健康保険法
【問題】被保険者が3月15日から4月10日まで同一の医療機関で入院療養を受けた場合は、高額療養費は3月15日から3月31日までの療養に係るものと、4月1日から4月10日までの療養に係わるものに区分される。
(平成24年 問3E)
【解答】○
【解説】(法115条、令41条1項)
■設問のとおり正しい。
■入院療養が月をまたがる場合⇒3月と4月の歴月ごとに分けて算定する、
【問題】高額な薬剤費等がかかる患者の負担を軽減するため、同一医療機関での同一月の窓口負担が自己負担限度額を超える場合は、患者が高額療養費を事後に申請して受給する手続きに代えて、保険者から医療機関に支給することで、窓口での支払いを自己負担限度額までとどめるという現物給付化の対象となっているのは、入院医療に限られている。
(平成24年 問1C)
【解答】×
【解説】(法115条、令43条1項)
■入院療養だけでなく、外来療養も高額療養費に係る現物給付の対象。
【問題】夫婦がともに被保険者である場合、高額療養費の計算においては同一世帯とはみなされないため、両者の医療費は合算の対象とはならない。
(平成15年 問4C)
【解答】○
【解説】(法115条、昭和59年9月22日保険発第65号・庁保険発第17号)
■たとえ夫婦であっても、ともに被保険者である場合⇒その夫婦間での合算は行われない。
【問題】療養のあった月の標準報酬月額が62万円以上の被保険者に係る高額療養費算定基準額は、他の者よりも高く設定されている。
(平成13年 問9A)
【解答】×
【解説】(法115条2項、令42条1項2号)
■「62万円以上」⇒「53万円以上」にすれば正しい。
■70歳未満の被保険者等の高額療養費算定基準額(自己負担限度額)⇒被保険者の所得により①低所得者②一般③上位所得者と区分。
①低所得者⇒地方税法の規定による市町村民税の非課税者又は生活保護法に規定する要保護者
③上位所得者⇒療養を受けた月の標準報酬月額が53万円以上である場合
【問題】高額療養費の支給要件の取扱いでは、同一の医療機関であっても入院診療分と通院診療分はそれぞれ区別される。
(平成23年 問8C)
【解答】○
【解説】(法115条、令43条、昭和48年10月17日保険発95号・庁保険発18号)
■設問のとおり正しい。
■診療報酬請求明細書または調剤報酬請求明細書(以下「レセプト」という。)は、下記の単位によって作成され、それぞれ支給要件に該当するか否かを判定。
①病院(総合病院にあっては、各診療科)、診療所、薬局別
②医科と歯科を併せ有する医療機関にあっては、医科、歯科別
③同一医療機関であっても、入院診療分と通院診療分とは、それぞれ区別
【問題】高額療養費の対象となる費用については、平成12年の法改正により、療養に必要な費用の負担が家計に与える影響に加え、療養に要した費用も考慮して定めることとされ、食事療養に要した費用も含まれることとなった。
(平成17年 問6A)
【解答】×
【解説】(法115条1項)
■高額療養費の算定対象となる一部負担金等⇒食事療養に要した費用は含まれない。
■同様に、生活療養に要した費用も高額療養費の算定対象には含まれない。
【問題】高額療養費の支給は、償還払いを原則としており、被保険者からの請求に基づいて行われるものであることから、被保険者がそれを請求する場合には、法令上、高額療養費支給申請書に必ず領収書を添付することが義務づけられている。
(平成21年 問5E)
【解答】×
【解説】(法115条、昭和48年10月17日保発39号・庁保発20号)
■前半の論点は正しい。
■後半の「高額療養費支給申請書に必ず領収書を添付することが義務づけられている」とした規定はないため誤り。
【問題】自らの所得区分についてあらかじめ保険者の認定を受けた70歳未満の被保険者が、同一の月に同一の保険医療機関で入院療養を受け、その一部負担金等の額が著しく高額である場合であっても、高額療養費の現物給付が行われることはない。
(平成20年 問2A)
【解答】×
【解説】(法115条、令43条1項)
■70歳未満の者についても、70歳以上と同様に入院療養や外来療養について、所得区分に応じ、窓口での一部負担金等の支払いを高額療養費の自己負担限度額までとする高額療養費の現物給付が行われる。
【問題】食事療養標準負担額は、高額療養費の対象となる。
(平成14年 問10E)
【解答】×
【解説】(法115条1項)
■食事療養標準負担額については、高額療養費の対象にならない。
【問題】全国健康保険協会管掌健康保険の被保険者が高額療養費の支給を申請したとき、高額療養費が支給されるまでの当座の支払いに充てるため、高額療養費支給見込額の90%相当額までの貸付金を無利子で受けることができる。
(平成19年 問7A)
【解答】×
【解説】(昭和60年4月6日庁保発第7号)
■「90%」⇒「80%」にすれば正しい。
■高額医療費貸付事業⇒全国健康保険協会管掌健康保険及び船員保険の被保険者又は被扶養者に係る高額療養費が支給されるまでの当座の支払いに充てるための資金の貸付を行う。
【問題】療養があった月以前12月以内に、すでに3回以上高額療養費が支給されているときの一般所得者の負担限度額は、83,400円である。
(平成18年 問6D)
【解答】×
【解説】(法115条、令42条1項1号)
■「83,400円」⇒「44,400円」にすれば正しい。
■上位所得者は83,400円、低所得者は24,600円
【問題】治療用補装具等に係る高額療養費は、同一の医療機関におけるそれぞれの費用のみをもって支給対象となるか否かを判断するものであり、当該医療機関におけるレセプトと合算して支給額を決定するものではない。
(平成15年 問4D)
【解答】○
【解説】(法115条、昭和48年11月7日保険発第99号・庁保険発第21号)
■治療用補装具等にかかる高額療養費⇒同一医療機関における、それぞれの費用のみをもつて支給対象となるか否かを判断する。
【問題】同一月内で健康保険組合から全国健康保険協会に移った被保険者の高額療養費は、それぞれの管掌者ごとに要件をみて対処する。
(平成22年 問5D)
【解答】○
【解説】(昭和59年9月29日保険発第74号・庁保険発第18号)
■多数該当の回数通算についての取り扱い
①転職等により管轄の全国健康保険協会の支部が変わった場合⇒全国健康保険協会管掌健康保険の被保険者として支給を受けた回数は通算
②健康保険組合の被保険者から全国健康保険協会管掌健康保険の被保険者に変わる等、管掌する保険者が変わった場合には、支給回数は通算されない。
③特定疾病に係る高額療養費については、他の傷病に係る高額療養費と世帯合算された場合を除き支給回数は通算されない。
【問題】転職により、健康保険組合の被保険者から全国健康保険協会管掌健康保険の被保険者に変更した場合や、全国健康保険協会管掌健康保険の支部が変更された場合には、高額療養費の算定に当たっての支給回数は通算されない。
(平成18年 問6A)
【解答】×
【解説】(昭和59年9月29日保険発第74号・庁保険発第18号)
■前段は通算されない。
■後段の全国健康保険協会の支部が変わった場合⇒通算される。
【問題】高額療養費の支給回数は、健康保険組合の被保険者から全国健康保険協会管掌健康保険の被保険者に変わった場合には通算されない。
(平成17年 問4D)
【解答】○
【解説】(昭和59年9月29日保険発第74号・庁保険発第18号)
■設問のとおり正しい。
【問題】高額療養費の多数回該当については、転職により健康保険組合の被保険者であった者が全国健康保険協会管掌健康保険の被保険者に変わった場合でも、高額療養費の支給回数は通算される。
(平成16年 問4E)
【解答】×
【解説】(昭和59年9月29日保険発第74号・庁保険発第18号)
■転職等により、健康保険組合の被保険者から全国健康保険協会管掌健康保険の被保険者に変わる等、管掌する保険者が変わった場合⇒支給回数は通算されない。
【問題】70歳未満で市町村民税非課税者である被保険者又はその被扶養者が療養を受けた場合において、当該被保険者又はその被扶養者につき当該療養があった月以前の12 月以内に既に高額療養費が支給されている月数が3月以上あるときは、高額療養費算定基準額が24,600円となる。
(平成15年 問4A)
【解答】○
【解説】(A)正解
(法115条、令42条1項3号)
■70歳未満の市町村民税非課税者である被保険者又はその被扶養者の高額療養費算定基準額⇒35,400円
■高額療養費多数回該当(当該療養のあった月以前の12月以内に既に高額療養費が支給されている月数が3月以上ある場合)の場合
⇒高額療養費算定基準額は24,600円
【問題】70歳未満で標準報酬月額が53万円未満の被保険者又はその被扶養者が、同一の月にそれぞれ1つの保険医療機関から受けた療養に係る一部負担金等のうち、21,000円以上のものを世帯で合算した額が、80,100円+{(医療費-267,000円)×1%}を超えたときは、その超過額が高額療養費として支給される(高額療養の多数該当の場合を除く。)。
(平成19年 問4E)
【解答】○
【解説】(法115条2項、令41条1項、令42条1項)
■70歳未満の被保険者及び70歳未満の被扶養者が、同一月にそれぞれ一の医療機関等から受けた療養に係る一部負担金等のうち、その額が21,000円以上であるものを合算した額が高額療養費算定基準額を超えた場合
⇒その超過額が高額療養費として支給。
■高額療養費算定基準額
●(上位所得者 療養のあった月の標準負担額が530千円以上の被保険者及びその被扶養者)⇒150,000円+{(医療費-500,000円)×1%}
●(一般の場合)⇒80,100円+{(医療費-267,000円)×1%}
●(低所得者 市区町村民税非課税者)⇒35,400円
よって、問題文は正解となる。
なお、高額療養費の多数該当の場合(療養を受けた月以前12ヶ月間に既に3回以上高額療養費の対象となっている場合)の高額療養費算定基準額は、上位所得者83,400円、一般44,400円、低所得者24,600円となる。
【問題】70歳未満の被保険者又はその被扶養者が同一の月にそれぞれすべての病院、診療所、薬局その他の者から受けた療養(食事療養及び生活療養を除く。)に係る一部負担金等の額のうち21,000円以上のものを合算した額が高額療養費算定基準額を超える場合には、高額療養費が支給される。
(平成15年 問4B)
【解答】×
【解説】(法115条、令41条1項1号)
■70歳未満の被保険者又はその被扶養者が同一月内に受けた療養について、
・個人ごと
・医療機関ごと(同一医療機関でも医科と歯科は別々)
・入院又は通院ごとに分類し、
⇒それぞれ21,000円以上の一部負担金等を支払ったものが一部負担金等世帯合算額の対象になる。
【問題】70歳未満で上位所得者に該当する被保険者が、療養のあった月以前の12か月以内に既に高額療養費を支給された月数が3か月以上あるときは、高額療養費算定基準額が83,400円に減額される。
(平成21年 問6D)
【解答】○
【解説】(法115条、令43条1項)
■70歳未満で一般区分の場合⇒44,000円
■低所得者区分の場合⇒24,600円
【問題】70歳未満の者と70歳以上の者がいる世帯の高額療養費は、同一月において、①70歳以上の者に係る高額療養費の額を計算する。次に、②この高額療養費の支給後、なお残る負担額の合算額と70歳未満の一部負担金等の額のうち21,000円以上のものを世帯合算し、この世帯合算による一部負担金等の額が70歳未満の高額療養費算定基準額を超える部分が高額療養費となる。①と②の高額療養費の合計額が当該世帯の高額療養費となる。
(平成22年 問2C)
【解答】○
【解説】(法115条1項、令41条)
■健康保険で医療を受ける70歳以上と70歳未満の者がいる世帯では、同一月にそれぞれの負担がある場合に世帯合算が行われる。
■この場合の高額療養費の算定方法
①70歳以上の者に係る高額療養費の額を計算
②この高額療養費の支給後、なお残る負担額の合算額と70歳未満の一部負担金等の額のうち21,000円以上のものを世帯合算し、この世帯合算による一部負担金等の額が70歳未満の高額療養費算定基準額を超える部分が高額療養費に
③上記①と②の高額療養費の合計額が当該世帯の高額療養費支給額。
【問題】70歳未満で市(区)町村民税非課税者で判定基準所得のない被保険者又はその被扶養者に対する高額療養費算定基準額は15,000円である。
(平成18年 問6C)
【解答】×
【解説】(法115条、令42条1項3号)
■70歳未満であり市区町村民税非課税者で判定基準所得のない被保険者又はその被扶養者に対する高額療養費算定基準額
⇒15,000円35,400円
■70歳以上で、市区町村民税非課税者で判定基準所得のない被保険者等又はその被扶養者の高額療養費算定基準額
⇒外来(個人ごと)8,000円、入院及び世帯単位15,000円
【問題】70歳以上で療養を受ける月の標準報酬月額が28万円以上である被保険者又はその被扶養者に関する高額療養費算定基準額は、原則として、80,100 円+(医療費-267,000円)×1%である。
(平成15年 問4E)
【解答】○
【解説】(法115条、令42条2項2号)
■高齢受給者のうち現役並み所得者(一部負担金等の負担割合が3割の高齢受給者)の入院及び世帯単位の高額療養費算定基準額
⇒「80,100 円+(医療費-267,000円)×1%」(多数回該当の場合は「44,400円」)
■外来(個人ごと)のみである場合の高額療養費算定基準額
⇒44,400円
【問題】70歳以上の者が外来の治療を受けた月の標準報酬月額が55万円以上の場合、高額療養費算定基準額は44,400円である。(一部改正)
(平成18年 問6B)
【解答】×
【解説】(法115条、令34条1項、令42条2項)
■「標準報酬月額が55万円以上」⇒「標準報酬月額が28万円以上」にすれば正しい。
70歳以上の者が外来の治療を受けた月に現役並み所得者(給付率が100分の70)に該当する場合の高額療養費算定基準額は、44,400円となる。
■70歳以上の被保険者及びその70歳以上の被扶養者について厚生労働省令で定めるところにより算定した収入の額が520万円(70歳以上の被扶養者がいない場合は383万円。後期高齢者医療の被保険者等に該当したことにより被扶養者でなくなった者であって、その該当するに至った日の属する月以後5年を経過する月までの間に限り、同日以後継続して後期高齢者医療の被保険者等に該当する被扶養者がいる場合は520万円)に満たない者については、標準報酬月額が28万円以上であっても、一般区分(給付率100分の80(平成24年3月31日までは100分の90)となる。
【問題】高額介護合算療養費が支給されるためには、健康保険から高額療養費、介護保険から高額介護サービス費又は高額介護予防サービス費が、いずれも支給されており、かつ、それぞれの自己負担額から高額療養費、高額介護サービス費又は高額介護予防サービス費を控除した額の合計額が、自己負担限度額を超えていることが必要である。
(平成20年 問2E)
【解答】×
【解説】(法115条の2第1項)
■一部負担金等の額、介護保険法の介護サービス利用者負担額又は介護予防サービス利用者負担の合計額が自己負担限度額を超える場合
⇒当該一部負担金等の額に係る療養の給付等の支給を受けた者に対し、高額介護合算療養費が支給。
【問題】標準報酬月額が53万円の70歳未満である被保険者が、同一の月に同一の医療機関で人工透析治療を受け、それに係る自己負担金が1万円を超えた場合、超えた額が高額療養費として支給される。
(平成19年 問4C)
【解答】×
【解説】(法115条2項、令42条1項・6項、平成18年9月8日厚労省告示第489号)
■「1万円」⇒「2万円」にすれば正しい。
■標準報酬月額が53万円の70歳未満である被保険者⇒上位所得者
【問題】費用が著しく高額な治療として厚生労働大臣が定める特定疾病に係る療養を著しく長期間にわたり継続しなければならない場合、当該療養を同一の月にそれぞれ1つの病院等で受けた者の一部負担金等の限度額が10,000円(人工腎臓を実施している慢性腎不全患者のうち70歳未満の上位所得者については20,000円)を超えた場合、それを超える分には高額療養費が支給される。
(平成18年 問6E)
【解答】○
【解説】(法115条、令41条6項))
■設問のとおり正しい。
【問題】人工腎臓を実施している慢性腎不全など厚生労働大臣が定める疾病に係る療養について、当該療養を受けた被保険者又はその被扶養者が同一の月に同一の医療機関等で受けた当該療養に係る一部負担金等の額が12,000円を超える場合は、その額から12,000円を控除した額が、高額療養費として支給される。
(平成16年 問8D)
【解答】×
【解説】(法115条、令41条6項、令42条6項、平成14年9月5日厚生労働省告示第294号)
■「12,000円」⇒「10,000円」にすれば正しい。
■(原則)設問の特定疾病に係る療養の一部負担金が10,000円を超えるときは、超えた額が高額療養費として支給(現物給付として支給)
■(例外)70歳未満の上位所得者については一部負担金は20,000円
■厚生労働大臣が定める高額長期疾病(特定疾病)
1.人工腎臓を実施している慢性腎不全
2.先天性血液凝固第Ⅷ因子障害又は先天性血液凝固第Ⅸ因子障害
3.抗ウイルス剤を投与している後天性免疫不全症候群