6働き方の見直しの必要性(p47)
【ワーク・ライフ・バランスの希望と現実は、依然として乖離している】
ここまで見てきたように、働き方を巡っては、労働力人口・就業者数の将来的な減少見通しを踏まえた労働参加、女性のライフコースにかかる意識の変化と共働きの増加への対応、足元の雇用情勢を踏まえた人手不足への対応等の必要性が高まっており、仕事と生活の調和のとれた働き方を実現していくことが重要な課題となっている。
2007(平成19)年の「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」策定以降のワーク・ライフ・バランスにかかる希望と現実の推移を見ると、12年を経過してなお希望と現実は乖離している。
「仕事を優先したい」との希望が少ないのに対し、現実には「仕事を優先」しているとの回答が多い状況は変わっておらず、特に20~29歳男性、20~29歳、30~39歳、40~49歳女性において乖離の幅が大きい。
また、男女とも約2~3割の人は、「仕事」と「家庭生活」だけでなく、「地域・個人の生活」も優先したいとする希望がある。
【労働者が必要性を感じる福利厚生は、休暇に関する項目が多く挙がる】
5では福利厚生に関する企業側の実態を見たが、2017(平成29)年に(独)労働政策研究・研修機構が実施した「企業における福利厚生施策の実態に関する調査」によると、労働者側が特に必要性が高いと考える項目としては、労働時間・休暇、両立支援に関連するものが多い。
(小括)
平成の30年間を通じて進んできた女性、高齢者等の就労の拡大は、労働力人口・就業者数の確保にもつながっており、引き続き政策的にその環境整備を図っていく必要がある。
また、この間、働く側の意識の変化などを背景として就業形態の多様化や就業時間の短縮等が進んできたが、働き方改革の推進とあいまって、異なる就業形態間で公平な待遇、ワーク・ライフ・バランスの実現などを進めていくことが重要となっている。
一方、就業形態が多様化する中、自らの望むキャリアパスやライフプランに沿って様々な働き方を積極的に選択できる途が広がりつつある中で、「就職氷河期」世代などの中には不本意な就業形態を選択せざるを得ない人や長期にわたって無業となっている人も存在する。
こうした人々への支援のあり方も課題となっている。
このような状況・今後の見通しを踏まえつつ、第2章において、働き方に関する今後の方向性を整理していく。