令和4年本試験の法改正対策
育児介護休業法が、段階的に改正されます。
改正育児・介護休業法について
(労働政策審議会建議(令和3年1月18日)「男性の育児休業取得促進策等について」)
■少子高齢化に伴う人口減少下において、出産・育児による労働者の離職を防ぎ、希望に応じて男女ともに仕事と育児を両立できる社会の実現が重要であるが、実際の育児休業取得率は、男女で大きな差が存在する。 男性の育児休業取得率は、令和元年度で 7.48%(注)と、近年上昇しているものの未だ低い水準にとどまる。取得期間も男性の場合は約8割が1か月未満となっている。 (注:育児休業取得率は、女性は8割台で推移している一方、男性は12.65%と上昇傾向にあるものの女性に比べ低い水準となっている。)
■一方で、育児のための休暇・休業の取得を希望していた男性労働者のうち、 育児休業制度の利用を希望していたができなかった者の割合は約4割であり、労働者の休業取得の希望が十分かなっていない現状がある。
■男性が育児休業を取得しない理由としては、業務の都合や職場の雰囲気といったものが挙げられていることから、 ①業務ともある程度調整しやすい柔軟で利用しやすい制度 ②育児休業を申出しやすい職場環境等の整備 といった取組が必要である。 また、実際に育児休業を取得した男性の多くは子の出生直後の時期に取得しており、出産後の妻が心身の回復が必要な時期に側にいたい、育児に最初から関わりたいといったことからこの時期の取得ニーズが高いことが考えられる。
■そこで、具体的には、その後の育児の入り口となる子の出生直後の時期の休業の取得を、現行の育児休業よりも柔軟で取得しやすい枠組みを設けることで促進することが考えられる。 また、育児休業等に関し個別の働きかけ等の取組がある場合は、そうでない場合に比べて取得した割合が高くなる一方で、男性では6割以上が企業からの働きかけがなかったと回答している調査結果もあり、育児休業を取得しやすい環境を整備するためには、事業主による労働者への個別の働きかけや職場環境の整備を進めることが有効である。
■子の出生直後の短期間の休業のみでなく、その後の夫婦交替等でのまとまった期間の休業の取得も念頭に置けば、育児休業を分割して取得できるようにすることも必要である。
■これらに加えて、企業自ら積極的な取組を進めていくという社会的な機運を醸成するため、育児休業の取得率の公表を促すことで、男性の育児休業の取得を進めることも有効である。 また、有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件について、無期雇用労働者と異なる要件が設定されているが、雇用形態にかかわらず育児・介護休業を取得しやすくしていくことも喫緊の課題である。
こうした取組によって男性の育児休業取得を促進することは、取得を望む男性の仕事と家庭の両立の希望をかなえるとともに、 男女問わずワーク・ライフ・バランスのとれた働き方ができる職場環境の実現につなげていくことで、第一子出産後に約5割の女性が出産・育児により退職している現状において、女性の雇用継続にも資すると考えられる。 また、夫の家事・育児時間が長いほど妻の継続就業割合や第二子以降の出生割合が高くなっているという調査結果も存在する。
■男性が子の出生直後に休業を取得して主体的に育児・家事に関わり、その後の育児・家事分担につなげることは、女性の雇用継続や夫婦が希望する数の子を持つことに資すると考えられる。
■こうした状況を受けて、令和2年5月に閣議決定された『少子化社会対策大綱』では、「労働者に対する育児休業制度等の個別の周知・広報や、育児のために休みやすい環境の整備、配偶者の出産直後の時期の休業を促進する枠組みの検討など、男性の育児休業取得や育児参画を促進するための取組を総合的に推進する」、「有期雇用労働者が育児休業を取得しやすくする方策を検討する」といった内容が盛り込まれている。 |
上記を踏まえて、令和4年4月1日から段階的に施行されます。
(令和4年の試験対策は、➀及び②が対象)
■令和4年4月1日施行 ➀育児休業を取得しやすい雇用環境整備及び妊娠・出産の申出をした労働者に対する個別の周知・意向確認の措置の義務付け ②有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和
■令和4年10月1日施行 ③男性の育児休業取得促進のための子の出生直後の時期における柔軟な育児休業の枠組みの創設 ④育児休業の分割取得
■令和5年4月1日施行 ⑤育児休業の取得の状況の公表の義務付け |
上記➀の
妊娠・出産(本人または配偶者)の申し出をした労働者に対する個別の周知・意向確認の措置に関して
(周知事項)
① 育児休業・産後パパ育休に関する制度
② 育児休業・産後パパ育休の申し出先
③ 育児休業給付に関すること
④ 労働者が育児休業・産後パパ育休期間について負担すべき社会保険料の取り扱い
(周知・意向方法)
①面談(オンライン面談可) ②書面交付 ③FAX ④電子メール等 のいずれか
育児休業を取得しやすい雇用環境の整備
育児休業と産後パパ育休の申し出が円滑に行われるようにするため、事業主は以下のいずれかの措置を講じなければなりません。
① 育児休業・産後パパ育休に関する研修の実施 ② 育児休業・産後パパ育休に関する相談体制の整備(相談窓口設置等) ③ 自社の労働者の育児休業・産後パパ育休取得事例の収集・提供 ④ 自社の労働者へ育児休業・産後パパ育休制度と育児休業取得促進に関する方針の周知 |
有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和
■改正前(~令和4年3月31日)
●育児休業の場合 (1) 引き続き雇用された期間が1年以上 (2) 1歳6か月までの間に契約が満了することが明らかでない
●介護休業の場合 (1) 引き続き雇用された期間が1年以上 (2) 介護休業開始予定日から93日経過日から6か月を経過する 日までに契約が満了することが明らかでない |
■改正後(令和4年4月1日~)
●育児休業の場合 1歳6か月までの間に契約が満了することが明らかでない
●介護休業の場合 介護休業開始予定日から93日経過日から6か月を経過する日までに契約が満了することが明らかでない
育児休業・介護休業いずれも、上記(1)の要件を撤廃し、(2)のみに。 |