労働基準法 法20条 [解雇予告]


【平成24年 問2-B】
労働基準法第56条の最低年齢違反の労働契約のもとに就労していた児童については、そもそも当該労働契約が無効であるから、その違反を解消するために当該児童を解雇する場合には、労働基準法第20条の解雇の予告に関する規定は、適用されない。


[解答] 誤り (法20条、昭和23年10月18日基収3102号)
☑  設問の場合、未就学児童に対して、法20条第1項本文後段の規定により30日分以上の平均賃金を支払い即時解雇しなければならない。


【平成24年 問3-ア】組み合わせ問題)
使用者が、ある労働者を整理解雇しようと考え、労働基準法第20条の規定に従って、6月1日に、30日前の予告を行った。その後、大口の継続的な仕事が取れ人員削減の必要がなくなったため、同月20日に、当該労働者に対して、「解雇を取り消すので、わが社に引き続きいてほしい。」と申し出たが、当該労働者は同意せず、それに応じなかった。この場合、使用者が解雇を取り消しているので、当該予告期間を経過した日に、当該労働者は、解雇されたのではなく、任意退職をしたこととなる。


[解答] 誤り(法20条、昭和33年2月13日基発90)
☑(原則)使用者が行った解雇予告の意思表示は、一般的には取り消すことができない。

☑(例外)労働者が具体的事情の下に自由な判断によって同意を与えた場合

⇒取り消すことが可能と解すべき。

☑ 設問の場合、解雇予告の意思表示の取消しに対して労働者の同意がない場合

⇒任意退職ではなく、解雇の予告の規定が適用される。


【平成24年 問3-イ】(組み合わせ問題)

労働者によるある行為が労働基準法第20条第1項ただし書の「労働者の責に帰すべき事由」に該当する場合において、使用者が即時解雇の意思表示をし、当日同条第3項の規定に基づいて所轄労働基準監督署長に解雇予告除外認定の申請をして翌日その認定を受けたときは、その即時解雇の効力は、当該認定のあった日に発生すると解されている。


[解答] 誤り(法20条、昭和63年3月14日基発150号)
☑ 即時解雇の意思表示をした後、解雇予告除外認定を得た場合の解雇の効力

⇒使用者が即時解雇の意思表示をした日に発生する。
☑「当該認定のあった日に発生すると解されている。」の箇所が誤り。


【平成24年 問3-ウ(組み合わせ問題)
使用者は、ある労働者を8月31日の終了をもって解雇するため、同月15日に解雇の予告をする場合には、平均賃金の14日分以上の解雇予告手当を支払わなければならない。

[解答] 正解 ( 法20条、民法140条)

☑  解雇予告期間の計算⇒初日不算入。
☑ 設問の場合、8月31日に解雇するためには、8月1日に通知する必要がある。

(8月2日から、30日間で8月31日)
☑ 8月15日に解雇予告をする場合

⇒解雇予告期間は16日(8月16日から8月31日)+14日分(8月2日から8月15日まで)の解雇予告手当を支払う必要がある。


【平成23年 問3-A】

労働基準法第20条は、雇用契約の解約予告期間を2週間と定める民法第627条第1項の特別法に当たる規定であり、労働者が一方的に労働契約を解約する場合にも、原則として30日前に予告することを求めている。


[解答]  誤り (法20条1項、民法627条)

☑ 解雇の予告の規定は、労働者には適用されないので誤り。


【平成23年 問3-D】

労働基準法第20条所定の予告期間及び予告手当は、6か月の期間を定めて使用される者が、期間の途中で解雇される場合には適用されることはない。

 

[解答] 誤り (法20条)

☑ 解雇予告の適用除外となるのは、2箇月以内の期間を定めて使用される者であって、6か月の期間を定めて使用される者については、解雇予告の規定が適用されるので誤り。


【平成23年 問3-E】

天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合においても、使用者は、労働基準法第20条所定の予告手当を支払うことなく、労働者を即時に解雇しようとする場合には、行政官庁の認定を受けなければならない。


[解答] 正解(法20条)

☑(原則) 使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少なくとも30日前にその予告をしなければならず、30日前に予告をしない使用者は、30日分以上の平均賃金を支払わなければならない。
☑(例外) 天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合又は労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇する場合

⇒行政官庁(所轄労働基準監督署長)の認定を受ければ、

予告期間又は解雇予告手当を支払うことなく解雇することが可能。


【平成22年 問2-A】
定年に達したことを理由として解雇するいわゆる「定年解雇」制を定めた場合の定年に達したことを理由とする解雇は、労働基準法第20条の解雇予告の規制を受けるとするのが最高裁判所の判例である。


[解答]  正解 (法20条、秋北バス事件 昭和43年12月25日最高裁判決)
☑ 定年解雇制
⇒定年に達したことを理由として解雇する場合で解雇予告の制限あり
☑ 定年退職制
⇒定年に達したことによって自動的に退職 する場合で、解雇予告の制限なし


【平成22年 問2-B】
使用者が労働基準法第20条の規定による解雇の予告をすることなく労働者を解雇した場合において、使用者が行った解雇の意思表示が解雇の予告として有効であり、かつ、その解雇の意思表示があったために予告期間中に解雇の意思表示を受けた労働者が休業したときは、使用者は解雇が有効に成立するまでの期間、同法第26条の規定による休業手当を支払わなければならない。


[解答] 正解(法20条、法26条、昭和24年7月27日基収1701号)
☑ 設問の場合には、使用者は解雇が有効に成立する日までの期間、休業手当を支払う必要がある。


【平成21年 問2-D】
使用者が、労働基準法第20条所定の予告期間を置かず予告手当の支払もしないで労働者に解雇の通知をした場合には、解雇の通知後30日の期間を経過したとしても解雇の効力は発生しないとするのが最高裁判所の判例である。


[解答] 誤り (法20条、細谷服装事件 昭和35年3月11日最高裁判決)
☑  使用者が労働基準法20条所定の予告期間をおかず、または予告手当の支払をしないで労働者に解雇の通知をした場合
⇒その通知は即時解雇としては効力を生じない
ただし、使用者が即時解雇を固執する趣旨でない限り、通知後の同条所定の30日の期間を経過するか、または通知後、同条所定の予告手当の支払をした場合
⇒「そのいずれかのときから解雇の効力を生ずるものと解すべきである。」というのが最高裁判所の判断。


【平成19年 問4-C】
使用者が労働基準法第20条所定の予告期間をおかず、又は解雇予告手当の支払をしないで労働者に解雇の意思表示をした場合には、その意思表示をどのように受け取るかは労働者の選択にまかされていると解するのが相当であるから、労働者は同条所定の解雇の予告がないとしてその無効を主張することができ、又は解雇の無効を主張しないで解雇予告手当の支払を請求することができるとするのが最高裁判所の判例である。


[解答] 誤り (法20条、細谷服装事件)
☑「使用者が労働基準法20条所定の予告期間をおかず、または予告手当の支払をしないで労働者に解雇の通知をした場合、その通知は即時解雇としては効力を生じないが、使用者が即時解雇を固執する趣旨でない限り、通知后同条所定の30日の期間を経過するか、または通知の後に同条所定の予告手当の支払をしたときは、そのいずれかのときから解雇の効力を生ずる」とするのが最高裁判所の判例である。
「その意思表示をどのように受け取るかは労働者の選択にまかされている」の箇所が判例と相違し、「その通知は即時解雇としては効力を生じない」ということになる。


【平成18年 問7-A】
最高裁判所の判例によると、使用者が労働基準法第20条所定の予告期間をおかず、又は予告手当の支払をしないで労働者に解雇の通知をした場合、その通知は即時

解雇としては効力を生じないが、使用者が即時解雇を固執する趣旨でない限り、通知後同条所定の30日の期間を経過するか、又は通知の後に同条所定の予告手当の支払をしたときは、そのいずれかのときから解雇の効力を生ずるものと解すべきである、とされている。


[解答] 正解(細谷服装事件 昭和35年3月11日最高裁判決)


【平成18年 問7-B】

使用者が労働者を解雇しようとする場合においては、労働基準法第20条第1項の規定により、少なくともその30日前にその予告をしなければならないが、その予告

の日数は、1日について平均賃金を支払った場合においては、その日数を短縮することができる。例えば、8月27日をもって労働者を解雇しようとする場合において、8月14日に解雇の予告をしたときは、少なくとも平均賃金の17日分の解雇予告手当を支払わなければならない。


[解答] 正解( 法20条、民法140条)
 ☑ 解雇予告期間の計算は、初日不算入。
設問の場合、8月27日をもって解雇するためには30日前の予告として7月28日に通知する必要がある。(7月29日から8月27日までで30日となる。)
8月14日に解雇予告をする場合には、解雇予告期間は13日(8月15日から8月27日)と17日分(7月29日から8月14日まで)の解雇予告手当を支払う必要がある。


【平成18年 問7-E】
労働基準法第20条第1項ただし書の事由に係る行政官庁の認定(以下「解雇予告除外認定」という。)は、原則として解雇の意思表示をなす前に受けるべきもので

はあるが、それは、同項ただし書に該当する事実があるか否かを確認する処分であって、認定されるべき事実がある場合には使用者は有効に即時解雇をなし得るものと解されるので、そ

のような事実がある場合には、即時解雇の意思表示をした後、解雇予告除外認定を得たときは、その解雇の効力は使用者が即時解雇の意思表示をした日に発生すると解されている。

[解答] 正解(法20条、昭和63年3月14日基発150号)
☑ 即時解雇の意思表示をした後に、解雇予告除外認定を得た場合
⇒解雇の効力は、使用者が即時解雇の意思表示をした日に遡って発生するので正解。


【平成16年 問3-A】
労働基準法第20条の規定に基づき、解雇の予告に代えて支払われる平均賃金(解雇予告手当)を算定する場合における算定すべき事由の発生した日は、労働者に解雇の通告をした日である。


[解答] 正解(法20条、昭和39年6月12日基収2316号)
☑ 解雇通告日が、解雇予告手当の算定事由発生日。


【平成16年 問3-D】

ある労働者を解雇しようと思い、労働基準法第20条の規定に従って、5月1日に、30日前の予告を行った。しかし、その後になって思い直し、同月10日、当該労働

者に対し, 「考え直した結果、やはり辞めてほしくないので、このままわが社にいてくれないか。」と申し出てみたが、当該労働者は同意せず、それに応じなかった。その場合、当該予告期間を経過した日に、当該労働者は自己退職(任意退職)したこととなる。


[解答] 誤り(法20条、昭和33年2月13日基発90号)
 ☑ 解雇予告の意思表示は、解雇予告の相手方である労働者の同意がない限り取消すことはできないので誤り。


【平成16年 問3-E】

使用者は、ある労働者を5月31日をもって解雇するため、5月13日に解雇予告をする場合には、平均賃金の12日分の解雇予告手当を支払わなければならない。

 

[解答] 正解(法20条、民法140条)
 ☑ 解雇予告期間の計算
⇒初日不算入。
☑ 設問の場合、5月31日をもって解雇するためには30日前の予告として5月1日に通知する必要がある。(5月2日から5月31日までで30日。)
5月13日に解雇予告をする場合には、5月2日から5月13日までの12日分の解雇予告手当を支払う必要。


【平成15年 問4-A】

労働基準法第20条では、使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少なくとも30日前の予告をしなければならないと規定しているが、労働者側からする任意退職についても、就業規則その他に別段の定めがない場合には、同条の趣旨に照らして、少なくとも30日前の予告が必要であると解されている。


[解答] 誤り(法20条、民法627条1項)
☑ 労働者からの労働契約の解除に関しては、労働基準法に規定されていないので、就業規則等に別段の定めがない場合は、民法の規定が適用される。
民法627条1項の規定により、解約の申し入れの日から2週間経過した日に労働契約は終了。


【平成15年 問4-B】
使用者が労働者を解雇しようとする場合において、解雇の意思表示は、当該労働者に対し、当該解雇の理由を記載した書面を交付することにより行われなければならない。


[解答] 誤り
(法20条、民法540条)
 労働基準法では、解雇の意思表示に関して規定されていないので口頭で行っても違法ではない。


【平成15年 問4-C】
労働者によるある行為が労働基準法第20条第1項但書の「労働者の責に帰すべき事由」に該当する場合において、使用者が、即時解雇の意思表示をし、当日同条第3項の規定に基づいて所轄労働基準監督署長に解雇予告除外認定の申請をして翌日その認定を受けたときは、その即時解雇の効力は、使用者が即時解雇の意思表示をした日に発生すると解されている。


[解答] 正解(法20条、民法540条、昭和63年3月14日基発150号)
☑ 使用者からの労働契約の解除(解雇)の効力
⇒相手側(労働者)への意思表示によって発生。
☑ 解雇予告除外認定は、労働者の責めに帰すべき事由が存在するかどうかを行政官庁が確認する処分。解雇の効力そのものの発生要件ではない。


【平成13年 問2-D】
使用者が平均賃金の30日分の解雇予告手当を支払って労働者の解雇を行う意思表示をする場合には、解雇予告手当を支払った日数分を限度として当該解雇による労働契約の終了日を遡ることができる。例えば5月1日に平均賃金の30日分の解雇予告手当を支払って労働者の解雇の意思表示をする場合には、当該解雇による労働契約の終了日をその年の4月1日にまで遡ることができる。


[解答] 誤り(法20条)
☑ 設問のように解雇予告手当を支払うことにより、労働契約の終了日を遡るといったことはできないので誤り。


                      ≫労働基準法 条文順 過去問メニューへ