平成25年版労働経済白書 賃金と労働時間の動向
2012年の日本経済は、東日本大震災からの復興需要や政策効果の発現等により、夏場にかけて回復に向けた動きがみられた。
その後、世界経済の減速等を背景として輸出や生産が減少するなど、景気は弱い動きとなった。
こうした中、2012年の賃金の動きをみると、現金給与総額は2 年連続で減少し、所定内給与は7 年連続で減少した。一方、労働時間については、所定外労働時間は3 年連続で増加するとともに、総実労働時間及び所定内労働時間は2 年ぶりに増加した。
●2012年の現金給与総額は弱い動き
現金給与総額の動きをみると、2007年から3 年連続前年比で減少した後、2010年には増加となったが、2011年より再び減少に転じ、2012年は0.7%減と減少幅が拡大した。
その内訳である所定内給与、所定外給与、特別給与の動きをみると、所定内給与は2012年で0.2%減と、2006年から7 年連続して減少した。所定外給与は2011年は東日本大震災による所定外労働時間の一時的な減少を受け伸びが鈍化したが、2012年には2.4%増となった。特別給与は2012年で3.3%減と3
年ぶりに減少に転じた。
現金給与総額を一般・パート別にみると、一般労働者は2012年で0.2%減と3 年ぶりに減少に転じ、パートタイム労働者は1.5%増と2 年ぶりに増加した37。
2013年に入ってからは、1 〜3 月期について、一般労働者の現金給与総額は前年同期比で増加に転じたものの、パートタイム労働者は減少に転じ、就業形態計も減少傾向が続くこととなった。
物価の影響を除いた実質賃金をみると、2012年には前年比0.7%減と3 年ぶりの減少となった。
産業別にみると、2012年の現金給与総額は、運輸業,郵便業、卸売業,小売業で前年の減少から増加に転じ、建設業、情報通信業、飲食サービス業等は前年の増加から減少となった。
事業所規模別にみると、2012年の現金給与総額は、500人以上規模で前年比0.9%減、100〜499人規模で同1.5%減、30〜99人規模で同0.3%減、5 〜29人規模で同0.3%減と、いずれの規模も減少し、全体的には特別給与の減少の影響がみられた。