健康保険法

》》傷病手当金 (法99条)

【問題】循環器疾患による傷病手当金の支給期間が満了した後も引き続き労務不能である被保険者が循環器疾患と因果関係にない眼疾を併発した場合には、眼疾のみの場合において労務不能が考えられるか否かによって傷病手当金を支給するか否かが決定される。
(平成15年 問9E)
【解答】○
【解説】(法99条、昭和26年6月9日保文発第1900号)

■設問のとおり正しい。
このケースの場合、循環器疾患に関しての疾病について傷病手当金支給期間が満了し、その後もなお、疾病の療養のため労務不能である者について、他の疾病が発生し、発生した疾病についても労務不能と考えられる場合に⇒眼疾について支給されるべきかどうか判断せれる。


【問題】傷病手当金の支給要件に該当すると認められる者であっても、その者が介護休業中である場合は、傷病手当金は支給されない。
(平成21年 問2A)
【解答】×
【解説】(法99条、平成11年3月31日保険発46号・庁保発9号)
■傷病手当金及び出産手当金の支給要件に該当すると認められる者⇒その者が介護休業期間中であっても傷病手当金又は出産手当金が支給される。


【問題】傷病手当金は、被保険者(任意継続被保険者及び特例退職被保険者を除く。)が療養のため労務に服することができなくなった日から起算して3日を経過した日から支給される。ただし、その3日に会社の公休日が含まれている場合は、その公休日を除いた所定の労働すべき日が3日を経過した日から支給される。
(平成23年 問4A)
【解答】×
【解説】(法99条、昭和4年12月7日保規488号)

■3日間の待期は、歴日によって計算され、会社の公休日も含めて計算されるため誤り。

■傷病手当金は、被保険者(任意継続被保険者及び特例退職被保険者を除く。)が療養のため労務に服することができなくなった日から起算して3日を経過した日から支給される。


【問題】労災保険から休業補償給付を受けている期間中に業務外の病気を併発し、労務不能となった場合、傷病手当金の額が休業補償給付の額を上回っているときは、休業補償給付に加えて、その差額が傷病手当金として支給される。
(平成18年 問4E)
【解答】○
【解説】(法99条1項、昭和33年7月8日保険発第95号)
 ■労災保険法の休業補償給付を受給している健康保険の被保険者が、業務外の事由による傷病によっても労務不能となった場合⇒休業補償給付の額が傷病手当金の額に達しないときにおけるその部分にかかわるものを除き、傷病手当金は支給されない。


【問題】労働安全衛生法の規定によって伝染の恐れがある保菌者に対し事業主が休業を命じた場合、その症状から労務不能と認められないときは、傷病手当金が支給されない。
(平成21年 問7B)
【解答】○
【解説】(法99条)

■伝染病の恐れのある保菌者に対して事業主が休業を命じたが、症状から労務不能と認められない場合

⇒傷病手当金は支給されない。


【問題】傷病手当金の額は、被扶養者がいない場合においては、1日につき標準報酬日額の100分の40に相当する金額となる。
(平成19年 問5D)
【解答】×
【解説】(法99条1項)
■傷病手当金の支給額は被扶養者の数には関係ないので誤り。

■支給額については1日につき、標準報酬日額の100分の40ではなく、3分の2に相当する金額(50銭未満の端数は切り捨て、50銭以上1円未満の端数は1円に切り上げる)。 


【問題】傷病手当金は、療養のため労務に服することができないときに支給されるが、その場合の療養は、健康保険で診療を受けることができる範囲内の療養であれば、保険給付として受ける療養に限らず、自費診療で受けた療養、自宅での療養や病後の静養についても該当し、傷病手当金は支給され(平成23年 問9A)

【解答】○

【解説】(法99条)
 ■傷病手当金の支給要件については、保険給付として受ける療養に限らず

・自費診療で受けた療養

・自宅での療養や病後の静養についても該当。


【問題】介護休業期間中に病気にかかり、その病気の状態が勤務する事業所における労務不能の程度である場合には、傷病手当金が支給される。この場合、同一期間内に事業主から介護休業手当等で報酬と認められるものが支給されているときは、傷病手当金の支給額について調整を行うこととされている。
(平成23年 問9D)
【解答】○
【解説】(法99条1項、平成11年3月31日保険発46号・庁保険発9号)
 ■傷病手当金又は出産手当金が支給される場合に、同一期間内に事業主から介護休業手当等で報酬と認められるものが支給される場合

⇒傷病手当金又は出産手当金の支給額について調整される。
 


【問題】療養の給付の対象とならない疾病について被保険者が自費で手術を受け、そのために労務不能になった場合には、労務不能についての証明があるとしても、傷病手当金は支給されない。

(平成13年 問6E)
【解答】○
【解説】(法99条)
 ■美容整形手術等について被保険者が自費で手術をし、そのため労務不能となった場合⇒これに対し傷病手当金は支給されない。


【問題】被保険者が10日間の年次有給休暇をとって5日目に傷病のため入院療養となり、有給休暇が終了した後も入院のため欠勤(報酬の支払いはないものとする。)が続いた場合、傷病手当金は有給休暇が終了した日の翌日から起算して4日目から支給される。
(平成20年 問4C)
【解答】×
【解説】(法99条)
■待期期間の3日を年次有給休暇として処理した場合でも、待期は完成。
設問の場合は、年休を取得して5日目に傷病のため療養なので、5日目を含めた年次有給休暇をとって7日目に待期が完成。

ただし、有給休暇中には、報酬が支払われているので傷病手当金は支給されず、有給休暇が終了した日の翌日から、傷病手当金が支給。


【問題】被保険者資格(任意継続被保険者及び特例退職被保険者を除く。)を取得する前にかかった疾病又は負傷の資格取得後の療養について、療養の給付を受けることはできるが、傷病手当金は支給されない。

(平成23年 問2E)
【解答】×
【解説】(法99条、昭和26年5月1日保文発1346号)
■傷病手当金は支給されるので誤り。

■被保険者の資格取得前の疾病、負傷についての療養の給付や傷病手当金も支給される。


【問題】傷病手当金の待期期間は、最初に療養のため労務不能となった場合のみ適用され、その後労務に服し同じ疾病又は負傷につきさらに労務不能になった場合は待期の適用は行われない。
(平成21年 問6B)
【解答】○
【解説】(法99条、昭和2年3月11日保理1085号)
 ■待期は、1度完成していればいいので正解。


【問題】傷病手当金を受けるための待期期間は、労務不能となった日から起算して3日間となっているが、療養後労務に服し、同一の疾病又は傷によりさらに労務不能となった場合は、待期の適用がない。
(平成16年 問2A)
【解答】○
【解説】(法99条1項、昭和2年2月19日保理第700号)
■設問のとおり正しい。同一の傷病であれば、待期は1回のみ。


【問題】休業中に家事の副業に従事していたときにケガをしたため、勤務している事業所における労務に従事することができなくなった場合でも、傷病手当金は支給される。
(平成16年 問2B)
【解答】○
【解説】(法99条1項、昭和31年1月19日保文発第340号)
■休業中に家事の副業に従事していたときのケガであっても、労務不能と判断されば、傷病手当金は支給。


【問題】傷病手当金の受給を開始した者が、いったん労務に服した後、同一の疾病により再び休業して傷病手当金の支給を受けた場合、傷病手当金の支給期間は、労務に服していた期間も含めて初回の支給開始日から起算して1年6か月である。
(平成19年 問9A)
【解答】○
【解説】(法99条2項)
■傷病手当金の支給期間

⇒同一の疾病又は負傷及びこれにより発した疾病に関しては、その支給を始めた日から起算して1年6月が限度。


【問題】被保険者がその本来の職場における労務に就くことが不可能な場合、傷病手当金の支給があるまでの間、一時的に軽微な他の労務に服することにより、賃金を得るような場合には、労務不能に該当するものとして傷病手当金が支給される。
(平成16年 問2C)
【解答】○
【解説】(法99条1項)
 ■一時的に軽微な他の労務に服することにより、賃金を得るような場合その他これらに準ずる場合

⇒労務不能に該当する。


【問題】労働基準法の規定によって伝染病の恐れのある保菌者に対して事業主が休業を命じた場合、その症状から労務不能と認められるか否かにかかわりなく、傷病手当金が支給される。
(平成16年 問2D)
【解答】×
【解説】(法99条1項)
■「労務不能と認められるか否かにかかわりなく」の箇所が誤り。

■あくまで、傷病手当金は労務不能と認められた場合に支給される。


【問題】療養の給付の対象とならない整形手術を自費で受けたことにより、労務に服することができなかった場合には、傷病手当金の支給は行われない。
(平成16年 問2E)
【解答】○
【解説】(法99条1項、昭和4年6月29日保理第1704号)
■美容整形手術など被保険者が自費で手術を施し、そのため労務不能となった場合⇒傷病手当金は支給されない。


【埋葬料】 (法100条)

【問題】被保険者が死亡した場合に、当該被保険者により生計を維持していた者がいないときは、埋葬を行った者に対して、5万円の範囲内で、その埋葬に要した費用が支給される。(一部改正)
(平成16年 問4A)
【解答】○
【解説】(法100条2項、令35条)
 ■埋葬料の支給を受けるべき者がいない場合(被保険者の死亡時に、その者により生計を維持していた者がいない場合)は、埋葬料の範囲内で埋葬に要した費用に相当する額が支給。



【問題】被保険者が死亡したときは、その者により生計を維持していた者であって埋葬を行うものに対して、埋葬料として政令で定める金額を支給するが、埋葬料の支給を受けるべき者がない場合においては、埋葬を行った者に対して、前述の埋葬料の金額の範囲内においてその埋葬に要した費用に相当する金額を支給する。
(平成23年 問4B)
【解答】○
【解説】(法100条)
 ■埋葬料の支給を受けるべき者がない場合

⇒埋葬を行った者に対し、埋葬料の金額の範囲内においてその埋葬に要した費用に相当する金額を支給。


【問題】埋葬料の支給対象となる死亡した被保険者により生計を維持していた者とは、被保険者により生計の全部若しくは大部分を維持していた者のみに限らず、生計の一部分を維持していた者も含む。
(平成21年 問9C)
【解答】○
【解説】(法100条、昭和8年8月7日保発502号)
 ■「その者により生計を維持していた者」とは

⇒被保険者により生計の全部若しくは大部分を維持した者のみに限らず、生計の一部分を維持した者も含まれるので正解。


【問題】被保険者が死亡したとき、埋葬料又は埋葬に要した費用に相当する金額の支給を受けるべき者は、その申請の際、被保険者証を保険者に返納しなければならない。
(平成20年 問6B)
【解答】○
【解説】(則51条5項)
■埋葬料又は埋葬に要した費用に相当する金額の支給を受けるべき者

⇒その申請の際、被保険者証を保険者に返納しなければならない。


【問題】埋葬料は、死亡した被保険者と同一世帯にある者が埋葬を行った場合であっても、被保険者により生計を維持していない者には支給されない。
(平成18年 問4B)
【解答】○
【解説】(法100条1項)
 ■被保険者により生計を維持されていない者には埋葬料は支給されないので正解。


【問題】埋葬費は、5万円の範囲内でその埋葬に要した費用に相当する金額であるが、その額が5万円に満たないときは5万円が支給される。
(平成14年 問3A)
【解答】×
【解説】(法100条2項、令35条)
■埋葬料⇒支給額は5万円

■埋葬費⇒5万円の範囲内で実費が支給。


【問題】被保険者が死亡した場合において、その者により生計を維持していなかった兄弟が埋葬を行ったときは、埋葬費が支給される。
(平成15年 問9A)
【解答】○
【解説】(法100条2項)
 ■埋葬料の支給を受けるべきものがいない場合

⇒実際に埋葬を行った者に対し支給される。


【問題】被保険者の死亡により支給される埋葬料は、被保険者の標準報酬月額に相当する金額である。ただし、その金額が政令で定める金額に満たないときは、当該政令で定める金額である。
(平成19年 問9B)
【解答】×
【解説】(法100条1項、令35条)
■被保険者が死亡したときは、その者により生計を維持していた者であって、埋葬を行うものに対し、埋葬料として、政令で定める金額が支給されることになっており、政令で定める埋葬料の額は5万円とされている。