労働基準法
《目次》【事業場外労働に関するみなし労働時間制】
【問題】労働基準法第38条の2に定めるいわゆる事業場外労働のみなし制は、情報通信機器を用いて行う在宅勤務の場合、どのような要件の下でも、結局は当該通信機器を通じて使用者の管理を受けることとなるため、適用されない。
(平成22年 問5E)
【解答】×
【解説】(法38条の2、平成20年7月28日基発0728002号)
■下記の在宅勤務(労働者が自宅で情報通信機器を用いて行う勤務形態をいう。)については、原則として、事業場外労働に関するみなし労働時間制が適用される。
①当該業務が、起居寝食等私生活を営む自宅で行われること。
②当該情報通信機器が、使用者の指示により常時通信可能な状態におくこととされていないこと。
③当該業務が、随時使用者の具体的な指示に基づいて行われていないこと。
【問題】労働基準法第38条の2の規定によれば、労働者が労働時間の全部又は一部について事業場外で業務に従事した場合において、労働時間を算定し難いときは、原則として所定労働時間労働したものとみなされるが、当該業務を遂行するためには通常所定労働時間を超えて労働することが必要となる場合においては、当該業務に関しては、当該業務の遂行に通常必要とされる時間労働したものとみなされる。この場合において、当該業務に関し、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定があるときは、その協定で定める時間が、当該業務の遂行に通常必要とされる時間とされる。
(平成18年 問3A)
【解答】○
【解説】(法38条の2、昭和63年1月1日基発1号・婦発1号)
■設問のとおり正しい。
【問題】労働基準法第38条の4に規定するいわゆる企画業務型裁量労働制を採用する場合には、適用される労働者の同意を得なければならないことにつき労使委員会で決議しなければならないが、労働基準法第38条の3に規定するいわゆる専門業務型裁量労働制の採用に当たって、適用される労働者の同意を得ることについて労使協定で定めることは、労働基準法上求められていない。
(平成20年 問4D)
【解答】○
【解説】(法38条の3、法38条の4)
■専門業務型裁量労働制⇒対象業務、労働時間として算定される時間等を労使協定に定めることにより採用可能。
■企画業務型裁量労働制と異なり、「労働者の同意を得ること」について労使協定で定める必要なし。
【問題】労働基準法第38条の3及び第38条の4の規定に基づく裁量労働制に係る労働時間のみなしに関する規定は、同法第4章の労働時間に関する規定の適用に係る労働時間の算定について適用されるとともに、同法第6章の2の妊産婦等の労働時間に関する規定の適用に係る労働時間の算定についても適用される。
(平成17年 問2B)
【解答】×
【解説】(法38条の3、法38条の4、則24条の2の2第1項)
■専門業務型裁量労働制(法38条の3)及び企画業務型裁量労働制(法38条の4)を採用する場合については、労働時間に関する規定における労働時間の算定について適用。
■ただし、年少者及び妊産婦に関する労働時間の算定については「みなし労働時間」を採用せずに、実労働時間で判断。
【問題】労働基準法第38条の3に規定するいわゆる専門業務型裁量労働制を労使協定により採用しようとする場合においては、当該協定により、対象業務に従事する労働者の労働時間の状況に応じた当該労働者の健康及び福祉を確保するための措置を当該協定で定めるところにより使用者が講ずることを定めなければならない。
(平成16年 問4A)
【解答】○
【解説】(法38条の3第1項4号)
■専門業務型裁量労働制を採用する場合⇒「対象業務に従事する労働者の労働時間の状況に応じた当該労働者の健康及び福祉を確保するための措置を当該協定で定めるところにより使用者が講ずること」について労使協定に定めることが必要。
【問題】労働基準法第38条の3に規定するいわゆる専門業務型裁量労働制を採用しようとする場合において、労働時間の算定については労使協定で定めるところによることとした場合に、当該協定に定めるべき時間は、1日及び1週間当たりの労働時間である。
(平成15年 問5A)
【解答】×
【解説】(法38条の3、昭和63年3月14日基発150号、平成12年1月1日基発1号)
■専門業務型裁量労働制を採用する場合の労使協定で定める労働時間は1日当たりの労働時間になるので誤り。
【問題】労働基準法第38条の3に規定するいわゆる専門業務型裁量労働制を採用しようとする場合において、労働時間の算定については労使協定で定めるところによることとした場合に、当該協定に定めるべき時間は、1日当たりの労働時間であり、休憩、深夜業及び休日に関する規定の適用は排除されないので、法定休日に労働させた場合には、当該休日労働に係る割増賃金を支払う必要がある。
(平成19年 問5E)
【解答】○
【解説】(法38条の3、昭和63年3年14日基発150号、平成12年1月1日基発1号)
■専門業務型裁量労働制に係る労働時間のみなし規定⇒労働時間に関する規定が適用されるので正解。
■合わせて、労働時間のみなしに関する規定が適用される場合であっても、休憩、深夜業、休日に関する規定の適用。
【問題】労働基準法第38条の4第1項に定めるいわゆる労使委員会は、同条が定めるいわゆる企画業務型裁量労働制の実施に関する決議のほか、労働時間・休憩及び年次有給休暇に関する労働基準法上の労使協定に代替する決議を行うことができるものとされている。
(平成22年 問7D)
【解答】○
【解説】(法38条の4第5項)
■設問のとおり正しい。
■労使委員会の決議事項
・企画業務型裁量労働制の実施に関する決議
・労働時間・休憩及び年次有給休暇に関する労働基準法上の労使協定に代替する決議
【問題】労働基準法第38条の4第1項に定めるいわゆる労使委員会の労働者側委員は、当該事業場の労働者の投票又は挙手によって選出されなければならない。
(平成22年 問7E)
【解答】×
【解説】 (法38条の4第2項)
■投票、挙手により選出されるのではない。
■労使委員会の労働者側の委員⇒
・当該事業場の過半数で組織する労働組合(ない場合においては労働者の過半数を代表する者)が⇒任期を定めて指名する
■労使委員会の委員の指名⇒法41条第2号に規定する監督又は管理の地位にある者以外の者について行わなければならない。
【問題】労働基準法第38条の4に規定するいわゆる企画業務型裁量労働制を採用するために行われる同条第1項の委員会の決議は、所轄労働基準監督署長に届出をしなければならないが、これはあくまで取締規定であり、届出をしないからといって、同項による企画業務型裁量労働制の効力発生に影響するものではない。
(平成17年 問2C)
【解答】×
【解説】(法38条の4第1項、平成12年1月1日基発1号)
■企画業務型裁量労働制を採用するための要件⇒
①労使委員会の設置
②労使委員会における必要事項の決議(5分の4以上の合意)
③労使委員会の決議を所轄労働基準監督署長に届出
■設問のように、労使委員会の決議を所轄労働基準監督署長に届出しない場合は、企画業務型裁量制の効力は生じない。
【問題】労働基準法第38条の4に規定するいわゆる企画業務型裁量労働制が適用される労働者については、対象業務の遂行の手段及び時間配分の決定等に関しては使用者が具体的な指示をしないこととされているところから、同法の休憩に関する規定の適用も排除されることとなる。
(平成16年 問4A)
【解答】×
【解説】(法38条の4、平成12年1月1日基発1号)
■企画業務型裁量労働制が適用される労働者に対しても、休憩、深夜業、休日に関する規定は適用。
【問題】労働基準法第38条の4に規定するいわゆる企画業務型裁量労働制が適用される労働者については、深夜業に従事させたとしても、当該深夜業に係る割増賃金を支払う必要はない。
(平成15年 問5B)
【解答】×
【解説】(法38条の4、平成12年1月1日基発1号)
■休憩、休日、深夜業に関する規定は
⇒「事業場外のみなし労働時間制」、「専門業務型裁量労働制」、「企画業務型裁量労働制」について適用。
■当然、深夜業をさせた場合は、割増賃金を支払う必要があり。