令和3年 厚生労働白書(p304)
働き方の多様化や高齢期の長期化・就労拡大に伴う年金制度の見直し
2020年改正法においては、在職定時改定の導入、在職老齢年金制度の見直し、年金の 受給開始時期の選択肢の拡大等、を盛り込んだ。
在職中の年金受給の在り方の見直しの一環として、現在は、老齢厚生年金の受給権を取得した後に就労した場合は、資格喪失時(退職時・70歳到達時)に、受給権取得後の被保険者であった期間を加えて、老齢厚生年金の額を改定しているが、就労を継続したことの効果を早期に年金額に反映して実感していただけるよう、65歳以上の在職中の老齢厚生年金受給者について、年金額を毎年10月に改定する在職定時改定制度を導入する (2022年4月施行)。
また、60~64歳に支給される特別支給の老齢厚生年金を対象とした在職老齢年金制度 (低在老)の支給停止の基準額を、現行の28万円から65歳以上の在職老齢年金制度(高在老)と同じ47万円に引き上げる(2022年4月施行)。
受給開始時期の選択肢の拡大については、現在60歳から70歳の間となっているもの を、60歳から75歳の間に拡大する。 なお、現在、65歳からとなっている受給開始年齢は変更しない(2022年4月施行)。 なお、今回、高在老の見直しは議論の結果見送りとなったが、高齢期の就労と年金をめぐる調整については、「全世代型社会保障検討会議中間報告」や社会保障審議会年金部会の議論の整理において、年金制度だけで考えるのではなく、税制での対応や各種社会保障制度における保険料負担等での対応を併せて、今後とも検討していくべき課題であるとされている。 |