■未成年者の労働契約(法58条)
➀未成年者(満18歳未満)対する規定であるが、児童である未成年者にも当然適用。
②将来に向かって労働契約が解除。それまでの賃金請求権は解除されない。
■年少者の帰郷旅費(法64条)
➀通常の帰郷旅費は、明示された労働条件が異なる場合に支給
②年少者の場合は、上記に加えて、解雇の際も帰郷旅費を支給。
③ただし書き⇒帰郷旅費支給除外認定
所轄労働基準監督署長から認定を受ける。
■危険有害業務の就業制限(法62条)
・就業が禁止されている業務⇒満18歳未満の訓練生は就業可
・坑内労働⇒満16歳以上の男性の訓練生は就業可
■年少者の証明(法57条)
事業場に備え付ける義務がある証明書等
➀年少者(児童を除く)⇒年齢を証明する戸籍証明書
②許可を受けて使用する児童(3点)
・年齢を証明する戸籍証明書
・修学に差し支えないことを証明する学校長の証明書
・親権者又は後見人の同意書
■最低年齢(法56条)
➀児童が満15歳年度末までは、使用禁止。
②上記例外
・非工業的事業に係る職業で、児童の健康及び福祉に有害でなく、かつ、その労働が軽易なものについては、行政官庁の許可を受けて、満13歳以上の児童をその者の修学時間外に使用することが可能。
・映画の製作又は演劇の事業については、満13歳に満たない児童についても、同様。
■年次有給休暇管理簿(則24条の7)
➀労働者ごとに記載する必要あり。
②記録の保存は、当分の間3年。
■使用者による時季指定(法39条7項)
➀基準日(注➀)⇒継続勤務した期間を6か月経過日から1年ごとに区分した各期間(最後に1年未満の期間を生じたときは、当該期間)の初日
②年次有給休暇(5日)の付与義務違反⇒30万円以下の罰金
③半日単位の年休も可能(0.5日でカウント)
④使用者は、年休の時季を定めることにより与えるにあたり、あらかじめ、時季について労働者の意見聴取が必要。
■年次有給休暇の計画的付与(法39条6項)
・計画的付与の方法
➀事業場での一斉付与
②班別の交替制付与
③個人別付与
・計画的付与は、時季指定権、時季変更権の行使ができない。
・計画的付与として、時間単位での付与は不可。
■年次有給休暇の時季指定権と時季変更権
・労働者の時季指定権は、労働義務のある日についてのみ行使可能。
・休職期間中、育児休業中は、年休の請求権はない。
(そもそも労働義務がない。)
・時間単位年休についても、使用者からの時季変更権の行使は可能。
・派遣労働者に関する事業の正常な運営を妨げる場合に該当するか否かは、派遣元の事業について判断。
■年次有給休暇中の賃金(法39条9項)
(原則)就業規則その他これに準ずるもので定めるところにより、下記➀~②のいずれか。
➀平均賃金
②所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金
(例外)労使協定(届出不要)により、下記の③の金額を支払う旨定めるとき。
③健康保険法に規定する標準報酬月額の30分の1に相当する金額
■時間単位の年休(法39条4項)
労使協定で定める事項(届出不要)
➀時間単位年休を与えることができる労働者の範囲
②時間単位年休の日数(5日以内。前年度繰越分含む)
③時間単位年休の1日の時間数
④1時間以外の時間を単位として付与する場合の時間数
(2時間や3時間等を単位とする場合)
■比例付与(法39条3項)
(注1)週以外の期間で所定労働日数を定める場合
⇒年間所定労働日数216日以下
・比例付与の計算方法
⇒原則的な付与日数×週所定労働日数/5.2
■年次有給休暇の付与日数(法39条2項)
・6か月経過日で10労働日の年休を付与
・年休の発生日=「基準日」
・最初の基準日は、6か月経過日で、その後は1年経過日ごと
・出勤率8割未満の場合は、新たな年休権は発生しない。
■年次有給休暇の発生要件(法39条)
・2つの要件⇒➀6か月間の継続勤務、②8割以上の出勤率
・出勤率の計算の対象期間
雇い入れ直後⇒6か月間
その後⇒1年間
■時間外労働に係る割増賃金率の特例(法37条1項)
・1か月について60時間を超えた時間外労働の場合
⇒1か月の起算日から累計60時間に達した時点以降、5割以上(深夜時間帯は、7割5分以上)の割増賃金の支払いが必要。
・労使協定(届出不要)を締結した場合、原則25%以上の割増賃金に代えて代替休暇の付与が可能
■割増賃金からの除外賃金(法37条5項)
➀家族手当
②通勤手当
③別居手当
④子女教育手当
⑤住宅手当
⓺臨時に支払われた賃金
⑦1か月を超えるごとに支払われる賃金
上記の➀~⑦は制限列挙。
・上記以外の例えば、危険手当、特殊手当等は、割増賃金の計算に含める。
■割増賃金(法37条)
・延長して労働させた時間が1か月について60時間を超えた場合においては、その超えた時間の労働については、通常の労働時間の賃金の計算額の5割以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。
・法定労働時間を超えた労働…2割5分以上
・法定休日での労働…3割5分以上
・深夜時間帯での労働…2割5分以上
・時間外+深夜労働…5割以上
・休日労働+深夜労働…6割以上
■36協定に関する指針(法36条7項ほか)
・36協定の締結当事者は、当該協定で労働時間の延長及び休日の労働を定めるに当たり、36協定の内容が指針に適合したものとなるようにしなければならない。
・行政官庁は、指針に関し、協定をする使用者及び労働組合又は労働者の過半数を代表する者に対し、必要な助言及び指導を行うことができる。
・助言及び指導を行うに当たっては、労働者の健康が確保されるよう特に配慮しなければならない。
■時間外労働の上限規制(限度時間等)法36条6項
・④は、1年単位の変形労働時間制の場合は、月42時間
・上記適用除外…新たな技術、商品又は役務の研究開発業務
■36協定の締結・届出
・36協定に定める事項
➀労働時間を延長し、又は休日に労働させることができることとされる労働者の範囲
②対象期間(労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる期間をいい、1年間に限るものとする。)
③労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる場合
④対象期間における1日、1か月、1年のそれぞれの期間について労働時間を延長して労働させることができる時間又は労働させることができる休日の日数
⑤有効期間の定め
⓺④の起算日
⑦その他厚生労働省令で定める事項
■災害等による臨時の必要がある場合の時間外労働等(法33条)
・非常災害時
⇒事前に所轄労働基準監督署長の許可
⇒事態窮迫のために行政官庁の許可を受ける暇がないときは、事後に遅滞なく届け出る。
・公務の場合
⇒要件は特になし。
■フレックスタイム制(法32条の3)
・労使協定に定める事項
➀対象労働者の範囲
②清算期間(3か月以内)
③清算期間における総労働時間
④標準となる1日の労働時間
⑤清算期間が1か月を超える場合は、労使協定の有効期間の定め
・労使協定で任意に定める事項
⑥コアタイム・フレキシブルタイム
■1週間単位の非定型的変形労働時間制(法32条の5)
・対象事業
⇒小売業、旅館、料理店、飲食店+常時労働者数30人未満
・使用者による事前通知
⇒1週間の各日の労働時間は、少なくとも1週間の開始前に、書面により労働者に通知することが必要
(緊急の場合は、前日までに書面での通知により変更可能)
■1年単位の変形労働時間制(法32条の4)
・手続き⇒必ず労使協定を締結
・対象期間⇒1か月を超え1年以内(1か月以上ではない。)
・特定期間⇒対象期間中の特に業務が繁忙な期間
・対象期間における労働日及び労働日ごとの労働時間の特定
⇒区分された最初の期間…その期間中の労働日及びその労働日ごとの労働時間
⇒最初の期間を除く各期間…各期間の労働日数及び総労働時間のみを定める
・各期間の初日の少なくとも30日前に過半数労働組合等の同意及び書面による特定
・対象期間における労働日数の限度(3か月を超える場合)
⇒1年当たり280日
・労働時間の限度⇒1日10時間。1週間52時間が限度
(対象期間が3か月を超える場合は、さらに要件が付加)
■1か月単位の変形労働時間制
・労使協定又は就業規則その他これに準ずるものにより定める。
(いずれでも採用可能)
・変形期間⇒1か月以内。
(4週間、3週間、10日等の変形期間の設定でも可能)
・労働時間の特定
⇒変形期間の1週間平均の労働時間が法定労働時間(40時間又は44時間)を超えない範囲内で、変形期間における各日・各週の労働時間をすべて特定する。
■企画業務型裁量労働制(法38条の4)
・対象業務⇒企画・立案・調査・分析
・労使委員会の決後(行政官庁に届出)⇒決議で定めた時間、労働したものとみなす。
・労使協定で定める事項
➀対象業務
②対象労働者の範囲
③みなし労働時間(1日の労働時間として算定される時間)
④健康・福祉確保措置
⑤苦情処理措置
⑥労働者の同意を得ること及び同意をしなかった労働者に対する不利益扱いの禁止
⑦労使委員会の決議の有効期間
⑧記録の保存(当分の間は3年間)
・定期報告(6か月ごとに1回)
■専門業務型裁量労働制(法38条の3)
・厚生労働省で定める19業務
⇒研究開発、取材・編集、デザイナー、公認会計士、弁護士、税理士等
(社労士は含まれていない。)
・労使協定で定める事項
➀対象業務
②みなし労働時間(1日の労働時間として算定される時間)
③裁量労働制を実施する旨(具体的指示をしない旨等)
④健康・福祉確保措置
⑤苦情処理措置
⑥有効期間
⑦記録の保存(当分の間は3年間)
■みなし労働時間制3種類
「事業場外労働のみなし労働時間制」「専門業務型労働時間制」
「企画業務型労働時間制」の3種類
■高度プロフェッショナル制度(法41条の2)
・対象業務とは、高度の専門的知識等を必要とし、その性質上従事した時間と従事して得た成果との関連性が通常高くないと認められるものとして厚生労働省令で定める業務のうち、労働者に就かせることとする業務
・金融商品の開発・ディーリング業務、アナリストの業務、コンサルタントの業務等
・使用者との間の書面その他の方法による合意に基づき職務が明確に定められていること。
・1年間当たりの基準年間平均給与額の3倍の額を相当程度上回る水準として厚生労働省令で定める額(1,075万円)以上であること。
■労働時間等に関する規定の適用除外(法41条)
・適用除外は、労働時間、休憩、休日のみ
・付与必要…深夜業の割増賃金、年次有給休暇、産前産後
・管理監督者は、経営者と一体的な立場にあり、実態で判断
・機密の事務を取り扱う者とは、秘書等
■休日(法35条)
・法定休日とは、毎週1回又は4週を通じて4日付与する休日のいずれかである。
・休日とは、暦日(午前0時から午後12時まで)を原則とする。
・変形休日制の場合、4週間の起算日を明らかにして採用する。
■休憩(法34条)
・休憩の3原則…➀途中付与、②一斉付与 ③自由利用
・①の例外…休憩を付与しなくてもよい場合
⇒運輸交通業、郵便通信業における長距離乗務員、屋内勤務者30人未満の日本郵便㈱の郵便窓口業務に従事する場合
・②の例外
⇒労使協定を締結した場合(届出不要)
⇒当然に一斉に与える必要のない場合
・運輸交通業、商業、金融・広告業、映画・演劇業、郵便通信業、保健衛生業
設客娯楽業、非現業の官公署
・③の例外
⇒警察官、消防吏員
⇒居宅訪問型保育事業に使用される労働者のうち、家庭的保育者として保育を行う者
⇒乳児院、児童養護施設、障害児入所施設に勤務する職員で児童と起居を共にする者(所轄労働基準監督署長の許可必要)
■労働時間の計算(法38条)
・2項に関しては、休憩時間を含めて労働時間とみなします。
■法定労働時間の特例(法40条)
・年少者(満18歳未満の者)には、適用されない。
■法定労働時間(法32条)
・就業規則に別段の定めがない限り、1週間は日曜日から土曜日まで。
・1日の定義は、午前0時から午後12時までの暦日。
・「40時間を超えて」「8時間を超えて」 「超えて」はその数字を含まない。
■出来高払制の保障給(法27条)
・出来高がなくても、労働時間に応じて一定額の賃金の保障を義務付けたもの。
・労働者が労働しない場合には支払う義務はない。
■休業手当(法26条)
・休業手当は、賃金に該当するため、所定の賃金支払日に支払わなければならない。
・休日(労働協約、就業規則、労働契約により定められている休日)について、休業手当の支給義務はない。
・派遣労働者の休業手当は、派遣元により行う。
■非常時払い(法25条)
・非常の場合とは
➀出産、疾病、災害を受けた場合
②結婚・死亡した場合
③やむを得ない事由により1週間以上にわたり帰郷する場合
・労働者だけではなく、労働者の収入により生計を維持する者も含まれる。
・疾病、災害は、業務上外を問わない。
■賃金の5原則の例外
※1の例外
・退職手当を労働者の同意を得て、金融機関の振出小切手等で支払う場合
・通常の賃金を労働者の同意を得て、金融機関の預貯金口座への振込み等で支払う場合
※2の例外
・臨時に支払われる賃金又は賞与
・1か月を超える期間について支給される精勤手当、皆勤手当等
■賃金の5原則(法24条)
➀通貨払い
②直接払い
③全額払い
④毎月1回以上払い
⑤一定期日払い
■平均賃金(法12条4~6項)
・日日雇い入れられる者については、その従事する事業又は職業について、厚生労働大臣の定める金額を平均賃金とする。(7項)
・1項から6項よって算定し得ない場合の平均賃金は、厚生労働大臣の定めるところによる。
■平均賃金(法12条)
・賃金が、労働した日若しくは時間によって算定され、又は出来高払制その他の請負制によって定められた場合
⇒賃金の総額をその期間中に労働した日数で除した金額の100分の60
・賃金の一部が、月、週その他一定の期間によって定められた場合
⇒その部分の総額をその期間の総日数で除した金額と前号の金額の合算額
・前項の期間は、賃金締切日がある場合
⇒直前の賃金締切日から起算。
■賃金の定義(法11条)
・解雇予告手当、休業補償費は、賃金に該当しない。
・休業手当(法26条)は、賃金に該当。
・通勤手当は賃金に該当。
・通勤定期券(労働協約に定め有り)は賃金に該当。
・結婚祝金、死亡弔慰金、退職手当は賃金に該当しない。
ただし、労働協約、就業規則、労働契約等にあらかじめ支給条件が明確な場合は、賃金に該当。
■金品の返還(法23条)
・権利者とは、退職の場合は、本人で、死亡の場合には、遺族(相続人)。
・金銭を貸し付けた債権者は、権利者に該当しない。
・退職手当は、就業規則等で定められた支払期日に支払えば足りる。
■証明事項の制限・秘密通信等の禁止(法22条3・4項)
・1項・2項の証明書には、労働者の請求しない事項を記入してはならない。
・労働者の就業を妨げることを目的とすることが前提。
・通信の禁止は、「国籍、信条、社会的身分若しくは労働組合運動」の制限列挙。
■解雇予告期間中の証明書(法22条2項)
・解雇予告期間中⇒「解雇の理由」のみの証明書の請求可能
・解雇の予告日以後に労働者が解雇以外の事由により退職した場合
⇒交付する必要なし。(法22条1項の退職時証明で対応可能なため)
■退職時等の証明(法22条1項)
・労働者が「解雇の事実のみ」の証明書を請求した場合は、「解雇の事実のみ」を記載すること。
・時効は、退職時から2年間。
・解雇の場合は、退職の事由に「解雇」も含まれる。
■解雇予告制度の適用除外者
・1か月とは、休日を含む暦日
・季節的業務とは、スキー場での仕事
・所定の期間とは、労働契約で定めた期間
■解雇予告の原則(法20条)
・解雇予告
⇒少なくとも30日前の予告が必要。
・解雇予告手当
⇒30日前に予告しない使用者は、30日分以上の平均賃金を支払わなければならない。
・予告と解雇予告手当の併用は可能。
・解雇予告期間は、予告日の翌日起算。
9月30日に解雇するためには、8月31日までに解雇の予告が必要。
・例外➀と②は、解雇ができる場合
・打切補償…療養開始後3年を経過した場合、使用者が平均賃金の1,200日分を支払うこと。
・法65条
⇒産前6週間(多胎妊娠の場合14週間)、産後8週間
■強制貯金の禁止(法18条)
・労働契約に附随する強制貯金は禁止。
・労働者の委託を受けて一定の要件を満たせば、任意貯金は可能。
一定の要件
②貯蓄金管理規定の作成・周知(規定の届出は不要)
③利子の付与…年5厘(0.5%)
④その他
・毎年3月31日以前1年間の預金の管理状況を4月30日までに所轄労働基準監督署長に報告
・賃金支払確保法による保全措置が必要
・労働者からの返還請求の際は、遅滞なく返還が必要
■前借金相殺の禁止(法17条)
・前借金とは、使用者が労働者に金銭を貸すこと。
・使用者が労働者に単に金銭を貸すことを禁止しているわけではない。
・身分的拘束力を伴う前借金と賃金の相殺を禁じた条文。
・労働者の自由な意思による相殺は禁止していない。
■賠償予定の禁止(法16条)
・現実に生じた損害に対して賠償を請求することまでを禁止しているわけではない。
・親権者や身元保証人に対しても禁止。
■即時解除権と帰郷旅費(法15条2項・3項)
・明示された労働条件が事実と異なる場合
⇒労働者は、即時に労働契約の解除が可能。
・就業のために転居した労働者について、14日以内に帰郷する場合
⇒使用者は必要な旅費負担の義務あり。(翌日起算)
・帰郷旅費には、家族の旅費も含む。
・(横断)年少者の帰郷旅費(法64条)も14日以内
■労働条件の絶対的明示事項(6項目)
・労働契約を更新する際にも労働条件の明示は必要。
・(2)は、有期労働契約の場合。
・(5)「昇給」に関する事項は、口頭でも可。
・(4)の労働時間や(6)の退職に関する事項は、就業規則上の関係条項名を網羅的に示すことで足りる。
■法15条1項
・使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して労働条件を明示しなければならない。
・明示事項は、絶対的明示事項と相対的明示事項。
・絶対的明示事項(昇給に関する事項除く)は、書面の交付により明示。
・昇給に関する事項及び相対的記載事項は、口頭による明示でも可。
■法14条2項
・有期労働契約の締結、更新及び雇止めに際して、発生しやすいトラブルを未然に防止するため「有期労働契約基準」を設定。(3つ)
➀雇止めの予告
⇒有期労働契約を更新しない場合、少なくとも契約期間満了日の30日前までに予告をすること(義務)
②雇止めの理由の明示(雇止め前の明示と雇止め後の明示)
⇒使用者は、労働者から「証明書」の請求があった場合は、遅滞なく交付
③契約期間についての配慮
⇒更新の場合、契約期間を出来る限り長くするように努めなければならない。
・➀と②の対象
⇒3回以上更新し、又は雇い入れの日から起算して1年を超えて継続勤務
・③の対象
⇒1回以上更新、かつ、1年を超えて継続勤務
■法附則137条ポイント
・労働基準法第14条では、専門的労働者等の一部の例外を除いて3年を超えて労働契約を結んではならない。
・民法第628条の規定にかかわらず、労働基準法附則第137条の規定に基づき、当該労働契約の期間の初日から1年を経過した日以後においては、その使用者に申し出ることにより、いつでも退職することができる。
(1年を超えて申し出をしたら、民法628条による損害賠償の責任がなくなる。)
・民法第628条
⇒当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる。この場合において、その事由が当事者の一方の過失によって生じたものであるときは、相手方に対して損害賠償の責任を負う。
■法14条ポイント
➀専門的な知識、技術又は経験(「専門的知識等」)であって高度のものとして厚生労働大臣が定める基準に該当する専門的知識等を有する労働者(当該高度の専門的知識等を必要とする業務に就く者に限る。)との間に締結される労働契約
②満60歳以上の労働者との間に締結される労働契約(前号に掲げる労働契約を除く。)
③労働契約の原則は、3年
④例外として(3つ)
・一定の事業の完了に必要な期間を定める労働契約…終期まで
・認定職業訓練を受ける労働者に係る労働契約…終期まで
・上記➀②(専門的知識・満60歳以上)…5年
■法13条ポイント
➀無効になるのは、労働基準法に達しない部分
②労働契約の全部が無効になるのではない。
③労働基準法違反の部分を無効にし、強制的に労働基準法による水準に修正(強行法的性質)
■法12条ポイント
➀賃金が、労働した日若しくは時間によって算定され、又は出来高払制その他の請負制によって定められた場合
⇒賃金の総額をその期間中に労働した日数で除した金額の100分の60
②賃金の一部が、月、週その他一定の期間によって定められた場合
⇒その部分の総額をその期間の総日数で除した金額と前号の金額の合算額
③前項の期間は、賃金締切日がある場合においては、直前の賃金締切日から起算する。
④前二項に規定する期間中に、次の各号のいずれかに該当する期間がある場合、その日数及びその期間中の賃金は、前二項の期間及び賃金の総額から控除。
・業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業した期間
・産前産後の女性が第六十五条の規定によって休業した期間
・使用者の責めに帰すべき事由によって休業した期間
・育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律に規定する育児休業又は介護休業をした期間
・試みの使用期間
■法11条ポイント
賃金に該当しないもの
➀任意恩恵的性格のもの
⇒結婚祝金、退職手当等
②福利厚生的性格のもの
⇒生命保険料の補助等
③実費弁償的なもの
⇒出張旅費、交際費等
④そのほか
⇒解雇予告手当、休業補償費等
■法10条ポイント
➀事業主の定義
⇒事業の経営主体で、個人経営の場合は、その個人。法人経営の場合は、法人そのもの。
②事業の経営担当者
⇒法人の代表者や取締役
■法9条ポイント(労働者の定義)
➀形式上は請負契約の形でも、実体において使用従属関係であれば、労働者に該当。
②不法就労の外国人は、労働者に該当。
③競輪選手やプロゴルファーは、労働者に該当しない。
■法7条ポイント
➀有給とするか無給とするかは労使当事者の自由
(ノーワークノーペイの原則)
②公民権とは、国や地方公共団体の公務に参加する権利
③使用者の承諾を得ないで公職に就任した者を懲戒解雇する旨の就業規則は本法違反で無効(十和田観光事件)
④公民権…選挙権、被選挙権、行政事件訴訟法による民衆訴訟ほか
(例外…民事訴訟ほか)
⑤公の職務…労働委員会の委員、労働審判員、裁判員ほか
(例外…予備自衛官、非常勤の消防団員ほか)
■法6条ポイント
➀「法律に基づいて許される場合」とは、職業安定法に規定により許可を得て有料の職業紹介を行う場合等
②「業として」とは、1回の行為であっても反復継続する意思があれば該当
③罰則は、2番目に重い。
⇒1年以下の懲役又は50万円以下の罰金
■法5条ポイント
➀「不当」とは、不法なものに限らず、合法的であっても社会通念上是認しがたい程度の手段も含まれる。
②労基法上1番重い罰則
⇒「1年以上10年以下の懲役又は20万円以上300万円以下の罰金」
③労働者の意思に反してとは、必ずしも現実に労働することを要しない。
■法4条ポイント
➀不利に扱う場合や有利に扱う場合⇒共に違法
②法3条と同様に、「6か月以上の懲役又は30万円以下の罰金」
③就業規則に本条違反があった場合
⇒現実に生じていなければ、法3条違反とはならない。
ただし、該当する就業規則の規定は無効
■法3条ポイント
➀国籍・信条・社会的身分は、限定列挙
②学歴、能力、性別による差別的取り扱いは、本条の対象外
③その他の労働条件とは、解雇、災害補償、安全衛生、寄宿舎等に関するすべての条件が含まれる。
④雇い入れそのものを規制する規定ではない。
(三菱樹脂事件)
■法2条ポイント
➀順守義務は、労働者及び使用者の両方にあり。
②法1条と同様に訓示的な規定のため罰則なし。
③法的効力
法令>労働協約>就業規則>労働契約
■法1条ポイント
➀「人たるに値する生活」とは、憲法25条の生存権の理念に基づく。
②社会経済情勢の変動等の決定的な理由により労働条件を低下させる場合は、2項に抵触しない。
③本条は、訓示的な規定のため罰則なし。