労働者災害補償保険法

《目次》【業務災害の認定】【労基法施行規則別表第1の2】【医療業務従事者】

【業務災害の認定】 (法7条1項1号)

【問題】事業場内での事故による負傷であっても、例えば自動車の整備に従事する者が事業場の施設内で休憩時間中に喫煙しようとしたところガソリンの染み込んだ作業衣に引火して生じた火傷は、休憩時間中の私的行為によるものであるので、業務上の負傷に該当しない。

(平成19年 問1C)
【解答】×

【解説】(法7条1項1号、昭和33年5月12日基発298号)
■結論は、業務上と認定。
■休憩時間中の事故であっても、それが事業場施設の欠陥等に起因する場合は業務上の災害となる。
■設問では、休憩時間中の喫煙という私的行為中に発生した災害であるが、作業衣に染み込んだガソリンに引火したために発生したものであり、その原因が被災者の業務内容(自動車整備)からして明らかに業務に起因するものであると考えられるので、業務上の災害と認定。


【問題】業務上の疾病が治って療養の必要がなくなった場合には、その後にその疾病が再発しても、新たな業務上の事由による発病でない限り、業務上の疾病とは認められない。

(平成19年 問1E)
【解答】×

【解説】(法7条1項1号、昭和23年1月9日基災発13号)
■業務上の疾病が治って療養の必要がなくなった場合⇒その後にその疾病が再発したときは業務上の疾病と認定。


【問題】労働者が、直接に住居と出張先との間の往復を合理的な経路及び方法により行うことは、通勤に準ずるものと解され、これによる負傷、疾病、障害又は死亡は、通勤災害とみなされる。

(平成14年 問2E)
【解答】×
【解説】(法7条2項)
■住居と出張先との間の合理的な経路及び方法によることは⇒業務災害


【労働基準法施行規則別表第1の2】

【問題】業務上の負傷に起因する疾病は、労働基準法施行規則第35条及び別表第1の2で定める業務上の疾病には含まれない。

(平成19年 問1A)

【解答】×

【解説】(労基則35条、労基則別表第1の2)
業務上の疾病⇒労働基準法施行規則35条別表第1の2に掲げる疾病に含まれる。


【問題】業務との関連性がある疾病であっても、労働基準法施行規則別表第1の2第1号から第10号までに掲げる疾病その他「業務に起因することの明らかな疾病」に該当しなければ、業務上の疾病とは認められない。

(平成19年 問1D)

【解答】○

【解説】(労基則35条、労基則別表第1の2)
■業務上の疾病⇒労働基準法施行規則別表第1の2に掲げる疾病とされている。
■別表第1の2では、第1号から第10号までに一定の疾病を例示列挙するとともに、第11号に「その他業務に起因することの明らかな疾病」として包括的な救済規定を補足的に設置。
■したがって、業務との関連性がある疾病であっても、例示列挙された疾病その他業務に起因することの明らかな疾病(業務との相当因果関係が認められるもの)に該当しなければ「業務上の疾病」とはならない。


【問題】業務に関連がある疾病であっても、労働基準法施行規則別表第1の2の各号に掲げられている疾病のいずれにも該当しないものは、業務上の疾病とは認められない。
(平成21年 問1C)
【解答】○
【解説】(平成12年12月25日労働省告示第120号)
■業務上の疾病の範囲⇒『労基則別表1の2及びこれに基づく告示』において規定。
このいずれにも該当しないものは業務上の疾病と認められない。


【問題】業務に起因することが明らかな疾病であっても、労働基準法施行規則別表第1の2において具体的に疾病の原因及び種類が列挙されている 疾病のいずれかに該当しないものは、保険給付の対象とはならない。

(平成14年 問1D)
【解答】×
【解説】(法7条1項1号)
■業務上の疾病⇒労基則別表第1の2に例示として列挙
それ以外の疾病⇒「厚生労働大臣の指定する疾病」、「その他業務に起因することの明らかな疾病」については保険給付の対象。


【問題】厚生労働省令(労働基準法施行規則別表第1の2)では、業務上の疾病を例示しており、例示された最後の疾病は「その他業務に起因することの明らかな疾病」であるが、その具体的な疾病名は、厚生労働大臣が告示している。
(平成17年 問2B)
【解答】×
【解説】(労基則35条)
■具体的な疾病名は告示されていない。
■労基則別表第1の2第9号に該当する疾病⇒第1号から第8号までに掲げる疾病の原因因子以外の業務上の有害因子によって起こる疾病又は有害因子が特定し得ないが業務起因性の認められる疾病
⇒具体的には
・中枢神経
・循環器疾患(脳卒中、急性心臓死等)等の疾病)


【医療業務従事者】

【問題】医療従事者等が、C型肝炎ウイルス(以下、本問の選択肢において「HCV」という。)の感染源である HCV保有者の血液に業務上接触したことに起因して HCVに感染し、C型肝炎を発症した場合には、業務上疾病として取り扱われるとともに、医学上必要な治療は保険給付の対象となる。

(平成23年問6A)

【解答】○
【解説】(平成5年10月29日基発619号)
■医療従事者等が、HCVの感染源であるHCV保有者の血液等に業務上接触したことに起因してHCVに感染し、C型肝炎を発症した場合
業務上疾病として取り扱われ保険給付の対象となる。


【問題】医療従事者等について、HCVに汚染された血液への接触の後、HCV抗体検査等の検査(当該血液への接触の直後に行われる検査を含む。)が行われた場合には、当該検査結果が、業務上外の認定に当たっての基礎資料として必要な場合もあることから、医師がその必要性を認めた場合に行われる当該検査は、業務上の負傷に対する治療上必要な検査として保険給付の対象に含めるものとして取り扱われるが、当該血液への接触以前から既にHCVに感染していたことが判明している場合のほか、当該血液への接触の直後に行われた検査により、当該血液への接触以前から HCVに感染していたことが明らかとなった場合には、その後の検査は療養の範囲には含まれない。

(平成23年 問6B)

【解答】○
【解説】(平成5年10月29日基発619号)
受傷等以前から既にHCVに感染していたことが判明している場合や受傷等の直後に行われた検査により、当該受傷等以前からHCVに感染していたことが明らかとなった場合⇒その後の検査は療養の範囲には含まれない


【問題】医療従事者等が、ヒト免疫不全ウイルス(いわゆるエイズウイルス。以下、この選択肢において「HIV」という。)の感染源であるHIV保有者の血液に業務上接触したことに起因してHIVに感染した場合には、業務上疾病として取り扱われるとともに、医学上必要な治療は保険給付の対象となる。

(平成23年 問6C)
【解答】○
【解説】(平成5年10月29日基発619号)
■医療従事者等が、HIV保有者の血液等に業務上接触したことに起因してHIVに感染した場合業務上疾病として取り扱われるとともに、医学上必要な治療は保険給付の対象


【問題】業務に起因する医療従事者等のメチシリン耐性労働基準法施行規則別表第1の2第1号黄色ブドウ球菌(MRSA)感染症は、(業務上の負傷に起因する疾病)に該当するものとされている。(平成23年 問6D)
【解答】×
【解説】(平成5年10月29日基発619号)
■業務に起因する医療従事者等のMRSA感染症については、「ウイルス性肝炎等」に含むこととし
⇒労基則別表第1の2第6号1又は5に定める業務上の疾病に該当。

したがって、「労働基準法施行規則別表第1の2第1号(業務上の負傷に起因する疾病)に該当」の箇所が誤り。


【問題】医療従事者等のC型急性肝炎は、原則として、次に掲げる要件をすべて満たすものについては、業務に起因するものと判断される。
①C型急性肝炎の症状を呈していること。
②HCVに汚染された血液等を取り扱う業務に従事し、かつ、当該血液等に接触した事実が認められること。
③HCVに感染したと推定される時期からC型急性肝炎の発症までの時間的間隔がC型急性肝炎の潜伏期間と一致すること。
④C型急性肝炎の発症以後においてHCV抗体又はHCV-RNA(HCV遺伝子)が陽性と診断されていること。
⑤業務以外の原因によるものでないこと。

(平成23年 問6E)

【解答】○

【解説】 (平成5年10月29日基発619号)
■C型肝炎の発症が確認された場合設問の通り正解。

すべての要件を満たすものについては、業務に起因するものと判断。


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