したとき⇒遅滞なくこれを交付しなければならない。


【問題】ある使用者が、その期間が3か月の労働契約を2回更新し、3回目を更新しないこととした。その場合には、労働基準法第14条第2項の規定に基づく「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」によれば、少なくとも当該契約の期間の満了する日の30日前までに、その予告をしなければならない。
(平成19年 問4D)
【解答】×
【解説】(法14条2項、有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準(平成20年1月23日厚生労働省告示第12号)第2条)
■使用者は、有期労働契約(当該契約を3回以上更新し、又は雇入れの日から起算して1年を超えて継続勤務している者に係るものに限り、あらかじめ当該契約を更新しない旨明示されているものを除く。)を更新しないこととしようとする場合

少なくとも当該契約の期間の満了する日の30日前までに、その予告をしなければならない。


【有期労働契約についての暫定措置】(法附則137条)

【問題】満60歳以上で薬剤師の資格を有する者が、ある事業場で3年の期間を定めた労働契約を締結して薬剤師以外の業務に就いていた場合は、その者は、民法628条の規定にかかわらず、労働基準法第137条の規定に基づき、当該労働契約の期間の初日から1年を経過した日以後においては、その使用者に申し出ることにより、いつでも退職することができる。

(平成24年 問2C)

【解答】×

【解説】(法附則137条)

■設問の労働契約は、満60歳以上の労働者との間の労働契約のため、1年を経過した後でも任意退職できない。

■有期労働契約の期間の初日から1年を経過した日以後に任意退職を認める特例

⇒労働契約期間の上限5年の満60歳以上の労働者には適用されない。


【問題】平成16年5月に満60歳の誕生日を迎えたある労働者が、同年8月に3年の期間を定めた労働契約を締結した場合において、本年(平成18年)8月に他の有利な条件の転職先をみつけて退職することを決意した。この場合、当該労働者は、労働基準法第137条の規定により、当該使用者に申し出ることにより、いつでも退職することができる。

(平成18年 問7D)

【解答】×

【解説】(法14条1項2号、法附則137条、民法628条)
■期間の定めのある労働契約(その期間が1年を超えるものに限る。)を締結した労働者は、民法第628条の規定にかかわらず、当該労働契約の期間の初日から1年を経過した日以後においては、その使用者に申し出ることにより、いつでも退職することが可能

(例外)一定の措置が講じられる労働者の中には

上限5年の

①専門的知識等を有する労働者

②満60歳以上

は除かれる。

今回の設問では、契約してから3年が経過していないので、やむを得ない理由等がなければ、 原則退職できない。


【問題】一定の事業の完了に必要な期間を定めるものを除き、1年を超える期間の定めのある労働契約を締結した労働者(労働基準法第14条第1項各号に規定する労働者を除く。)は、民法第628条の規定にかかわらず、当該労働契約の期間の初日から6か月を経過した日以後においては、その使用者に申し出ることにより、いつでも退職することができる。

(平成16年 問2D)

【解答】×

【解説】(法附則137条)
民法628条⇒有期労働契約を締結した場合でも、やむを得ない理由がある場合には、直ちに契約を解除することが可能。
ただし、その事由が当事者の一方の過失によって生じたものであるとき1年を経過した日以後は相手側に対して損害賠償の責任を負うことが規定。

民法をそのまま適用すると労働者にとって大きな痛手になるので、労働基準法・法附則137条では、1年を超えて勤務している労働者が、有期労働契約を一方的に解除した場合でも損害賠償の責任を負うことがないように修正。 


【問題】使用者は、労働基準法第15条(労働条件の明示)の規定に基づき、労働契約の締結に際し、労働者に対して、「所定労働時間を超える労働の有無」及び「所定労働日以外の日の労働の有無」について、書面の交付により明示しなければならないこととされている。

(平成18年 問3C)

【解答】×

【解説】(法15条1項、則5条)
使用者は、労働契約の締結に際し、次の労働条件を明示しなければなりません。
①労働契約の期間に関する事項
②就業の場所及び従事すべき業務に関する事項
③始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を2組以上に分けて就業させる場合における就業時転換に関する事項
④賃金の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項
「所定労働日以外の日の労働の有無」については、労働条件の明示事項に含まれていないので誤りになります。


【賠償予定等の禁止】(法16条)


【問題】使用者は、労働契約の不履行について、労働者に対し損害賠償を請求してはならない。
(平成20年 問1B)
【解答】×
【解説】(法16条、昭和22年9月13日発基17)
■使用者が実際に損害を受けた場合⇒損害賠償請求することは可能。


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