労働者災害補償保険法
《目次》【中小事業主等の特別加入】【一人親方等の特別加入】【海外派遣者の特別加入】
【問題】特別加入者の給付基礎日額は、中小事業主等については当該事業に使用される労働者の賃金の額その他の事情を考慮し、一人親方等については当該事業と同種若しくは類似の事業又は当該作業と同種若しくは類似の作業を行う事業に使用される労働者の賃金の額その他の事情を考慮し、海外派遣者については中小事業主等の場合に準じて、厚生労働大臣が定める額による。
(平成21年 問2E)
【解答】○
【解説】(法34条1項3号、法35条1項6号、法36条1項2号)
■設問のとおり正しい。
特別加入者の給付基礎日額⇒当該事業等に使用される労働者の賃金の額その他の事情を考慮し、厚生労働大臣が定める額。
■具体的には、厚生労働大臣が定めた額の中から特別加入者が申請時に希望する額に基づき都道府県労働局長が決定
■特別加入者の給付基礎日額⇒最低保障額及び年齢階層別の最低限度額及び最高限度額の適用はない。
■ただし、スライド制の適用あり。
【問題】特別加入者に係る休業補償給付は、業務上負傷し、又は疾病にかかり、療養のため当該事業に従事することができないことに加え、そのために所定の給付基礎日額に相当する額の収入が失われた場合に限り、支給される。
(平成14年 問3A)
【解答】×
【解説】(法34条1項2号)
■特別加入者の休業(補償)給付の支給要件⇒「賃金を受けない」という要件はない。
■つまり、業務災害による傷病等の療養のために労務不能の状態であると認められれば、休業(補償)給付は支給。
【問題】特別加入者の事故が当該特別加入に係る保険料が滞納されている期間中に生じたものであるときは、政府は、当該滞納に係る保険料が納付されるまでの間に限り、当該事故に係る保険給付の全部又は一部の支給を行わないことができる。
(平成20年 問2B)
【解答】×
【解説】(法34条1項、法35条1項、法36条1項)
■特別加入者の事故が当該特別加入に係る保険料が滞納されている期間(督促状の指定期限の翌日から概算保険料を納付した日の前日まで)に生じたものであるとき⇒事業主からの費用徴収でなく保険給付の支給制限が行われる。
■支給制限の期間は療養を開始した日(即死の場合は事故発生の日)の翌日から起算して3年以内の期間において支給事由の生じたものに限定。
■「当該滞納に係る保険料が納付されるまでの間に限り」の箇所が誤り。
【問題】労働者以外の者であっても、特別加入を認められた者は、労災保険法上は労働者とみなされ、通勤災害に係る保険給付を除くすべての保険給付を受けることができる。
(平成21年 問1B)
【解答】×
【解説】(法26条1項、法34条1項、法35条1項)
■(原則)特別加入者は、通勤災害に係る保険給付を受けることは可能。
■(例外)個人タクシー業者・個人貨物運送業者等については通勤災害に係る保険給付を受けることができない。
【問題】中小事業主及び一人親方等の特別加入者は、適用事業に使用される労働者とみなされ、労災保険のすべての保険給付が行われる。
(平成20年 問1D)
【解答】×
【解説】法26条1項、法35条1項、平成13年3月30日基発233号
■労災保険の全てが受けられるわけではないので誤り。
■特別加入者⇒安衛法の適用がない。つまり、定期健康診断、二次健康診断等給付の対象でない
■個人タクシー業者や個人貨物運送業者などには通勤災害が適用なし。
【問題】特別加入者に係る休業補償給付は、業務上負傷し、又は疾病にかかり、その療養のため4日以上業務に従事することができない場合には、それによる所得喪失の有無にかかわらず、支給される。
(平成20年 問4B)
【解答】○
【解説】(法34条1項、平成11年2月18日基発77号)
■設問のとおり正しい。
■そもそも特別加入者は、賃金を受け取る労働者ではないので、休業(補償)給付については、所得喪失の有無にかかわらず支給される。
【問題】特別加入者である中小事業主等の事故が特別加入保険料の滞納期間中に生じ、かつ、業務災害の原因である事故が当該中小事業主等の故意又は重大な過失によって生じたものである場合における保険給付の支給については、まず故意又は重大な過失に係る支給制限が行われ、さらに支給制限後の保険給付の残額について特別加入保険料の滞納に係る支給制限が行われる。
(平成20年 問4D)
【解答】○
【解説】(法12条の2の2、法34条1項)
■設問のとおり正しい。
■設問のように支給制限の規定が重複して適用される場合⇒まず故意又は重大な過失により生じた事故による支給制限を適用し、その残余の部分について特別加入保険料の滞納期間中に生じた事故による支給制限を適用。
【問題】一人親方等の特別加入者のうち、漁船による水産動植物の採捕の事業を労働者を使用しないで行うことを常態とする者は、自宅から漁港までの移動が通勤とみなされ、通勤災害に関しても労災保険の適用を受けることができる。
(平成21年 問1D)
【解答】×
【解説】(法35条1項、則46条の22の2)
■一人親方等の特別加入者のうち、住居と就業の場所との間の往復の実態が明確ではないこと等から通勤災害の対象とされていない者
1.個人タクシー業者・個人貨物運送業者
2.漁船による自営漁業者(船員法1条に規定する船員が行う事業を除く)
3.特定農作業従事者
4.指定農業機械作業従事者
5.危険有害な作業に従事する家内労働者等
【問題】一人親方等の特別加入者のうち、1.自動車を使用して行う旅客若しくは貨物の運送の事業又は漁船による水産動植物の採捕の事業を労働者を使用しないで行うことを常態とする者及びこれらの者が行う事業に従事する者、2.農業における所定の作業に従事する者、3.家内労働法にいう家内労働者及びその補助者で所定の作業に従事するものは、通勤災害に関しては労災保険の保険給付を受けることができない。
(平成16年 問2E)
【解答】○
【解説】(法35条1項、則46条の22の2)
■設問のとおり正しい。
【問題】一人親方等の特別加入者のうち、自動車を使用して行う旅客又は貨物の運送の事業を労働者を使用しないで行うことを常態とする者その他の労働者災害補償保険法施行規則第46条の22の2に定める者は、通勤災害に関する労災保険の保険給付を受けることができない。
(平成20年 問2C)
【解答】○
【解説】(法35条1項、則46条の22の2)
■一人親方等の特別加入者のうち個人タクシー業者・個人貨物運送業者・個人水産業者・特定農作業従事者・指定農業機械作業従事者・危険有害作業に従事する家内労働者
⇒通勤災害が適用されない。
【問題】海外派遣者について、派遣先の海外の事業が厚生労働省令で定める数以下の労働者を使用する事業に該当する場合であっても、その事業の代表者は、労災保険の特別加入の対象とならない。
(平成24年 問5E)
【解答】×
【解説】(法36条)
■設問の海外派遣者は、労災保険の特別加入の対象になるため誤り。
【問題】海外派遣者について、派遣先の海外の事業が中小企業(常時所定の数以下の労働者を使用するものに限る。)に該当する場合には、その事業の代表者であっても、特別加入の対象となる。
(平成20年 問4E)
【解答】○
【解説】(法36条1項、平成11年12月3日基発695号)
■設問のとおり正しい。
【問題】海外派遣者の業務災害又は通勤災害が当該派遣された地域における不法滞在中に生じた事故によるものである場合には、政府は、保険給付の全部又は一部を行わないことができる。
(平成14年 問3E)
【解答】×
【解説】(法36条1項1号・3号)
■海外派遣者として特別加入していれば、不法滞在中の事故であっても保険給付されるので誤り。
【問題】特別加入者に係る業務災害及び通勤災害については、労働者災害補償保険法施行規則に基づき厚生労働省労働基準局長が定める基準によって、その認定が行われる。
(平成20年 問4A)
【解答】○
【解説】(法37条、則46条の26)
■設問のとおり正しい。
【問題】特別加入者に関しては、二次健康診断等給付は、行われない。
(平成14年 問1B)
【解答】○
【解説】(法26条1項)
■労災保険の特別加入者⇒二次健康診断等給付の対象外
■特別加入者には、そもそも労働安全衛生法の適用がない。⇒定期健康診断等の適用対象外。
【問題】特別加入者に係る業務災害については、労働者の場合と異なり、業務の範囲等を確定することが通常困難であることから、その認定は、厚生労働省労働基準局長が定める基準によって行われる。
(平成17年 問2E)
【解答】○
【解説】(法37条、則46条の26)
■特別加入者の業務又は作業(職場適応訓練作業を除く。)の内容⇒当人自身の判断によって決まる場合が多く、その業務又は作業の範囲を確定することが通常困難。
このため、特別加入者に係る業務災害及び通勤災害の認定⇒厚生労働省労働基準局長が定める基準によって行う。
【問題】特別加入者に係る業務災害及び通勤災害の認定については、その就業上の地位その他の事情を考慮して厚生労働大臣が指針を定める。
(平成14年 問3C)
【解答】×
【解説】(法37条、則46条の26)
■特別加入者に係る業務災害及び通勤災害の認定⇒厚生労働省労働基準局長が定める基準によって行う。
【問題】特別加入保険料が滞納されている期間中に当該特別加入者について生じた事故に係る保険給村については、政府は、その全部又は一部を行わないことができる。
(平成14年 問3B)
【解答】○
【解説】(法34条1項4号、法35条1項7項)
■特別加入保険料の滞納期間中に生じた保険事故に関して⇒事業主からの費用徴収でなく、保険給付の全部又は一部を行わない支給制限の対象に。
【問題】特別支給金は、労働者に対する災害補償の企業内上積みとしての経緯に由来するものであるので、特別加入者の業務災害及び通勤災害に関しては、支給は行われない。
(平成14年 問3D)
【解答】×
【解説】(法29条1項2号)
■特別支給金は、特別加入者に対しても支給される。
■ただし、ボーナス特別支給金については支給されない。
【問題】特別加入者に係る特別支給金制度の導入に当たっては、労働基準法上の災害補償責任に係る企業内の福利厚生制度に由来する経緯もあり、特別加入者に対する特別支給金の支給は、厚生労働省労働基準局長が定める特別の事由がある場合に限られる。
(平成20年 問4C)
【解答】×
【解説】(法29条、特別支給金支給規則3条から19条)
■休業特別支給金、傷病特別支給金、障害特別支給金、遺族特別支給金については、支給要件を満たした場合、特別加入者に対しても支給。
■「厚生労働省労働基準局長が定める特別の事由がある場合に限られる。」の箇所が誤り。
■ボーナス特別支給金については特別加入者には支給されない。