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重要判例 日本郵便事件(令和2年10月)

【日本郵便事件】令和2年1013日(東京・大阪・福岡)

 

■事件の概要

期間の定めのある労働契約(有期労働契約)を締結した労働者が,期間の定めのない労働契約を締結している正社員との間で,年末年始手当、祝日給、扶養手当、私傷病の有給休暇、夏期・冬期休暇に関する5項目の待遇差は、労働契約法20条(平成30年 改正前)に違反するものであると主張し損害賠償を求めた事件。

 

■判決

東京高裁、大阪高裁で判決が分かれた。

大阪高裁は、上記3つの待遇について人事戦略の理由から待遇が異なることが直ちに不合理とは言えないと判断。(差を付けることは適法)

労働者勝訴

 

■最高裁

最高裁は、5つの待遇について、いずれの待遇項目においても待遇の差を不合理と判断。

(差を付けることは違法)

 

前提として、正社員と契約社員の間に職務の内容に一定の相違があることを認めた上で、待遇の差は不合理な格差にあたるとした。

 

 

■最高裁判決の骨子

・正社員の継続的な勤務確保のため、扶養手当等を与えることは経営判断として尊重されるが、相応に継続的な勤務が見込まれる契約社員に与えないのは労働契約法20条が言う不合理な格差にあたる。

 

・最繁忙期である年末年始に勤務したことへの対価としての年末年始勤務手当、年始の祝日給を、契約社員に支給しないのは不合理な格差にあたる。

 

・夏期冬期休暇を、繁忙期限定の短期勤務ではない契約社員に与えないのは不合理な格差にあたる。

 

・賞与、退職金と異なり、手当に関しては趣旨が明確であるため、待遇の差は不合理に当たる。

 

 

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