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医療と介護の総合的な確保の意義 令和3年厚生労働白書

医療及び介護の総合的な確保の意義

(厚生労働白書 p336

 

急速に少子高齢化が進む中、我が国では、2025(令和7)年までにいわゆる「団塊の世代」が全て75歳以上となり、超高齢社会を迎える。

 

こうした中で、国民一人一人が、 医療や介護が必要な状態となっても、できる限り住み慣れた地域で安心して生活を継続し、その地域で人生の最期を迎えることができる環境を整備していくことは喫緊の課題である。

我が国における医療及び介護の提供体制は、世界に冠たる国民皆保険を実現した医療保険制度及び創設から22年目を迎え社会に定着した介護保険制度の下で、着実に整備されてきた。

しかし、高齢化の進展に伴う高齢者の慢性疾患の罹患率の増加により疾病構造が変化し、医療ニーズについては、病気と共存しながら、生活の質(QOLの維持・向上を図っていく必要性が高まってきている。

 

一方で、介護ニーズについても、医療ニーズを併せ持つ重度の要介護者や認知症高齢者が増加するなど、医療及び介護の連携の必要性は これまで以上に高まってきている。

特に、認知症への対応については、地域ごとに、認知症の状態に応じた適切なサービス提供の流れを確立するとともに、早期からの適切な診断や対応等を行うことが求められている。

また、人口構造が変化していく中で、医療保険制度及び介護保険制度については、

給付と負担のバランスを図りつつ、両制度の持続可能性を確保していくことが重要である。

こうした中で、医療及び介護の提供体制については、サービスを利用する国民の視点に立って、ニーズに見合ったサービスが切れ目なく、かつ、効率的に提供されているかどうかという観点から再点検していく必要がある。

また、高齢化が急速に進む都市部や人口が減少する過疎地等といったそれぞれの地域の高齢化の実情に応じて、安心して暮らせる住まいの確保や自立を支える生活支援、疾病予防・介護予防等との統合も必要である。

このように、利用者の視点に立って切れ目のない医療及び介護の提供体制を構築し、国民一人一人の自立と尊厳を支えるケアを将来にわたって持続的に実現していくことが、医療及び介護の総合的な確保の意義である。