健康保険法
【問題】標準報酬月額の定時決定の時に、一時帰休により休業手当等を受給中の者については、休職開始直前の報酬月額を基礎として「標準報酬月額」を決定し、その状態が3ヵ月継続した場合に随時改定を行う。
(平成14年 問2D)
【解答】×
【解説】(法41条1項、昭和50年3月29日保険発第25号・庁保険発第8号)
■標準報酬の定時決定の対象月に一時帰休に伴う休業手当等が支払われた場合⇒その休業手当等をもって報酬月額を算定し、標準報酬を決定する。
ただし、標準報酬の決定の際、既に一時帰休の状況が解消している場合は、当該定時決定を行う年の9月以後において受けるべき報酬をもって報酬月額を算定し、標準報酬を決定することになっている。
【POINT】
■定時決定の対象月(4月、5月、6月)以外の期間に、休業手当等が支払われ固定的賃金の変動があった場合⇒随時改定の対象となる。
【問題】標準報酬月額は、毎年7月1日現在での定時決定、被保険者資格を取得した際の決定、随時改定及び育児休業終了時の改定の4つの方法によって定められるが、これらの方法によっては被保険者の報酬月額の算定が困難であるとき(随時改定の場合を除く。)、又は算定されたものが著しく不当であると認めるときは、保険者が算定した額を当該被保険者の報酬月額とする。
(平成21年 問4D)
【解答】○
【解説】(法41条、法42条、法43条、法43条の2、法44条)
■標準報酬月額を算定し難いとき、または、算定した額が著しく不当であるとき⇒保険者等が決定する。(保険者決定)
【問題】定時決定時における標準報酬月額の算定方法について、継続した3か月のうち、報酬支払いの基礎となった日数が17日以上である月が1か月、15日以上17日未満である月が2か月である被保険者の場合は、報酬支払いの基礎となった日数が15日以上17日未満である月の報酬月額の平均により算出される。
(平成20年 問1A)
【解答】×
【解説】(法41条1項)
■定時決定は、報酬支払の基礎となった日数が17日未満である月がある場合
⇒その月を除いて算定されることになっている。
■設問の場合には、17日以上である月が1か月であるので、その1か月の報酬月額により算出。
【問題】賃金の計算上の締切日を毎月末日、支払日を翌月の15日としている事業所の標準報酬月額の定時決定に用いる報酬とされるのは、3月分、4月分及び5月分の賃金である。(なお、この選択肢において、「X月分の賃金」とは、X月に計算を締切った賃金のこととする。)
(平成19年 問2A)
【解答】○
【解説】(法41条1項)
■標準報酬の定時決定に用いられる報酬⇒毎年7月1日前の3月間(4月、5月、6月)に受けた報酬の総額。
■賃金支払い日に関係なく実際に支払われた月が対象になるため、設問では、3月分の支払いは4月、4月分の支払いは5月、5月分の支払いは6月ということで正しい。
【問題】標準報酬月額の定時決定の対象月に一時帰休が行われ、通常の報酬より低額の休業手当が支払われた場合は、その休業手当をもって報酬月額を算定し、その後一時帰休が解消し通常の報酬が支払われるようになったときは随時改定を行う。
(平成18年 問2A)
【解答】○
【解説】(法41条、昭和50年3月29日保険発第25号・庁保険発第8号)
■標準報酬の定時決定の対象月に一時帰休に伴う休業手当等が支払われた場合⇒その休業手当等をもって報酬月額を算定し、標準報酬を決定する。
■ただし、標準報酬の決定の際、既に一時帰休の状況が解消している場合⇒定時決定を行う年の9月以後において受けるべき報酬をもって報酬月額を算定し、標準報酬を決定。
【問題】介護休業期間中の標準報酬月額は、休業直前の標準報酬月額の算定の基礎となった報酬に基づき算定した額とされる。
(平成20年 問1B)
【解答】○
【解説】(平成11年3月31日 保険発46号・庁保険発9号)
■介護休業期間中の標準報酬月額
⇒休業直前の標準報酬月額の算定の基礎となった報酬に基づき、算定した額になるので正しい。
【問題】日、時間、出来高又は請負により給与を定めている場合、被保険者資格取得時の標準報酬月額は、取得日の属する月前1ヵ月間に、同一事業所で同様な業務に従事し、同様の給与を受けている者の給与の額を平均した額である。
(平成14年 問2B)
【解答】○
【解説】(法42条1項2号)
■設問のとおり正しい。
【問題】日、時間、出来高又は請負によって報酬が定められている者が、被保険者資格を取得した場合には、当該資格を取得した月前3か月間に当該事業所で同様の業務に従事し、かつ、同様の報酬を受ける者が受けた報酬の額の平均をもって、その者の標準報酬月額とする。
(平成21年 問4B)
【解答】×
【解説】(法42条1項2号)
■日、時間、出来高又は請負によって報酬が定められる被保険者が資格を取得した場合⇒資格を取得した月前1か月間に当該事業所で、同様の業務に従事し、かつ、同様の報酬を受ける者が受けた報酬の額を平均した額を報酬月額として標準報酬月額を決定する。
■「月前3か月間」の箇所が誤り。
【問題】報酬月額が1,250,000円である者について、固定給が降給し、その報酬が支給された月以後継続した3か月間(各月とも報酬の支払基礎日数が17日以上あるものとする。)に受けた報酬を3で除して得た額が、1,117,000円となり、標準報酬月額等級が第47級から第46級となった場合は、随時改定を行うものとされている。
(平成21年 問4C)
【解答】○
【解説】(法43条1項、平成19年3月8日庁保発0308001号)
■随時改定は、原則2等級以上の差が生じた場合に行われるが、例外的に1等級の差でも随時改定が行われる場合がある。
①第46級の標準報酬月額にある者の報酬月額が昇給したことにより、その算定月額が124万5,000円以上となった場合
②第1級の標準報酬月額にある者の報酬月額(5万3,000円未満である場合に限る。)が昇給したことにより、その算定月額が第2級の標準報酬月額に該当することとなった場合
③第47級の標準報酬月額にある者の報酬月額(報酬月額が124万5,000円以上である場合に限る。)が降給したことにより、その算定月額が第46級以下の標準報酬月額に該当することとなった場合
④第2級の標準報酬月額にある者の報酬月額が降級したことにより、その算定月額が5万3,000円未満となった場合
よって、問題文は正解となる。
【問題】事業主は、被保険者が随時改定の要件に該当したときは、速やかに、健康保険被保険者報酬月額変更届を日本年金機構又は健康保険組合に提出することにより、報酬月額を届け出なければならない。(一部改正)
(平成21年 問4A)
【解答】○
【解説】(法43条1項、則26条1項)
■随時改定の届出要件に該当した場合⇒速やかに、『健康保険被保険者報酬月額変更届』を日本年金機構又は健康保険組合に提出。
【問題】第46級の標準報酬月額にある者の報酬月額が昇級し、その算定月額が1,245,000円以上になった場合、2等級以上の差が生じたものとみなして随時改定が行われる。
(平成18年 問2C)
【解答】○
【解説】(法43条1項、昭和36年1月26日保発第4号)
■健康保険第46級の標準報酬月額にある者の報酬月額が昇給したことにより、その算定月額が124万5,000円以上となった場合⇒随時改定の対象となる。
【問題】育児休業期間中の保険料徴収について、事業主負担分を含めて全く行わないこととなったことにともない、その間の標準報酬月額は算定の対象とせず、育児休業終了後の報酬月額に基づき随時改定を行うこととなっている。
(平成16年 問1E)
【解答】×
【解説】(法43条の2、法159条、平成7年3月29日保険発第52号・庁保険発第16号)
■「その間の標準報酬月額は算定の対象とせず」と「育児休業終了後の報酬月額に基づき随時改定を行う」の箇所が誤り。
■育児休業期間中の「標準報酬月額」
⇒休業期間中の賃金支払の有無にかかわらず、休業開始直前の標準報酬月額の算定の基礎となった報酬月額に基づき算定した額になる。
【問題】報酬月額が125万円で第47級の標準報酬月額に該当する者が、降給により報酬月額等級が第45級以下になった場合は随時改定の対象になるが、第46級になった場合は随時改定の対象とはならない。
(平成16年 問1C)
【解答】×
【解説】(法43条1項、昭和36年1月26日保発第4号、平成19年2月28日保発第0228010号)
■第47級標準報酬月額にある者の報酬が降給したことにより、第46級級以下の標準報酬月額に該当することとなった場合⇒随時改定の対象となる。
【問題】4月に遡って昇級が行われ、その昇級による差額給与が6月に支払われた場合、随時改定の算定の対象になるのは、4月、5月及び6月の3か月間の報酬月額であり、当該昇級により標準報酬月額に2等級以上の差が生じたときは、7月より標準報酬月額が改定される。
(平成19年 問2C)
【解答】×
【解説】(法43条1項、法44条1項、昭和36年1月26日保発第4号)
■設問の場合随時改定の算定対象となるのは、「4月、5月、6月」ではなく「6月、7月、8月」の3か月間の報酬月額で、標準報酬月額が改定されるのは「9月」からに。
■設問のように、昇給による差額給与が6月に支払われた場合⇒4月分、5月分の昇給差額分は控除して平均報酬月額を計算する。
【問題】昇給のあった月を含む3ヵ月間の報酬総額の平均額を基礎として算定した標準報酬月額が従前の標準報酬月額に比べて2等級以上の差が出た場合、その翌月から標準報酬月額の随時改定が行われる。
(平成14年 問2E)
【解答】○
【解説】(法43条1項)
■標準報酬月額を改定する場合
⇒昇給又は降級があった月の翌々月を「その著しく高低を生じた月」と解し、その翌月より行う。
【問題】定期昇給により基本給は上昇したが、残業手当の減少により3ヵ月間の報酬総額の平均額が変わらない場合は、随時改定の対象にならない。
(平成14年 問2A)
【解答】○
【解説】(法43条1項)
■随時改定⇒固定的賃金が増額又は減額し、その増額又は減額した月から継続した3月間に受けた報酬の総額を3で除して得た額による等級と現在の等級との間に2等級以上の差を生じた場合に行われる。
【問題】被保険者が育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の規定に基づく育児休業等をしている期間中の標準報酬月額は、休業期間中の賃金の支払いの有無にかかわらず、休業等開始直前の標準報酬月額である。(一部改正)
(平成13年 問1A)
【解答】○
【解説】(平成7年3月29日保険発第52号・庁保険発第16号)
■育児休業期間中の標準報酬月額⇒育児休業開始直前の標準報酬月額の算定の基礎となった報酬月額に基づき算定した額。
【問題】育児休業が終了した際、終了日の翌日が属する月以後3か月間(育児休業等終了日の翌日において使用される事業所で継続して使用された期間に限るものとし、かつ、報酬支払いの基礎となった日数が17日未満である月があるときは、その月を除く。)に受けた報酬の総額をその期間の月数で除して得た額が標準報酬月額等級において2等級以上変動しない場合であっても、被保険者の申し出によって標準報酬月額の改定が行われる。
(平成19年 問2D)
【解答】○
【解説】(法43条の2第1項)
■育児休業等を終了時改定⇒育児休業等を終了した被保険者が、育児休業等を終了した日にその育児休業等に係る3歳に満たない子を養育する場合に、事業所の事業主を経由して保険者に申出をしたときに行われる。
■算定方法⇒育児休業等終了日の翌日が属する月以後3月間(育児休業等終了日の翌日において使用される事業所で継続して使用された期間に限るものとし、かつ、報酬支払の基礎となった日数が17日未満である月があるときは、その月を除く。)に受けた報酬の総額をその期間の月数で除して得た額を報酬月額として、標準報酬月額を改定する。
■随時改定の場合と違い従前の標準報酬月額と比べ2等級以上の差がない場合でも行われる。
【問題】7月、12月及び翌年3月にそれぞれ300万円、200万円、100万円の賞与を受けた場合、標準賞与額は3月300万円、12月200万円、翌年3月40万円となる。
(平成19年 問2E)
【解答】○
【解説】(法45条1項)
■年度(毎年4月1日から翌年3月31日まで)における標準賞与額の累計額が540万円を超える場合⇒累計額が540万円となるようその月の標準賞与額を決定し、その年度においてその月の翌月以降に受ける賞与の標準賞与額は零とする。
■設問の場合、翌年3月分の標準賞与額は40万円(7月分と12月分の累計で500万円)となるので正解。
【問題】被保険者資格を喪失した日の属する月において、被保険者資格を喪失する前に支払われた賞与は、保険料の賦課の対象にはならないが、標準賞与額として決定され、年度における標準賞与額の累計額に算入される。
(平成20年 問6E)
【解答】○
【解説】(法45条)
■前月から引き続き被保険者である者が資格を喪失した場合は、その月分の保険料は、算定されないので、被保険者資格を喪失した日の属する月において、資格を喪失する前に支払われた賞与⇒保険料の賦課の対象にはならない。
■設問の場合、標準賞与額として決定され、標準賞与額の上限である年間累計額540万円(毎年4月1日から翌年3月31日までの累計額)には算入されることになっている。
よって、問題文は正解となる。
【問題】報酬の全部又は一部が、通貨以外のもので支払われる場合、その価額はその地方の時価によって厚生労働大臣が算定するが、その権限は地方厚生局長等に委任されていない。
(平成18年 問E)
【解答】○
【解説】(法46条1項、則159条)
■報酬又は賞与の全部又は一部が、通貨以外のもので支払われる場合
⇒その価額は、その地方の時価によって、厚生労働大臣が定める。合わせて、この厚生労働大臣の権限は、地方厚生局長等に委任されていないので正解。
【問題】任意継続被保険者の標準報酬月額は、退職時の標準報酬月額と、その者が属している保険者の前年(1月1日から3月31日までのその者の標準報酬については前々年)の9月30日における全被保険者の同月の標準報酬月額を平均した額を報酬月額とみなしたときの標準報酬月額のいずれか低い方とする。
(平成13年 問1E)
【解答】○
【解説】(法47条)
■任意継続被保険者の標準報酬月額⇒下記の額のうちいずれか少ない額が標準報酬月額に。
①被保険者の資格を喪失したときの標準報酬月額
②前年(1月から3月までの標準報酬月額については、前々年)の9月30日における当該任意継続被保険者の属する保険者が管掌する全被保険者の標準報酬月額を平均した額(健康保険組合が当該平均した額の範囲内においてその規約で定めた額があるときは、当該規約で定めた額)を標準報酬月額の基礎となる報酬月額とみなしたときの標準報酬月額=280,000円
【問題】任意継続被保険者の標準報酬月額は、当該任意継続被保険者が資格喪失したときの標準報酬月額と、前年(1月から3月までの標準報酬月額については、前々年)の9月30日における当該任意継続被保険者の属する保険者が管掌する全被保険者の標準報酬月額を平均した額(健康保険組合が当該平均した額の範囲内においてその規約で定めた額があるときは、当該規約で定めた額)を標準報酬月額の基礎となる報酬月額とみなしたときの標準報酬月額とのいずれか少ない額である。
(平成20年 問1E)
【解答】○
【解説】(法47条)
■任意継続被保険者の標準報酬月額
⇒
●被保険者資格喪失時の標準報酬月額
●その者の属する保険集団の前年(1月から3月までの標準報酬月額については前々年)の9月30日における標準報酬月額の平均額を報酬月額とみなして標準報酬月額等級表にあてはめて得られる標準報酬月額(平均標準報酬月額)のいずれか低い方とする。
■健康保険組合の場合
規約をもって標準報酬月額の基礎となる報酬月額を定めることができる。
【問題】全国健康保険協会管掌健康保険に加入している事業所で、賞与の支払が同一月に2回に分けて行われた場合、それぞれの賞与の支払日から5日以内に、健康保険被保険者賞与支払届を社会保険事務所長に提出しなければならない。
(平成16年 問1D)
【解答】×
【解説】(法48条、則27条1項、昭和53年6月20日保発第47号・庁保発第21号、平成15年2月25日保発第0225004号・庁保発第2号)
■例外的に賞与が分割支給された場合⇒分割分をまとめて1回として算定。その月における最後の賞与が支給された日から5日以内に健康保険賞与支払届を提出。
【問題】保険者等は、被保険者資格の確認又は標準報酬の決定若しくは改定を行ったときは、その旨を当該事業主に通知しなければならない。また、通知を受けた事業主は、速やかに、被保険者又は被保険者であった者に通知しなければならない。
(平成23年 問5C)
【解答】○
【解説】(法49条1項・2項)
■保険者等の被保険者資格の確認および標準報酬の決定若しくは改定が行われた場合
⇒その旨を事業主に通知することとされている。
⇒保険者等から通知を受けた事業主は、速やかにこれを被保険者又は被保険者であった者に通知しなければならない。