平成30年「就労条件総合調査」
平成30年「就労条件総合調査」が、平成30年10月23日に厚生労働省より公表されています。
①労働時間制度
②賃金制度
③退職給付(一時金・年金)制度
④退職給付(一時金・年金)の支給実態
上記の4項目で、今回は①の労働時間制度です。
問題形式で、すべて正しい肢になっています。
(1)所定労働時間
[問題]1日の所定労働時間は、1企業平均7時間 46 分(平成 29 年調査7時間 45 分)、労働者1人平均 7 時間 45 分(同 7 時間 43 分)となっている。
[問題]週所定労働時間は、1企業平均 39 時間 31 分(同 39 時間 25 分)、労働者1人平均 39 時間 02 分(同 39 時間 01 分)となっている。
[問題]週所定労働時間の1企業平均を企業規模別にみると、
「1,000 人以上」…38 時間 58 分
「300~999 人」… 39 時間 09 分
「100~299 人」… 39 時間 16 分
「30~99 人」… 39 時間 39 分となっている。
[問題]産業別にみると、
「金融業,保険業」… 38 時間 21 分で最も短く
「宿泊業,飲食サービス業」… 39 時間 56 分で最も長くなっている。
(2)週休制
[問題]主な週休制の形態をみると、「何らかの週休2日制」を採用している企業割合は 84.1%(平成29 年調査 87.2%)となっている。
[問題]「完全週休2日制」を採用している企業割合は 46.7%(同 46.9%)となっている。
[問題]「完全週休2日制」を企業規模別にみると、
「1,000 人以上」… 64.8%
「300~999 人」…56.7%
「100~299 人」…52.0%
「30~99 人」…43.4%となっている。
[問題]週休制の形態別適用労働者割合をみると、「何らかの週休2日制」が適用されている労働者割合は 86.5%(平成 29 年調査 87.5%)、「完全週休2日制」が適用されている労働者割合は 59.4%(同58.4%)となっている。
(3)年間休日総数
[問題]平成 29 年(又は平成 28 会計年度)の年間休日総数の1企業平均は 107.9 日(平成 29 年調査108.3 日)、労働者 1 人平均は 113.7 日(同 113.7 日)となっている。
[問題]1企業平均年間休日総数を企業規模別にみると、
「1,000 人以上」… 114.9 日
「300~999 人」… 112.5 日
「100~299 人」… 110.3 日
「30~99 人」…106.4 日となっている。
[問題]産業別にみると、「情報通信業」及び「学術研究,専門・技術サービス業」が 118.8 日で最も長く、「宿泊業,飲食サービス業」が 97.1 日で最も短くなっている。
(4)年次有給休暇
[問題]平成 29 年(又は平成 28 会計年度)1年間に企業が付与した年次有給休暇日数(繰越日数を除く。)は労働者1人平均 18.2 日(平成 29 年調査 18.2 日)、そのうち労働者が取得した日数は 9.3日(同 9.0 日)で、取得率は 51.1%(同 49.4%)となっている。
[問題]取得率を企業規模別にみると、
「1,000 人以上」… 58.4%
「300~999 人」…47.6%
「100~299人」…47.6%
「30~99 人」…44.3%となっている。
[問題]産業別にみると、「電気・ガス・熱供給・水道業」が 72.9%と最も高く、「宿泊業,飲食サービス業」が 32.5%と最も低くなっている。
(5) 特別休暇制度
[問題]夏季休暇、病気休暇等の特別休暇制度がある企業割合は 60.3%となっており、これを特別休暇制度の種類別(複数回答)にみると、「夏季休暇」44.5%、「病気休暇」25.5%、「リフレッシュ休暇」12.4%、「ボランティア休暇」4.3%、「教育訓練休暇」4.2%、「1週間以上の長期の休暇」14.8%となっている。
[問題]特別休暇制度がある企業について、休暇中の賃金を全額支給する企業割合をみると、「夏季休暇」82.5%、「病気休暇」41.5%、「リフレッシュ休暇」97.0%、「ボランティア休暇」74.6%、「教育訓練休暇」86.4%、「1週間以上の長期の休暇」85.7%となっている。
[問題]1企業平均1回当たり最高付与日数をみると、「夏季休暇」4.4 日、「病気休暇」167.7 日、「リフレッシュ休暇」5.5 日、「ボランティア休暇」31.8 日、「教育訓練休暇」23.1 日、「1週間以上の長期の休暇」8.9 日となっている。
(6) 変形労働時間制
[問題]変形労働時間制を採用している企業割合は 60.2%(平成 29 年調査 57.5%)となっている。
[問題]企業規模別にみると、
「1,000 人以上」…74.5%
「300~999 人」…68.8%
「100~299 人」…62.4%
「30~99 人」…58.2%となっている。
[問題]産業別にみると、「鉱業,採石業,砂利採取業」が 80.2%で最も高く、「金融業,保険業」が 27.6%で最も低くなっている。
[問題]変形労働時間制の種類別(複数回答)にみると、「1年単位の変形労働時間制」が 35.3%、「1か月単位の変形労働時間制」が 22.3%、「フレックスタイム制」が 5.6%となっている。
[問題]変形労働時間制の適用を受ける労働者割合は 51.8%(平成 29 年調査 50.7%)となっており、これを変形労働時間制の種類別にみると、「1年単位の変形労働時間制」は 20.9%、「1か月単位の変形労働時間制」は 23.0%、「フレックスタイム制」は 7.8%となっている。
(7) みなし労働時間制
[問題]みなし労働時間制を採用している企業割合は 15.9%(平成 29 年調査 14.0%)となっており、これをみなし労働時間制の種類別(複数回答)にみると、「事業場外みなし労働時間制」が 14.3%、「専門業務型裁量労働制」が 1.8%、「企画業務型裁量労働制」が 0.8%となっている。
[問題]みなし労働時間制の適用を受ける労働者割合は 9.5%(平成 29 年調査 8.5%)となっており、これをみなし労働時間制の種類別にみると、「事業場外みなし労働時間制」が 7.9%、「専門業務型裁量労働制」が 1.3%、「企画業務型裁量労働制」が 0.3%となっている。
(8) 勤務間インターバル制度
[問題]1年間を通じて実際の終業時刻から始業時刻までの間隔が 11 時間以上空いている労働者が「全員」の企業割合は 40.5%(平成 29 年調査 37.3%)「ほとんど全員」の企業割合は 33.5%(同 34.3%)となっている。また、「ほとんどいない」の企業割合は 2.1%(同 3.5%)、「全くいない」の企業割合は 6.8%(同 9.2%)となっている。
[問題]勤務間インターバル制度の導入状況別の企業割合をみると、「導入している」が 1.8%(平成 29年調査 1.4%)、「導入を予定又は検討している」が 9.1%(同 5.1%)、「導入予定はなく、検討もしていない」が 89.1%(同 92.9%)となっている。
[問題]勤務間インターバル制度の導入予定はなく、検討もしていない企業について、導入予定はなく、検討もしていない理由(複数回答)別の企業割合をみると、「超過勤務の機会が少なく、当該制度を導入する必要性を感じないため」が 45.9%(平成 29 年調査 38.0%)と最も多く、次いで、「当該制度を知らなかったため」が 29.9%(同 40.2%)となっている。
●厚生労働省ホームページより…「勤務間インターバル」の解説
「勤務間インターバル」は、勤務終了後、一定時間以上の「休息時間」を設けることで、働く方の生活時間や睡眠時間を確保するものです。2018年6月29日に成立した「働き方改革関連法」に基づき「労働時間等設定改善法」が改正され、前日の終業時刻から翌日の始業時刻の間に一定時間の休息を確保することが事業主の努力義務として規定されました(2019年4月1日施行)。労働者が日々働くにあたり、必ず一定の休息時間を取れるようにするというこの考え方に関心が高まっています。
この他、ある時刻以降の残業を禁止し、次の始業時刻以前の勤務を認めないこととするなどにより「休息時間」を確保する方法も考えられます。
このように、一定の休息時間を確保することで、労働者が十分な生活時間や睡眠時間を確保でき、ワーク・ライフ・バランスを保ちながら働き続けることができるようになると考えられています。
「勤務間インターバル」は、働き方の見直しのための他の取組みとあわせて実施することで一層効果が上がると考えられ、健康やワーク・ライフ・バランスの確保策として今後の動向が注目されています。