今回は、学習法です。
初学者の方は、社会保険労務士の勉強を通して、初めて聞くような用語や分量の多さに戸惑われていることと思います。
また、再受験生は、改めて学習方法をどのように組み立てていくのか思案をしている最中ではないかと思います。
いずれにしても、社会保険労務士合格に向けて、試行錯誤をしながら、自分なりの学習方法を早く確立していくことが社労士合格には必要です。
合格するためには、独学か、通学か、又は通信講座なのか?
それぞれ合格まで様々なルートがあります。
その中で、必ず必要なツールが過去問です。
ここで質問です。下記の判例の名称をご存知でしょうか?
(内容までは問いません。)
➀雪島鉄工所事件
②正木土建日雇労働者事件
③高田建設従業員事件
④日新製鋼事件
⑤シンガー・ソーイング・メシーン事件
⑥三菱樹脂事件
おそらく、大半の受験生の方は、④、⑤、⑥の名称は見覚えがあるけど、
➀~③は、初めて見ると思われる受験生が多いと思います。
④~⑥は、労働基準法からの判例で過去にも繰り返し出題されています。
一方の➀~③は、労働者災害補償保険法の判例で、平成25年(➀)、平成29年(②、③)に出題されています。
例えば、模擬試験や答案練習会の解説の中で、「高田建設従業員事件」から出題とあった場合に2つの捉え方が出てきます。
Aさん:「労災保険の本試験で出題されたような記憶があるので、しっかり確認しよう。」
Bさん:「高田建設従業員事件?本試験で出題されていない判例なのだろうからパスしよう。」
判例の問題は、初見の問題に対して正誤の判断を出すのは、難しい。
しかし、過去1度でも出題された判例は十分対応することが可能です。
Aさんのように「過去問で見覚えがある。」ということだけで、問題に対する意識が違ってきます。
Bさんは、おそらく本試験で、高田建設従業員事件の内容の問題が出題されたら対応に困ることになるかと思います。
【良問多反復】
過去問や予想問題、答案練習、模擬試験等を多くの種類の問題を解いていくのは、はっきり言って時間のロスであり、ポイントがぼやけてしまいます。
模擬試験や答案練習の問題を復習するだけでも多くのエネルギーが必要になります。
おそらく、大半の受験生は、受けっぱなし。
成績に一喜一憂して、肝心の内容確認までは時間が取れないのが現実なのではないでしょうか。
ここでいう「良問」とは、過去問です。
過去問は、問題の出し方やくせが分かり、かつ実積がある問題です。
また、過去問の論点は、繰り返し出題されることから「予想問題」でもあります。
中途半端に、市販の予想問題や答練、模擬試験を受けるのであれば、過去問を使い倒すことが最優先です。
ただし、過去問と言えども、難問、珍問、奇問はあります。
特に、規定にない論点(法律や通達の創作問題)は、繰り返し学習することはありません。
また、理解し切れない問題は、深追いする必要もありません。
目の前の過去問を繰り返し学習するだけです。
【具体的な過去問の学習法】
初学者の方はいきなりテキストを読んで、過去問に挑戦しても、簡単に弾かれるだけです。
また、再受験生でも時間を置いてしまうと、同じ問題で同じように間違えてしまい、変な癖が付いてしまいます。
過去問は、繰り返し、繰り返し反復する必要がありますが、具体的には、問題を解かずに答えや解説を先に確認して、問題文を読む感覚で学習することを推奨します。
「問題を解く」という行為は、自分の知識や理解を想起する訓練になりますが、
とにかく、時間がかかります。
間違った知識や理解の中で時間をかけて問題を解いていっても、間違った思考回路が出来上がってしまうため、同じ個所で繰り返し間違ってしまいます。
過去問は、解かずに、読む。
理解しながら、読んでいくのであれば、時間はかかりません。
また、「間違え」というストレスからも解放されます。
とにかく多反復が可能になります。
冒頭に記載した判例(➀雪島鉄工所事件、②正木土建日雇労働者事件、③高田建設従業員事件)ですが、少なく過去問を学習しながら、「➀~③の判例を認識して、内容を理解する」まで、繰り返すことが必要です。
1回2回過去問を読んだだけでは、頭に残りません。
頭に残るまで繰り返し過去問を学習することにより、社労士の合格に必要なベースが出来上がります。
【最低でも10年間分の過去問が必要】
少なくとも10年分の過去問を学習する必要があります。
5年では、足りません。
択一式10年分で4,900肢(難問、奇問は除く)をしっかり繰り返すことが、初学者、再受験生にとって合格のためのツールになります。
おそらく、日本で1番分量が多くて、解説の内容が詳し
【過去問集】です。