6回に分けて掲載したものをまとめたPDFです。
問題形式でまとめています。 問題はすべて正解
■令和3年版過労死等防止対策白書(№1)
[問題]我が国の労働者1人当たりの年間総実労働時間は緩やかに減少し、令和2年は前年比 48 時間の減少となっており、8年連続で減少している。
[問題]総実労働時間を所定内労働時間、所定外労働時間の別にみると、所定内労働時間は長期的に減少傾向が続いている一方、所定外労働時間は、平成 22年以降、120~132 時間の範囲で増減を繰り返していたが、令和2年は 110 時間と前年比 17 時間の減少となった。
[問題]一般労働者とパートタイム労働者の別にみると、一般労働者の総実労働時間は平成 21年以降 10 年ぶりに 2,000 時間を下回った令和元年から更に減少して 1,925 時間となり、パートタイム労働者の総実労働時間も減少傾向が顕著となり 953 時間となった。
なお、 パートタイム労働者の割合は、近年、増加傾向にあることから、近年の労働者1人当たりの年間総実労働時間の減少は、パートタイム労働者の割合の増加の寄与が大きいと考えられる 。
[問題]主要産業別にみると、「建設業」、「運輸業,郵便業」、「情報通信業」、「製造業」が全産業平均よりも労働時間が長くなっている。
[問題]総務省「労働力調査」 で雇用者(非農林業)の月末1週間の就業時間別の雇用者の割合の推移をみると、1週間の就業時間が60時間以上である者の割合は、最近では平成15、 16 年の 12.2%をピークとして減少傾向にある。
■令和3年版過労死等防止対策白書(№2)
[問題]「過労死等の防止のための対策に関する大綱」において、数値目標の対象とされている月末1週間の就業時間が 40 時間以上である雇用者のうち、その就業時間が 60 時間以上である者の割合をみると、平成 15 年をピークとして平成 18年に大きく減少した後、平成 22年の微増を除き、緩やかな減少傾向を示しており、令和2年は 9.0%と初めて 10%を下回った。
[問題]大綱において令和7年までに週労働時間 40 時間以上の雇用者のうち、週労働時間 60 時間以上の雇用者の割合を5%以下とすることを目標としている。
[問題]就業者について、月末1週間の就業時間が 40 時間以上である就業者のうち、その就業時間が60時間以上である者の割合の推移を性別、年齢層別にみると、就業者全体に占める割合(月末1週間の就業時間が 40 時間以上である就業者以外も含む。)と同様、全年代の男性のうち、 30 歳代、40 歳代において、その割合が高くなっている。
[問題]厚生労働省「就労条件総合調査」により、年次有給休暇の状況をみると、取得日数は、平成 9年から平成 19年まで微減傾向が続き、平成 20年以降増減しながらも微増傾向にあり、平成 31 年は 10.1 日と前年比 0.7 日の増加となり、初めて10 日を上回った。
[問題]取得率は、平成12年以降5割を下回る水準で推移していたが、平成29年には5割を上回り、令和元年は 56.3%と、前年比 3.9 ポイントの増加となっている。
[問題]大綱において、令和7年までに年次有給休暇取得率を 70%以上とすることを目標としている。
[問題]年次有給休暇の計画的付与制度がある企業の割合をみると、令和2年は調査産業全体で 43.2%と前年比 21.0 ポイントの増加となっている。
[問題]企業規模別にみると、規模が大きいほど年次有給休暇の計画的付与制度がある企業の割合が高い傾向で推移しているが、令和2年は前年と比べ全ての企業規模で大きく増加し、その差異が 4.7 ポイントに縮まっている 。
[問題]勤務間インターバル制度(終業時刻から次の始業時刻までの間に一定時間以上の休息時間を設けることについて就業規則又は労使協定等で定めているもの)について、制度を導入している企業の割合は、令和2年で 4.2%と前年の 3.7%から 0.5 ポイントの増加となっている 。
[問題]勤務間インターバル制度の導入の予定はなく、検討もしていない企業のうち、導入していない理由として「制度を知らなかったため」と回答した企業の割合は、令和2年で 13.7%と なっており、回答企業全体で 10.7%となっている。
[問題]産業別に制度の導入の予定はなく、検討もしていない企業のうち、導入していない理由として「制度を知らなかったため」と回答した企業の割合をみると、「宿泊業,飲食サービス業」、「運輸業,郵便業」の順にその割合が高く、「電気・ガス・熱供給・水道業」、「金融業,保険業」、「情報通信業」の順にその割合が低い。
[問題]大綱において、令和7年までに勤務間インターバル制度を知らなかった企業割合を5%未満とすること、同制度を導入している企業割合を15%以上とすることを目標としている。
■令和3年版過労死等防止対策白書(№3)
[問題]職場におけるメンタルヘルス対策の状況に関して、仕事や職業生活に関することで強い不安、悩み、ストレスを感じている労働者の割合は、令和2年は 54.2%であり、依然として半数を超えている。
[問題]「仕事や職業生活に関する強い不安、悩み、ストレスを感じる」とした労働者のうち、その内容をみると、「仕事の量・質」(56.7%)が最も多く、次いで「仕事の失敗、責任の発生等」 (35.0%)、「対人関係(セクハラ・パワハラを含む。)」(27.0%)となっている。
[問題]現在の自分の仕事や職業生活でのストレスについて「相談できる人がいる」とする労働者 の割合は 90.8%となっており、「相談できる人がいる」とする労働者が挙げた相談相手は、「家族・友人」(78.5%)が最も多く、次いで「上司・同僚」(73.8%)となっている。
[問題]家族・友人等を除き、職場に事業場外資源(事業場外でメンタルヘルス対 策の支援を行う機関及び専門家)を含めた相談先がある労働者の割合は 69.2%である。
[問題]大綱において、令和4年までに仕事上の不安悩み又はストレスについて、 職場に事業場外資源を含めた相談先がある労働者の割合を 90%以上とすることを目標としている。
[問題]「ストレスを相談できる人がいる」とした労働者のうち、実際に相談した人がいる労働者の割合は 74.1%となっており、実際に相談した相手をみると、「家族・友人」が最も多く、次いで、「上司・同僚」(67.6%)となっている。
[問題]メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業所の割合は、令和2年は 61.4%となっている。 また、事業所の規模別にみると、50 人以上の事業所は概ね 90%を超える割合となっている一 方、10 人~29 人の事業所は 53.5%となっている。
[問題]医師、保健師等による心理的な負担の程度を把握するための検査(以下「ストレスチェック」という。)が平成 27年 12 月から施行されているところ、メンタルヘルスケアの取組内容をみると、「労働者のストレスの状況などについて調査票を用いて調査(ストレスチェック)」(62.7%)が最も多く、次いで「職場環境等の評価及び改善(ストレスチェック後の集団(部、課など)ごとの分析を含む)」(55.5%)となっている。
[問題]大綱において、令和4年までにメンタルヘルス対策に取り組んでいる事業場の割合を80%以上とすることを目標としている。 また、ストレスチェックを集団分析して、その結果を活用した事業場の割合は、令和2年は 66.9%となっている。
[問題]大綱において、令和4年までにストレスチェック結果を集団分析し、その結果を活用した事業場の割合を 60%以上とすることを目標としている。
[問題]職場のハラスメントの問題については、全国の総合労働相談コーナーに寄せられた「いじ め・嫌がらせ」の相談件数が相談内容別で9年連続最多となるなど、社会問題として顕在化 している。
[問題]具体的には、総合労働相談コーナーにおいて、民事上の個別労働紛争に係る相談を令和2年度中に 347,546 件受け付けているが、そのうち、職場での「いじめ・嫌がらせ」に関する 相談受付件数は、79,190 件(22.8%)を占めている。
■令和3年版過労死等防止対策白書(№4)
[問題]仕事が主な原因で発症した心筋梗塞などの「心疾患」、脳梗塞などの「脳血管疾患」、また、仕事によるストレスが関係した精神障害については、「業務上疾病」として認められるが、それらの認定に当たっての基準は、通達で定められている。
[問題]労働者についての労災認定基準に関して、「 脳血管疾患・心疾患」については、 平成 13 年 12 月 12 日付け基発第 1063 号「脳血管疾患及び虚血性心疾患等(負傷に起因するものを除く。)」の認定基準により、 「 精神障害」については、平成 23 年 12 月 26 日付け基発 1226 第1号「心理的負荷による精神障害の認定基準について」により
定められている。
[問題]脳・心臓疾患の労災補償状況業務における過重な負荷により脳血管疾患又は虚血性心疾患等を発症したとする労災請求件数は、平成 14年度に 800 件を超えて以降、700 件台から 900 件台前半の間で推移していたところ、令和2年度は 784 件で、前年度比 152 件の減少となっている。
[問題]業務における強い心理的負荷による精神障害を発病したとする労災請求件数は、長期的にみると増加傾向にあるが、令和2年度は 2,051 件で、前年度比9件の減少となっている。
■令和3年版過労死等防止対策白書(№5)
[問題]過労死等の防止のための対策については、過労死等防止対策推進法及び「過労死等の防止のための対策に関する大綱」(以下「大綱」という。)に基づき、調査研究等、啓発、相談体制の整備等、民間団体の活動に対する支援の取組が国等により進められており、その状況は法第6条に基づく「過労死等防止対策白書」(以下「白書」という。)で、毎年報告されている。
[問題]勤務間インターバルは、勤務終了後、一定時間以上の「休息時間」を設けることで、働く方の生活時間や睡眠時間を確保するもので、2018年6月に成立した「働き方改革関連法」に基づき「労働時間等設定改善法」が改正され、前日の終業時刻から翌日の始業時刻の間に一定時間の休息を確保することが事業主の努力義務として規定された(2019年4月1日施行)。
[問題]平成 24 年度以降に認定基準に基づき労災支給決定(認定)された精神障害事案について具体的出来事別の事案数・割合をみると、男女総数で
「仕事内容・仕事量の(大きな)変化を生じさせる出来事があった」に該当した事案が 747 件(22.3%)と最も多く、次いで「(ひどい)嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受けた」が 596 件(17.8%)、「上司とのトラブルがあった」が 508 件(15.2%)であった。
[問題]性別でみると、男性では「仕事内容・仕事量の(大きな)変化を生じさせる出来事があった」が 564 件(24.7%)と最も多く、次いで「(ひどい)嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受けた」が 395 件(17.3%)、「2週間以上にわたって連続勤務を行った」が 370 件(16.2%)であった。
[問題]女性では「悲惨な事故や災害の体験、目撃をした」が 238 件(22.4%)と最も多く、次いで「セクシュアルハラスメントを受けた」 が 224 件(21.1%)、「(ひどい)嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受けた」が 201 件(18.9%) であった。
[問題]国が過労死等の防止のために重点的に取り組まなければならない対策として、過労死等防止対策推進法第3章に規定されている調査研究等、啓発、相談体制の整備等、民間団体の活動に対する支援について関係行政機関が緊密に連携するとともに、長時間労働の削減、過重 労働による健康障害防止、勤務間インターバル制度の導入促進、年次有給休暇の取得促進、メンタルヘルス不調の予防及びハラスメントの防止について、関係法令等に基づき強力に推進することとしている。
[問題]昨今の長期化する新型コロナウイルス感染症(以下「同感染症」と言う。)の対応は、労働環境にも大きな影響を及ぼしており、同感染症により、人手不足の状態となった現場があることや一部の職場で過重労働が明らかになっていることから、同感染症の対応等のために発生する過重労働によって過労死等が発生しないよう、その対策をより一層推進する必要がある。
[問題]同感染症を契機としてテレワークといった新しい働き方が進んでいるが、テレワー ク下では、仕事と生活の時間の区別が曖昧となり労働者の生活時間帯の確保に支障が生じるおそれがあること、労働者が上司等とコミュニケーションを取りにくい、上司等が労働者の心身の変調に気付きにくいという状況となる場合もあることや、テレワーク等の場合におけるハラスメントが発生するおそれがあることにも留意する必要がある。
[問題]36協定については、労働基準監督署に届出があった際の助言、指導を強化すること等により、事業主に対し、労働者に36協定の内容を周知させることを徹底するとともに、月 45 時間を超える時間外労働や休日労働が可能である場合であっても、36 協定における特別延長時間や実際の時間外・休日労働時間の縮減について「労働基準法第36条第1項の協定で定める労働時間の延長及び休日の労働について留意すべき事項等に関する指針(平成 30 年9月7日 厚生労働省告示第 323 号)」等を踏まえた指導を行っている。
■令和3年版過労死等防止対策白書(№6)
[問題]平成 31年4月施行の改正労働安全衛生法関係法令により、事業者は、労働者の労働時間の状況を把握しなければならないこととされ、時間外・休日労働時間が 80 時間を超え、 かつ、申出のあった労働者、労働基準法による時間外労働の上限規制が適用されない研究開発業務に従事する労働者又は高度プロフェッショナル制度が適用され、かつ、長時間労働を行った労働者に対して、面接指導を実施しなければならないこととされた。
[問題]労働行政機関等における対策として、平成 29年度より、精神障害による労災支給決定が行われた事業場に対して、メンタルヘルス対策を主眼とする個別指導を実施し、特に、総合的かつ継続的な改善の指導が必要と認められる場合には、衛生管理特別指導事業場に指定し、メンタルヘルス対策に係る取組の改善について指示している。
[問題]労働行政機関等における対策として、おおむね3年程度の期間に、精神障害による労災支給決定が2件以上行われた場合には、その企業の本社に対して、メンタルヘルス対策を主眼とする個別指導を実施することにより、全社的なメンタルヘルス対策の取組について指導を実施している。
[問題]仕事や職業生活に関することで、強い不安、悩み、ストレスを感じている事柄がある労働者の割合は 54.2%(令和2年 労働安全衛生調査(実態調査))となっており、また、 精神障害による労災支給決定(認定)件数は、令和2年度は 608 件、うち自殺件数(未遂を含む。)は 81 件となっている。 一方、メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業所の割合は 61.4%と6割程度にとどまっている。
【過労死等防止対策推進法】
■目的(法1条)
この法律は、近年、我が国において過労死等が多発し大きな社会問題となっていること及び過労死等が、本人はもとより、その遺族又は家族のみならず社会にとっても大きな損失であることに鑑み、過労死等に関する調査研究等について定めることにより、過労死等の防止のための対策を推進し、もって過労死等がなく、仕事と生活を調和させ、健康で充実して働き続けることのできる社会の実現に寄与することを目的とする。 |
■定義(法2条)
この法律において「過労死等」とは、業務における過重な負荷による脳血管疾患若しくは心臓疾患を原因とする死亡若しくは業務における強い心理的負荷による精神障害を原因とする自殺による死亡又はこれらの脳血管疾患若しくは心臓疾患若しくは精神障害をいう。 |
■基本理念(法3条)
➀過労死等の防止のための対策は、過労死等に関する実態が必ずしも十分に把握されていない現状を踏まえ、過労死等に関する調査研究を行うことにより過労死等に関する実態を明らかにし、その成果を過労死等の効果的な防止のための取組に生かすことができるようにするとともに、過労死等を防止することの重要性について国民の自覚を促し、これに対する国民の関心と理解を深めること等により、行われなければならない。
②過労死等の防止のための対策は、国、 地方公共団体、事業主その他の関係する者の相互の密接な連携の下に行われなければならない。 |