労働基準法の問1は、労働基準法1条~10条の総則からの出題になります。
1日1問 積み上げ方式で、労働基準法の問1を攻略していきます。
2021年7月15日 更新
法3条(均等待遇)平成24年-4A
【労働条件の原則(法1条1項2項)】
➀労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない。
②この法律で定める労働条件の基準は最低のものであるから、労働関係の当事者は、この基準を理由として労働条件を低下させてはならないことはもとより、その向上を図るように努めなければならない。 |
■令和3-1A
労働基準法第1条第2項にいう「この基準を理由として」とは、労働基準法に規定があることが決定的な理由となって、労働条件を低下させている場合をいうことから、社会経済情勢の変動等他に決定的な理由があれば、同条に抵触するものではない。 |
(正解)昭和22年9月13日発基17号からの出題です。
【通達】
第二項については労働条件の低下がこの法律の基準を理由としてゐるか否かに重点を置いて認定し経済諸条件の変動に伴うものは本条に抵触するものとしないこと。
具体的な記載はありませんが、近隣諸国での戦争や大恐慌等々で社会経済情勢の変動等他に決定的な理由があった場合には、労働条件の低下もあり得るという内容の記述です。
■平成30-4A
労働基準法第1条にいう「人たるに値する生活」には、労働者の標準家族の生活をも含めて考えることとされているが、この「標準家族」の範囲は、社会の一般通念にかかわらず、「配偶者、子、父母、孫及び祖父母のうち、当該労働者によって生計を維持しているもの」とされている。 |
(誤り)後段が誤り。
標準家族の範囲は、「その時その社会の一般通念によって理解されるべきもの」としています。
■平成28-1A
労働基準法第1条は、労働保護法たる労働基準法の基本理念を宣明したものであって、本法各条の解釈にあたり基本観念として常に考慮されなければならない。 |
(正解)「労働保護法」という名称が出てきて戸惑う個所ですが、正解になります。
■労働者を保護する法律
➀労働基準法
⇒昭和22年制定。労働条件に関する最低基準を規定。
②最低賃金法
⇒昭和34年労働基準法から派生。賃金の最低額を定める法律。
③労働安全衛生法
⇒昭和47年労働基準法から派生。
(1)危険防止基準の確立、(2)責任体制の明確化及び(3)自主的活動の促進等により、職場における労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境の形成を促進することを目的に。
④労働者災害補償保険法
⇒昭和22年制定。
業務上の事由又は通勤による労働者の負傷、疾病、障害、死亡等に対して必要な保険給付等を行うことを目的に。
⑤雇用保険法
⇒昭和22年に制定された失業保険法に代わり、昭和49年に制定。
⑥労働契約法
⇒平成20年3月1日施行。
就業形態が多様化し、労働条件が個別に決定されるようになり、個別労働紛争が増加。
そこで、紛争の未然防止や労働者の保護を図るため、労働契約についての基本的なルールを明らかにしたもの。
■平成27-1A
労働基準法は、労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならないとしている。 |
(正解)法1条1項より正解
■平成25-1A
労働基準法第1条にいう「労働条件」とは、賃金、労働時間、解雇、災害補償等の基本的な労働条件を指し、安全衛生、寄宿舎に関する条件は含まない。 |
(誤り)法1条1項
「労働条件とは、賃金、労働時間、解雇、災害補償、安全衛生、寄宿舎等に関する条件をすべて含む労働者の職場における一切の待遇をいう。」ということで、「安全衛生、寄宿舎に関する条件」も含まれます。
■平成25-1B
労働基準法は労働条件の最低基準を定めたものであり、この最低基準が標準とならないように、同法は、この最低基準を理由として労働条件を低下させることを禁止し、その向上を図るように努めることを労働関係の当事者に義務づけている。 |
(正解)法1条2項
■平成18-1A
労働基準法の総則においては、労働関係の当事者は、労働条件の向上を図るように努めなければならない旨の規定が置かれている。 |
(正解)法1条2項
【労働条件の決定(法2条)】
➀労働条件は、労働者と使用者が、対等の立場において決定すべきものである。
②労働者及び使用者は、労働協約、就業規則及び労働契約を遵守し、誠実に各々その義務を履行しなければならない。 |
■平成28-1B
労働基準法第2条第1項により、「労働条件は、労働者と使用者が、対等の立場において決定すべきものである」ため、労働組合が組織されている事業場では、労働条件は必ず団体交渉によって決定しなければならない。 |
(誤り)前半の論点は正解。後半の論点のような規定はありません。
■平成25-5C
労働基準法第2条第1項が、「労働条件は、労働者と使用者が、対等の立場において決定すべきである。」との理念を明らかにした理由は、概念的には対等者である労働者と使用者との間にある現実の力関係の不平等を解決することが、労働基準法の重要な視点であることにある。 |
(正解)
■平成21-1A
使用者は、労働協約、就業規則及び労働契約を遵守し、誠実にその義務を履行しなければならないが、使用者よりも経済的に弱い立場にある労働者についてはこのような義務を定めた規定はない。 |
(誤り)「使用者」⇒「労働者及び使用者」になります。
【均等待遇(法3条)】
使用者は、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱をしてはならない。 |
■令和3-1B
労働基準法第3条が禁止する「差別的取扱」をするとは、当該労働者を有利又は不利に取り扱うことをいう。 |
(正解)昭和22年9月13日発基17号
「差別的取扱い」とは、不利に取扱う場合のみならず有利に取扱う場合も含まれているので正解です。
■平成30-4B
労働基準法第3条にいう「賃金、労働時間その他の労働条件」について、解雇の意思表示そのものは労働条件とはいえないため、労働協約や就業規則等で解雇の理由が規定されていても、「労働条件」にはあたらない。 |
(誤り)労働条件に該当するので誤りになります。
法3条の「その他の労働条件」には、解雇、災害補償、安全衛生、寄宿舎等に関する条件も含む趣旨になります。
■平成29-5A
労働基準法第3条は、使用者は、労働者の国籍、信条、性別又は社会的身分を理由として、労働条件について差別的取扱をすることを禁じている。 |
(誤り)「性別」は、含まれていません。
■平成28-3E
労働基準法第3条は、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、労働条件について差別することを禁じているが、これは雇入れ後における労働条件についての制限であって、雇入れそのものを制限する規定ではないとするのが、最高裁判所の判例である。 |
(正解)雇入れ後における労働条件についての制限になります。
三菱樹脂事件の判例からの出題です。
■平成27-1B
労働基準法第3条の禁止する「差別的取扱」とは、当該労働者を不利に取り扱うことをいい、有利に取り扱うことは含まない。 |
(誤り)差別的取扱いをするとは、「不利に取扱う場合のみならず有利に取扱う場合も含む」としています。
■平成25-5D
労働基準法第3条は、すべての労働条件について差別待遇を禁止しているが、いかなる理由に基づくものもすべてこれを禁止しているわけではなく、同条で限定的に列挙している国籍、信条又は社会的身分を理由とする場合のみを禁じている。 |
(正解)限定列挙…国籍、信条又は社会的身分
■平成24-4A
労働基準法第3条が差別禁止事由として掲げている「信条」とは、政治的信条や思想上の信念を意味し、そこには宗教上の信仰は含まれない。 |
(誤り)信条には、宗教上の信仰も含まれるので誤り。
■平成23-3A
労働基準法第3条は、法の下の平等を定めた日本国憲法第14条と同じ事由で、人種、信条、性別、社会的身分又は門地を理由とした労働条件の差別的取扱を禁止している。 |
(誤り)労働基準法3条では、国籍、信条又は社会的身分の差別的取り扱いを禁止。
憲法14条では、人種、信条、性別、社会的身分又は門地の差別的取り扱いを禁止。
【日本国憲法第14条】
すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。 |
■平成21-1B
労働基準法第3条が禁止する労働条件についての差別的取扱いには、雇入れにおける差別も含まれるとするのが最高裁判所の判例である。 |
(誤り)三菱樹脂事件
労働基準法3条では、労働者の信条によって賃金その他の労働条件につき差別することを禁じているが、これは、雇入れ後における労働条件についての制限であって、雇入れそのものを制約する規定ではない。」とするのが最高裁判所の判例。
■平成30-4C
労働基準法第4条の禁止する賃金についての差別的取扱いとは、女性労働者の賃金を男性労働者と比較して不利に取り扱う場合だけでなく、有利に取り扱う場合も含まれる。 |
(正解)有利に取り扱う場合も含まれます。
■平成27-1C
労働基準法第4条は、賃金について、女性であることを理由として、男性と差別的取扱いをすることを禁止しているが、賃金以外の労働条件についてはこれを禁止していない。 |
(正解)法4条では、賃金以外の労働条件については禁止していません。
賃金以外の労働条件に関しては、男女雇用機会均等法において、他の性差別禁止規定が設けられています。
■平成25-5E
労働基準法第4条は、性別による差別のうち、特に顕著な弊害が認められた賃金について、罰則をもって、その差別的取扱いを禁止したものである。 |
(正解)「6箇月以下の懲役又は30万円以下の罰金」があります。
■平成24-4E
労働基準法第4条は、賃金についてのみ女性であることを理由とする男性との差別的取扱いを禁止したものであり、その他の労働条件についての差別的取扱いについては同条違反の問題は生じない。 |
(正解)法4条では、賃金についてのみを対象にしています。
賃金以外の労働条件についての差別的取扱いについては法4条違反の問題は生じません。
■平成21-1C
労働基準法第4条が禁止する女性であることを理由とする賃金についての差別的取扱いには、女性を男性より有利に取扱う場合は含まれない。 |
(誤り)女性であることを理由とする賃金についての差別的取扱いには、不利に取扱う場合のみならず有利に取扱う場合も含まれます。
■条文…強制労働の禁止(法5条)
使用者は、暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によって、労働者の意思に反して労働を強制してはならない。 |
■令和3年-1C
労働基準法第5条に定める「脅迫」とは、労働者に恐怖心を生じさせる目的で本人又は本人の親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対して、脅迫者自ら又は第三者の手によって害を加えるべきことを通告することをいうが、必ずしも積極的言動によって示す必要はなく、暗示する程度でも足りる。 |
(正解)昭和22年9月13日発基17号
■令和1-3B
労働基準法第5条は、使用者は、労働者の意思に反して労働を強制してはならない旨を定めているが、このときの使用者と労働者との労働関係は、必ずしも形式的な労働契約により成立していることを要求するものではなく、事実上の労働関係が存在していると認められる場合であれば足りる。 |
(正解)形式的なものではなく、実態(事実上労働関係が存在するかどうか)で判断します。
■平成29-5B
労働基準法第5条に定める強制労働の禁止に違反した使用者は、「1年以上10年以下の懲役又は20万円以上300万円以下の罰金」に処せられるが、これは労働基準法で最も重い刑罰を規定している。 |
(正解)強制労働の禁止は、「1年以上10年以下の懲役又は20万円以上300万円以下の罰金」で、労働基準法上最も重い刑罰。
■平成27-1D
強制労働を禁止する労働基準法第5条の構成要件に該当する行為が、同時に刑法の暴行罪、脅迫罪又は監禁罪の構成要件にも該当する場合があるが、労働基準法第5条違反と暴行罪等とは、法条競合の関係(吸収関係)にあると解される。 |
(正解)「法条競合」とは、一つの行為が二つ以上の刑罰法規に触れる場合でも、それらの刑罰法規相互間の関係上、そのうちの一つだけが適用されて他は排斥されること。
■平成26-1A
労働基準法第5条は、使用者が労働者に強制労働をさせることを禁止しているが、必ずしも形式的な労働契約により労働関係が成立していることを要求するものではなく、当該具体例において事実上労働関係が存在すると認められる場合であれば足りるとされている。 |
(正解)2つの論点で構成されています。
前半の論点⇒労働基準法第5条は、使用者が労働者に強制労働をさせることを禁止
後半の論点⇒労働基準法第5条は、形だけの労働契約ではなく、実態で判断。
■平成20-1A
使用者は、暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によって、労働者の意思に反して労働を強制してはならない。 |
(正解)法5条ズバリの出題です。
使用者は、暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によって、労働者の意思に反して労働を強制してはならない。
■条文…中間搾取の排除(法6条)
何人も、法律に基いて許される場合の外、業として他人の就業に介入して利益を得てはならない。 |
■平成29-5C
労働基準法第6条は、法律によって許されている場合のほか、業として他人の就業に介入して利益を得てはならないとしているが、「業として利益を得る」とは、営利を目的として、同種の行為を反覆継続することをいい、反覆継続して利益を得る意思があっても1回の行為では規制対象とならない。 |
(誤り)昭和23年3月2日基発381号
1回の行為であっても、反覆継続して利益を得る意思があれば、対象になります。
■平成28-1D
労働基準法第6条は、法律によって許されている場合のほか、業として他人の就業に介入して利益を得てはならないとしているが、その規制対象は、私人たる個人又は団体に限られ、公務員は規制対象とならない。 |
(誤り)公務員も対象になります。
■平成26-1B
労働基準法第6条は、業として他人の就業に介入して利益を得ることを禁止しており、その規制対象は、使用者であるか否かを問わないが、処罰対象は、業として利益を得た法人又は当該法人のために実際の介入行為を行った行為者たる従業員に限定される。 |
(誤り)前半の論点は正解。
後半が誤り。個人、団体又は公人たると私人たるとを問いません。
■平成23-1B
何人も、他の法律の定め如何にかかわらず、業として他人の就業に介入して利益を得てはならない。 |
(誤り)「他の法律の定め如何にかかわらず」⇒「法律に基いて許される場合の外」
■平成20-1C
何人も、法律に基づいて許される場合のほか、業として他人の就業に介入して利益を得てはならない。 |
(正解)法6条の条文そのままの出題です。
■条文…公民権行使の保障(法7条)
使用者は、労働者が労働時間中に、選挙権その他公民としての権利を行使し、又は公の職務を執行するために必要な時間を請求した場合においては、拒んではならない。但し、権利の行使又は公の職務の執行に妨げがない限り、請求された時刻を変更することができる。 |
■令和3-1D
使用者は、労働者が労働時間中に、選挙権その他公民としての権利を行使し、又は公の職務を執行するために必要な時間を請求した場合に、これを拒むことはできないが、権利の行使又は公の職務の執行に妨げがない限り、請求された時刻を変更することは許される。 |
(正解)法7条そのものからの出題です。
■令和1-3C
労働基準法第7条に基づき「労働者が労働時間中に、選挙権その他公民としての権利を行使」した場合の給与に関しては、有給であろうと無給であろうと当事者の自由に委ねられている。 |
(正解)ノーワーク・ノーペイの原則
■平成29-5D
労働者(従業員)が「公職に就任することが会社業務の逐行を著しく阻害する虞れのある場合においても、普通解雇に附するは格別、同条項〔当該会社の就業規則における従業員が会社の承認を得ないで公職に就任したときは懲戒解雇する旨の条項〕を適用して従業員を懲戒解雇に附することは、許されないものといわなければならない。」とするのが、最高裁判所の判例である。 |
(正解)最判昭和38年6月21日(十和田観光電鉄事件)
■平成26-1C
労働基準法第7条は、労働者が労働時間中に、裁判員等の公の職務を執行するための必要な時間を請求した場合に、使用者に、当該労働時間に対応する賃金支払を保障しつつ、それを承認することを義務づけている。 |
(誤り)
有給にするか無給にするかは、当事者の自由に委ねられています。
■平成25-4C
労働基準法第7条は、労働者が労働時間中に、公民権を行使するために必要な時間を請求した場合には、使用者はこれを拒んではならないとし、また、当該時間を有給扱いとすることを求めている。 |
(誤り)