(1)法律の名称及び目的
■(改正前)労働者派遣事業の適正な運営及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律
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■(改正後)労働者派遣事業の適正な運営及び派遣労働者の保護等に関する法律
(目的条文:法1条 改正)
■(改正前)就業に関する条件の整備等⇒(改正後)保護等
『第1条 この法律は、職業安定法(昭和22年法律第141号)と相まつて労働力の需給の適正な調整を図るため労働者派遣事業の適正な運営の確保に関する措置を講ずるとともに、派遣労働者の保護等を図り、もつて派遣労働者の雇用の安定その他福祉の増進に資することを目的とする。』
(2)日雇労働者派遣の禁止
(原則)
日雇労働者については、労働者派遣禁止
(例外)
政令で定める場合には例外あり
『(法35条の3 新設)派遣元事業主は、その業務を迅速かつ的確に遂行するために専門的な知識、技術又は経験を必要とする業務のうち、労働者派遣により日雇労働者(日々又は30日以内の期間を定めて雇用する労働者をいう。以下同じ。)を従事させても当該日雇労働者の適正な雇用管理に支障を及ぼすおそれがないと認められる業務として政令で定める業務について労働者派遣をする場合又は雇用の機会の確保が特に困難であると認められる労働者の雇用の継続等を図るために必要であると認められる場合を除き、その雇用する日雇労働者について労働者派遣を行ってはならない。
2厚生労働大臣は、前項の政令の制定又は改正の立案をしようとするときは、あらかじめ、労働政策審議会の意見を聴かなければならない。』
■「政令で定める業務」(日雇派遣の原則禁止の例外となる業務)
派遣期間に制限のない専門26業務の内下記の業務
→施行令4条1項、令5条1項
1)ソフトウェア開発(1号)
2)機械設計(2号)
3)事務用機器操作(3号)
4)通訳・翻訳・速記(4号)
5)秘書(5号)
6)ファイリング(6号)
7)市場等に関する調査(7号)
8)財務処理(8号)
9)取引書類作成(9号)
10)デモンストレーション(10号)
11)添乗(11号)
12)受付・案内(12号)
13)研究開発(13号)
14)事業の実施体制等の調査、企画、立案(14号)
15)書籍等の編集(15号)
16)広告デザイン(16号)
17)OAインストラクション(17号)
18)セールスエンジニアの営業、金融商品の営業(18号)
■「政令で定める場合」(つまり、日雇派遣の原則禁止の例外となる場合)
「派遣元事業主が労働者派遣に係わる日雇労働者の安全又は衛生を確保するために必要な措置その他の雇用管理上必要な措置を講じている場合」であって、下記の①~④のいずれかに該当する場合
① 日雇労働者が60歳以上の者である場合
② 日雇労働者が学校教育法に規定する学校の学生又は生徒(雇用保険の被保険者となる者を除く)である場合
③ 日雇労働者の1年分の賃金その他の収入の額が、500万円以上である場合
④ 日雇労働者(主として生計を一にする配偶者等の収入により生計を維持する者で、1年分の世帯収入の額をが500万円以上である場合
(3)グループ企業内8割規制
(派遣元事業主の関係派遣先に対する労働者派遣の制限)
■関係派遣先への派遣割合が100分の80以下に規定された。(法23条の2 新設)
■関係派遣先とは:派遣元事業主の親会社やその子会社等
■派遣割合とは:一事業年度における関係派遣先への派遣労働者(60歳以上の定年に達したことにより退職した者であって、当該派遣元事業主に雇用される者を除く)。)に係わる総労働時間を、すべての派遣労働者に係わる総労働時間で除して得た割合(小数点以下1位未満の端数:切り捨て)
『第23条の2(新設) 派遣元事業主は、当該派遣元事業主の経営を実質的に支配することが可能となる関係にある者その他の当該派遣元事業主と特殊の関係のある者として厚生労働省令で定める者(以下この条において「関係派遣先」という。)に労働者派遣をするときは、関係派遣先への派遣割合(一の事業年度における当該派遣元事業主が雇用する派遣労働者の関係派遣先に係る派遣就業(労働者派遣に係る派遣労働者の就業をいう。以下同じ。)に係る総労働時間を、その事業年度における当該派遣元事業主が雇用する派遣労働者のすべての派遣就業に係る総労働時間で除して得た割合として厚生労働省令で定めるところにより算定した割合をいう。)が100分の80以下となるようにしなければならない。
(2)関係派遣先への派遣割合の報告(法23条3項、則17条の2)
派遣元事業主は、毎事業年度経過後3月が経過する日までに、関係派遣先への派遣割合を、当該事業年度に係る関係派遣先派遣割合報告書を提出することにより、厚生労働大臣に報告しなければならない。』
(4) 離職した労働者についての労働者派遣の役務の提供の受け入れ禁止
■離職後1年以内の労働者を、派遣労働者として受け入れることが禁止
『(第35条の4 新設) 派遣元事業主は、労働者派遣をしようとする場合において、派遣先が当該労働者派遣の役務の提供を受けたならば第40条の6第1項の規定に抵触することとなるときは、当該労働者派遣を行ってはならない。』
⇒(離職した労働者についての労働者派遣の役務の提供の受入れの禁止)
『(第40条の6 新設) 派遣先は、労働者派遣の役務の提供を受けようとする場合において、当該労働者派遣に係る派遣労働者が当該派遣先を離職した者であるときは、当該離職の日から起算して1年を経過する日までの間は、当該派遣労働者(雇用の機会の確保が特に困難であり、その雇用の継続等を図る必要があると認められる者として厚生労働省令で定める者を除く。)に係る労働者派遣の役務の提供を受けてはならない。
2 派遣先は、派遣法第35条第1項の規定による通知(派遣元事業主からの当該労働者派遣に係わる派遣労働者の氏名等の通知)を受けた場合において、当該労働者派遣の役務の提供を受けたならば前項の規定に抵触することとなるときは、速やかに、その旨を当該労働者派遣をしようとする派遣元事業主に通知しなければならない。』
労働契約の申し込み
■(改正前)「雇用契約」⇒(改正後)「労働契約」
『(法40条の4 1部改正)
派遣先は、第35条の2第2項の規定による通知(※)を受けた場合において、当該労働者派遣の役務の提供を受けたならば派遣可能期間の規定に抵触することとなる最初の日以降継続して当該通知を受けた派遣労働者を使用しようとするときは、当該抵触することとなる最初の日の前日までに、当該派遣労働者であつて当該派遣先に雇用されることを希望するものに対し、労働契約の申込みをしなければならない。』
(※)通知とは
派遣元事業主からの通知で、派遣可能期間の規定に抵触することとなる最初の日以降継続して労働者派遣を行わない旨の通知
『(法40条の5 1部改正及びただし書追加)
派遣先は、当該派遣先の事業所その他派遣就業の場所ごとの同一の業務(派先期間に制限のない業務に限る。)について、派遣元事業主から3年を超える期間継続して同一の派遣労働者に係る労働者派遣の役務の提供を受けている場合において、当該同一の業務に労働者を従事させるため、当該3年が経過した日以後労働者を雇い入れようとするときは、当該同一の派遣労働者に対し、労働契約の申込みをしなければならない。ただし、当該同一の派遣労働者について派遣元事業主から第期間を定めないで雇用する労働者である旨の通知を受けている場合は、この限りでない。』