[ 第3節 構造変化と非正規雇用 労働経済白書p188]
非正規雇用労働者が増加した要因を、労働需要面からみてみる。
厚生労働省「就業形態の多様化に関する総合実態調査」(以下「多様化調査」)によると、事業所が非正規雇用労働者を活用する理由は、
「賃金の節約のため」
「1 日、週の中の仕事の繁閑に対応するため」
「賃金以外の労務コストの節約のため」の順で多いが、
「即戦力・能力のある人材を確保するため」
「専門的業務に対応するため」
「景気変動に応じて雇用量を調節するため」
「高年齢者の再雇用対策のため」といった回答もある。
2003年、2007年、2010年で比較すると、いずれの年も「賃金の節約のため」とする割合が最も高い。
また、「1 日、週の中の仕事の繁閑に対応するため」や「高年齢者の再雇用対策のため」とする割合が上昇傾向にある。
これを就業形態別にみると、
契約社員は「専門的業務に対応するため」
派遣労働者は「即戦力・能力のある人材を確保するため」
パートタイム労働者は「賃金の節約のため」や「1 日、週の中の仕事の繁閑に対応するため」が高い割合となっている。
また、産業別にみると、多くの産業で「賃金の節約のため」が高い割合となっているが、製造業ではそれに次いで「高年齢者の再雇用対策のため」が高くなっている。
また、我が国における産業構造の変化の特徴として第2 章でも取り上げた第3 次産業化が、非正規雇用の需要を高めたことが考えられるが、多くのサービス業では「1 日、週の中の仕事の繁閑に対応するため」が高くなっており、これは産業ごとの業務の実態を反映したものと考えられる。
また、厚生労働省「労働経済動向調査」によると、2008年2 月を景気の山とする前回の景気後退局面において、事業所の雇用調整の実施方法は
残業規制を中心に、配置転換、出向、中途採用の削減・停止、一時休業(一時帰休)や臨時・季節、パートタイム労働者の再契約停止・解雇が実施されたほか、その他の調整方法として、派遣労働者の削減も実施された。