判例の読み方
法律用語で出てくる用語に「合理的」「合理性」「相当性」「相当である。」という表現が頻繁に使用されます。
下記の不利益変更に関する(第四銀行事件最高裁判決)文章の中に「合理性」「相当性」という表現が出てきます。
(第四銀行事件最高裁判決)
定年を延長する代わりに給与が減額された場合において、その合理性の有無の判断に当たっては、①就業規則の変更によって労働者が被る不利益の程度、②使用者側の変更の必要性の内容・程度、③変更後の就業規則の内容自体の相当性、④代償措置その他関連する他の労働条件の改善状況、⑤労働組合等との交渉の経緯、⑥他の労働組合又は他の従業員の対応、⑦同種事項に関する我が国社会における一般的状況等を総合考慮して判断すべきである。 |
まずは、「合理性」に関して、大きく2つの意味があります。
法律的には、➀の「道理や論理にかなっているさま」を意味します。
➀ 道理や論理にかなっているさま⇒理屈に合っている。 ② むだなく能率的であるさま |
「道理や論理にかなっているさま」を、シンプルに、「理屈に合っている」と読み替えます。
テキスト、問題集、判例の中で「合理的」「合理性」という表現が出てきたら、「理屈に合っている」と読み替えて文書を読めば内容が入ってきます。
次に、「相当性」ですが、
日常的な使い方と法律的な使い方には、大きな違いがあります。
例えば、一般的に「相当の期間」とは、「それなりの期間」あるいは、「適当な期間」の意味があります。
一方、法律的な「相当の期間」とは、10日なら10日と法律に規定された期間が、「相当の期間」ということになり、意味は全く異なります。
そのほか、一般的に使用される「1万円相当」とは、1万円程度、あるいはそれ以上というような、あいまいな表現になりますが、法律的には、1万円丁度になります。
「相当性」に関しても、「合理性」と同様に、「理屈に合っている」と読み替えます。
■結論
「合理性」や「相当性」という表現が出てきたら、問題を読み解く術として、「理屈に合っている」という表現にすれば内容が見えてきます。
(第四銀行事件最高裁判決)
定年を延長する代わりに給与が減額された場合において、「理屈に合っている」かどうか」の有無の判断に当たっては、①就業規則の変更によって労働者が被る不利益の程度、②使用者側の変更の必要性の内容・程度、③変更後の就業規則の内容自体が「理屈に合っているかどうか」、④代償措置その他関連する他の労働条件の改善状況、⑤労働組合等との交渉の経緯、⑥他の労働組合又は他の従業員の対応、⑦同種事項に関する我が国社会における一般的状況等を総合考慮して判断すべきである。 |