雇用保険法
「正当な理由のない自己都合」と「正当な理由のある自己都合」の違いについて一般の受給資格者、特定受給者、特定理由離職者と混乱しやすい箇所ですが、押さえるべきポイントを解説していきます。
まずは、下記の3つの受給資格者を押さえます。
➀は、「仕事が合わない」「給与が安い」等々による一般的な自己都合になります。
3カ月間の給付制限があり、所定給付日数も下記のように、年齢に係りなく、90日~150日になります。
③-②と区分するために「正当な理由のない自己都合」とも称します。
②は、倒産や解雇等による失業で、「特定受給資格者」。
3カ月間の給付制限もなく、所定給付日数が優遇されます。
③は、下記のように2つに分かれます。
2つの特定理由離職者をまとめると下記のようになります。
特定理由離職者に関しては、3カ月の給付制限は不要ですが、所定給付日数が③-➀の場合は、特定受給資格者と同様に優遇され、③-②は、一般の受給資格者と同じ扱いになります。
算定対象期間と被保険者期間を加えて、上記をまとめると下記のようになります。
最後に、特定受給資格者の判断基準です。
Ⅰ 「倒産」等により離職した者 ① 倒産(破産、民事再生、会社更生等の各倒産手続の申立て又は手形取引の停止等)に伴い離職した者 ② 事業所において大量雇用変動の場合(1カ月に 30 人以上の離職を予定)の届出がされたため離職した 者及び当該事業主に雇用される被保険者の 3 分の 1 を超える者が離職したため離職した者 ③ 事業所の廃止(事業活動停止後再開の見込みのない場合を含む。)に伴い離職した者 ④ 事業所の移転により、通勤することが困難となったため離職した者 |
Ⅱ 「解雇」等により離職した者 ① 解雇(自己の責めに帰すべき重大な理由による解雇を除く。)により離職した者 ② 労働契約の締結に際し明示された労働条件が事実と著しく相違したことにより離職した者 ③ 賃金(退職手当を除く。)の額の 3 分の 1 を超える額が支払期日までに支払われなかった月が引き続き2カ月以上となったこと、又は離職の直前 6カ月の間に 3 月あったこと等により離職した者 ④ 賃金が、当該労働者に支払われていた賃金に比べて 85%未満に低下した(又は低下することとなった) ため離職した者(当該労働者が低下の事実について予見し得なかった場合に限る。) ⑤ 離職の直前 6カ月間のうちに 3 月連続して 45 時間、1 月で 100 時間又は 2~6 月平均で月 80 時間を超える時間外労働が行われたため、又は事業主が危険若しくは健康障害の生ずるおそれがある旨を行政機関から指摘されたにもかかわらず、事業所において当該危険若しくは健康障害を防止するために必要な措置を講じなかったため離職した者 ⑥ 事業主が労働者の職種転換等に際して、当該労働者の職業生活の継続のために必要な配慮を行っていないため離職した者 ⑦ 期間の定めのある労働契約の更新により3 年以上引き続き雇用されるに至った場合において当該労働契約が更新されないこととなったことにより離職した者 ⑧ 期間の定めのある労働契約の締結に際し当該労働契約が更新されることが明示された場合において当該労働契約が更新されないこととなったことにより離職した者(上記⑦に該当する者を除く。) ⑨ 上司、同僚等からの故意の排斥又は著しい冷遇若しくは嫌がらせを受けたことによって離職した者 ⑩ 事業主から直接若しくは間接に退職するよう勧奨を受けたことにより離職した者(従来から恒常的に設けられている「早期退職優遇制度」等に応募して離職した場合は、これに該当しない。) ⑪ 事業所において使用者の責めに帰すべき事由により行われた休業が引き続き 3 カ月以上となったことにより離職した者 ⑫ 事業所の業務が法令に違反したため離職した者 |
特定受給資格者と特定理由離職者の違い。
特定理由離職者にはさらに2つに分かれますが、それぞれの内容の違い。
特定受給資格者の判断基準の数字。
それぞれの所定給付日数。
算定対象期間と被保険者期間の違い。
覚える箇所も多くありますが、雇用保険法の肝になる部分なので、十分に理解して覚え込む必要があります。