平成23年の本試験からの問題です。
解説から読んで見てください。
厚生労働省労働基準局長通知(「C型肝炎、エイズ及び MRSA感染症に係る労災保険における取扱いについて」平成5年10月29日付け基発第619号)における労災保険の取扱いについての次の記述のうち誤っているものはどれか。 (A)医療従事者等が、C型肝炎ウイルス(以下、本問の選択肢において「HCV」という。)の感染源である HCV保有者の血液に業務上接触したことに起因して HCVに感染し、C型肝炎を発症した場合には、業務上疾病として取り扱われるとともに、医学上必要な治療は保険給付の対象となる。 (B)医療従事者等について、HCVに汚染された血液への接触の後、HCV抗体検査等の検査(当該血液への接触の直後に行われる検査を含む。)が行われた場合には、当該検査結果が、業務上外の認定に当たっての基礎資料として必要な場合もあることから、医師がその必要性を認めた場合に行われる当該検査は、業務上の負傷に対する治療上必要な検査として保険給付の対象に含めるものとして取り扱われるが、当該血液への接触以前から既にHCVに感染していたことが判明している場合のほか、当該血液への接触の直後に行われた検査により、当該血液への接触以前から HCVに感染していたことが明らかとなった場合には、その後の検査は療養の範囲には含まれない。 (C)医療従事者等が、ヒト免疫不全ウイルス(いわゆるエイズウイルス。以下、この選択肢において「HIV」という。)の感染源であるHIV保有者の血液に業務上接触したことに起因してHIVに感染した場合には、業務上疾病として取り扱われるとともに、医学上必要な治療は保険給付の対象となる。 (D)業務に起因する医療従事者等のメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)感染症は、労働基準法施行規則別表第1の2第1号(業務上の負傷に起因する疾病)に該当するものとされている。
(E)医療従事者等のC型急性肝炎は、原則として、次に掲げる要件をすべて満たすものについては、業務に起因するものと判断される。 |
解説
まともに解答出来た受験生は少なかった問題ではないでしょうか。
ただ、ここ数年、本試験に業務上の範囲として「労働基準法施行規則別表1の2」が出題されていたので、その中身を大まかに覚えていた受験生は容易な問題であったかも知れません。
問題の解き方としては、1行ずつ丁寧に読みこむ問題ではありません。
(まともに読んでいくと5、6分から10分くらいかかります。)
読み込んで、時間をかければ解けるような問題ではないので、ポイントを押さえながら、グループ分けをして正誤を導く問題です。
1つずつポイントを押さえて、同じ論点と異なる論点をグループ分けして、異なる論点から確認していきます。
1つずつ見ていくと、
(A)医療従事者等が、HCVに業務上接触し、C型肝炎を発症。保険給付の対象に該当するかどうか。
(B)医療従事者等が、HCVに感染。検査は療養の範囲に含まれるかどうか。
(C)医療従事者等が、HIⅤに感染。保険給付の対象に該当するかどうか。
(D)医療従事者等が、MRSAに感染。労働基準法施行規則別表1の2第1号の(業務上の負傷に起因する疾病)に該当するかどうか。
(E)医療従事者等が、C型急性肝炎を発症。業務に起因すると判断される要件が適正かどうか。
●(A)(B)(C)は同じような論点になります。
●(E)は、要件の問題ですが、「原則として」とあるように、問題自体白黒明確ではありません。
●(D)を見ると、(業務上の負傷に起因する疾病)とあります。
5択の中ではDが異質な問題です。
ということで、Dから検証していくのが近道です。
基本的に院内感染の設問であり、ケガをしてMRSA感染を設問の範囲に入れるのは、無理があるので、(D)が間違いの問題ということになります。
学習が進んだ方であれば、
「労働基準法施行規則別表1の2」の中身として、
第6号は、細菌、ウイルス制の病原体による疾病(医療業務従事者等のC型肝炎等)
と押さえていれば、簡単な問題かもしれません。
なお、「業務上の負傷による疾病」とは、皮膚にケガをして、そこから細菌等が入り込み疾病になるようなケースです。
『早回し 社労士合格論点集』に、上記のような問題の解き方が掲載されています。