今回は、平成29年 労働者災害補償保険から3肢出題されたアフターケア制度に関してです。
アフターケアという名称に戸惑った受験生も多かった問題ですが、
平成23年の本試験の問題で、5肢出題されています。
(平成23年 問題文)
労災保険法第29条に規定する社会復帰促進等事業として、厚生労働省労働基準局長通知(「社会復帰促進等事業としてのアフターケア実施要領の制定について」平成19年4月23日付け基発第0423002号)に基づいて実施するアフターケアについて。
なお、本問において、「実施医療機関等」とは労災病院、医療リハビリテーションセンター、総合せき損センター、労災保険法施行規則第11条の規定により指定された病院若しくは診療所又は薬局のこと、また、「健康管理手帳」とは炭鉱災害による一酸化炭素中毒症に関する特別措置法施行規則に定める様式第4号及び基発第0423002号通知に定める様式第1号の健康管理手帳のことをいう。
それでは、内容です。
労働者災害補償保険法のアフターケア制度とは、症状固定となった後も治療等を続けることができることができる制度で、社会復帰等促進事業の一つとして実施され、被災労働者の労働能力を維持し円滑に社会復帰することを目的としています。
社会復帰促進等事業としてのアフターケア実施要領
(平成19年4月23日付け基発第0423002号)最終改正平成28年3月30日付け基発0330第5号 1 目的 業務災害又は通勤災害により、せき髄損傷等の傷病にり患した者にあっては、症状固定後においても後遺症状に動揺をきたす場合が見られること、後遺障害に付随する疾病を発症させるおそれがあることにかんがみ、必要に応じてアフターケアとして予防その他の保健上の措置を講じ、当該労働者の労働能力を維持し、円滑な社会生活を営ませるものとする。 |
(下記、厚生労働省 リーフレットより)
仕事によるケガや病気で療養中の⽅、治った⽅へ
「アフターケア制度」のご案内
1目的
仕事によってケガや病気をされた方に対し、そのケガや病気が治った後も、再発や後遺障害に伴う新たな病気の発症を防ぐため、必要に応じて、診察や保健指導、検査などを行い、円滑な社会生活を営んでいくことを目的とします。 |
※「治った」とは、完全な回復だけでなく、症状が安定し、治療をしてもそれ以上改善できない状態を含みます。
2.対象となるケガや病気、対象者
アフターケアの対象となるケガや病気は、せき髄損傷など20種類あり、一定の障害等級などを対象者の要件としています。 |
※「障害等級」とは、業務災害や通勤災害によるケガや病気が治った後、身体に一定の障害が残った場合に、その障害の程度に応じて第1級から第14級までの14段階に区分し、障害の程度を評価するものです。
3.手続き
アフターケアを受けるためには、申請者の所属事業場を管轄する都道府県労働局に申請をしていただく必要があります。 |
4.受診
申請が認められると、都道府県労働局から「アフターケア健康管理手帳」が交付され、 労災保険指定医療機関で、診察、保健指導、処置、検査等を無料で受けることができます。 アフターケアを受診するには、労災保険指定医療機関の窓口で、その都度、手帳を提示します。 |
5.通院費(アフターケア通院費)
アフターケアを受けるための通院費は、一定の要件を満たした場合に支給されます。 |
アフターケア制度の対象となる疾病は、次の20とされています。
社会復帰促進等事業としてのアフターケア実施要領 (平成28年3月30日付け基発0330第5号) ①せき髄損傷 ②頭頸部外傷症候群等(頭頸部外傷症候群、頸肩腕障害、腰痛) ③尿路系障害 ④慢性肝炎 ⑤白内障等の眼疾患 ⑥振動障害 ⑦大腿骨頸部骨折及び股関節脱臼・脱臼骨折 ⑧人工関節・人工骨頭置換 ⑨慢性化膿性骨髄炎 ⑩虚血性心疾患等 ⑪尿路系腫瘍 ⑫脳の器質性障害 ⑬外傷による末梢神経損傷 ⑭熱傷 ⑮サリン中毒 ⑯精神障害 ⑰循環器障害 ⑱呼吸機能障害 ⑲消化器障害 ⑳炭鉱災害による一酸化炭素中毒 |
アフターケアは、対象傷病にり患した者に対して、症状固定後においても後遺症状が動揺する場合があること、後遺障害に付随する疾病を発症させるおそれがあることから、必要に応じて予防その他の保健上の措置として診察、保健指導、検査などを実施するものである。 |
(正解)
[平成29年 問3D]
アフターケアの対象傷病は、厚生労働省令によってせき髄損傷等20の傷病が定められている。 |
(誤り)「厚生労働省令によって」⇒「通達によって」
[平成29年 問3E]
アフターケアを受けるためには、健康管理手帳が必要であり、新規にこの手帳の交付を受けるには、事業場の所在地を管轄する都道府県労働局長に「健康管理手帳交付申請書」を提出することとされている。 |
(正解)