●労使関係の動向
2013年の春季労使交渉では、依然として厳しい雇用情勢にある中で、全ての労働者の処遇改善などについて議論が行われた。
賃上げ結果は多くの企業において賃金カーブ維持となった一方、業績が改善している企業における一時金増の動きなどもみられた。
労働組合の組織状況をみると、2012年6 月30日現在における労働組合員数は989万2 千人となり、1994年の1,269万9 千人をピークに減少傾向が続き、推定組織率は17.9%となった。こうした中、パートタイム労働者の労働組合員数は83万7 千人と増加し、推定組織率は6.3%と上昇傾向となっている。
日本経済と就業構造の変化
●経済成長と成長要因、生産性
我が国における実質GDP成長率は1970年代、80年代の4 %台半ばから、90年代には1 %程度、2000年代には0.3%程度へと4 %ポイント程度鈍化した。
成長率に対する労働の寄与は、90年代以降は労働時間の短縮、就業者数の減少を反映してマイナスとなったが、マンアワーの増加と労働の質変化を分けてみると、労働の質向上は80年代の0.6%ポイントから90年代以降0.5%ポイント程度と、ほぼ同程度成長率を下支えしていた。
成長率の鈍化は主に資本量の減少とTFP上昇率の鈍化によっており、今後我が国人口が減少し続ける中においても、職業能力開発等を通じて労働の質が向上し、引き続き経済成長を下支えしていくことが期待される。
併せて、設備投資と技術革新を続けることにより、プラスの成長率を実現することが十分可能であると考えられる。
※マンアワーとは➠
1人の作業者が1時間にこなす仕事量を表す単位
●産業構造、職業構造の推移
産業別就業者構成割合の長期的な推移をみると、高度経済成長期に農林漁業の割合が大きく低下し、1970 年には製造業の割合が26.1%まで高まった。
その後、農林漁業、製造業ともに割合は低下し、就業構造のサービス化、第3 次産業化が進んだ。
2005年以降の就業者の増減を産業中分類別にみると、老人福祉・介護事業などの社会保険・社会福祉・介護事業や病院等の医療業で就業者数が増えた一方、大きく減少したのは、公共事業の見直し等の影響を受けたと考えられる建設業をはじめ、職業紹介・労働者派遣業、農業、卸売業などである。