労働者災害補償保険法

《目次》【社会復帰促進事業】

社会復帰促進事業

【設問】労災保険法第29条に規定する社会復帰促進等事業として、厚生労働省労働基準局長通知(「社会復帰促進等事業としてのアフターケア実施要領の制定について」平成19年4月23日付け基発第0423002号。以下「基発第0423002号通知」という。)に基づいて実施するアフターケアについての次の記述のうち誤っているものはどれか。
なお、本問において、「実施医療機関等」とは労災病院、医療リハビリテーションセンター、総合せき損センター、労災保険法施行規則第11条の規定により指定された病院若しくは診療所又は薬局のこと、また、「健康管理手帳」とは炭鉱災害による一酸化炭素中毒症に関する特別措置法施行規則に定める様式第4号及び基発第0423002号通知に定める様式第1号の健康管理手帳のことをいう。
(平成23年 問5A~E)
(A)アフターケアの対象傷病は、せき髄損傷、頸肩腕障害、腰痛、慢性肝炎、白内障等の眼疾患、振動障害、外傷による末梢神経損傷、炭鉱災害による一酸化炭素中毒等であるが、サリン中毒及び精神障害は対象とならない。
【解答】×
【解説】(法29条)
アフターケアの対象傷病は、次のものとされている。
(1)せき髄損傷
(2)頭頸部外傷症候群等(頭頸部外傷症候群、頸肩腕障害、腰痛)
(3)尿路系障害
(4)慢性肝炎
(5)白内障等の眼疾患
(6)振動障害
(7)大腿骨頸部骨折及び股関節脱臼・脱臼骨折
(8)人工関節・人工骨頭置換
(9)慢性化膿性骨髄炎
(10)虚血性心疾患等
(11)尿路系腫瘍
(12)脳の器質性障害
(13)外傷による末梢神経損傷
(14)熱傷
(15)サリン中毒
(16)精神障害
(17)循環器障害
(18)呼吸機能障害
(19)消化器障害
(20)炭鉱災害による一酸化炭素中毒
よって、「サリン中毒及び精神障害は対象とならない」とした問題文は誤りとなる。

(B)アフターケアを受けようとする者は、その都度、実施医療機関等に健康管理手帳を提出し、アフターケアの実施に関する記録の記入を受けるものとされている。
【解答】○
【解説】(法29条)
アフターケアを受けようとする者⇒実施医療機関等にその都度「健康管理手帳を提出するものとし、アフターケアの実施に関する記録の記入を受けるものとされている。

(C)健康管理手帳の交付は、事業場の所在地を管轄する労働基準監督署長(以下、この選択肢において「所轄署長」という。)が、アフターケアの対象予定者を所定の報告書により当該所轄署長の所在地を管轄する都道府県労働局長(以下、本問の選択肢において「所轄局長」という。)に報告し、所轄局長が当該報告に基づき対象者と認められる者に対して行うものである。
【解答】○
【解説】(法29条)
事業場の所在地を管轄する労働基準監督署長は、アフターケアの対象予定者を「健康管理手帳交付報告書」により当該所轄労働基準監督署長の所在地を管轄する都道府県労働局長に報告するものとし、所轄都道府県労働局長は、その報告に基づき、対象者と認められる者に対して、健康管理手帳を交付するものとされている。
よって、問題文は正解となる。

(D)アフターケアを受けようとする者は、健康管理手帳を紛失若しくは汚損し又は健康管理手帳のアフターケア記録欄に余白がなくなったときは、所定の申請書により、所轄局長あてに健康管理手帳の再交付を申請し、所轄局長は、その申請に基づき、健康管理手帳を再交付する。
【解答】○
【解説】(法29条)
健康管理手帳を紛失若しくは汚損し又は健康管理手帳のアフターケア記録欄に余白がなくなったとき⇒
「健康管理手帳更新・再交付申請書」により、所轄労働基準監督署長を経由して所轄都道府県労働局長あてに健康管理手帳の再交付を申請。

(E)実施医療機関等は、アフターケアに要した費用を請求するときは、所定の方法により算定した毎月分の費用の額を所定の請求書に記載の上、当該実施医療機関等の所在地を管轄する都道府県労働局長に提出する
【解答】○
【解説】(法29条、平成19年4月23日基発0423002号)
実施医療機関等は、アフターケアに要した費用を請求するとき⇒毎月分の費用の額を「アフターケア委託費請求書」又は「アフターケア委託費請求書(薬局用)」に記載し、当該実施医療機関等の所在地を管轄する都道府県労働局長に提出。


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