[横断学習]不正利得の徴収
保険の制度を扱う科目には、不正利得の徴収と言う条文があります。
内容は、不正に受給した給付は、戻しなさいと言うことです。
POINT①
条文の頭には2つのパターンがあります。
●偽りその他不正の手段⇒下記以外
●偽りその他不正の行為⇒雇用保険法、健康保険法、国民健康保険法の3つ。
POINT②
「全部又は一部を徴収することができる。」とあります。
全部又は一部とあるので、不正した部分の一部と勘違いしてしまいますが、あくまで
不正した部分は全部徴収されます。
POINT③
健康保険だけが、「返還することを命ずることができる。」とあります。
健康保険以外は、「徴収することができる。」となります。
POINT④
「徴収しなければならない。」とくれば誤りです。あくまで・・・「することができる。」
POINT⑤
徴収の主体にも注意してください。
・政府⇒労災、雇用
・厚生労働大臣⇒国年、厚年
・市町村長⇒児童手当法
・保険者⇒健保、国保
POINT⑥[連帯責任]
不正に利得をする場合に、事業主の証明等が必要になります。事業主が虚偽の報告又は証明をしたため不正受給につながれば、事業主も連帯して責任を負います。
この事業主が負わされる連帯責任の条文は、
・労働者災害補償保険法
・雇用保険法
・健康保険法
の3つになります。
それ以外の年金や国保、児童手当は、個人が手続きをするので連帯責任の規定はありません。
[条文]
●労働者災害補償保険法(不正受給者からの費用徴収)
(第12条の3)
偽りその他不正の手段により保険給付を受けた者があるときは、政府は、その保険給付に要した費用に相当する金額の全部又は一部をその者から徴収することができる。
●雇用保険法(返還命令等)
(第10条の4)
偽りその他不正の行為により失業等給付の支給を受けた者がある場合には、政府は、その者に対して、支給した失業等給付の全部又は一部を返還することを命ずることができ、また、厚生労働大臣の定める基準により、当該偽りその他不正の行為により支給を受けた失業等給付の額の2倍に相当する額以下の金額を納付することを命ずることができる。
●健康保険法(不正利得の徴収等)
(第58条)
偽りその他不正の行為によって保険給付を受けた者があるときは、保険者は、その者からその給付の価額の全部又は一部を徴収することができる。
●国民年金法(不正利得の徴収)
(第23条)
偽りその他不正の手段により給付を受けた者があるときは、厚生労働大臣は、受給額に相当する金額の全部又は一部をその者から徴収することができる。
●厚生年金保険法(不正利得の徴収)
(第40条の2)
偽りその他不正の手段により保険給付を受けた者があるときは、厚生労働大臣は、受給額に相当する金額の全部又は一部をその者から徴収することができる。
●児童手当法(不正利得の徴収)
(第14条)
偽りその他不正の手段により児童手当の支給を受けた者があるときは、市町村長は、受給額に相当する金額の全部又は一部をその者から徴収することができる。
●国民健康保険法(不正利得の徴収等)
(第65条)
偽りその他不正の行為によつて保険給付を受けた者があるときは、保険者は、その者からその給付の価額の全部又は一部を徴収することができる。