平成30年 労働経済白書「まとめ」
労働経済白書の「まとめ」から文章をピックアップしました。
(第1章 労働生産性や能力開発をめぐる状況と働き方の多様化の進展 p300~303)
本試験同様、選択肢としての形式で記載していきます。
(内容は、変えていません。従ってすべて正解になります。)
[問題]G7(フランス、米国、英国、ドイツ、日本、イタリア、カナダ)の労働生産性を比較すると、我が国の労働生産性は、G7の中で最も低い水準であるが、実質労働生産性の上昇率が伸び悩んでいることは、G7における共通の課題となっている。
[問題]国際比較によると、スキルなどのミスマッチにより、我が国は労働者の能力不足に直面している企業の割合が OECD 諸国の中で最も高いにもかかわらず、OJT の実施割合が低く(特に女性)、GDP に占める企業の能力開発費(OFF-JT)の割合についても先進国と比較すると突出して低い水準にあり、労働者の人的資本が十分に蓄積されず、ひいては労働生産性の向上を阻害する要因となる懸念がある。
[問題] 企業の人材マネジメントの考え方をみると、我が国企業では、内部育成とゼネラリストを重視する「内部労働市場型の人材マネジメント」が主流となっている。しかしながら、こうした方針の企業であっても、グローバルな経済活動・イノベーション活動を重視する企業を中心に、今後スペシャリストを重視する機運が高まっていく見込みである。
[問題]企業の内部人材として女性の更なる増加が見込まれる中、転勤について「できればしたくない」と考えている女性が相対的に多く、本人の意向に沿わなければ、場合によっては就業継続が困難となる可能性も示唆された。さらに、企業の内部人材として高齢者の更なる増加が見込まれる中、病気治療を行いながら就労している者は増加しており、その約 40%が 60 歳以上といった状況にある。
[問題]我が国では、団塊の世代(1947~1949 年生まれ)が 2017年に70歳に差しかかったが、高齢者の就業継続意向を把握すると、64 歳の雇用者では約3割が70歳以降も就労する意欲があり、70歳が仕事をしている理由をみると、その他の年齢階級と比較し、健康の維持や社会参加を目的にする者が相対的に多い。仕事と病気治療の両立支援等を進めながら、就労意向のある高齢者が、その能力を十分に発揮させながら、いきいきと働くことのできる就労環境の整備を推進していくことが重要であろう。
[問題]正規雇用労働者と同様に無期労働契約でありながら、勤務地、職務、労働時間
などが限定的な多様な正社員として「限定正社員」という働き方に注目が集まっている。企業がこの働き方を導入する目的をみると、「仕事と育児・介護・病気治療の両立を支援するため」「人材の特性に合わせた多様な雇用管理を行うため」といった事項が多く挙げられていた。
[問題]今後、企業の内部人材がより一層多様化することに伴い、従業員一人ひとりの意思や能力、個々の抱える事情もより一層多様化していくことが見込まれる中、「限定正社員」という働き方も含めて、個々の事情などを勘案した「きめ細かな雇用管理」の重要性が高まっていくものと考えられ、その在り方を検討していくことが重要である。
[問題]能力開発が企業のパフォーマンスに与える影響について計量分析を行った結果、「OFF-JT」「自己啓発支援」への費用支出は、統計的有意に翌年の売上高や労働生産性を向上させる効果があることが確認できた。また、「OJT」に着目すると、OJT の取組個数が相対的に多い企業では「OJT がうまくいっており、職場の生産性が向上している」と感じている企業が多い状況にあった。
[問題]企業が人材育成を行う目的について確認すると、多様な人材の能力発揮をめぐる状況や人材マネジメントの方針などによって、その目的にも差異があるものの、いずれにおいても「今いる従業員の能力をもう一段アップさせ、労働生産性を向上させる」「従業員のモチベーションを維持・向上させる」「数年先の事業展開を考慮して、今後必要となる人材を育成する」を挙げる企業が多い。
[問題]多様な人材の十分な能力発揮や職場の生産性の向上に資することが期待できる具体的な能力開発の取組について考察を行ったところ、「多様な人材の能力が十分に発揮されている企業」では、「入社・入職時の研修」に加えて、特に「職種・業種別の研修」「役職別研修」などといった実際に携わる業務に関連する研修に積極的に取り組んでいる傾向にあった。
[問題]人材育成の取組の成果の1つとなるスキルの向上に着目すると、「コミュニケーション能力」「マネジメント能力」「協調性」は、正社員が重要だと考える以上に企業は重視しており、正社員に重要性がうまく伝わっていない可能性が示唆された。