派遣先事業主の責務

【派遣先の事業主に対する報告、文書の提出、出頭】 

(第46条)

 行政庁は、厚生労働省令で定めるところにより、労働者を使用する者、労働保険事務組合、第35条第1項に規定する団体(一人親方等の特別加入)、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(「労働者派遣法」という。)第44条第1項に規定する派遣先の事業主(以下「派遣先の事業主」という。)又は船員職業安定法第6条第11項に規定する船員派遣(以下「船員派遣」という。)の役務の提供を受ける者に対して、この法律の施行に関し必要な報告、文書の提出又は出頭を命ずることができる

 

(第48条)
①行政庁は、この法律の施行に必要な限度において、当該職員に、適用事業の事業場、労働保険事務組合若しくは第35条第1項に規定する団体の事務所、労働者派遣法第44条第1項に規定する派遣先の事業の事業場又は船員派遣の役務の提供を受ける者の事業場に立ち入り、関係者に質問させ、又は帳簿書類その他の物件を検査させることができる。

②①の規定により立ち入り検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなけらばならない。

③①の規定による立ち入り検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

(第51条)
 事業主、派遣先の事業主又は船員派遣の役務の提供を受ける者が、次の各号のいずれかに該当するときは、6月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。労働保険事務組合又は第35条第1項に規定する団体がこれらの各号のいずれかに該当する場合におけるその違反行為をした当該労働保険事務組合又は当該団体の代表者又は代理人、使用人その他の従業者も、同様とする。
 

①第46条の規定による命令に違反して報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は文書の提出をせず、若しくは虚偽の記載をした文書を提出した場合
 
②第48条第1項の規定による当該職員の質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の陳述をし、又は検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した場合

 

 

 

 

(法改正の趣旨)

従来は、派遣先で生じた労災に関して、政府が派遣先事業主に対して報告や立ち入り調査の権限がなく、法12条の4に基づく損害賠償責任の有無の確認や、求償の実施が徹底されていなかったための改正。