労働者災害補償保険法 選択式 令和2年の解説です。
★3つは、優しい問題。必ず得点を上げる必要あり。
★2つは、やや難問。
★1つは、未知の問題。
(総評)
【 A 】 |
【 B 】 |
【 C 】 |
【 D 】 |
【 E 】 |
★★★ |
★★★ |
★★★ |
★★★ |
★★★ |
本則の7条の通勤の定義及び施行規則からの問題です。
選択式は、平成21年(平成16年も出題)に出題されています。
択一式に関しては、頻繁に出題されています。(〇の数字は、択一の肢数、〇のみは1肢)
今回の問題は、通勤の定義と、施行規則から「転任による赴任先住居と帰省先住居の住居間の移動に関して、通勤災害に該当する前提(やむを得ない事情)条件を出題しています。
B~Eに関しては、テキスト等に記載していないケースもありますが、選択肢が文脈や内容と合っていない肢が多かったので、十分対応可能な問題と思われます。
例えば、【 C 】は、孤立状態、貧困状態には馴染みません。
■問題と選択肢を確認します。
〔問 2〕 次の文中の【 】 の部分を選択肢の中の最も適切な語句で埋め、完全な文章とせよ。
通勤災害における通勤とは、労働者が、就業に関し、住居と就業の場所との間の往復等の移動を、【 A 】 な経路及び方法により行うことをいい、業務の性質を有するものを除くものとされるが、住居と就業の場所との間の往復に先行し、又は後続する住居間の移動も、厚生労働省令で定める要件に該当するものに限り、通勤に当たるとされている。
厚生労働省令で定める要件の中には、【 B 】 に伴い、当該 【 B 】の直前の住居と就業の場所との間を日々往復することが当該往復の距離等を考慮して困難となったため住居を移転した労働者であって、次のいずれかに掲げるやむを得ない事情により、当該【 B 】 の直前の住居に居住している配偶者と別居することとなったものによる移動が挙げられている。 イ 配偶者が、【 C 】 にある労働者又は配偶者の父母又は同居の親族を【 D 】 すること。 ロ 配偶者が、学校等に在学し、保育所若しくは幼保連携型認定こども園に通い、又は公共職業能力開発施設の行う職業訓練を受けている同居の子( 【 E 】 歳に達する日以後の最初の 3 月 31 日までの間にある子に限る。)を養育すること。 ハ 配偶者が、引き続き就業すること。 ニ 配偶者が、労働者又は配偶者の所有に係る住宅を管理するため、引き続き当該住宅に居住すること。 ホ その他配偶者が労働者と同居できないと認められるイからニまでに類する事情 |
選択肢
① 12 ② 15 ③ 18 ④ 20 ⑤ 介 護 ⑥ 経済的 ⑦ 効率的 ⑧ 合理的 ⑨ 孤立状態 ⑩ 支 援 ⑪ 失業状態 ⑫ 就 職 ⑬ 出 張 ⑭ 常態的 ⑮ 転 職 ⑯ 転 任 ⑰ 貧困状態 ⑱ 扶 養 ⑲ 保 護 ⑳ 要介護状態 |
選択肢に関しては、上記のように5つのグループに分けることができます。
■解答
A ⑧ 合理的 B ⑯ 転 任 C ⑳ 要介護状態 D ⑤ 介 護 E ③ 18 |
条文を確認していきます。
■法7条2項
法7条2項第二号の通勤とは、労働者が、就業に関し、次に掲げる移動を、合理的な経路及び方法により行うことをいい、業務の性質を有するものを除くものとする。 ①住居と就業の場所との間の往復 ②厚生労働省令で定める就業の場所から他の就業の場所への移動 ③第一号に掲げる往復に先行し、又は後続する住居間の移動(厚生労働省令で定める要件に該当するものに限る。) |
➀は、家と会社との往復に関する記述
②は、2カ所で就職している場合
③は、「住居と就業の場所との間の往復に先行し、又は後続する住居間の移動」(厚生労働省令で定める要件に該当するものに限る)
つまり、単身赴任者が、赴任先住居と帰省先住居との間を移動する場合において、通勤災害と認めてくれる前提条件が記載
■③は、Cの移動(赴任先住居と帰省先住居)に関する内容です。
(AとBの移動は、①に該当し、通勤災害の対象)
Cの住居間の移動(赴任先住居と帰省先住居)が通勤災害に該当する場合は、施行規則7条に規定されている「やむを得ない事情」がある場合に限ります。
■施行規則7条1号
第七条 法第七条第二項第三号の厚生労働省令で定める要件は、同号に規定する移動が、次の各号のいずれかに該当する労働者により行われるものであることとする。 一 転任に伴い、当該転任の直前の住居と就業の場所との間を日々往復することが当該往復の距離等を考慮して困難となったため住居を移転した労働者であって、次のいずれかに掲げるやむを得ない事情により、当該転任の直前の住居に居住している配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。以下同じ。)と別居することとなったもの イ 配偶者が、要介護状態(負傷、疾病又は身体上若しくは精神上の障害により、二週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態をいう。)にある労働者又は配偶者の父母又は同居の親族を介護すること。 ロ 配偶者が、学校教育法に規定する学校等に在学し、幼保連携型認定こども園に通い、又は公共職業能力開発施設の行う職業訓練を受けている同居の子(18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある子に限る。)を養育すること。 ハ 配偶者が、引き続き就業すること。 ニ 配偶者が、労働者又は配偶者の所有に係る住宅を管理するため、引き続き当該住宅に居住すること。 ホ その他配偶者が労働者と同居できないと認められるイからニまでに類する事情 (以下省略) |
転勤により、自宅から通勤できないために単身赴任するような場合、単身赴任先の住居から自宅に戻る途中での事故は、通勤災害に該当しません。
ただし、通勤災害と認定される場合が、施行規則で規定されているということです。
・配偶者が同居の親族等の介護を必要とする場合
・配偶者が通学をしている子供を養育する場合
・配偶者が就業している場合 等の場合による別居
(了)