(法1条)目的
労働者災害補償保険は、業務上の事由又は通勤による労働者の負傷、疾病、障害、死亡等に対して迅速かつ公正な保護をするため、必要な保険給付を行い、あわせて、業務上の事由又は通勤により負傷し、又は疾病にかかつた労働者の社会復帰の促進、当該労働者及びその遺族の援護、労働者の安全及び衛生の確保等を図り、もつて労働者の福祉の増進に寄与することを目的とする。 労働者災害補償保険は、政府が、これを管掌する。 |
(法2条の2)労災保険事業 労働者災害補償保険は、第1条の目的を達成するため、業務上の事由又は通勤による労働者の負傷、疾病、障害、死亡等に関して保険給付を行うほか、社会復帰促進等事業を行うことができる。 |
(法3条1項)強制適用事業 労働者災害補償保険法では、労働者を使用する事業を適用事業という。 |
●個人経営の農林水産(船員を使用して行う船舶所有者の事業を除く)で、下記に掲げるもの
⇒暫定任意適用事業
農業 |
常時使用労働者数 5人未満 |
+ |
①一定の危険又は作業を主として行う事業 ②特別加入をしている事業主が行う事業以外の事業 |
林業 | 常時労働者を使用しない | 年間使用延労働者数⇒300人未満 | |
水産業 |
常時使用労働者数 5人未満 |
①総トン数5トン未満の漁船 ②災害発生のおそれの少ない河川、湖沼又は特定の水面において主として操業する者 |
(法7条2項)
通勤とは、労働者が、就業に関し、次に掲げる移動を、合理的な経路及び方法により行うことをいい、業務の性質を有するものを除くものとする。 |
(法7条3項) 逸脱・中断 (原則)労働者が、通勤に係る移動の経路を逸脱し、又は移動を中断した場合においては、当該逸脱又は中断の間及びその後の移動は通勤としない。 (例外)当該逸脱又は中断が、日常生活上必要な行為であつて厚生労働省令で定めるものをやむを得ない事由により行うための最小限度のものである場合は、当該逸脱又は中断の間を除き、通勤の経路に復した後は、通勤とみなす。 |
(第8条) 給付基礎日額 (原則)労働基準法第12条の平均賃金に相当する額とする。 (特例)平均賃金に相当する額を給付基礎日額とすることが適当でないと認められるとき ⇒所轄労働基準監督署長が算定 |
●自動変更対象額⇒給付基礎日額の最低基準額のこと。
(原則)
⇒原則又は給付基礎日額の特例で算出した額が、自動変更対象額(3,950円)に満たない場合
⇒この自動変更対象額が給付基礎日額とする。
●厚生労働大臣は、年度の平均給与額が直近の自動変更対象額の変更年どの前年度の平均給与額と比べ変動した場合
⇒翌年度の8月1日以後の自動変更対象額を変更しなければならない。
自動変更対象額は、毎年7月31日までに変更される場合に告示。
【スライド制の趣旨】
労災保険年金額については、原則として算定事由発生日(被災日)の賃金を基に算定した給付基礎日額に給付の種類等に応じた給付日数を乗じて算定。
しかし、年金は長期にわたって給付することになるため、被災時の賃金によって補償を続けていくと、その後の賃金水準の変動が反映されないことになり、公平性を欠いてしまいます。
このため、労災保険では、給付基礎日額を賃金水準の変動に応じて改定する制度(スライド制)を取り入れている。
【スライドによる金額の改定】
一般の労働者一人あたりの平均給与額の変動率を基準として、厚生労働大臣が定める改定率(スライド率)により、翌年度の8月1日以降に支給すべき年金給付について行われる。
【スライド率の算定方法】
スライド率の算定は、算定事由発生日(被災日)の属する年度の平均給与額と、支給年度の前年度の平均給与額(平成24年8月1日からの1年間のスライド率であれば平成23年度の水準)を比較して計算される。
【休業給付基礎日額のスライド制】
適用 |
四半期ごとの平均給与額が、算定事由発生日の属する四半期の平均給与額の100分の110を超え又は100分の90を下回るに至ったとき ⇒スライド率を給付基礎日額に乗じて得た額を休業給付基礎日額とする。 |
改定 時期 |
平均給与額が10%を超えて変動した四覇気の翌々四半期 |