雇用保険法
《目次》
【問題】雇用保険法においては、国庫は、同法第64条に規定する職業訓練受講給付金の支給に要する費用の一定割合を負担することとされている。
(平成24年 問7E)
【解答】○
【解説】(法66条1項)
■国庫は、職業訓練受講給付金に要する費用の2分の1(当分の間、この額の100分の55相当額)を負担。
【問題】国庫は、求職者給付(高年齢求職者給付金を除く。)及び雇用継続給付(高年齢雇用継続基本給付金及び高年齢再就職給付金を除く。)に要する費用の一部を負担するが、その額は、当分の間、本来の規定による負担額の100分の55に相当する額とされている。
(平成20年 問7B)
【解答】○
【解説】(法66条)
■国庫は、
・日雇労働求職者給付金以外の求職者給付(高年齢求職者給付金を除く。)についてはその要する費用の4分の1
・日雇労働求職者給付金についてはその要する費用の3分の1
・雇用継続給付(高年齢雇用継続基本給付金及び高年齢再就職給付金を除く。)についてはその要する費用の8分の1
・広域延長給付が行われる場合は、広域延長給付を受ける者の係る求職者給付に要する費用の3分の1
・負担率については、当分の間、原則の負担割合による額の100分の55に相当する額とされている。
■就職促進給付、教育訓練給付、高年齢求職者給付金、高年齢雇用継続給付、雇用保険二事業については、国庫負担なし。
【問題】育児休業給付及び介護休業給付に要する費用については国庫負担はなく、労使が折半して支払う保険料のみによって費用が賄われる。
(平成19年 問7E)
【解答】×
【解説】(法10条6項、法66条1項)
■育児休業給付及び介護休業給付に要する費用についても国庫負担ある。
■国庫は、
・日雇労働求職者給付金以外の求職者給付(高年齢求職者給付金を除く)についてはその要する費用の4分の1
・日雇労働求職者給付金についてはその要する費用の3分の1
・雇用継続給付(高年齢雇用継続基本給付金及び高年齢再就職給付金を除く)についてはその要する費用の8分の1
⇒育児休業給付及び介護休業給付は雇用継続給付に含まれ、費用の8分の1が国庫負担
【問題】一般被保険者の技能習得手当の支給に要する費用については、原則としてその4分の1が、能力開発事業の一つとして、同事業の予算により負担されている。
(平成20年 問6B)
【解答】×
【解説】(法66条1項)
■技能習得手当⇒失業等給付として支給されるもので、能力開発事業としての事業ではない。
その支給に要する費用⇒求職者給付に要する費用として、原則として、4分の1が国庫負担。給付金に対する国庫負担は、その要する費用の3分の1
【問題】雇用保険事業の事務の執行に要する経費については、国庫が、毎年度、予算の範囲内において負担するものとされている。
(平成23年 問7E)
【解答】○
【解説】(法66条6項)
■設問のとおり正しい。
【問題】教育訓練給付に要する費用については、原則として、その8分の1を国庫が負担するものとされている。
(平成22年 問7A)
【解答】×
【解説】(法66条)
■国庫⇒
・就職促進給付
・教育訓練給付
・高年齢求職者給付金
・高年齢雇用継続給付
・雇用保険二事業
については、国庫負担は行われない。
【問題】雇用保険二事業に要する費用については国庫負担はなく、当該費用については、労使が折半して支払う保険料のみによって運営される。
(平成17年 問A)
【解答】×
【解説】(法68条、徴収法30条1項)
■雇用保険二事業に要する費用⇒国庫負担はない。
■雇用保険二事業に要する費用⇒事業主が支払う保険料(二事業率の部分)のみによって運営。
したがって、「労使が折半して支払う保険料のみによって運営される」の箇所が誤り。
【問題】雇用保険法第9条の規定による、労働者が被保険者でなくなったことの確認に関する処分が確定したときは、当該処分についての不服を、当該処分に基づく失業等給付に関する処分についての不服の理由とすることができない。
(平成24年 問7C)
【解答】○
【解説】(法70条)
■設問のとおり正しい。
【問題】失業等給付に関する処分の取消しの訴えは、当該処分についての再審査請求がされた日の翌日から起算して3カ月を経過しても労働保険審査会の裁決がない場合には、当該再審査請求に対する労働保険審査会の裁決を経ずに提起することができる。
(平成24年 問7D)
【解答】○
【解説】(法71条)
■再審査請求の裁決を経ることによる著しい損害を避けるために緊急の必要あるときその他裁決を経ないことに正当は理由があるとき⇒労働保険審査会の裁決を経ずに提起可能。
【問題】公共職業安定所長が行った失業等給付に関する処分に不服のある者は、当該処分があったことを知った日の翌日から起算して60日以内に、労働保険審査会に対して審査請求をすることができる。
(平成21年 問7B)
【解答】×
【解説】(法69条1項、労審法8条1項)
■「労働保険審査会」ではなく、「雇用保険審査官」
■雇用保険審査官に対して審査請求は下記のとおり
・雇用保険の資格の得喪に関する処分
・失業等給付の支給に関する処分
・不正受給に係る失業等給付の返還命令又は納付命令
に関する処分に不服のある者⇒原処分のあったことを知った日の翌日から起算して60日以内(正当な理由によりこの期間内に審査請求をすることができなかったことを疎明したときは、この限りでない。)に雇用保険審査官に対して審査請求することが可能。
【POINT】
■審査請求に対する雇用保険審査官の決定に不服のある者は、労働保険審査会に対して再審査請求をすることが可能。
また、審査請求をした日の翌日から起算して3か月を経過しても審査請求についての決定がないときは、当該審査請求に係る処分について、雇用保険審査官の決定を経ないで労働保険審査会に再審査請求することが可能。
【問題】行政庁が雇用保険二事業の給付金を支給しないことについて不服のある者は、雇用保険審査官に審査請求をする権利を有する。
(平成17年 問B)
【解答】×
【解説】(法69条1項)
雇用保険二事業に関する処分に対する不服⇒行政不服審査法に基づいく不服申立。
雇用保険審査官に対する審査請求の対象ではない。
【POINT】
■雇用保険審査官に対して審査請求することができる処分の内容。
①被保険者資格の確認についての処分
②失業等給付に関する処分
③不正受給による給付の返還又は納付命令に関する処分
【問題】雇用保険の料率については、失業予防の観点から、一定規模以上の事業に関していわゆるメリット制が取られており、当該事業における 過去3年間の保険料の額と離職者に対する求職者給付の支給額の割合が一定の基準を超え又は一定の基準を下回る場合、事業主が負担する部分の雇用保険率を一定範囲内で引き上げ又は引き下げるものとされている。
(平成14年 問1D)
【解答】×
【解説】(徴収法12条3項)
■雇用保険には、メリット制は導入されていないため誤り。
【POINT】
■メリット制とは⇒労災保険において、保険料負担の公平化と事業主の自主的な労働災害防止努力を促進するために、労働保険に係る保険関係が成立してから3年以上経過している事業については、メリット制(収支率のよい事業の保険料を優遇し、収支率の悪い事業の保険料を増額する制度)が適用される。
【問題】労働政策審議会は、厚生労働大臣の諮問に応ずるだけでなく、必要に応じ、雇用保険事業の運営に関して、関係行政庁に建議し、又はその報告を求めることができる。
(平成24年 問7B)
【解答】○
【解説】(法72条2項)
■設問のとおり正しい。
【問題】失業等給付の支給を受ける権利は、2年を経過したときは時効によって消滅するが、失業等給付の不正受給が行われたときに政府がその返還を受ける権利は、会計法の規定に従って、5年間これを行わないときに、時効により消滅する。
(平成20年 問7D)
【解答】×
【解説】(法74条)
■「5年」⇒「2年」にすれば正しい。
【問題】求職者給付の支給を受ける権利は、5年を経過したとき、時効によって消滅する。
(平成16年 問7C)
【解答】×
【解説】(法10条、法74条)
■失業等給付の支給を受け、又はその返還を受ける権利及び偽りその他不正の行為により失業等給付の支給を受けた者が納付をすべきことを命ぜられた金額を徴収する権利⇒2年を経過したときに時効によって消滅。
【問題】「人」の代理人、使用人その他の従業員が、その「人」の業務に関して、雇用保険法第83条から第85条までの各号に掲げる違反行為をしたとき、行為者が罰せられるほか、その「人」に対しても雇用保険法第83条から第85条までに掲げる懲役刑が科せられることがある。
(平成24年 問7A)
【解答】×
【解説】(法86条1項)
■懲役刑ではなく、罰金刑に科せられるため誤り。
【問題】労働者が雇用保険法第8条に基づき公共職業安定所長に被保険者となったことの確認の請求をした場合、事業主がそれを理由に労働者を解雇することは禁止されており、当該解雇は無効となるが、事業主に対する罰則はない。
(平成21年 問7C)
【解答】×
【解説】(法73条、法83条)
■労働者が法8条の規定により、被保険者となったこと又は被保険者でなくなったことの確認の請求をしたことを理由に事業主が労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをすることを禁止。
■この規定に違反した場合は、6か月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処せられる。
【問題】雇用保険法では、教育訓練給付対象者や、未支給の失業等給付の支給を請求する者に関しても、一定の行為について懲役刑又は罰金刑による罰則を設けている。
(平成22年 問7E)
【解答】○
【解説】(法85条)
■下記のいずれかに該当するとき⇒6か月以下の懲役又は20万円以下の罰金に処せられる。
①偽りその他不正の行為によって日雇労働被保険者手帳の交付を受けた場合
②法77条の規定による命令に違反して報告をせず、若しくは偽りの報告をし、文書を提出せず、若しくは偽りの記載をした文書を提出し、又は出頭しなかった場合
③法79条第1項の規定による当該職員の質問に対して答弁をせず、若しくは偽りの陳述をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した場合
【問題】雇用保険法には罰則があり、被保険者や受給資格者についても一定の違反行為があれば6か月以下の懲役又は20万円以下の罰金に処するものとされている。
(平成14年 問1E)
【解答】○
【解説】(法85条)
■設問のとおり正しい。
【問題】雇用保険法における罰則には、いわゆる両罰規定が設けられており、法人(法人でない労働保険事務組合を含む。)の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して違反行為をしたときは、行為者に対する処罰に加えて、その法人又は人に対しても所定の罰金刑が科される。
(平成20年 問7E)
【解答】○
【解説】(法86条1項)
■問題文のとおり正しい
【問題】行政庁は、受給資格者等に職業紹介を行う民間の職業紹介事業者に対して、当該職業紹介事業が有料であるか無料であるかにかかわらず、雇用保険法の施行に関して必要な報告又は文書の提出を命ずることができる。
(平成16年 問7B)
【解答】○
【解説】(法76条2項、則143条の2)
■設問のとおり正しい。
【問題】雇用保険法違反に対する罰則の適用にあたり、公共職業安定所長は、刑事訴訟法に規定する司法警察官の職務を行う権限を与えられている。
(平成16年 問7D)
【解答】×
【解説】
■このような「公共職業安定所長は、刑事訴訟法に規定する司法警察官の職務を行う権限を与えられている」という規定はないため誤り。
■労働基準監督官は、労働基準法違反の罪について、刑事訴訟法に規定する司法警察官の職務あり。