過去問は、「繰り返し出題される」という内容で記載していきます。
ノース・ウエスト航空事件に関してですが、社労士の勉強をされた方であれば、1度は聞いたことがある名称かと思います。
社労士試験では、重要な判例になります。
判例は、難しい用語や難解な表現を使うので、なかなか頭に入ってきませんが、下記のポイントを押さえてください。
ノース・ウエスト航空事件のポイント
●労基法26条 休業手当
●一般原則たる過失責任主義
労基法26条休業手当は、労働基準法で学習する重要な箇所です。
「一般原則たる過失責任主義」?
意味が掴みにくいところですが、下記のように読み替えると理解しやすいかと思います。
「一般原則たる」は、「民法による」と読み替えます。
「過失責任主義」は、過失(ミス)があれば、責任を負います。
(ミスがなければ、責任を負いません。)
それでは、事件の概要です。
(ノース・ウエスト航空事 事件の概要)
会社が別会社の社員を搭乗員として使用していることについて、労働組合は職業安定法違法であり、別会社の社員を自社社員として雇用するよう要求してストに突入。
ストの影響で、会社は業務の一部を停止せざるを得なくなり、一部の従業員の就労が不要になったため、労働組合に所属していない従業員に休業を命じた。
休業を命じたにも関わらず、会社側はその間の所得補償をしなかったため、労働者側は、賃金の支払いを請求した事件。
[判決]労働者側…敗訴
ストライキは、民法536条2項の「債権者(使用者)の責め帰すべき理由」には当たらず、労基法26条の「使用者の責めに帰すべき事由」にもあたらないとし、ストに参加しなかった従業員が休業せざるを得なかったとしても、使用者に責任があるとはいえず、当該労働者の賃金請求権、休業手当ともに労働者の請求権が有るとはいえない。 |
ストライキに関しては、使用者側の過失(ミス)ではないため、責任の取りようがない。
従って、「休業手当の支払いは不要です。」とした判決です。
それでは、過去問は、繰り返されるということで、下記過去問を記していきます。
[誤り H26年 4B]
労働基準法第26条の定める休業手当の趣旨は、使用者の故意又は過失により労働者が休業を余儀なくされた場合に、労働者の困窮をもたらした使用者の過失責任を問う、取引における一般原則たる過失責任主義にあるとするのが、最高裁判所の判例である。 |
⇒「一般原則たる過失責任主義とは異なる観点を踏まえた概念とするのが」
[POINT]「過失責任主義」とは、故意・過失に基づいて他人に損害を与えた場合にのみ損害賠償責任を負うという原則です。
[正解 H24年 1C]
最高裁判所の判例によると、労働基準法第26条の「使用者の責に帰すべき事由」は、取引における一般原則たる過失責任主義とは異なる観点をも踏まえた概念というべきであって、民法第536条第2項の「債権者の責めに帰すべき事由」よりも広く、使用者側に起因する経営、管理上の障害を含むものと解している。 |
[正解 平成17年 1E]
最高裁の判例によると、労働基準法第26条の「使用者の責に帰すべき事由」は、取引における一般原則たる過失責任主義とは異なる観点をも踏まえた概念というべきであって、民法第536条第2項の「債権者の責めに帰すべき事由」よりも広く、使用者側に起因する経営、管理上の障害を含むものと解するのが相当であるとされている。 |
上記の過去問の論点は、3つとも
●「休業手当は、民法による過失責任主義より範疇が広い。」といことだけです。
その他類似の判例です。
使用者側に起因する経営、管理上の障害を含む全業務量の8割を占める得意先の労働争議により、自社が業務停止となった場合であっても休業手当をまぬがれる事由にはならないとしたものがある。(扇興運輸休業手当金請求事件)
上記の内容は、2019年版 早回し過去問論点集にも記載しています。
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