内払いの調整が出てくる科目は、労働者災害補償保険法、国民年金法、厚生年金保険法の3科目です。
内払いが生じる事由も3つあります。
・停止
・減額
・消滅
上記の事由が生じたにもかかわらず、行政への届出が遅れてしまうと、そのまま間違った支払いがなされてしまいます。
赤黒をすれば済む話ですが、事務処理を簡便に済ますための規定が、内払いの調整ということになります。
●労働者災害補償保険法
①年金たる保険給付の支給を停止すべき事由が生じたにもかかわらず・・・
②年金たる保険給付の支給を減額して改定すべき事由が生じたにもかかわらず・・・
⇒その後に支払うべき年金たる保険給付の内払いとみなすことができる。
③同一傷病に関し、Aの保険給付を受ける権利が消滅し、Bの保険給付を受ける権利を取得したが、そのままAの保険給付が支払われた場合
⇒支払われた保険給付はBの保険給付の内払いとみなす。
Aの保険給付(従来分) | Bの保険給付(新たに取得した保険給付) |
休業(補償)給付 |
・傷病(補償)年金 ・障害(補償)給付 |
傷病(補償)年金 |
・障害(補償)給付 ・休業(補償)給付 |
障害(補償)年金 |
・傷病(補償)年金 ・休業(補償)給付 ・障害(補償)一時金 |
POINT
⇒遺族(補償)年金の場合は、受給権が消滅しても、次の受給資格者に転給されるので、内払い調整の規定はありません。
POINT
①の停止と②の減額に関しては・・・「内払いとみなすことができる。」
⇒その後の支給が不確定な場合もあるので、「みなすことができる。」という表現になります。
③の消滅に関しては・・・「内払いとみなす。」
⇒確実に支払われることが明確なので「みなす。」となります。