社会保険労務士試験を学習する上での法改正の重要度(優先順位)
予備校のパンフレットや各種参考書等を見ると社労士試験合格に必要な知識として法改正があげられます。
確かに、法改正は重要ですが、社労士合格に必要な知識としてここ20年間は、合否を分ける内容の法改正は出題されていません。
はっきり言うと多くの時間を割き、法改正に関して細かい箇所まで学習する必要はありません。
理解できなくても、数字と定義、要件は、しっかり記憶する必要がありますが、「理解しなければ」というような考えは必要ありません。
例えば、2004年(平成16年)に年金の改正大きな目玉であった「マクロ経済スライド」。
本試験直前、多くの受験生は、マクロ経済スライドを理解するために多くの時間を割いて本試験に臨みました。
マクロ経済スライドを理解しないと合格できないのではないかとさえ思わすような
状況でしたが、マクロ経済スライドの「マ」の字も出題されず、完全に肩透かしです。
そして2019年。
多くの受験生が「働き方改革」に関する改正に相当の時間を割いて本試験の臨んだと思いますが、労働基準法と労働安全衛生法で1肢だけです。
これも完全に肩透かしです。
選択式も出題されていません。
労基法で出題された問題が問6のBです。
労働基準法第32条の3に定めるいわゆるフレックスタイム制について、清算期間が1カ月を超える場合において、清算期間を1カ月ごとに区分した各期間を平均して1週間当たり50時間を超えて労働させた場合は時間外労働に該当するため、労働基準法第36 条第1項の協定の締結及び届出が必要となり、清算期間の途中であっても、当該各期間に対応した賃金支払日に割増賃金を支払わなければならない。 |
この肢は正解になります。
今回のフレックスタイム制の改正のポイントは、清算期間を1カ月から3カ月に改正することにより、フレックスタイム制の利便性を高めることにあります。
ただし、3カ月という清算期間が長くなることによる労働者に対する過度な労働時間を抑制するために、週50時間を超える労働時間分については割増賃金が発生するという内容です。
法改正の内容的には、「50時間を超える場合は、割増賃金が発生」ということで基本的な内容になります。
社会保険労務士の試験に取って法改正は重要です。
(法改正の学習は、改正の趣旨を理解して、基本的な数字と要件だけで十分対応可能。)
ただし、合否を分けるのは、法改正ではなく、「社1と労1の学習(択一、選択)」
法改正の箇所を間違えたので、「救済措置待ちとか合格ラインに届かなかった」という受験生を聞いたことがありません。
「社1と労1(択一、選択)」こそ、社会保険労務士の合否を分ける要です。
繰り返しになりますが、法改正を1とすれば、その10倍「社1と労1(択一、選択)」
は重要です。
「社1と労1(択一、選択)」の学習法は、改めて記載していきますが、
簡単に言うと、受け身の勉強ではなく、「攻めの勉強」しかありません。
(完)