社会保険労務士に関連する3つのハラスメント

社会保険労務士試験に絡むハラスメントの法律

 

ハラスメントとは、「嫌がらせ」、「いじめ」という意味を持ち合わせており、いろいろな場面でハラスメント行為が行われていますが、社会保険労務士に関係する3つのハラスメントに関してまとめてみます。

 

社会保険労務士に関係するハラスメントは、

セクシャルハラスメント(セクハラ)

マタニティーハラスメント(マタハラ)

パワーハラスメント(パワハラ)

の3種類になります。

 

どのような法律に記述されているかというと、

セクハラは、男女雇用機会均等法。

マタハラは、男女雇用機会均等法及び育児介護休業法。

セクハラは、直接規制する法律はありません。

 

 

さらに、上記3つのハラスメントが、間接的に関連する法律を見ていくと、

労働基準法(就業規則等)、労働契約法5条(労働者の安全への配慮)、労働安全衛生法(全般、ストレスチェック等)、労働者災害補償保険法(業務上の疾病に絡む心理的負荷による精神障害の認定基準)等々広がっていきます。

 

条文が続きますが、どれも重要な条文ですので、目を通す必要があります。

 

それでは、条文を確認していきます。

 

セクハラ関連…[男女雇用機会均等法]法11条

(職場における性的な言動に起因する問題に関する雇用管理上の措置)

1 事業主は、職場において行われる性的な言動に対するその雇用する労働者の対応により当該労働者がその労働条件につき不利益を受け、又は当該性的な言動により当該労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない

 

2 厚生労働大臣は、前項の規定に基づき事業主が講ずべき措置に関して、その適切かつ有効な実施を図るために必要な指針を定めるものとする。

 

マタハラに関しては、妊娠に伴う軽易業務への転換を契機とした降格処分が無効とされた事件(最高裁平成26年10月23日判決:広島中央保険生活協同組合事件)をきっかけに、男女雇用機会均等法及び育児介護休業法で平成29年2つの法律が新設されています。

(平成2911日)

 

 

広島中央保険生活協同組合事件をきっかけに新設された2つの法律

[男女雇用機会均等法]法11条2項

(職場における妊娠、出産等に関する言動に起因する問題に関する雇用管理上の措置)

1 事業主は、職場において行われるその雇用する女性労働者に対する当該女性労働者が妊娠したこと、出産したこと、労働基準法第65条第1項の規定による休業を請求し、又は同項若しくは同条第2項の規定による休業をしたことその他の妊娠又は出産に関する事由であって厚生労働省令で定めるものに関する言動により当該女性労働者の就業環境が害されることのないよう、当該女性労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない

 

2 厚生労働大臣は、前項の規定に基づき事業主が講ずべき措置に関して、その適切かつ有効な実施を図るために必要な指針(略)を定めるものとする。

3 (略)

 

[育児介護休業法]法25条

(職場における育児休業等に関する言動に起因する問題に関する雇用管理上の措置)

事業主は、職場において行われるその雇用する労働者に対する育児休業、介護休業その他の子の養育又は家族の介護に関する厚生労働省令で定める制度又は措置の利用に関する言動により当該労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応

じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない

 

広島中央生活共同組合事件(最判平成261023日)を受けた形で、平成27年の社労士本試験にも判例の概要が出題されています。

平成27年 2Ą

男女雇用機会均等法第9条第3項の規定は、同法の目的及び基本的理念を実現するためにこれに反する事業主による措置を禁止する強行規定として設けられたものと解するのが相当であり、女性労働者につき、妊娠、出産、産前休業の請求、産前産後の休業又は軽易業務への転換等を理由として解雇その他不利益な取扱いをすることは、同項に違反するものとして違法であり、無効であるというべきであるとするのが、最高裁判所の判例である。

(正解)最判平成261023日(広島中央生活共同組合事件)

 

男女雇用機会均等法第9条第3

(婚姻、妊娠、出産等を理由とする不利益取扱いの禁止等)

3 事業主は、その雇用する女性労働者が妊娠したこと、出産したこと、労働基準法第六十五条第一項の規定による休業を請求し、又は同項若しくは同条第二項の規定による休業をしたことその他の妊娠又は出産に関する事由であつて厚生労働省令で定めるものを理由として、当該女性労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。

 

 

最後に労働契約法5条です。(労働者の安全への配慮)

使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。

 

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