2017年版 労働経済白書(2017年9月)

2017.10.01

2017年版 労働経済白書が厚生労働省より平成29年9月29日公表されました。

 

2018年社会保険労務士試験のデーターとしては、重要な白書です。

 

労働経済白書の冒頭の[はじめに」を掲載します。

 

 

 

 

 

「はじめに」

  現在の我が国の経済は、好循環が広がりつつある中で、企業収益の拡大や雇用環境の改善等の持ち直しの動きを示しており、おおむね緩やかな回復基調が続いている

 そのような経済情勢の中、雇用情勢については、完全失業率は 2016 年度平均で 3.01994 年度以来 22 年ぶりの低い水準となり、有効求人倍率は 2016 年度平均で 1.39 1990 年度以来 26 年ぶりの高水準となるなど改善が続いている。

 

さらに、雇用者の動向に着目すると、雇用者数は4年連続で増加し、雇用形態別にみても正規雇用労働者は2年連続で増加するとともに、不本意非正規雇用労働者は減少するという動きもみられる。

 

また、賃金についても、2016 年度の名目賃金は 2014 年度以降3年連続の増加となるなど所得環境の改善がみられる。

 

 「平成 29 年版労働経済の分析」では、

第Ⅰ部「労働経済の推移と特徴」で、こうした 2016年度の労働経済の状況を分析するとともに、

第Ⅱ部「イノベーションの促進とワーク・ライフ・バランスの実現に向けた課題」で、供給制約下にある我が国で経済成長を実現するためには労働生産性の向上とともに供給制約の解消を図ることが重要であるとの認識のもと、イノベーションの進展への対応に加え、ワーク・ライフ・バランスの実現に向けた取組などについて分析を行った。

第Ⅱ部第1章「我が国の経済成長とイノベーション・雇用との関係」では、イノベーションの促進に向け、我が国が対応すべき課題について労働経済の側面から検討を行った。まず、イノベーションの促進が我が国の経済の成長に最も重要であることを確認するとともに、日本のイノベーションの促進状況について国際比較をもとに概観した。次に、我が国のイノベーションを促進させるために必要な施策として、先進設備導入など設備投資の活性化や、柔軟な働き方の導入による高度人材の有効活用に資する人材マネジメントなど我が国の課題を整理した。

さらに、イノベーションへの対応に向けて今後の我が国が取り組むべき施策を明らかにするために、過去にイノベーションが雇用・労働経済に与えた影響を整理するとともに、第4次産業革命の中の代表例の一つである「AI」に注目し、我が国の雇用面に与える影響や、AIの進展に伴って今後必要となるスキルについて分析を行った。

 

第Ⅱ部第2章「働き方をめぐる環境の変化とワーク・ライフ・バランスの実現」では、我が国の労働市場の動向を労働時間や世帯の状況を中心に概観し、働き方をめぐる環境の変化が育児・介護等の家庭生活にどのような影響を与えているのか確認した。その上で、ワーク・ライフ・バランスの実現に向けて、企業では様々な取組が行われつつあるが、こうした取組は労働者のみならず企業の収益にも効果があることを考察するとともに、取組をより効果的なものとするためにはどのような課題があるのかを探った。さらに、近年の技術革新により、雇用によらない働き方を代表とする新しい働き方が注目されているが、こうした技術革新が働き方の多様化に与える影響やワーク・ライフ・バランスの実現に与える効果などについて分析した。