健康保険法

《目次》

●被扶養者

●被扶養者の年収要件


【被扶養者】 (法3条7項)

【問題】被扶養者とは、世帯主である被保険者と住居及び家計を共同にする者をいい、同一戸籍内にあるか否かを問わない。
(平成14年 問9D)
【解答】×
【解説】(法3条7項、昭和15年6月26日社発第7号、昭和18年4月5日保発第905号、昭和27年6月23日保文発第3533号)
■同一戸籍内にあることは必ずしも必要としない。又被保険者が必ずしも世帯主たることを必要としないので誤り。
健康保険の被扶養者の範囲
1.被保険者の直系尊属、配偶者(内縁関係も含む)、子、孫及び弟妹であって、主としてその被保険者により生計を維持するもの
2.被保険者の三親等内の親族であって、その被保険者と同一の世帯に属し、主としてその被保険者により生計を維持するもの
3.被保険者と内縁関係にある配偶者の父母及び子であって、その被保険者と同一の世帯に属し、主としてその被保険者により生計を維持するもの
4.上記3の配偶者の死亡後におけるその父母及び子であって、引き続きその被保険者と同一の世帯に属し、主としてその被保険者により生計を維持するもの 


【問題】被保険者の兄弟姉妹は、その被保険者と同一世帯に属していなくても、その被保険者により生計を維持されていれば被扶養者になるが、被保険者の配偶者の兄弟姉妹は、たとえ被保険者により生計維持されていたとしても、その被保険者と同一世帯に属していなければ被扶養者になることができない。

(平成24年 問10B)

【解答】×

【解説】(法3条7項1号)

■被保険者の「兄弟姉妹」のうち⇒「兄姉」は、被保険者と同一世帯に属し、主として被保険者により生計を維持されていなければならないので誤り。


【問題】被保険者の配偶者で届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者の父母及び子は、被保険者と同一世帯に属し、主としてその被保険者により生計を維持されていれば被扶養者となるが、その配偶者が死亡した後は、引き続きその被保険者と同一世帯に属し、主としてその被保険者により生計を維持されている場合であっても被扶養者となることはできない。
(平成23年 問1D)
【解答】×
【解説】(法3条7項)
■被保険者の配偶者で届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にあるものの父母及び子であって、その被保険者と同一の世帯に属し、主としてその被保険者により生計を維持するもの⇒被扶養者になる。
■その配偶者の死亡後におけるその父母及び子であって、引き続きその被保険者と同一の世帯に属し、主としてその被保険者により生計を維持するもの⇒引き続き被扶養者になる。


【問題】被保険者と別世帯にある被保険者の孫であっても、主として被保険者によって生計を維持している者は被扶養者とされる。
(平成17年 問9B)
【解答】○
【解説】(法3条7項1号)
■設問のとおり正しい。

■孫については、「主としてその被保険者により生計を維持」という事実があれば、必ずしも同居していなくても被扶養者に該当。


【問題】被保険者の配偶者で届出はしていないが、事実上の婚姻関係と同様の事情にある者の子であって、同一世帯に属していないが、被保険者により生計を維持している者は被扶養者として認められる。
(平成21年 問7A)
【解答】×
【解説】(法3条7項)
■事実上婚姻関係と同様の事情にあるものの子⇒被保険者と同一世帯に属していることが要件となる。


【問題】主として被保険者に生計を維持されており、被保険者と同一の世帯にある被保険者の叔父の配偶者は、被扶養者と認められる。
(平成13年 問10A)
【解答】○
【解説】(法3条7項2号、民法725条3号)
■被保険者の叔父の配偶者⇒三親等の親族
⇒三親等内の親族⇒生計維持関係があり、かつ同一世帯要件を満たしていれば被扶養者と認定。


【問題】従来被保険者と住居を共にしていた知的障害者が、知的障害者福祉法に規定する知的障害者更生施設等に入所するようになった場合は、被扶養者の認定は取り消されない。ただし、かつて被保険者と住居を共にしていたが、現に当施設に入所している者の被扶養者の届出があった場合には、被扶養者には認められない。
(平成16年 問9E)
【解答】×
【解説】(法3条7項、平成11年3月19日保険発第24号・庁保険発第4号)

■前半の論点は正しい。後半の論点が誤り。

■後半の現に当該施設に入所している者(かつて、被保険者と住居を共にしていた者に限る。)の被扶養者の届出があった場合⇒被扶養者として認められる。


【問題】主として被保険者に生計を維持されており、被保険者と同一世帯にあった祖母が、疾病のため入院した場合、入院期間中は被保険者と同一世帯にある者とは認められない。
(平成13年 問10B)
【解答】×
【解説】(平成11年3月19日保険発第24号・庁保険発第4号)
■被保険者と同一の世帯に属することが被扶養者(従来被保険者と住居を共にしていた者に限る。)が病院又は診療所に入院する場合⇒被保険者と住居を共にしていることとして取り扱う。


【問題】被保険者の養父母が被扶養者になる場合は、生計維持関係と同一世帯要件を満たすことが必要である。
(平成19年 問1C)
【解答】×
【解説】(法3条7項、昭和32年9月2日保発第123号)
養父母及び養子⇒父母及び子に含まれる。つまり、生計維持関係を満たしていれば同一世帯なくても被扶養者となる。
継父母及び継子⇒父母及び子にはいらないが、三親等内の親族に含まれる。つまり、生計維持関係と同一世帯要件を満たすことにより被扶養者となる。


【問題】被保険者の配偶者の祖父母であっても、被保険者と同一の世帯に属し、主としてその被保険者によって生計を維持している者は被扶養者とされる。
(平成17年 問9C)
【解答】○
【解説】(法3条7項2号)

■設問のとおり正しい。
■被保険者の3親等内の親族(直系尊属、配偶者、子、孫及び弟妹以外のもの)+被保険者と同一の世帯に属し+主としてその被保険者により生計を維持するもの⇒被扶養者に該当。

■配偶者の祖父母⇒2親等の姻族」となり、3親等内の親族となるため、生計維持関係、同一世帯という要件を満たしていれば被扶養者となりうる。


【問題】配偶者である被保険者から暴力を受けた被扶養者である被害者が、当該被保険者から暴力の被害を受けている旨の証明書を添付して被扶養者から外れたい旨の申出を保険者に行った場合、保険者は、被保険者自身から被扶養者を外す旨の届出がなされなくても、当該被害者を被扶養者から外すことができる。
(平成20年 問2B)
【解答】○
【解説】(平成16年12月2日保保発1202002号・庁保険発1202001号)
■(原則)『被扶養者異動届』は被保険者が提出
■(例外)設問のように被害者の申し出により
⇒被扶養者から配偶者の暴力の被害を受けている旨の証明書を添付して被扶養者から外れたい旨の申告がなされた場合⇒被扶養者から外すことが可能。


【被扶養者の年収要件】

【問題】夫婦共働きで、妻の年収が夫の年収を下回る場合であっても、彼らと同一世帯に属し生計を維持されている妻の母は、原則として、妻の被扶養者となる。
(平成13年 問10D)
【解答】×
【解説】法3条7項2号、昭和60年6月13日保険発第66号・庁保険発第22号)
夫婦共稼の場合年間収入の多い方の被扶養者に


【問題】被保険者と同一の世帯に属し、65歳である配偶者の父の年収が160万円である場合、被扶養者とは認められない。
(平成13年 問10E)
【解答】×
【解説】(法3条7項2号、昭和52年4月6日保発第9号・庁保発第9号)
■収入がある者についての被扶養者の認定
⇒同一世帯の属している場合で認定対象者の年間収入が130万円未満認定対象者が60歳以上の場合又は一定の障害者である場合は180万円未満)であって、かつ、被保険者の年間収入の2分の1未満である場合⇒原則として被扶養者として認定。


【問題】被扶養者の認定対象者が被保険者と同一世帯に属している場合、認定対象者の年間収入が130万円未満(認定対象者が60歳以上の者である場合又は概ね厚生年金保険法による障害厚生年金の受給要件に該当する程度の障害者である場合にあっては180万円未満)であって、かつ被保険者の年間収入の3分の2未満である場合は、原則として被扶養者に該当するものとされる。
(平成17年 問9D)
【解答】×
【解説】(昭和52年4月6日保発第9号・庁保発第9号)

■「3分の2未満」⇒「2分の1未満」にすれば正しい。


【問題】全国健康保険協会管掌健康保険における夫婦共同扶養の場合における被扶養者の認定については、年間収入の多い方の被扶養者とすることを原則とするが、年間収入の少ない方の被扶養者とする旨の届出があった場合でも、当該家計の実態等に照らし、主として年間収入の少ない方により生計を維持している者と認められるときは、年間収入の少ない方の被扶養者として認定してよいこととされている。
(平成17年 問9E)
【解答】○
【解説】(平成15年5月19日総評相第44号)

■共稼ぎの場合の被扶養者の認定⇒
(原則)年間収入の多い方の被扶養者に。

(例外)夫婦双方が全国健康保険協会管掌健康保険の被保険者である場合⇒夫婦いずれの被扶養者とするかについては、年間収入の多少のみで判断するのではなく、被保険者である夫婦いずれかの届出に基づき、家計の実態等に基づいて認定を行うことが可能。


【問題】収入がある者の被扶養者の認定基準は、原則として、認定対象者の年間収入が130万円未満(認定対象者が60歳以上の者又は障害者である場合にあっては150万円未満)であって、かつ、被保険者の年間収入の2分の1未満であることとされている。
(平成14年 問9E)
【解答】×
【解説】(昭和52年4月6日保発第9号・庁保発第9号)

■「150万円未満」⇒「180万円未満」にすれば正しい。


【問題】被保険者の父が障害厚生年金の受給権者で被保険者と同一世帯に属していない場合、その年間収入が150万円で、かつ、被保険者からの援助額が年額100万円であるとき、被保険者の被扶養者に該当する。
(平成22年 問9B)
【解答】×
【解説】(平成5年3月5日保発第15号・庁保発第4号)
■被保険者の父は、被扶養者に該当しない。

■設問のように「年間収入が150万円で、被保険者からの援助額が年額100万円」である場合は、年間収入が被保険者からの援助額より多いため、被扶養者に該当しない。