令和3年版 厚生労働白書(p239)
パワーハラスメント対策の推進
近年、都道府県労働局や労働基準監督署等に設けた総合労働相談コーナーに寄せられた職場のいじめ・嫌がらせに関する相談が増加を続ける等、職場のパワーハラスメントは社会問題として顕在化している。
2018年(平成30年)、労働政策審議会雇用環境・均等分科会において議論を行い、その結果を踏まえ、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律等の一部を改正する法律案を、第198回通常国会に提出した。
同法案は2019(令和元)年5月に成立し、同年 6月に公布された。 改正法においては、職場のパワーハラスメントを、職場において行われる、 ①優越的な関係を背景とした言動であって ②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより ③労働者の就業環境を害するものの全てを満たすものとして定義し、セクシュアルハラスメントや妊娠・出産・育児休業等 に関するハラスメントと同様に、事業主に対して、パワーハラスメントを防止するための雇用管理上の措置を義務付けたほか、事業主に相談したこと等を理由とした不利益取扱いを禁止する等、セクシュアルハラスメント等の対策も強化した。
さらに、改正法に基づく 指針等について、労働政策審議会雇用環境・均等分科会において議論が行われ、2020 (令和2)年1月にパワーハラスメントの防止のための指針等が告示された。 改正法及び指針は、2020年6月1日より施行されている(パワーハラスメントを防止するための雇用管理上の措置義務については、中小企業事業主は2022(令和4)年3月31日まで努力義務)。改正法が施行されたことを受け、都道府県労働局による事業主への助言・指導等を通じて法の履行確保を図るとともに、啓発用Webサイト「あかるい職場応援団」を活用し、 社内研修用資料や啓発動画、裁判事例の掲載等、職場におけるハラスメントの防止・解決に向けた様々な情報を提供している。
さらに2019年度からは12月を「職場のハラスメント撲滅月間」と定め、シンポジウムの開催など、集中的な広報を行っている。 これらに加えて、2022年4月1日に新たに雇用管理上の措置が義務化される中小企業事業主に対しては、2018年度から専門家による職場におけるハラスメント対策の具体的手法のアドバイスや企業内研修を実施すること等により法の円滑な施行に向けて取り組んでいる。 |